その男、復讐者なり   作:雪原野兎

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第4話 我儘娘

泉での一件から数か月後…玲士はいつもの様に傭兵稼業をこなす日常を送っていた。

 

違う事があるとすればあの日からフードを被り、さらにマスクを付けて顔を隠して仕事をするようになった事だ。

 

仲介者『今日の仕事も順調に終わったようだな、お疲れさん、ゴースト。』

 

玲士「ああ、しかし今回の依頼は傭兵というか何でも屋な仕事だったな。」

 

仲介者『ははは、そうだな。良質な毛皮が欲しいって市場には無かったのかね。』

 

玲士「それで、何か依頼は来ているか?」

 

仲介者『ん~1件だけ来ているが人探しだな。』

 

玲士「人探しか、誘拐でもされたのか?」

 

仲介者『うんにゃ、文字通り探してほしいようだ。姿は白い肌で女性っぽい顔立ちの黒髪、上着の下へ続くほど長いそうだ、服は全体的に黒くて名前は確か…コノエレイジって名前か、日本人みたいな名前だな。』

 

その名を聞き、玲士は驚きながら目を細める。

 

玲士「…そうか、他に特徴は?」

【依頼してきたのは…あいつか。】

 

仲介者『ナイフで戦ってるという事らしい、それ以外は本人も分からないそうだ。依頼人の名はジブリール…って、そういえばお前さんの容姿も…』

 

玲士「…お前の想像通りだ。」

 

仲介者『…そうか、それで、依頼人には伝えるかい?』

 

玲士「…伝えなくて良い、俺の目的の為に女にかまけている暇は無いからな。」

 

仲介者『…了解、じゃあ他を当たってくれって伝えておくとするよ。それと…安心してくれ、お前さんの情報だけは『絶対』に他人には売らん。』

 

その言葉に耳鳴りが聞こえる。

 

玲士「…お前…すまん。」

 

仲介者『気にしなさんな、お前さんは俺にとっても大切な相方だしな。』

 

玲士「ふっ、じゃあ通信を切るぞ?」

 

仲介者『ああ、また依頼が来た時に連絡を入れるぜ。』

 

そう言い終わると同時に通信を切る。

 

玲士【…俺の名を知っているのは仲介者にあいつらとその知り合いのみだろう…だが、今に思えば何故俺はあの名を使った…?偽名でも使えばよかったのにな…。】

 

そう思案しながら森にある切り株に腰掛けていると唐突に誰かから声を掛けられる。

 

???「貴方がゴーストね?見つけたわ。」

 

女の声、その声を聞いても反応せず無視して座り続ける。

 

???「ちょっと!無視しないでよ!」

 

その声を聞くと上から一人の女が降りてくる、その背中には蝙蝠の羽が生えている。

 

玲士「俺の事か…誰だ?」

 

???「やっと反応したわね?私はリアス・グレモリー、あなたの主になる者よ。単刀直入に言うわ、私の眷属になりなさい。」

 

玲士「頭が狂っているな、まるで自分が全てを思いどおりに出来ると思っている話し方だ、だがすまんな、あいにく知り合いに医者はいない。」

 

リアス「私は病気じゃないわよ!生意気な人間ね…まあ良いわ、眷属になってもらうわよ。」

 

玲士「断る、俺は誰かの下に付き続ける気は無い。ましてやお前の様な常識知らずの下に付くことなど絶対にな。」

 

リアス「なんですって!?人間の癖に生意気ね!一度殺してから眷属にして躾けてあげるわ!」

 

そう言うと同時に飛び上がり、赤黒い魔力を玲士へ向けて放つ。

 

それに対し玲士は前転して回避し、振り向きながらハンドガンタイプの双銃剣を投影し、構える。

 

それからは敵の動きを見続けるが、一つの結論に至る。

 

玲士【この女、箱入り娘か、戦闘のせの字すらも知らないレベルの雑魚…だが飛び続けられると面倒だな、叩き落してから抑えつけて…殺す。】

 

リアス「この…!当たりなさいよ!」

 

次々と赤黒い魔力弾を飛ばし続けるが当たらず、樹に命中して粉砕していく。

 

玲士「I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)…。」

 

そう言って白い刃がついた銃剣を弾丸へと改造し、装填する。

 

木々が粉砕された時に発生した煙に身を隠し、新たにナイフを投影し、鎖へと改造して粉砕されて残されていた樹へと刺す。

 

リアス「どこに逃げても無駄よ!早く出てきなさい!」

 

玲士「なら出てきてやる。」

 

そう言って飛び出し、リアスの直下を駆け抜ける。

 

リアス「下を走り抜けたからって逃げられるとは思わないこ」

 

玲士「馬鹿が、貴様はその目で何を見ている。」

 

そう言い、右手につないでいた鎖を背負い投げの要領で肩にひっかけ、思いっきり引っ張る。

 

瞬間、繋がれた木の残骸が引っ張られ、リアスへと向かい飛んでいき。

 

リアス「何を言ってうぐぁっ!?」

 

リアスは気づくことなく背中へと木が命中し地面へと墜落する。

 

リアス「あの男…ッ!?」

 

すぐに目を覚まし、起き上がろうとした瞬間。

 

玲士「チェックメイトだ。」

 

リアス「がはっ!」

 

腹部を玲士が踏みつけ抑え込み、顔に向けて銃を構える。

 

リアス「わ、私にこんな事をしてどうなるか分かっているの!」

 

玲士「知らん、貴様が何者であるかも、殺したらどうなるかも知らんし知ろうとも思わん。殺そうとしたなら自身が殺されても文句など言えん…まあ、死者は喋れんがな。」

 

そう言い、引き金を引き始める。

 

それに対しリアス・グレモリーは涙を浮かべ、泣き始める。

 

リアス「い、嫌…死にたくない!私はまだ『王』になったばかりなのに!まだ何もしていないのに…!」

 

玲士「…貴様、まさかまだ未成年か?」

 

リアス「うう…そうよ、私はまだ15よ…!」

 

玲士「…ちっ。」

 

そう舌打ちをし、足をどけてどこかへ向けて歩き始める。

 

リアス「…えっ?」

 

玲士「何をするのも貴様の自由だ、だが、常識を知れ。俺は貴様の眷属にはならん、次襲って来たなら…今度こそ殺す。」

 

そう言ってその場を立ち去る。

 

玲士【…ちっ、むかつく女だ、親もどんな教育をしてやがる…。】

 

そう思いながら足を進めていると、唐突に来た方向より爆発の音が聞こえる。

 

玲士【あの女が怒りに身を任せて破壊活動でもしてるのか…?いや、男の声が聞こえるだと?こんな所に女も男も本来なら来るわけがない…。ちっ。】

 

思案した後、足を翻して先ほどの場所へと走り始める。

 

走り続けるとリアスと名乗った女と見知らぬ飛んでいる男が相対し、男がリアスに向けて大型の魔力弾を向けているのが分かる。

 

玲士【…殺されかけているとはな…見逃した傍から殺されては癪だが…間に合わんか。】

時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)!」

 

そう唱えて高速移動をし、リアスを蹴り飛ばす。

 

リアス「うあっ!」

 

玲士「ごぶっ…。」

 

しかし…回避までには移行出来ず、リアスを狙った魔力弾の直撃を喰らい、腹部の右腹半分が消し飛ぶ。

 

男「…なに?ぐっ!」

 

唐突の出来事に、その場にいた二人は唖然とし、その隙を逃さず、玲士は黒い銃を男に向けて1発だけ撃ち込む。

 

しかし腕で防ぎ、貫通して胴体への命中には至っていない。

 

男「ふん、そんな玩具で俺を殺せるとは思うな、その傷は既に致命傷だ、そこで死んでいろ、下等生物が。」

 

玲士「死ぬのは…貴様、だ…貴様が、外道なのは気配で分かる…惨たらしく、絶命しろ…!無限の■製(アンリミテッド・ロストワークス)!」

 

男「は?貴様、何を『ブチッ』ガハッ…体の中から剣が次々と…ぐ、が、あああああ!」

 

男が喋っている最中、体より剣が生え始め、次々と生えていき男が爆散する。

 

瞬間、別の風景に切り替わるが即座に元の風景へと戻る。

 

玲士「…ちっ。」

 

舌打ちをし、そのまま仰向けに倒れ、玲士は息を引き取る。

 

リアス「ちょ、ちょっと!?ゴースト!?」

 

倒れるのを見たリアスは一連の出来事に呆気に取られていたがすぐに正気に戻り、玲士の元へ駆け寄って行く…。

 

 

 

それから少し経った後…玲士は再び目を覚ます。

 

玲士「…ここは、あの森か、生きているだと…?」

 

リアス「起きたみたいね。」

 

その声を聞き、声がした方へ振り向くとリアスが切り株に腰掛けている。

 

玲士「…何故俺は生きている?」

 

リアス「簡単な話よ、あなたを私の眷属として、悪魔に転生させたからよ。」

 

玲士「勝手に転生させたのか。」

 

リアス「た、確かに勝手に転生させたけど既にあなたが死んじゃってたから…。」

 

玲士「…はあ、生き返らせた、という点に関しては感謝する。俺はまだやるべきことを果たせていないからな…。」

 

リアス「果たせていない、事…?」

 

玲士「気にするな、だが眷属になったのは認めんがな、俺は一人で行動する。」

 

リアス「え、ちょ、ちょっと待って、眷属は『王』の傍にいるもの」

 

玲士「俺の知った事ではない、こっちの許可を取らずに眷属にしたくせに偉そうにするな。感謝はする、が貴様の言う事を聞く気など無い。」

 

リアス「うう…お、お願い…お兄様に紹介するからついてきてほしいのよ…初めての眷属が言う事を聞かないではぐれ認定されたらお兄様にまで迷惑がいってしまうの…。」

 

玲士「…なら、その兄に俺が独自に動く権利を貰えば良いという事だな?」

 

リアス「え、ええそうよ、そうすればあなたも傭兵としての仕事を出来るし自由に歩けるわ。」

 

玲士「分かった、では行くとしよう。」

 

そう言ってどこかへ向かって歩き始める。

 

リアス「ちょ、ちょっと!貴方どこにお兄様いるのかわかってるの!?お願いだからこういう時は私についてきて!?」

 

玲士「…それもそうだな、死んで蘇ったという事実にまだ気が動転していたようだ。」

 

リアス「え、ええ…じゃあ一旦駅まで行くとしましょう、冥界へ向かうにはそこから電車に乗らないといけないからね。」

 

電車に乗って冥界へ行く、その事実に玲士は唖然とする。

 

玲士「冥界というのがあるのは驚いたがそこへは電車で行くのか…。」

 

リアス「ええ、魔方陣でも移動できるけど眷属と一緒にそれをすると色々とうるさいのよ。」

 

玲士「そうか…。」

 

リアス「じゃあ行くわよ、動かないで頂戴。」

 

そう言い、魔方陣を展開し二人はその場より消える。

 

その後、冥界で魔王とひと悶着あった後に許可を取ったのは魔王がシスコン故当然の出来事だったそうな…。




男「ちっ、今回はこれでしまいだ。」

リアス「なんか私のキャラがひどくなっている気がしたが気のせいかしら…。」

男「原作に比べりゃひどいだろうが…まぁ、箱入り娘で自分勝手なキャラというのは最初は仕方ないだろうな。それに眷属を持てるようになった、という事実でさらに増長するのはわがまま娘的に十中八九ありえるだろう?」

リアス「…そうかしら?それはそれとして2連続で主役がここに来ていないのだけれどどうなのかしら?」

男「別に問題は無かろう。グレモリーに会う前の玲士もといゴーストについての解説は無しだ。仲介者との会話で耳鳴りがした理由は仲介者の神器が発動したからだ。」

リアス「そう…そういえばあなたにトドメを刺した技は?」

男「ああ、私にトドメを刺したあれは既に夢に見たから使えると言っておこう、ただし最初の断片的な夢では無く、新宿ラストのシーンを夢で見た感じだな。」

リアス「なるほどね、ちなみにこの男の正体は旧魔王派の一人よ、私を殺そうとしてくるやつなんてそれぐらいしかいないでしょう?」

男「ゴーストが甘い性格じゃなければ俺が出張る必要はなかったのだがな…まぁ良い、次回から原作突入だ、妄想置き場の回になるが色々と変わりまくっているらしい。それと原作メインキャラである他眷属予定の者達との出会いは気が向いたら投稿するそうだ。」

リアス「では、次回もお待ちくださいませせせせせ。」

男「IFストーリーすら考えているが一体いつになるのやら。」

リアス「その場合はガブリエルに雇われるらしいけどいったいどういう経緯でそうなるのかしら。」

男「さあな、分かっているのは今回の話にガブリエルが介入するという事だけだ。では、俺はこれで終わりだ。さらばだ。」

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