―グレン視点
ルミアとジン遅ぇーな。
俺はアリシア女王を送った後、クラスの所へ戻り、午後の競技の応援をしている。
本当に優勝してもらわないと、俺は餓死する。ほんとに。
でも、午前中は俺が思っている以上にみんな良い成績を残してくれた。これなら、行けるかもしれない。
「グレン=レーダスか?」
アロハシャツと黒いサングラスを付けた男が俺に話しかけてきた。
「何者だ。」
俺はできるだけ低い声で、問う。そして、一歩後退し、戦闘体制に入る。
「俺は敵ではない。ジン=エレスからの伝言を伝えに来ただけだ。」
ジンから?嫌な予感がする・・・。
俺はサングラスの男から、ルミアが犯罪者として狙われていること、親衛隊が不審な行動をしていることを聞いた。
「アリシア陛下はどうなっているんだ?」
「俺達の仲間が陛下の近くにいるんだが、知り合い曰く、陛下は今動けないらしい。」
なるほど。今、かなりやばい状況なのはなんとなくわかった。
「俺はどうすればいいんだ?」
「お前は、陛下の元へたどり着けばいい。だから、必ずお前のクラスを優勝させろ。」
優勝したクラスは、王女から優勝杯を貰うことができる。その時に陛下と接触し、どうにかしろってことだな。
「ルミアとジンは?」
「ジンはルミアを連れて逃走中だ。」
なるほど。この中でまとも動けるのは俺だけか。現在、俺が一番警戒されていないわけだしな。
「わかった。俺が何とかする。」
「・・・失敗するなよ。グレン=レーダス。」
すると、男は消えていった。
「ジンくん。上手くできるのかな。」
「大丈夫だ。心配すんな。」
俺達は現在、逃走してるわけではない。今、逃走しているのは、俺達に変装したアルベルトさんとリィエルさんが逃走してくれている。
今、ルミアは俺に変装している。俺は特務分室時代に来ていた黒いローブ着ているだけだ。
俺は変装術を使うことができない。右手で消してしまうのだ。左手から魔法を出すことっしかできない。故に、俺は回復魔法などが効かないのだ。だから、黒いローブで正体を隠すしかない。俺たちはそのまま、会場に向かった。
会場に着いたら、最後の競技である”決闘戦”が始まっていた。
「おい。ジン!ルミアはどうしたんだ!?まさか捕まったんじゃ・・・!?」
「あ、いえ。あ、いや、べ、別に捕まってませ、ねぇよー。」
演技下手か!!確かに俺の喋り方はルミアと全然違うけど、こんなにひどいのかよ!?
「・・・ん?そのローブは・・・・ジン?いや、ジンが二人?じゃあ、ローブの男は誰なんだ・・?」
おい。お前なら一瞬でわかるとお思っていたんだが、こいつ察し悪いな。
「ぜんせ・・・じゃなくて、グレン。優勝はできるんです・・・のか?」
「あ、あぁ。”決闘戦”で勝てば優勝だ。」
よし、これならいける。すると、眼鏡野郎が終わり、白猫の戦闘が始まった。
さすがは白猫。風を上手く使って、相手を倒すことができた。
―よし、ここからは俺の仕事だ。
優勝杯は、俺の変装をしたルミアが受け取ることになった。すると、親衛隊の奴らはこんらんした。そりゃそうだ。俺は現在、ルミアと逃走しているのだ。でも、ジン=エレスはここにいる。二人、存在しているのだ。
親衛隊の奴らが確認のために何人かが式から抜けた。これが俺の狙いだ。まずは、敵の戦力を減らすことが大切だ。こっちは人数が少ないんだからな。
そして、俺は前に出て、ルミアに右手で触れ、俺の姿を”殺す”。
「・・・ルミア=ティンジェル!!!」
すると、陛下の隣にいた老いた男が叫んだ。
そして、俺はフードを外す。
「・・・そういいうことか。」
セリカが結界を貼った。これで俺の作戦は成功した。あとは、王女に真相を聞いて終了だ。
「・・・ルミア。行けよ。」
「・・・うん。」
ルミアは、決意したように一歩近づく。
「陛下。私は貴方の子供である、エルミアナです。」
「・・・・。」
「陛下は私の事をどう思っているんですか?」
「私は・・・。」
陛下は一泊置いてから、つぶやいた。
「・・・私の子供を名乗るあなたが気持ち悪い。」
「「・・・・!?」」
何言ってんだ!こんなところで嘘ついてんじゃねぇ!!
ルミアは固まっている。
「・・・エルミアナは、私にとって邪魔な存在です。二度とその名前を口に出さないで下さい。」
クソッ!この状況は考えてなかった。でも、陛下はルミアの幸せを一番考えていた。
あの時の言葉を嘘だとは思えない。
「・・・陛下。ルミア=ティンジェルを処刑します。」
「・・・えぇ。」
「させるかよッ!!!!」
俺は男の前に立ちふさがる。
「ルミア!早く逃げろ!殺されるぞ!!」
俺は男の剣をかわす。俺は剣士との相性が最悪だ。このままじゃ、やられる。どうにかしてルミアを逃がさないと。
「逃げるだけじゃ、俺は倒せないぞッ!!」
「ッ!!!!!」
男の剣が俺の肩に刺さった。俺は高速で剣を抜いたが、どんどん血が広がっていく。このままじゃ、殺される。
「陛下。そのペンダント、きれいですね。」
グレンが陛下に問う。そんなくだらないこと聞いてる場合じゃねぇんだよ!馬鹿野郎!
「えぇ、とても気に入っています。」
「そうですか。」
そういうと、グレンは陛下に向かって走る。
「させるかッ!!!」
俺と戦闘していた男は、グレンに向かって攻撃する。
このままじゃ、グレンに直撃する。俺は全力で男に向かって体当たりをしようとしたが、間に合いそうにない。
すると、グレンと男の間に一筋の電撃が走る。男の剣が折れた。電撃の元をたどると、帝国関係者のふりをした、エリカが立っていた。
そして、グレンがポケットから、カードを出した。
―これで、一件落着か。
俺は、安心してしまったせいで肩の痛みに襲われ、気を失ってしまった。
主人公、名言来ませんでしたね。しかも、今回主人公能力使ってないし。とある要素が仕事しません。ごめんなさい。