ツナはその視線に気づいていたが、悪意はなく観察されているだけだと理解していたため、気づかないふりをしていた。
「茶々丸。あいつの情報はあるか?」
「沢田綱吉。喫茶トゥリニセッテのマスターで木乃香さん達のアルバイト先の責任者になります。魔法に関わる情報は出てきません。」
と絡繰茶々丸が答える。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは顎に手を当てながら
「そうか(魔法使いではないのは別に構わんが、あいつからは硝煙と血の匂いがするぞ。私だから気づけたがジジイ達では無理だな。しかも私の視線に気づいていて無視をしているな。ククク、久々に面白い。社会的な裏側の人間の可能性があるかもな。)」
と不敵な笑みを浮かべながらツナを凝視している。
ツナはだんだん強くなる視線とは別に超直感が警報を鳴らし始めていることにも気がついた。ふと周りを見ると鳴滝姉妹の姿が目にとまる。その時、妹の史伽が転んで棚にぶつかってしまい、置いてあった食器が史伽に降りかかってきた。
「危ない!」
ツナは咄嗟に史伽を抱えるように倒れこむ。
「史伽!」
「沢田殿!」
と近くにいた風香と、ツナと同様に助けようとしていた長瀬楓が叫ぶ。
「ツナさん!史伽さん!大丈夫ですの?」
とあやかも近づいてくる。
「大丈夫!君は怪我はない?」
とツナは起き上がり史伽の安否を確認する。
「あわわ、私は大丈夫です。ツナお兄さんありがとうございます。」
「史伽良かったー。ツナお兄さんありがとう。あ!血が出てる!」
風香は史伽が無事なのを確認し安堵したが、ツナにお礼を言い顔を見ると頬から血を流しているのに気がつく。
「ツナさん!大丈夫?」
「救急箱はどちらですの?」
「とりあえず、ハンカチを使ってください。」
と明日菜・あやか・千鶴がツナを心配し近づく。
「こんなもの舐めとけば治る。」
ツナの後ろから声が聞こえたかと思ったらエヴァンジェリンがツナの頭を持ち自身の正面に向けて頬を舐め始めた。
ピチャピチャという音が響き、エヴァンジェリンは満足したのか離れて行く。ツナもびっくりしたのか放心し、明日菜は混乱し
「じゃあ私も」
とやろうとするが
「おやめなさい。」
とあやかに制止されており、千鶴はハンカチを差し出したまま固まっていた。ツナが正気に戻り立ち上がると風香や史伽に絡まれ始める。
エヴァンジェリンは恍惚な表情で席に着いていた。あいつの血はなかなか美味だったなと考えていると。
ドクンッ
「ッ!(なんだ?私の中で何かが鼓動している?・・・これは!呪いが反応しているのか!あいつの血が原因か?もう少し血が欲しいな。ならば次の満月の日に仕掛けて見るか。)」
と茶々丸を連れて帰宅する。
「ツナお兄さん!僕達にも勉強を教えてほしい。」
「ほしいです。」
と風香と史伽がツナの膝の上に座りながら、今回のテスト結果を伝えた。先ほどの件からみんなの注目はツナに向いており、他にも頷いているメンバーがいる。
「勉強を教えるのは構わないんだけど、一番大事なのは君達のやる気なんだよ?」
とツナは風香と史伽の頭を撫でながら話す。
「あの予想問題集はあやかちゃん・千鶴ちゃん・木乃香ちゃん・のどかちゃんからノートを借りたからできたものなんだ。日頃から授業を聞いていたから作れたんだよ?」
と諭していく。
やる気がある人には教えるということで収集がつき、パーティはお開きになる。