ツナま!   作:ばすけばすけ

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40話

翌日の日曜日、ツナは夕方までは勉強会を行い店に帰宅した。勉強会では各自の苦手分野を中心にした問題集を配っていた。お店にはツナの帰りを待っていたのか龍宮真名が来ていた。

 

「お待たせ。なにか飲む?」

 

「いまは遠慮しておくよ。頼んでいたものの準備はできているかい?」

 

「出来てるけど・・・こんなにどうするの?」

 

「ふっ着いてからのお楽しみさ。」

 

ツナは段ボール二箱分のお菓子を抱えて真名に何に使うのか確認するが、真名は不敵に笑いながら段ボールを一つ持つとツナを目的地に先導し始める。話す気がない真名の様子にツナは溜息を吐いて後を追った。

 

真名の後を歩いて数十分、二人はある建物の前で立ち止まっていた。

 

「児童養護施設?」

 

「ああ、沢田さんが持っているのはここの子達への差し入れだよ。一カ月に二回くらいしか来れないけど差し入れを持ってきているんだ。」

 

ツナが入り口に書いてある看板を読むと、真名も今日の目的を説明した。真名は説明をしながら建物の中を進んでいく。受付にいた男性も真名のことは素通りで通していた。一つの扉を開けて中に入るとたくさんの子供達が自由に遊んでいた。

 

「あ!真名ねーちゃんだ!!」

 

「ほんとだー!!」

 

真名の姿を確認した子供達が真名に駆け寄ってきて一緒に遊ぼうとじゃれついていく。普段の龍宮真名からは想像できないような柔らかい表情で子供達の相手をしていた。

 

「遊ぶのもいいけど、今日はお土産もあるんだ。沢田さんお願いできるかい?」

 

「了解。数はあるから慌てないで大丈夫だよ。」

 

ツナは段ボールを椅子の上に置いて中身をテーブルの上に広げて行く。

 

「「「「わーー!!」」」」

 

「これ全部食べていいの!?」

 

「みんな慌てないで、ゆっくり選んで大丈夫だから。」

 

「真名ねーちゃん、お姉さんもありがとう!!」

 

「プッッククク。」

 

「真名ねーちゃんどうした?」

 

市販の駄菓子類の他に、ツナの手作りのマドレーヌやマフィン、マカロンなどがテーブルに並べられていく。そのお菓子に目を輝かせていく子供達。

我先に群がることはせずに年少組から選ばせて怪我をしないように見守っている年長組の姿を微笑ましい感じでツナは見ていたが、口々に言われるお礼のお姉さんという言葉に対して真名が笑いを堪えるように口元を押さえている姿には眉を寄せて抗議の視線を向ける。

 

「すまない沢田さん。みんな・・・沢田さんは男なんだ。」

 

「「「「えーーー!!!?」」」」

 

「「「うっそだーー」」」

 

「「「もしかして真名ねーちゃんの彼氏?」」」

 

「似たようなものだな。身体のあちこちを触られたこともあるし。」

 

「「「キャーーー」」」

 

「ちょっ!!その言い方は変な誤解を招くし、子供の前で言うことじゃないからやめて!!

 

年長組の耳年増な女の子達がツナと真名の関係を勘違いし、真名の発言を聞いて顔を赤くした後に円になりヒソヒソ話を始めていた。

 

その後は子供達や施設のスタッフから質問というなの尋問があり、ツナは身の潔白を証明することができた。


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