「にゅ〜〜」
「ブルーベルちゃん!走ると危ないよ!」
ツナはブルーベルと真美と一緒に世界樹広場に来ていた。あの後は洋服等を購入し、すでに夕方になっていた。
「人も増えて来たし、手を繋ごうか?」
「にゅ!繋ぐ!」
「なら私も!」
ツナはブルーベルが迷子にならないように手を差し出し繋ぐ、それを見た真美も手を繋ぐ。真美の繋ぎ方は恋人繋ぎである。真美は若干顔を赤らめているがツナは平然としていた。ツナからしたら真美が小学生の時から知っていて、何度も恋人繋ぎをしていたために慣れてしまったのだ。
「ブルーベル、真美ちゃん付けられてるね。」
「にゅ〜。でも気配も消せない素人。うざいから頭蓋骨ひん剥いていい?」
「そうね。二人組みたいだけど連携もなってないわ。確かにわかりやすすぎてうざいわね。」
「ちょ!ブルーベルも真美ちゃんも落ち着いて!
ツナ達は世界樹広場に来てから二人組に尾行されていることに気がついていた。ただわかりやすい尾行に対して、せっかくの楽しい時間を台無しにされたとブルーベルと真美は怒っていた。
「お店まで来られたら面倒だから、路地に入ってまくよ。もしかしたら仕掛けてくるかもだから気をつけてね。」
ツナはお店の場所が特定されて家に帰ってからの襲撃を嫌い、路地に入ってまくか撃退しようと考える。ツナ達が路地に入り周りに人がいなくなると、
「そこの貴方!その手を離しなさい!」
「「「え?」」」
振り返ると金髪であやかちゃんに似た女の子と、箒を持っている小動物っぽい女の子がいた。その二人の周りには黒いロープで仮面をした怪しい集団もいる。
「いたいけな幼女を無理矢理連れ回すとは言語道断です!しかも人気のない路地裏に連れ込むとは・・・破廉恥な!この高音・D・グッドマンが相手です!行きますわよ愛衣」
「はい!お姉様」
「え!ツナお兄さんそうなの?言ってもらえたらいくらでも・・・」
「真美ちゃん何言ってるの!?ブルーベル!真美ちゃんをよろしく!」
「にゅ?破廉恥ってなんだ?」
ツナはブルーベルに真美を託して、高音達と向き合う。向こうはすでに戦闘態勢に入っており、対話ができそうにない状況だった。
ツナは一瞬にして黒ロープ集団の中に飛び込み、一体を掌底で倒し、その勢いを利用したまま回し蹴りを放ち一気に三体を吹き飛ばした。
「残り三つ!」
いうと同時に一体の首に手刀を打ち、倒れる体に飛び乗り横にいたもう一体の側頭部に蹴りを叩きこんだ。側頭部を蹴られた一体は残っていたもう一体を巻きこみながら地面を転がる。
七体いた使い魔を一瞬で倒された高音は呆然としてしまい、ツナが目の前に来ていることに気づかなかった。気づいた時には目の前まで来たツナが腕を振り上げていた。
「お姉様!!」
佐倉愛衣はたまらず悲鳴をあげ魔法の詠唱を始める。しかし愛衣が見たものは、高音を殴るのではなく、着ていた上着を高音に掛けてあげているツナの姿だった。
「え?」
「どういうつもりですか?」
愛衣と高音はツナの行動を疑問に思いツナを見るが、件のツナは目を手で隠して横を向いてしまっている。
「にゅ〜お姉さん裸だよ。」
「いつ脱いだのかわからなかった。」
「〜〜〜〜」
「お姉様!私のロープを!」
高音は自分の姿を理解し、声にならない悲鳴をあげて座り込んでしまう。使い魔を吹き飛ばした際に高音にも衝撃波が当たってしまい、そのせいで使い魔で作った服が消えてしまったようだ。
そんな高音に愛衣はロープを渡すが、ツナの上着と愛衣のロープでは全身を隠せずにいた。
「ちょっと待ってて!」
ツナはグローブに炎を灯し、空を飛び服屋に降り立つ。ちなみに骸から霧の炎が埋め込まれたイヤリングをもらっており、飛んでいる最中は幻術で隠れていた。
「お待たせ!これを着てもらえるかな?」
「貴方は敵である私にどうして優しくするのですか?」
「いやいや!敵ではないからね!勘違いだし困っている女の子を放っては置けないよ。」
と服屋で買ってきた一式を高音に手渡す。高音はとりあえずは納得したのかお礼を言い洋服を受け取り着替える。
「お姉様似合ってます。」
ツナが買ってきた服は、薄っすらと青みがあるワンピースに上着、ショートパンツだった。
「にゅーツナーお腹空いたー。」
着替え終えたところでブルーベルがお腹を鳴らしてツナに抱きついてきた。
「そうだね。そろそろ帰ろうか?申し訳ないんだけど、二人も一緒に来てくれないかな?」
「まずは謝罪を・・申し訳ありませんでした。その様子からすると勘違いみたいですし。先ほどの力の件も気になりますのでご一緒させていただきます。私は、高音・D・グッドマン、高音とお呼びください。」
「あ、あの、ごめんなさい。あとありがとうございました。私は佐倉愛衣って言います。」
その後は、ツナ達三人も自己紹介をしながらお店へと向かう。
高音と愛衣をどうしても絡ませたくてこんな展開になりました。