ツナま!   作:ばすけばすけ

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46話

葛葉刀子は学園長から頼まれて木乃香達の京都旅行へ同行することになった。刀子は挨拶をするために喫茶店へと足を運ぶ。

 

「いらっしゃいませ。」

 

「いつも生徒がお世話になってます。女子中等部で教員をしている葛葉刀子です。」

 

時間が閉店ぎりぎりということもあり他にお客さんはおらずツナ一人がカウンターで紅茶を飲んでいた。刀子は狙い通りだわと内心でほくそ笑む。何回か喫茶店を利用したことはあるが、きちんと話したことはなかったため自己紹介をした。

 

「あのね。来週から木乃香さん達と京都旅行に行くのよね?学園長に頼まれて私も一緒に行くことになったの。」

 

「そうなんですか!?ご迷惑をおかけしてしまったみたいですいません。」

 

「気にしないでいいのよ。私も京都出身で帰省する予定だったし、来年はハワイだけれども。次の修学旅行の下見も兼ねているから。」

 

「それなら・・・良かったです。正直大人が増えてくれるのは助かります。刀子さんってお呼びしていいですか?来週はよろしくお願いします。」

 

「よろしくね。私もツナヨシくんって呼ばせてもらうわね。」

 

「じゃあお近づきのしるしにお酒でも奢りますよ。」

 

「そう?なら頂こうかしら。」

 

刀子とツナはお酒を飲みながらその後も宿泊するホテルの事や当日の集合時間から移動方法その他諸々の確認を行った。刀子はここで酔いつぶれたらどうなるのかしらという期待と軽い女に見られるのは嫌というプライドの板挟みになっていたが、軽く飲んで何事もなく帰宅した。

 

 

 

 

〜 一週間後 〜

 

「ツナさんおはようございます!」

 

「ツナヨシくんこっちの準備は大丈夫よ。」

 

「みんなおはよう。刀子さんよろしくお願いします。全員揃ってるね。じゃあ行こうか。」

 

ツナの喫茶店には京都旅行に向かうために朝早くから私服姿の木乃香、明日菜、夕映、のどか、刹那、あやか、千鶴、エヴァンジェリン、茶々丸、刀子が集まっていた。

 

朝早いこともあり麻帆良の街も静かで駅には人がいなかった。そのまま電車で東京駅に向かい新幹線で京都へと行く予定になっている。

 

「ツナ!麻帆良から出られたぞ!やったぞ!」

 

「エヴァちゃん落ち着いて。木乃香ちゃん達が不思議がってるから。」

 

「ツナさんとエヴァちゃん仲ええなー。」

 

「なにやら二人だけの秘密もあるようですね。」

 

「ツナさん!東京駅に着いたら駅弁買ってもいいですか?」

 

「良く言った神楽坂明日菜!私が美味しい駅弁を教えてやる!」

 

「エヴァンジェリンさんは東京駅に詳しいのですか?」

 

「マスターは三日ほど前から美味しい駅弁の情報をネットからリサーチしていましたので。」

 

「あらあら普段は大人びているけど、こうしていると歳相応に見えるのよね。」

 

「刹那さんは今日も竹刀を持ってきているんですか?」

 

「え!これはですね!あれです!京都に剣の師範がいますので日頃の成果をですね!」

 

「せっちゃんどうしてそんなに慌ててるん?」

 

「刹那少しは落ち着きなさい。のどかさん、私のもそうだけど刹那のも師範から借りているの。私と刹那は同じ道場に通っていたのよ。師範にメンテをしてもらわないといけなくて持ってきているのよ。」

 

電車に乗って東京駅に向かっている最中、麻帆良から出るとエヴァがツナの肩を叩きながら喜びを表現し出す。その光景をキョトンとした感じで他のメンバーは見ており、ツナは苦笑いを浮かべながらエヴァに耳打ちして注意する。しかし、その耳打ちする行為も二人の距離の近さを強調してしまい木乃香や夕映はなにがあるんだろうかと疑ってしまう。明日菜が東京駅で駅弁を買いたいと言うと、エヴァが目を光らせて私に任せておけと高笑いを始め、そんなエヴァの様子に千鶴は生暖かい視線を向けて茶々丸も嬉しそうにあやかの疑問に答えていた。

別の席では刹那が旅行にまで竹刀袋を持ってきていることに疑問を感じたのどかが刹那に質問をすると、刹那は手をわちゃわちゃさせながら慌てた様子で言い訳をしていた。その様子に呆れながら刀子はのどかに説明をする。

 

そのまま東京駅に到着し、エヴァおすすめの駅弁を購入すると新幹線に乗り込んだ。

席は三人席でクジ引きの結果、エヴァ・ツナ・木乃香。その前に夕映・あやか・明日菜。通路を挟み、のどか・千鶴・茶々丸、刹那、刀子という配置になった。

 

「ツナこの駅弁も美味しいぞ!!」

 

「奢ってもらってよかったん?」

 

「そうですわ!まさか新幹線のチケットまで用意してくださっているなんて。」

 

「ツナさんの稼ぎはどれくらいになるのですか?お店もちょくちょくお休みしていますし。」

 

「こうなったらエヴァちゃんの言う通りお礼は身体で・・・」

 

「気にしないで、女の子に出させるわけにはいかないし。明日菜ちゃん、エヴァちゃんのは冗談だから真に受けないで。稼ぎは・・・内緒かな。そしてエヴァちゃんは落ち着いて食べようか。」

 

席に着くといそいそとエヴァが駅弁を用意し食べ始める。その駅弁や新幹線の費用は全てツナがカードで支払ってしまった。明日菜は先日エヴァンジェリンにお礼なら身体ですればいいだろと言われたことを思い出してブツブツと呟き始めた。ツナは気にしないでといい自身も駅弁を食べ始める。その会話の間にもエヴァはすでに3つ目の駅弁に突入していた。

 

「あら!確かにこの駅弁は美味しいわね。」

 

「のどかさんどうかしたのですか?」

 

「すいません・・・このメンバーは初めてで緊張を・・・」

 

「刹那は京都の街に詳しかったかしら?」

 

「私は山育ちですので市街地はちょっと。」

 

隣の席でも駅弁を食べ始めており、夕映と木乃香と離れてしまったのどかは恐る恐るではあるが周りと会話をしていた。




原作とは違いエヴァ以外は名前で呼び合う仲にまでなっております。
のどかに関しては内気な性格から木乃香・夕映以外には緊張してしまう感じです。

刀子先生、原作では生徒に対して名字呼びだった気もしますが、名前呼びにしております。

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