「こちらが今回旅館を提供してくれている岸さん。俺の昔の知り合いで白蘭とユニの部下にあたる人かな。」
「よろしく頼む。俺が一緒に居るのは今回だけだから気にせず楽しんでくれ。」
「「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」」
「こちらこそよろしく頼む。(この男はツナよりも濃く血の匂いがするぞ。しかもあの指輪からは禍々しい気配も。)」
「旅館の件ありがとうございます。(この佇まいに気配・・・只者ではないわね。)」
ツナ達一行は清水寺にて幻騎士と合流した後に自己紹介より先にお店へと向かって行った。お店に着くとツナは幻騎士を紹介し少女達も自己紹介を始める。
その中でエヴァンジェリンと葛葉刀子は岸と名乗った男の異常さに気がついていた。
「沢田、後程連絡をする。私はここで失礼させてもらおう。(あの娘っ子と女は一般人ではないな。)」
「了解です。また夜にでも。」
「え?岸さん行ってしまうん?」
「すまないな。私にも仕事があるんだ。」
「このちゃん。仕事ならしょうがないですよ。」
「このようなお店を紹介していただきありがとうございます。この料亭とは思いませんでしたわ。」
「ガイドによると一度は食べてみたい京料理のお店にランクインしてるです。」
「こちらのお店は隠れた名店で有名なのよ。しかも一見さんお断りだから、そのガイドの紹介はあまり良くないわね。」
「ここってそんな凄いお店なの?」
「舞妓さんきれい。」
「そうだろう。宮崎のどか・・・。おい!神楽坂明日菜!おさわりは禁止だぞ!!」
「マスターがあんなに目を輝かせて。」
「エヴァンジェリンさんは聞いていた印象とは違うわね。」
幻騎士は自己紹介が済むと早々に立ち去ってしまった。幻騎士が連れてきたお店は京都でも格式が高くて有名なお店であり、雪広家や那波家でも利用したことがないお店であった。その話をきいた明日菜は踊っている舞妓に触れようとしている手を止めて驚いて反応する。明日菜の行動にのどかと一緒に目を輝かせて観ていたエヴァンジェリンが明日菜に飛び掛かり舞妓から遠ざける。その光景を茶々丸が涙を拭く動作をして感動し、刀子は前情報と違うことに安心していた。
「いい仕事だぞ。ツナ!岸という男にも満足したと礼を言っておいてくれ。」
「ははは。どういたしまして。旅館も期待していいからね。」
「そうなのですか?」
「そういえば部屋割りを決めていませんでしたね。」
「うちはツナさんと一緒の部屋がええな!」
「このちゃんさすがにそれは!」
「木乃香大胆。でも私も一緒がいい・・・です。」
「のどかちゃんまで!!さすがに部屋は別だからね。三部屋かりているはずなんで、刀子さんも安心してくださいね。」
「そう?でもさすがに一人は寂しいから夜、お酒にでも付き合って頂戴ね。」
「俺でよければ。」
「ぐぬぬ。私も酒なら付き合うぞ!!」
「マスター落ち着いてください。」
「エヴァンジェリンさんは何を言っているですか?私たちはまだ未成年ですから飲めないですよ。」
「ヨーロッパではワインを水代わりに飲むんだ!私がいた地域もそうだったから問題ない!」
「ここは日本ですし、そんな昔の話をしても駄目ですわ!」
「あらあら だからそんなに小さいのかしら。」
「あー千鶴ちゃんもこれ以上混乱させるようなことを言わないで。茶々丸ちゃんエヴァちゃんをそのまま抑えていて、とりあえず旅館に移動しよう。部屋に関してはその後で。」
千鶴の発言に暴れているエヴァンジェリンを茶々丸が後ろから抱きしめている間に一行は旅館へと移動を開始した。
幻騎士はヘルリングを装備しています