木乃香と紫が再会している頃、ツナとエヴァ、茶々丸は同敷地内にある道場へと足を運んでいた。
「お邪魔します。詠春さんから紹介してもらいました沢田綱吉といいます。見学のみになるかとは思いますがよろしくお願いします。」
「邪魔するぞ。久しぶりだな青山鶴子。そう睨むな、悪さをしにきたわけではない。」
「久しゅうな。エヴァはん。相変わらず可愛らしい容姿をなさって羨ましいわ。」
「青山鶴子。神鳴流の剣士の中でも1,2を争うほどの強さでマスター達とは旧友でしたか。」
「ふん。こいつは近衛紫の護衛だったからな。今の近衛木乃香と桜咲刹那のような関係だ。あそこまで拗らせてはいないがな。お前は小皺が増えたんじゃっぁ!ツナ!なぜ頭を叩く!」
「なんで出会い頭に喧嘩腰なの!あっちの子なんて驚いて固まっちゃってるじゃん!!」
「あらあら ほんまに紫の言う通りやわ~。あのエヴァはんが楽しそうに笑っておる。久しぶりに腕試しでもと思いましたが、うちはその表情をみれただけで満足です。素子呆けてないで挨拶。」
「はっ!!すいません。青山素子といいます。よろしくお願いいたします。」
「素子はうちの妹で高校までは京都にいたんやけど、今は東京に住んでて大学生なんです。良かったら修行の相手に付き合ってあげてくれまへんか。」
「それは妖刀ひなか?なるほど・・・ならば詠春の相手でもしてやれ。あいつもその方が早く勘を取り戻すだろ。」
「ほう いまの詠春はんと素子が同格と判断しますか。良かったな素子、褒められたんよ。」
「え?そうなのですか?」
「マスターは素直ではありませんので、素子さんと修行をするには魔法球がないと周りへの被害が計り知れないと判断したようです。」
「茶々丸!余計なことを言うな。こうか!これがほしいのか!?」
「アァァア マスターいけません ン そんなに 巻いてはーー・・」
「ちょ!茶々丸ちゃん大丈夫!?エヴァちゃんなにしたの!?」
「なに、こいつの動力源であるネジを魔力を込めて巻いてやっただけだ・・・、お前でもできるだろう今度やってられ。」
「素子見てはいけまへんよ。」
「はわわわわわわ」
道場の前には責任者である青山鶴子と、その妹である素子がツナ達の到着を待っていた。エヴァと鶴子は旧知の仲だったらしく、エヴァの変わりように嬉しそうに微笑んでいた。妹の素子は緊張しているのか固くなっていたが、ツナとエヴァや茶々丸の会話を見て次第に緊張が解れていった。
「月詠はんのことはうちも懸念しておりました。うちでは強くすることはできても道を正すことはできひんから詠春はんにも相談しとったんどす。」
「そうですか。月詠ちゃんはいまはどちらに?」
「いまは道場にいると思います。他の門下生と手合せの時間ですから。此方です。」
ツナと鶴子は月詠についての情報を交換しながら稽古をしている場所まで進んでいく。次第に竹刀がぶつかり合っているのであろう パシッ という音が廊下に響き渡っていた。