その日の夜
「あ!おじいちゃん。うちアルバイトをすることにしたんや。おとうさん達にいうといてや。」
木乃香は近右衞門と電話をしていた。
「まだ早いんじゃないかの?せめて高校生になってからでもいいのではないか?」
突然のアルバイト宣言に驚く近右衞門。
「でも決めたんや!おじいちゃんお願いや。」
珍しく我儘を言う木乃香に対し、近右衞門は学業優先で成績を落とさないことを条件に承諾した。
「喫茶トゥリニセッテ、早急に調べないといかんの」
電話をし今日中に調べるように指示を出す。
そしてその日の夜中、
「なるほどの。沢田綱吉くんか、一般人のようだし、経歴に怪しい部分もない。とりあえずは心配無用かのう」
安心した顔になる近右衞門。
翌日 日曜日
木乃香はおじいちゃんから許可が出たことをツナに伝えるため喫茶店に行く準備をしていた。
「あすな〜、あすなも一緒に行かへん?」
同室の神楽坂明日菜を誘う。
「そうね。今日は用事もないしいいわよ。」
木乃香は明日菜も一緒だと嬉しそうにしているとドアがノックされた。
「あ!夕映とのどかや。」
ドアを開けて二人を招き入れる。
ツナはチェッカーフェイスからの書類に目をとおしていた。近衛木乃香は学園長の孫で関西呪術協会の長の娘、神楽坂明日菜の同室で裏側に近い人間。綾瀬夕映、宮崎のどかも運命に翻弄される子と書類にあるのを確認し、辛そうな顔をする。
「お邪魔します!」
「今日はお休みなん?」
木乃香は店内を見渡し不思議そうにしている。
「昨日来たばかりだからね。メニューを作ったり日用品の買い物もしないと行けないから」
と笑顔で答える。
「そうなんですね。まあいきなり日曜日に開店してもお客さんが来るかわかりませんし。ちゃんと考えているのですね。」
と夕映が納得する。
「君は初めましてだよね?沢田綱吉です。ツナって呼んで。」
明日菜は綺麗な笑顔にドギマギしながら
「神楽坂明日菜です。木乃香と同室で、今日は暇だったので一緒に来ちゃいました。」
明日菜はなんか暖かい人だなと顔を赤くしてしまう。
「ツナさん!おじいちゃんから許可をもろうたんよ。だからよろしくお願いします。」
木乃香がツナに頭を下げる。
「わかった。こちらこそよろしくね木乃香ちゃん。」
と無意識に頭を撫でてしまう。
「ひゃあ!」
木乃香は驚き悲鳴をあげてしまった。
「あ!ごめん。嫌だったよね。」
と謝るツナに対し
「ちょっとびっくりしただけやから大丈夫や」
と顔を赤くし手を振る木乃香。夕映、のどか、明日菜は羨ましいような複雑な気持ちで見ていた。