「ほわ〜 ツナさん似合うな〜」
「雪広家で執事として働きません?」
「那波家でもいいんですよ?」
「バカも休み休み言え。この男が働くのは家だ。」
「ツナお兄さん格好良いですー。」
「和美!惚けてないで写真!宣伝用に撮れば集客率上がるわよ!」
「え!?あっ!!」
ツナが更衣室から燕尾服を着て出てくると2-Aの生徒達が色めき立つ。
何故ツナが燕尾服を着ることになったのかというと。
衣装を用意したあやかが更衣室から出て来た時にツナはあやかに
「なんで喫茶店に燕尾服があるの?」
と聞いてしまい、それに呼応して美砂・円・桜子が
「絶対に似合うから着てみてくださいよ〜」
と身体を密着させて絡み始め
「私も・・・その・・ツナさんが着ている姿を見てみたくて用意しましたの。」
あやかが顔を赤くしながらも燕尾服を用意した理由を語ると、他のメンバーからも”ぜひ!”とお願いされてしまい、ツナは渋々燕尾服を着ることになった。
「執事の経験はないからできないよ。服装はコック服かウェイターがあると嬉しいな。」
「それは残念です。それでしたらこちらに。」
ツナは首を横に振り他の服を着たいとあやかに尋ねる。あやかは残念に思いながらも、一目見れただけで満足したのか服を用意し始める。
「待て雪広あやか。」
「なんですのエヴァンジェリンさん?」
「どうしたのエヴァちゃん?それはなにかな?」
そんなあやかに待ったをかけたのはエヴァンジェリンであり、彼女はメイド服を手に持ちながら妖しい笑みを浮かべていた。ツナは嫌な予感を感じながら後退りする。
「それを脱ぐというのであれば、次はこれを着てもらう。」
「いやいやいや、俺は男だからね!!誰が女装なんて!」
エヴァンジェリンはメイド服を掲げながら後退りするツナにジリジリと近づく。その光景を見た他の面々はツナのメイド服姿を想像したのか”ゴクリ”と唾を呑む音が聞こえてきた。
「そこの忍者とカンフー娘、桜咲刹那に龍宮真名。そいつを取り押さえるのを手伝え。」
「エヴァちゃん!?」
「うむ。沢田殿の身のこなしには興味がありました故、エヴァンジェリン殿助太刀いたす!」
「アイヤー 私も行くアルヨー!」
「すいません。私も見てみたいので。」
「おもしろそうだから参加させてもらうとするよ。」
エヴァンジェリンは2-A屈指の武闘派四人に命令しツナを捕まえようとする。
「ハイッ!」
「ニン♪」
古菲が八卦掌の構えを取りツナ目掛けて掴み掛かりに懐に飛び込み、長瀬楓が後ろから羽交締めにしようと駆け出すが
「アイヤ〜」
「ゴザ!」
ツナは逆に前に踏み込み古菲の腕を掴み、古菲の勢いを利用して後ろにいる長瀬楓に投げ飛ばす。
「後ろがガラ空きだぞ」パンッパンッ
投げ飛ばしたことにより体重が傾いている隙をついて真名がエアガンでツナを狙い撃つ。
「「!!」」
ツナは後ろを振り向きもせずに体を逸らして弾を避ける。驚愕する真名と刹那。
「エアガンは人に向けて撃っちゃダメだよ。」
と一瞬の隙をついて真名の持っているエアガンに手をかけて瞬きをする間もなく分解した。
「なに!?だが、それだけでは・・・ッ!!」
刹那は咄嗟のことに跳躍しツナと距離をとる。真名は隠しているエアガンを取ろうとするが、どこを探しても見当たらない。
「危ない物は没取です。」
ツナは両手から溢れんばかりのエアガンを持ちながら真名に微笑みかける。真名は両手を挙げて
「降参だ。」
とイスに座る。
ツナはため息をつくが、後ろから気配を感じて横に跳ぶ。
「流石だな。」
「貴方は一体?」
後ろには不敵に笑うエヴァンジェリンがおり、正面には刹那が迫っていた。
エヴァンジェリンと刹那はジリジリと間合いを詰めて行くが、不意にエヴァンジェリンの身体が浮き上がる。
「これ以上はダメ。」
大河内アキラが涙目になりながらエヴァンジェリンを持ち上げて首をフルフルと横に振っていた。
「あんた達、これ以上の喧嘩はご法度だよ。」
見兼ねた四葉五月が前に出てきて武闘派とエヴァンジェリンに喝を入れる。
「お前達二人に言われたらやめるしかないか。」
「すいません。」
エヴァンジェリンもアキラばかりではなく五月にまでやめるように言われては身を引くしかなく卿が冷めたと言い離れていった。武闘派の四人も調子に乗りすぎたと反省し謝罪した。
「ところで沢田さん。いつの間にエアガンを盗っていったんだい?」
ツナは ”すごい!” と言われながら傍観していたメンバーに囲まれていたが、そんなツナに真名が質問をした。
「武器を分解した際に一緒に・・・かな?」
「なるほど・・・ちなみにスカートの下や脇の下にも隠していたのだが・・・」
真名はスカートを軽く持ち上げて太腿に付いているホルスターを見せ、エアガンを元に戻す。また上着もめくり脇腹にあるホルスターにもエアガンを戻した。
「私は沢田さんに身体を弄ばれたと考えていいのかな?」
「ンナ!!人聞きの悪いことを言わないで!!」
「ツナさん・・・」
木乃香達が真名のホルスターの位置を見ながらツナをジト目で見つめる。
「だが、スカートの中に手を入れたのは事実なんだろ?」
「すいませんでした!!」
真名はもう一度スカートを捲りホルスターを見せる。ツナも、あの時には気づかなかったがホルスターの位置がきわどい位置にあり、女性に対して配慮が足りなかったと気がつき素直に謝罪をする。
「学園祭が終わった後の次の日曜日に私に付き合ってはくれないか?そしたらこの件は水に流そう。」
真名からの提案をツナは受け入れて連絡先を交換する。真名の件はひと段落ついたが、ニコニコと笑う木乃香と千鶴、真顔のあやかと明日菜が後ろに控えていた。
その後は、四人から説教をうけたり美砂達に私達のならいくらでも触っていいと迫られたりしていた。
武闘派四人は本気でやっていません。