俺のエルフが、チート魔術師で美少女で、そして元男な件について。 作:主(ぬし)
よし。ここで話は変わるが、俺の女について少しばかり自慢させてもらおう。
詳しく書き過ぎると非常に長くなるし、現時点での俺自身にも火が灯ってしまいそうなので端的に伝えるが……アキリヤは、本当に、最高だった。何度
撫でれば手のひらに吸い付き、力を込めれば沈み込み、同程度の力で押し返してくる張りのある弾力はいつまでも弄んでいられた。組み伏せて至近から見下ろす表情が、こちらの動きに合わせて額に珠の汗を浮かべ、ぽろぽろと涙ぐみ、ぎゅっと歯噛みするのが愛らしい。首筋に鼻を埋めて深呼吸をすると、濃密な花の蜜に似た匂いがして何時までも嗅いでいたくなるし、それを恥ずかしがって嫌がる素振りがまた愛おしい。接合部が水音を弾かせる度に濡れた唇が熱い吐息と甘い悲鳴を奏でるのも心底溜まらない。ほくろ一つない完璧な肢体が汗ばんでじんわりと湿り、腰のくびれが外も中もぐねぐねとうねり、ねじれ、痙攣するのは見ているだけでも心地よいし、実際天にも登るほど心地よい。一際高い悲鳴とともに長い足が伸び切って指先までピンと突っ張り、背中にガリガリと爪を立てられ、肩に八重歯で噛み付かれる時など、途方もない征服感が尻の裏側から一気にせり登ってきて、自身が世界で最も恵まれた男なのだということを再認識させてくれる。汗と涙と鼻水と涎でグチャグチャになった顔、瞳孔が開いて焦点の合わない瞳、ぜえぜえと肺から絞り出される掠れ息、ねっとりと穢された下腹部、こんな風にしてしまったのが自分だという実感を噛み締め、またもやムラムラとした征服欲を刺激される。俺の復活を察した彼女がビクッと下腹部を震わせ、声にならない声で涙を浮かべて拒絶するがすでに遅い。
俺は骨に残った肉にむしゃぶりつくように、アキリヤに覆いかぶさって再びその瑞々しい肢体を貪り始めた。まるで死肉を啄む禿鷲のように、乱暴に、節操なく。彼女は何も悪くないのに「許して」と謝ってきたりもしたが、許してほしいのはこっちの方だった。その肉体にアップアップと溺れて困っていたのは俺の方なのだから。
肉体と精神の充血と怒張が収まる気配は微塵もなく、それこそ最初の頃は彼女が涙目を超えて絶叫しながら懇願するか、それを通り超えて気絶するまで……いや、白状するとその後まで続けてしまったものだ。
アキリヤからは、「激しすぎて男だった頃をもう思い出せなくなった」とも言われた。「女は凄い。お前もなってみればわかる」とうっとりした目で勧められたが、もちろん喜んで辞退した。腕の中にちょうどすっぽりと収まる極上の女を抱ける以上の快楽などあり得ないと、たった今実感したばかりなのだから。それをはっきりと告げると顔を真っ赤にして何を言うんだと小さな手を握って胸板を叩いてきたが、その初々しく可愛らしい表情こそがまさにその証左で、それがまた俺の下半身に火をつけて第二回戦へと突入したことは俺のせいではない。彼女があまりに最高すぎるのが悪いのだ。
そういえば、いつか、「身体の内側に他人が侵入してくるのはいつになっても慣れない」とも言われた。だからか、いつも夜は緊張で肌から少し血の気が引いてひんやりとしていた。しかし内側は溶けた鉄のようにドロドロに煮えていて、俺としては不思議な感覚だった。それを最中に伝えると、「人をマホウビンみたいに言うな」と文句を返されたが、マホウビンの意味がわからなかったし、やりながら会話をさせてみるという新しい試みを発見したので特に突っ込んで聞かなかった。いや、突っ込みはしていたが。わはは。……なんでもない。
何の話だった? マホウビンの話だったか? 会話させてみる試みの話だったか? 多分後者だな。あれは俺だけにとっては非常に良い発案だった。意地悪をしてみると、加虐心というか、そういうのがゾクゾク刺激されて、つい調子に乗ってしまった。しかし、ただでさえ俺の動きに振り回されている彼女の呼吸がおぼつかなくなってくると途中から息も絶え絶えになって顔色も青くなるので、さすがにまずいとほどほどにしておいた。
……この後記すことになるが、自分の肉欲を抑える術は後々ちゃんと覚えた。繰り返すが、俺も若かったし、何より学が無かった。軍隊の仲間は女の扱い方なんて想像でしか知らなかったし、もしかしたらそういう知識を諭してくれたかもしれない父親はすでにいなかった。だから、彼女に気の毒なことをしていたとわかったのは、後に俺たちの共通の友人となった若い女僧侶から手痛い一撃とそれより苦手な説教を受けてからだ。
俺達より少しだけ年上の女僧侶は、聖神教会の僧侶とは思えないほど破天荒で、どこの教区にも属さず自由奔放に国中を動き回って、なのに白魔法の腕は超一流だった。道中、偶然手助けをしてやったことから懇意になった。女僧侶は面倒見が良くて、手探りの生活をしていた俺たちにとても親切にしてくれた。夜の手探りについては特に厳しく教え込まれた。
『一、女の身体は俺の貧相な頭では想像もつかないほど複雑かつ繊細で壊れやすく大切に触れなければならない』
『二、エルフは特殊な種族であり、今まではなんとか
……などなどを延々と聞かされた。
そして、アキリヤが俺の身勝手な欲望に毎晩応えてくれているのは、断ると俺が彼女に愛想を尽かすのではと不安がっているからだとも教わった。「自分のために傷を負ってくれているのに、何の役にも立てていない」という負い目があるから、せめて俺の傷を癒やすことができればと歯を食いしばって毎晩俺を受け入れてくれているのだと。(実際、彼女との行為はつらいこと痛いことを忘れて天国を垣間見せてくれるものだったが)
そんな思いをさせてしまっているとは言われるまで気づかなかった。さすがに、そこまで言われても自制が働かないのであれば本当に猿かそれ以下のグールだ。それからは二日に一回にしたし、懇願されたり気絶したら即座に辞めた。それを女僧侶に自慢げに報告して、また一撃と説教を受けてからはさらに自分を抑える努力をした。……猿以下グール未満というところか。
いや、名誉のために断っておくが、彼女は俺からの非道な行いを許してくれたことを明記しておく。「オレも元は男だったから、抑えがたい男の劣情についてはわかるつもりだ。体力をつけてなるべく長く付き合えるようにするので、そちらも可能な限り優しくして欲しい」との旨の許可を得た。可能な限り優しくもした。……あくまでも、可能な限り。
ひとまずここまで。続きはまた明日というか今日にでも。