ツナま!   作:ばすけばすけ

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52話

ツナは案内された部屋にある椅子に座りながらチェッカーフェイスから追加で送られてきた書類を机に広げて睨めっこをしていた。

 

「ツナ、すまないが椅子を少し引いてくれないか。」

 

「え?・・・・うわ!エヴァちゃん?そんなところで何を!?」

 

「お前の影に転移したらこの場所しか出てこれる空間がなかったんだ。」

 

ツナは唐突に響いたエヴァンジェリンの声に驚き椅子を引いて違和感がする下を向く、するとエヴァンジェリンが股の間から顔を覗かせていた。その光景を見たツナは椅子を倒し尻餅をつく。

 

「驚かしてすまない。」

 

「ん?(なんかエヴァちゃんの態度が変?いつもならこのまま咥えてやろうかとか言いそう・・・って何を考えてるんだ俺は!!)・・・・ふぅ。雰囲気がいつもと違うけどどうしたの?」

 

「私も頼み事と謝罪をしなければいけない時くらいはきちんとした態度で誠意をみせるさ。・・・・すまない。ツナの力で近衛紫を助けてはくれないだろうか。東洋の呪術に侵されているようで寝たきりになっている。紫は近衛木乃香の母でもある。ツナの力は隠す約束だったが、私は紫をいま失いたくないんだ!」

 

「木乃香ちゃんのお母さんか・・・。このことは詠春さんは?」

 

「ツナのことはまだ話していないが、これから起こることに関しては他言無用にてと約束している。」

 

「わかった。あのエヴァちゃんにそこまでして頼まれたら動かないわけにはいかないよ。でも、解けるかは見て見ないとわからないからね?」

 

「それは大丈夫だ。すまないな。では私に掴まれ。影転移で案内する。」

 

ツナはエヴァンジェリンが差し出してきた手の上に自身の手を重ねた。するとエヴァンジェリンが強く手を握り締めて世界が暗転する。

 

 

「着いたぞ。」

 

「君は!?」

 

「エヴァちゃんから話はきいています。詠春さん少しばかり奥方に触れても大丈夫ですか?」

 

「そうか・・・君がエヴァの呪いを解いたのか。ああ構わないよ。」

 

「詠春!!この事は他言無用だぞ!茶々丸もこれからのことはメモリーに残すな。ツナよ。服は脱がした方がいいのか?」

 

「わかりました。マスター。」

 

「・・・このままで大丈夫だよ。」

 

詠春は影転移にて戻ってきたエヴァンジェリンが連れてきた人物を見て驚愕の声をあげた。事前に調べていた情報だと沢田綱吉は裏の人間ではなく魔法や気についても関与していない表の人物という評価だったのだ。

 

「うん。呪いは解けると思います。」

 

「そうか!!」

 

「本当ですか!?なら妻を・・・妻を助けてください!!」

 

ツナは近衛紫の頭に手を置いて大空の炎の波動で身体に違和感がある場所を感じ取る。本来であれば即死系の呪いだが、近衛紫の強い魔力によって呪いと戦うことができ、全魔力をそのために使用している反動で生命維持機能を残して眠りについていることがわかった。だいたいのことはチェッカーフェイスからの事前情報で判明していたことであった。

 

ツナは額と拳に炎を灯し人差し指に炎を集め近衛紫の額にその炎を当てた。すると炎は近衛紫に吸収されるように頭の中へと消えていった。

 

少し時間がたつと、近衛紫の身体が激しく痙攣し始める。詠春は慌てて近づこうとするが、ツナに手で制されて立ち止まる。すると、近衛紫の身体から黒い靄のようなものが飛び出してきて天井へと吸い込まれていった。それと同時に痙攣も収まり場は静まり返った。

 

「あの黒い靄が呪いの正体です。もう近づいても大丈夫ですよ。」

 

「あれは消えたのか?」

 

「いえ、古くから呪いが失敗するとかけた相手に返ってくるといいます。おそらくはその相手方に向かっていったのでしょう。」

 

「そうですね。・・・・いるんだろ幻騎士。」

 

ツナが黒い靄の正体を説明すると納得したように詠春が頷き近衛紫の頭を触りながら呪いについての補足説明をする。ツナはその説明を聞きながら誰もいないはずの壁に向かって声をかけた。

 

 

「さすが史上最高と謳われるブラッド・オブ・ボンゴレの持ち主だ。」

 

 

なにもないはずの壁から一人の男が姿を現した。

 

「何者だ!」

 

「お前は!」

 

「二人とも落ち着いて。味方です。幻騎士、今回の呪術師は天草千草で、首謀者は関東と関西の友好関係を認めない一派で間違いない?」

 

「その通りだ。」

 

「な!!」

 

急に現れた男は幻騎士であり、警戒態勢に入った詠春とエヴァンジェリンを横目にツナと幻騎士は会話を続けていく。二人から語られていく内容に詠春は驚きを隠せずにいた。

 

「幻騎士。お前に指示を出す。天草千草は今回の呪い返しを受けて死んでいると思う。指示した一派を皆殺しにしろ。できるな?」

 

「ッ!!フフ ハハハ!!いい!いいぞ!沢田綱吉!それでこそ白蘭様と並び立ちユニ様を守るに相応しい!いいだろう。今回はお前の命令を聞いてやる。」

 

詠春が途中で言葉を挟もうとするが、ツナから発せられる絶対的王者の雰囲気に気圧されてしまう。傍観していたエヴァと茶々丸もツナの迫力に冷や汗を掻いており、幻騎士だけが狂気にも似た笑い声をあげていた。ツナは今回の首謀者に対しての処罰を命じて幻騎士はそれを受け入れて消えていった。

 

「詠春さん。今回の件は俺に任せてもらいます。いいですね?」

 

「・・・・ああ、妻を助けてもらった恩もある。今回は黙認しよう。」

 

「ツナよ。さきほどのがお前の本当の姿か?私と並び立つのに相応しいな。・・・紫の件感謝する。あのまま首謀者を生かしていたらまた同じことが起きていただろう。呪術師の件もお前が気に病む事ではない。全て私が頼んだから起きたことだ。私のせいにすればいい。」

 

「エヴァちゃんは優しいね。俺なら大丈夫だよ。これは俺が背負うべき繰り返されてきた業だから。」

 

幻騎士が消えるとツナの雰囲気も元に戻る。苦虫を噛み締めたような表情をしている詠春に対してツナは有無を言わせないという感じで許可をもらう。詠春も今回の件は身内を助けてもらったということと、ツナの表情を見て黙認することを選択した。

 

ツナの悲しそうな表情を見たエヴァはツナに近づいて励ます様に茶化そうとするが、途中からは感謝の言葉とストレートな励ましの言葉に変わっていた。




沢田綱吉について補足
童貞ではありません。リボーンと家光に「マフィアのボスがいつまでも童貞じゃ立つ瀬がない」と言われて、無理矢理娼館に拉致軟禁される。守護者や他のアルコバレーノが助けに来るまでの三日間にあらゆる経験をしている。
相手が妊娠しないように技術班が手を尽くした。

ボスになったこととリボーンと家光を断罪した際に身内以外に対しての甘さは捨てています。

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