その男、復讐者なり   作:雪原野兎

16 / 27
第14話 問答

グレモリー達と別れた後の夜…玲士は拠点にて軽く仮眠をとっていた。

 

その最中にグレモリーより通信が入り、目を覚ます。

 

玲士「…ん、グレモリーから通信か。…指示をよこせ。」

 

リアス『…ゴースト、私と話をして。』

 

玲士「…良いだろう。」

 

リアス『良かった…じゃあまずは今回の堕天使についての情報を頂戴。』

 

玲士「…ああ、今回この町に潜伏している敵は堕天使コカビエル、過去の三大勢力の戦争を前線で生き残った歴戦の手練れだそうだ。」

 

リアス『ッ!堕天使コカビエルですって…確か神の子を見張る者(グリゴリ)の幹部…!昨日、あなたが報告しようとしていた事だったのね…。』

 

玲士「…そう言う事だ、はっきり言って奴と戦うのは危険だ、魔王ルシファーへの報告を俺は推奨する。」

 

リアス『…それは出来ないわ、私はこの町の管理者、魔王であるお兄様の手を借りるのは最後の手段よ。』

 

玲士「…自惚れるな、素人と何度も戦いを超えてきた猛者と戦って勝てると思うなたわけ。」

 

リアス『…そうだけれど、裕斗が一人で敵を倒しに向かってしまったのよ…。』

 

玲士「そうか、祐斗の護衛をしろ、という事か?」

 

リアス『…いえ、シャドウで見張る対象に彼を入れてほしいのよ。』

 

玲士「…了解した。他に何かあるか。」

 

リアス『今回の敵、他には誰がいるのか教えてちょうだい。』

 

玲士「…了解、他にははぐれ悪魔祓い数人、中にはフリード・セルゼンの姿もある、後は木場の仇でもあるあの研究の元主任バルパー・ガリレイだ。…だが、フリード以外のはぐれ悪魔祓い数人の姿を見なくなった。」

 

リアス『…奴らの目的は?』

 

玲士「…確定したことは分からん、前回堕天使に関する依頼を出した奴が言うには戦争を再開することだと。」

 

リアス『…そう、分かったわ。次に…なのだけれど、お願い、切らずに私の質問に答えて。』

 

玲士「…それが指示であるなら了解した。」

 

リアス『…じゃあまず、あなたの目的を教えて、あの時はぐらかされてしまったから…。』

 

玲士「教えん、指示には従う、がどう答えるかは俺が考える。」

 

リアス『…そう、じゃあどうして私にもそのような態度を取るの…?』

 

玲士「貴様の無能加減、詭弁に心底見損なったからだ、はっきり言って、今すぐにでも契約を切りたいほどにな。」

 

リアス『…ッ、そう…どうしてそう思うの?理由を教えて…私には分からないのよ…。』

 

玲士「…なら問う、木場裕斗、ギャスパー、兵藤一誠、アーシア…この4人に神器が無かったら貴様は眷属に転生させていたか?」

 

リアス『…分からないわ、4人とも神器を持っていたから…。』

 

玲士「…なら質問を詳しくしてやる、もし、神器を持っていない兵藤一誠が堕天使の存在を知った為に口封じとして殺されて、貴様が悪魔稼業として召喚された時、貴様はどうした?そんな時が無かったからだというのは答えにならん、はっきりと、その場面に遭遇したらどう対応したかを答えろ。」

 

リアス『…転生させず、記憶処理だけして済ませていたと思うわ…。』

 

玲士「だろうな、貴様はフリードに殺された兵藤の召喚者を生き返らせもせず町の住人の記憶処理だけで済ませた、そんな考えしかできないから…俺は貴様と関わりたくないんだよ。」

 

リアス『…どうしてそこまで私を毛嫌いするの…?』

 

玲士「…はっきり聞きたいか?」

 

リアス『…分からない、でも、気になるのよ…。』

 

玲士「…そうか、だが教えん、その理由は俺の正体に繋がる事だからな。」

 

リアス「えっ…?ねえ、ゴースト…。」

 

玲士「なんだ?」

 

リアス「今、あなたの望みはその目的以外にあるのかしら…?」

 

玲士「目的以外か、そんなもの決まっている、人間の肉体に戻る事だ。」

 

リアス「…それは、無理よ…。」

 

玲士「…だろうな、現在のはぐれ悪魔の問題で貴様ら悪魔が無能だという事も理解出来ているわ。」

 

リアス『ッ!ゴ、ゴースト…?』

 

玲士「悪魔の駒…大戦時に著しくその数を減らした蝙蝠共が少数精鋭で戦力を補う為に造り出した自意識過剰な愚策、ライザーやソーナの様に眷属を大切にする悪魔はいるだろう。だが…それは少数で大半は貴様と同様に眷属を道具としてか見ていない、だからこそ元の種族に戻すという機能すらない一方通行の仕様だ。…『人間』から言わせてもらえばふざけるなよ蝙蝠が。」

 

リアス『…でもそれは悪魔の為に…。』

 

玲士「悪魔の為にだと?ふん、笑い話にもならん、人が死ねば輪廻転生する、しかしそれを貴様らが遮れば…冥府の奴がどう思うだろうな?その国の神話勢力はどう思うだろうなぁ?それに…貴様の場合元の種族に戻す仕様があったとしても戻そうとしないだろう?『優秀な道具を手放したくない』からなぁ!」

 

リアス『それ、は…。』

 

玲士「それが貴様の心底の考え、本音だ無能…ふん、話は以上だ、他に指示はあるか?」

 

リアス『…いいえ、もうないわ…。』

 

玲士「そうか、なら俺は指示を待つ。」

 

そう言い、通信を切断し、別の作業を開始する…。

 

 

 

時は経ち、その拠点に一人の訪問者が来る。

 

木場「ここに、ゴーストさんが…。」

 

玲士より拠点が必要ならここを使えと知らされていた。

 

向かう先はアーシア・アルジェントが磔にされていた地下、階段を下りていき、木場は一つの扉の前に到着する。

 

木場「ここ、かな…?失礼するよ、ゴーストさ…ん…!?」

 

扉を開けた先に目に映ったものに木場は驚く、それは体を拭いている黒髪のポニーテールの上半身裸の美人がいたからである。

 

木場「え、あ、す、すみません!?」

 

玲士「おや?ああ、木場くんでしたか。私ですよ、ゴーストです。」

 

木場「え、ええ!?ゴ、ゴーストさん!?じょ、女性だったのですか!?」

 

玲士「ッ?…あぁ、仮面を外していましたね、よく女性っぽい顔と言われますが私は男ですよ。」

 

木場「で、でもいつもと声も口調違いますよね!?」

 

玲士「ああ、それでしたら…。」

 

そう言い、服を着て仮面を付け。

 

玲士「これで良いか?木場。」

 

いつも、グレモリー眷属が聞いている声に戻る。

 

木場「ほ、本当にゴーストさんだったんですね…でも変声機を使っていたのは驚いたよ…。」

 

玲士「お前は何を言っている?これも地声だ、仮面を付けている時、付けていない時で俺は意識せず声が変わっている、仕事のオンとオフ時に声で俺が判別されないように声を変えていたらそうなってしまってな。」

 

木場「そ、そうだったんですね…。」

【性格も変わってないかな…?】

 

玲士「ああ、だが俺の素顔はグレモリー達には言うな、言えば…分かるな?」

 

木場「…分かっています、それに僕は復讐の為に独断行動をして部長から離れていますから…。」

 

玲士「そうか…だがお前は一人ではない。グレモリーの眷属の中には感情で行動するお人好しもいるからな、数日以内にお前に無理やりにでもかかわってくるだろうさ、グレモリーに内緒にしてでもな。」

 

木場「…だけど、僕は…。」

 

玲士「お前は俺と違いあの輪の中の一部となっている…まあ、諦めることだ、無理にでも断ろうとすればあっちも無理にでも介入してくるぞ。」

 

木場「ゴーストさんは違うのですか?」

 

玲士「…なら、お前は俺について傭兵や能力以外に何か知っているか?」

 

木場「それ、は…分からない、です…。」

 

玲士「だろう?俺とお前では奴等との関わり方が違う、今回の騒動が終わった後お前はどうするつもりだ?」

 

木場「…それも、分からないです…復讐を目的に生き続けたから…。」

 

玲士「そうか…一生とは道だ、復讐であろうと悲劇であろうとそれは分岐路にしか過ぎない、選んだ道が生存であるなら道は続いていく、終わった後でも良い、目的を果たした後をどうするか、考えておけ。」

 

木場「…はい。」

 

玲士「…なら飯にしよう、材料はある、何か食いたいものがあれば言ってくれ。」

 

木場「え、えっと食べれる物なら何でも大丈夫です。」

 

玲士「そうか、なら適当に腰掛けて待っててくれ。」

 

そう言い、玲士は端の方にある調理場に向かい、調理を開始する。

 

木場「…復讐は分岐路か…復讐を果たせたら、僕は…。」

 

その姿を見ながら木場は言われたことを悩み続ける…。




玲士「今回はここで終わりだ。」

木場「担当は僕たち、復讐者ペアが担当させてもらうよ。」

玲士「と言っても解説することはそこまでないがな、ゼノヴィアが知らせる内容を俺が担当しただけにしか過ぎない。」

木場「その為か白龍皇が目覚めているという話が出てきていないんだよね、玲士君はそれについては知らないから。」

玲士「その後の問答は人間の視点で悪魔の現問題や不満を言った感じだ。」

木場「そして通信を切った後に部長は完全に崩れたよ、自身がその言葉を言われてどう思ったのか、完全に言われた通りだったと分かって数日は落ち込むだろうね。」

玲士「そしてちょっとしたサービスシーン(?)だ。」

木場「ちょ、ちょっとびっくりしたね、上半身裸の美しい女性がいたと思ったから…。」

玲士「ただし、きっちり女性でないと明記するために美『人』と書いた、それと木場は結構スケベ性格だからガン見していたな。」

木場「あ、あはは…声に関する話とかした後は復讐云々だね。」

玲士「お人好しは一誠の事だ、原作でも独断行動して合流してるからな、一生は道というのは自論で、死ななければ道は続いていく。作者はそう思っている。」

木場「さて、今回はここまでだね、次回は戦闘回だ、場面は一気に飛んでバルパ―と木場一行遭遇の場面。」

玲士「あそこでもし3人を追っていったなら…?という感じだな。アニメでは森だったが…?」

木場「では、次回もおまちくださいませせせせせせせせせせせせせせせ。そういえば君の幼馴染の彼女の頭から煙出てたけど大丈夫なのかい…?」

玲士「問題ないだろう、水もかけてきたからな。」

木場「そ、そういう問題なのかな?」

玲士「そういや評価でやっと1が入ったな、これがあると逆に安心してしまう。」

木場「本来悪い評価なんだけれどね。9の評価をしてくれた方もありがとうございます。」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。