一行は予定通り名所をまわると木乃香の案内で山道を進み実家がある神社へと到着していた。
「ここがうちの家やえー」
「まじですかー。失念していましたが木乃香もお嬢さまでしたね。」
「ここ全部敷地なのかな。」
「そうですね。ここから見える一帯は全て近衛家の敷地になっています。」
「刹那さんそれ本当!!でも木乃香はいいんちょみたいにお嬢様っぽくないわよね。」
「お嬢様っぽいってなんなん明日菜?」
「そりゃあ勿論。〇〇ですわ~。とか笑い方が おーほっほっほ みたいな。」
「明日菜さんバカにしていますの!?」
「明日菜ちゃんもあやかちゃんも人の家の前なんだから落ち着いて。」
「いま思うとおじい様が麻帆良学園の学園長なのですから当たり前なのよね。」
「どうかしましたかマスター?」
「なに・・・あの女は元気にしているか気になっただけだ。」
「こんな所で話してたら迷惑よ。木乃香さん中に案内してくれる?」
「そうやね!じゃあ着いてきてな~」
「「「「「おかえりなさいませお嬢様。」」」」」
「「「「「お客様方もようこそおいでくださいました。」」」」」
「ただいまや~~」
木乃香が門の前に立つと門が自動で開き、門の中では一列に並んだ何十人もの巫女達が笑顔で木乃香達を待っていた。
巫女達に驚いているツナ達であるが、巫女達の中から一人の男が近づいてきた。
「お帰り木乃香。少し身長も伸びているね。元気そうで良かった。・・・ご友人の方々もゆっくりしていってください。」
「お父様ただいまや。伸びてるんかな~。それなら嬉しいわ!」
「はじめまして沢田綱吉といいます。この度はお招きいただきありがとうございます。今晩お世話になります。」
「「お久しぶりです長。」」
「木乃香の父の近衛詠春といいます。気にしないでください。木乃香がいつもお世話になっておりますので、よければ後程、お酒を飲みながらでも色々とお話ができればと。刀子くん刹那くんもお久しぶりです。いつまでも外にいるのもあれですので、どうぞ中にお入りください。お食事の用意はできております。」
「「「「「お邪魔します!」」」」」
男は木乃香の父親の近衛詠春で娘の帰省に待ちきれず門まで迎えに来ていた。木乃香と会話をしツナと軽い挨拶をすると、まずは中へと近くにいた巫女に案内をするように促し、ツナ達はその後に着いていった。
「久しぶりだな詠春。」
「エヴァ・・・お久しぶりです。」
「紫はどうした?あの女なら門をあけた瞬間に可愛い娘に抱き着いてきそうなものだが。」
「妻は・・・5年前に性質の悪い呪いにかかり・・・・眠っております。」
「!!!・・・そうか。呪い・・・か。後で確認したいのだが構わないか?」
「ええ構いませんよ。妻も喜ぶでしょう。」
後方にてエヴァンジェリンが詠春と木乃香の妻である近衛紫について話しており、茶々丸は黙ってその会話を聞いていた。近衛紫はエヴァンジェリンとも面識があり、エヴァンジェリンの正体を知っても恐れずに抱き着いたりと接触をしてきていた人物でもあり、その人当たりの良さと恐れない態度を気に入っていた。
食事を終えた一行は用意された部屋で寛いでいた。もちろんツナは別室である。
「そういえば木乃香、お母さんは?」
「お母様は5年前から植物状態なんよ。」
「え!・・・ごめん木乃香。」
「明日菜さん!!空気を読むとかできませんの!!」
「いいんよ明日菜、いいんちょも。うちは目覚めてくれると信じてるんや。だから泣くのはお母さんの目が覚めてからって決めてるんよ。」
「このちゃん。」
「・・・そういえば葛葉先生は?」
「エヴァンジェリンさんと茶々丸さんも見てないわね。」
「葛葉先生は道場に、エヴァンジェリンさんと茶々丸さんは敷地内にある神社に行くって言って巫女さんに案内を頼んでましたよ。」
「敷地の神社か~。あそこは湖がすごいきれいなんよ!夜もいいんやけどうちは朝方に見るのがお勧めや。」
明日菜は食事の際に母親が姿をみせなかったことが気になり、木乃香に母親はと尋ねてしまう。他の面々も気にはなっていたが訳ありかもと聞かずにいた。
木乃香は一瞬悲しそうな顔をし、母親がいない理由を説明するが、信じてるから大丈夫だと謝る明日菜と怒るあやかに笑顔を向ける。その笑顔を見ながら刹那は涙ぐんでしまう。
そんな空気を変えようとのどかと千鶴が部屋にいないメンバーのことを話題に出す。
その話題に夕映が答えを示して敷地内にある神社と湖に話は変わっていった。
「こちらです。では私はここで失礼します。」
「邪魔するぞ。詠春。」
「エヴァと茶々丸くんですか。」
「マスター私もいていいのでしょうか。」
「茶々丸。紫をスキャンしてみろ。」
「かしこまりました。」
エヴァンジェリンは巫女に案内された部屋に入ると、その中には詠春がベットの横にある椅子に腰かけていた。来訪者を確認した詠春は立ち上がると椅子をエヴァンジェリンに譲る。茶々丸はなぜこの場に自分もいるのかわからずに困ったような雰囲気を出していたが、紫の状態をスキャンするように命じられると全身を確認し始めた。
「スキャン完了いたしました。申し訳ありません。呪いの状態までは不明です。しかし臓器類の衰弱が酷いことが確認できました。」
「そうか。・・・詠春!!これから私がすることは他言無用にすることを約束できるか!?救えるかどうかは確認しないとわからないが・・・」
「エヴァ?・・・わかりました。妻が助かる可能性があるのであれば、私はここで見聞きした情報は漏らさないと約束しましょう。」
「(さて、ツナには悪いが私が紫がこのまま死ぬことはおもしろくないんだ。)少し待っていろ。」
エヴァンジェリンはツナへと自身の影の中へと消えていった。
木乃香の母親についての記述を探しましたがどこにも情報がない為、名前等ねつ造しております。
原作ではすでに亡くなっているとは思いますが、生きているのはご都合主義ということで。