その男、復讐者なり   作:雪原野兎

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第13話 教会の戦士との手合わせ

旧校舎裏庭…そこでゼノヴィアと木場が、ゴーストとイリナが互いに向き合っていた。

 

木場「…僕は宣言通り青い髪と戦わせてもらうよ、ゴーストさん。」

 

玲士「ああ、なら俺は左腕に武器を変身させているツインテールとだな。」

 

イリナ「っ!驚いたわ、確かあなたあの時いなかったはずなのに擬態の聖剣を見破っているなんて!」

 

玲士「戦士が何も持ってないのにアクセサリーなんてつけてるとは思ってないからな。それに貴様らの聖剣の情報を俺は全て持っている、そこから可能性で割り出しただけだ。」

 

ゼノヴィア「…優秀な情報屋が相方だと聞いていたが本当だったとはな。」

 

玲士「さあな…野次馬も来たようだ。」

 

そう話しているとリアス達が遅れてやってくる。

 

リアス「まだ始まってないみたいね…戦うのは構わないけれど殺しちゃダメよ?両人共。」

 

ゼノヴィア「ふっ、分かっている。」

 

イリナ「はーい!」

 

しかし返事をしたのは教会の戦士だけで木場と玲士は一切返事をせず相手を見据える。

 

一誠「木場!ゴーストさん!頑張れよ!」

 

朱乃「うふふ、なら私が合図をしますわ?戦闘、始めてくださいな。」

 

その声と同時に互いに味方と離れ、戦う相手と向き合い。

 

木場「『魔剣創造』!」

 

玲士「まずは様子見だな…投影、開始。」

 

そう言って、木場は周囲に様々な魔剣を生成、玲士は夫婦剣を投影し敵を見据える。

 

イリナ「さぁ、行くわよ!アーメン!」

 

その言葉と共に聖剣を刀へと変身させて玲士へと直進、小さく跳び、落下すると同時に袈裟斬りをしかける。

 

それに対し玲士はわずかな動きで避け、バックステップで距離を取ろうとする。

 

イリナ「さぁ!それそれぇ!逃がさないわ!」

 

距離を取ろうとしている玲士に対し即座に追う様に跳び、連続の斬撃を以て肉薄していく。

 

玲士【…鍔迫り合いはイリナが一瞬見せた変身能力からして危険だが…流石にこれであの堕天使と戦わせる気か…?戦闘の腕が無謀すぎるぞ…。】

 

イリナ「ふふん!私の強さに手も足も出ないみたいね!」

 

玲士「…いや、弱すぎて心配になっているだけだ。」

 

イリナ「な、なんですってぇ!私は弱くないわ!」

 

その言葉に激昂し、唐竹割りを仕掛けるが…。

 

玲士「…こうすれば終わりだ。」

 

それに対し玲士は即座に左手の黒い剣で聖剣を防ぎ、右手の白い剣を手と鍔の間に刺しこんで上に振り上げ聖剣を弾き飛ばす。

 

イリナ「あっ!?あうっ…。」

 

玲士「そこまでだ、こっちは俺の勝ちだな。」

 

弾き飛ばされたことに驚き、即座に拾いに行こうとするが首に剣を突き当てられ、動きを止める。

 

イリナ「うう…!なんでそんなに強いのにガブリエル様の依頼を引き受けないのよ…!」

 

玲士「…戦闘系の依頼じゃないからな、それと…。」

 

武器を消し、拳を握りしめ、挟むように構えながらイリナへと近づいて行き。

 

イリナ「な、なに…?待って、その手の構え嫌な予感しかしない待って待って待っていだだだ!」

 

そしてイリナの頭を拳で挟み、ゴリゴリと回転させる。

 

玲士「うるさい!なんだあの動きは、武器の特性も理解せずただ刀に変身させて戦ってただけで、変身能力があるのに宝の持ち腐れだろうが!」

 

イリナ「だ、だってゴーストが鍔迫り合いさせてくれなかったんだもん!鍔迫り合いしたら変身能力使って攻撃したのに!」

 

玲士「駄々をこねるなたわけ!お前が変身させた一瞬でどんな状況になれば一気に不利になるか即座に理解したから鍔迫り合いをさせないように回避し続けていた!敵に有利な状況を作らせないのが戦いだ!」

 

イリナ「いだい!いだいって!分かったから手を放して!」

 

玲士「…ちっ。」

 

舌打ちしてイリナから手を放し、イリナは聖剣を拾いに行ってすぐに戻ってくる。

 

イリナ「うう…じゃあどう戦えば良いっていうのよー…。」

 

玲士「そんな事すら思いつかないのかお前は…剣で攻撃しながら別の形に変身させて敵の動きを制限させていけば良い、時には鞭のように紐状で攻撃したりとかな、わざわざ一つの形で戦う必要無いということだ。」

 

イリナ「な、なるほど…!」

 

玲士「おい教会の戦士…。」

 

感心しながら話を聞くイリナに頭を抱える中、剣と剣がぶつかり合う音とは別の鈍い音が聞こえる。

 

玲士「…あっちも終わったみたいだな。」

 

そう言ってゼノヴィア、木場の方へ目を向けると木場が地に倒れ伏しているのが目に入る。

 

玲士【…だから感情的になるなと言っただろう…しかも横目で見てたが…真正面から打ち合う能力じゃないだろうに、お前は…。】

 

ゼノヴィア「次は冷静になって挑んでくることだ、先輩…さて、ここまでだな。」

 

そう言いイリナと共に脱ぎ捨てたローブを取り、再び着なおす。

 

玲士「…待て、ゼノヴィアだったな?」

 

ゼノヴィア「なんだ?次は私と戦えというのか?」

 

玲士「違う、はっきり言って貴様らは弱すぎる、それで今回の主犯格と戦うつもりか?…死ぬぞ。」

 

ゼノヴィア「…だろうな、それぐらい私たちも分かっている。」

 

イリナ「…覚悟の上よ、既に一人仲間が殺されてるし…。」

 

ゼノヴィア「堕天使に聖剣を使われるぐらいならこの身に変えても消滅させてみせるさ。」

 

玲士「…そうか、ならこれ以上は何も言わん。」

【…いくら狂信者に落ちたとはいえ…絶対に殺させはせんぞ、イリナ…。】

 

ゼノヴィア「片目で見てたが貴様の方が強いのは分かった、悪魔で無かったら教会を経由してでも協力してほしかった所だ。」

 

玲士「俺は『人間』だと言っている。」

 

イリナ「それじゃあね!一誠くん、裁いてほしかったらいつでも言ってね!」

 

その言葉を残し、教会の二人はその場を立ち去っていく。

 

一誠「いやいやいや、自ら殺してくれなんて言いに行かないからな!?」

 

リアス「アーシア、急いで裕斗の治療をお願い。…ゴースト、私は…。」

 

玲士「俺は拠点に戻る、弁解など聞かん、指示だけをよこせ。」

 

そう言い、玲士は魔法陣にてその場を去って行く。

 

リアス「あっ…ゴースト…。」

 

慎士「良いんですかあんな勝手なことを許しても!」

 

リアス「…分からないわ、分からないのよ…私は眷属を大切にしている、彼も私の大切な眷属なのに、どうして理解してくれないの…。」

 

小猫「…部長、提案があります。」

 

リアス「どうしたの、小猫…?」

 

小猫「ゴーストさんは『指示だけをよこせ』と言ってました、なら…どうしてそのような態度を取るのかを聞けば良いのではないかと、指示であるなら話してくれるはずです。」

 

朱乃「後は今回の堕天使についてもですわね、彼は既に情報を持っているみたいでしたし。」

 

リアス「そうね…そう言う方法があったわね…。」

 

朱乃「でも、絶対に『眷属であることを認めなさい』なんていう指示は駄目ですわ、そんなこと言えば確実に見限りますわよ、彼。」

 

リアス「分かっているわ、彼の事は眷属であり傭兵である、傭兵として話をしてみるわ。小猫、裕斗を部室まで運んで頂戴。」

 

小猫「…はい。」

 

その言葉と共に、オカ研部室へと戻っていく…。

 

 

 

…場所は変わり、白き部屋、そこで一人の男が仕事をし、そこへ一人の女性が部屋へと入ってくる。

 

男「お疲れ様です、今日も教練を頑張っていましたね。」

 

女「はい~、後悔を残さぬ為に頑張って皆さんを鍛えているんですよ。」

 

男「そうでしたか、しかし…何故3年前から急に始めるようになったのですか?」

 

女「3年前、私を助けてくれた方が説教してくれたのです、『永遠に引きづるような後悔だけはさせるな』と、ですから皆さんにも後悔を残させない為に鍛えているんですよ。」

 

男「そうでしたか、ですが確かその方は…。」

 

女「…はい、あの方が名乗った名前で調べてみましたが既に故人で…ですが、あの方が嘘をつくとは思えないのです…。」

 

男「…なるほど、だから傭兵の方にその方に似た容姿の方を捜索してもらおうというのですね。」

 

女「はい、ですがどの傭兵の方も見つけられず、傭兵の中でもよく名前を聞く方にお願いしようとしているのですが断られているのです…。」

 

男「…ふむ、別の事で忙しいのでしょうかね?」

 

女「はい、なんでも現在長期契約をして忙しいとのことで…。」

 

男「そうでしたか…ですがその方が偽名だとしてもいつか必ず会う事が出来るはずですからそれまで待ちましょう。」

 

女「ええ、では私は事務に戻りますね~。」

 

そう言い、女性は部屋を後にする。

 

男「…ふむ、あそこまで興味を持つ方がいるのは驚きましたね。名前的に男の方なのでしょうから少々心配ではありますが…しかし良い傾向なのでしょう、今まで自分から何かをしようとする事は少なかったですからね。」

 

そう言い、書面とのにらめっこを再開する…。




玲士「今回はこれにて終了だ、解説はゴーストこと玲士と。」

イリナ「私、玲士くんの幼馴染の一人で教会の戦士の紫藤イリナが担当するわ!」

玲士「さて…戦闘だがイリナが武器の使い方が慣れていないからすぐに終わったな。」

イリナ「うぐっ…!い、いやぁその武器が得意な状況に持っていけば勝てるかなーって…。」

玲士「そんなんで勝てれば苦労はせんだろう、戦士としての腕も戦法がそこまでなってないし願望を押し付けているからな。」

イリナ「その後は流石に武器の把握すらしていない事から玲士くんが怒ってグリグリと…あれはとっても痛かったわ…。」

玲士「中指を微妙に立てていたからな、ガブリエルの時は普通にグーでグリグリしてただけだから威力は違うぞ。」

イリナ「その後はゼノヴィアの方も戦闘が終わったけれどこっちは原作通り、冷静になれずやられた感じね。」

玲士「その後ゼノヴィアを引き留め今章の敵と戦うつもりか聞いたのだがこれはイリナに対する心配だ、狂信者になろうとも大切な幼馴染の一人だからな…。」

イリナ「そして私たちはその場を後にするけど玲士くんは拠点に戻ったわね。」

玲士「嫌ってはいるが傭兵だからな、指示には従うだけだ、『指示』にはな。」

イリナ「ちゃんとヒントを出していたけれどグレモリーさんは気づかず、朱乃さんと小猫さんが気付いた感じね。」

玲士「慎士に関してはどうやって計画的(笑)に俺を殺そうか悩んでいるところで、だから今のところ俺アンチの発言をしているだけだ。」

イリナ「その後はある男女…って、片方はもうヒント出しすぎてるし片方が分かればもう片方も分かるから名前出しても良いんじゃない?」

玲士「だろうな、だが名前はださん、さて…これぐらいか?」

イリナ「次回は玲士くんとグレモリーの問答!話的にそこまで進展はないわ。」

玲士「では、次回もお待ちくださいませせせせせせせせせせせせせせ。」

イリナ「でも幼馴染が二人も悪魔になっちゃうなんて…あぁ、神はなんて悲しい試練を私に課すのかしら…これも私が乗り越えるべき試練、安心して玲士くん、私がちゃんと断罪して」

玲士「…ほう?あれだけじゃ物足りなかったと見える『ギュィイイイイイン』。」

イリナ「うぇっ!?ちょっと待って明らかにおかしい音してるって!人間が出しちゃいけない音してるって!?お願い待って待ってやめてあだだだだだだだだ!ハゲちゃう!髪禿げちゃう!」

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