ツナま!   作:ばすけばすけ

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ほとんど会話文になります。


58話

「さぁ、お前がなにをしたのか話してもらおうか。」

 

「そうですな~~。私達は確かにあの炎に月詠はんが呑み込まれていくのをみております。なのに煙が晴れたら無傷で気絶しているだけ。なにもありまへんでしたでは納得できません。」

 

「あれは俺の奥の手の一つなんだけど・・・・まぁ別に話したところで困らないかな。素子ちゃんと刀子さんは?」

 

「あの二人なら門下生たちに喝を入れてもろうてます。」

 

「私との模擬戦で使用していたのは片手打ちだったな。あの時はきちんと怪我も負ったはずだが。」

 

「俺の炎には柔の炎と剛の炎の二種類があるんだ。エヴァちゃんとの模擬戦で使用したのは剛の炎。今回は柔の炎からさらに炎圧を低くして攻撃性をなくし、大空の属性である調和の力だけを放ったんだ。エヴァちゃんには説明してるし、実際に体験しているからわかると思うけど、調和とはバランスが取れていて綻びがないということ。だから闇に堕ちかけた心を元に戻すために使用したんだ。俺は背中を押す作業をしただけだから、後は月詠ちゃん次第じゃないかな。」

 

「なるほどな。つまりはあの炎は見せ掛けだけの張りぼてということか。」

 

「見せ掛けではないんだけど・・・説明が難しいしそういう認識でいいかな。」

 

「炎圧やら柔の炎、剛の炎と新しい言葉も出てきましたが検索はここまでにしときましょか。神鳴流にも言えない部分はありますし。さて月詠はん・・・起きてるんやろ。いい加減、タヌキ眠りはやめなさい。」

 

「あらら、ばれてましたか~~。さすが師範です~~。お兄はんの秘密を知れるかと思ってたんですけど~。」

 

「手荒な真似をしてごめんね。体調が悪かったり、怪我はしてないよね?」

 

「お兄はんはほんまに変わってはるな~~。うちはさっきまで戦っていた相手ですよ~?それに師範と戦った時にできた傷がほとんどですから~~気にしないでください~~。」

 

ツナ達は道場の一室に移動しており、その部屋には月詠が布団に寝かされていた。エヴァと鶴子はツナの技が気になっていたが、月詠が起きていることに気が付いておりこれ以上の検索はしない方がいいと判断して早々に質問を取りやめた。

ツナはツナで気が付いてはいたのだが、別に知られたとしても問題はないだろうと判断して質問に答えていた。月詠が鶴子に声をかけられて起きあがると身体に異変がないが心配しだす。そんなにツナを見た月詠は毒気が抜かれたかのような笑みを浮かべた。

 

「それで、月詠はんはこれからどうしたいん?」

 

「ツナのいうこととお前の様子を見る限り、すでに闇には囚われてはいないのだろう。」

 

「そうですね~~。ぽっかり穴があいてると言いますか~戦闘衝動がなくなったわけではないんですけど~~。いままでは血と戦いを求めていたんですが~~。むやみやたらに血を見なくてもいいかな~~って思っている感じですかね~~。」

 

「まぁ 戦闘狂は俺の周りにはたくさんいるし、おかしいことではないかな。後は血の代わりになるものを探せばいいんじゃない?月詠ちゃんの誇りと覚悟をさ。」

 

「誇りと覚悟ですか~~?お兄はんは・・・いえやめときます~~。師範、すいませんがうちは今日で道場をやめさせていただこうかと思います。」

 

「ここにいて再教育したいのが本音ですが・・・沢田さん、お願いがあります。月詠はんを預かってはもらえまへんか?月詠はんは刹那達の一つ下になります。麻帆良学園に行けないか長に交渉してみます。月詠はんもそれでええですか?」

 

「うちはそれで大丈夫です~~。お兄はんもいるし、なにより麻帆良に行けば刹那センパイとも戦えますから~~。」

 

「住む場所は寮でいいのか?こいつを寮に住まわせたら四六時中刹那に戦いを挑んでそうだぞ。それも秘匿も何も気にせずにな。」

 

「なら俺の家に来ればいいよ。幸い部屋は空いてるし、エヴァちゃん達には言っていないけど、地下に訓練場があるんだ。夏休み明けならさよちゃんもいるから俺と二人っきりではなくなるしね。さよちゃんも年の近い子がいれば安心するでしょ。」

 

「それは羨ましいな。だが一番妥当な案か。爺には私からも説明してやる。鶴子よ!詠春にも言うが決して爺にツナの名前は口外するなよ。お前もだ月詠。」

 

「お兄はんは力を隠してはるんですか~~?うちは戦えれば満足なんで言いふらしたりしませんよ~~。」

 

「わかりました。素子はんにも口止めしときます。刀子はんはどうしましょか?」

 

「葛葉刀子か。まったくあの女もタイミングの悪い時にきたもんだな。いっそのこと記憶を消してしまおうか。」

 

「大丈夫だよエヴァちゃん刀子さんには俺から話して協力者になってもらうよ。鶴子さんもありがとうございます。月詠ちゃんもこれからよろしくね。」




死ぬ気の炎の部分は私の想像もありますので忠実ではないと思います。

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