それからの一週間は早く進んで行く。
月〜金曜は何時もの日常で、土曜日にちょっとした事件が起きた。
事件は土曜日の夕方に高音と愛衣がお店に来店した時から始まった。
「紅茶とケーキをお願いします。」
「ツナお兄様こんにちは♪私はこちらのケーキがいいです。」
「「「「ツナお兄様!?」」」」
愛衣のお兄様呼びに反応する木乃香・明日菜・のどか・夕映。
「ツナさん妹がいたんですか?」
「え?一人っ子だけど?」
「でもあの女の子がツナお兄様と呼んでいたです。」
「あー愛衣ちゃんね。俺がお兄ちゃんみたいなんだって。一緒にいる女の子のこともお姉様って呼んでるから、家族と離れて寂しいんじゃない?」
ツナがテーブルの横を通り過ぎる時に確認するのどかと夕映。ツナが理由を説明し、紅茶の準備をしにカウンターに入る。
「そうか〜その気持ちはうちもわかるわ〜。」
「そんなもんなのかなー。それなら私もツナお兄ちゃんって呼ぼうかな」
「明日菜はやめといた方がええな〜」
「そうですね。明日菜さんのキャラではないかと。」
アルバイト中の木乃香と明日菜も加わり四人でひそひそと話す。明日菜が愛衣の真似をしようとするが、木乃香と夕映に止められて、のどかも同意するかのように頷いていた。
高音と愛衣がケーキを食べ終わりゆったりしていると、愛衣が高音と自分の空になったカップとお皿をツナの所に運び出した。
「ツナお兄様。美味しかったです!また来ますね。」
とお礼を言う。すぐ戻るかと思いきや指をもじもじさせながらツナを見つめていた。
「昨日みたいにお願いできませんか?」
愛衣は言いながら目を閉じて顔を上に向けた。顔が赤くなっており少し背伸びもしている。
「ちょ!あれって!」
「はわわわわ」
明日菜とのどかがいち早く気づき声を出す。木乃香は会計中で夕映は背中越しで気づいていない。
ツナは愛衣の言っている意味に気がつき、愛衣の頭を撫で始める。
「やっぱりツナお兄様暖かいです。なんか落ち着きます。」
と愛衣は撫でられながら抱きつく。
「甘え上手やな〜」
「あんな堂々と・・真似できないです。」
「すごいね」
「ツナさん私も撫でてください!」
すかさず明日菜もツナに後ろから抱きつきながら撫でてと迫る。
「え!明日菜ちゃん?どうしたの?」
「愛衣!そろそろ行きますよ。」
「はい。お姉様!ツナお兄様失礼します。」
愛衣は高音に呼ばれたからなのか、ツナ成分を補充したからかはわからないが嬉しそうに帰っていった。
ツナは明日菜の頭を撫でながら(明日菜ちゃん達もまだ中学生だから甘えたいのかな)と考えていた。明日菜の後ろにはニコニコ笑いながら木乃香が順番待ちをしている。
来店しその光景を見たお客さんがその列に並び始めてしまう。私たちにもやるよね?という無言のプレッシャーを感じ列が途切れるまで撫で続けた。
そこには葛葉刀子とシャークティの姿があったという噂もあるが真相は不明である。