人類最速の俺が逝く緋弾のアリア   作:じょーく泣虫

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UA25,000って何ですか...(驚愕に手が震えています)


カジノを襲撃するやべー奴ら

キンジたちとの訓練から3日ほど経った日の昼頃。

 

昼食を食い終えてテレビを見ているとインターホンの鳴る音が聞こえ、ジャンヌが見に行った。

 

「む?隼人、遠山だ」

 

「あー、上げてくれ」

 

ジャンヌは覗き穴で誰が鳴らしたか確認すると、来訪した人物を知らせてくれる。

 

「遠山、何の用だ」

 

「カジノ警備にあたって、『来場者の気分を害さないように一般客・店員に変装の上で警備して頂きますようお願いします』って言われてな。その小道具を持ってきた」

 

「なるほどね」

 

「ふむ...私は店員...ディーラーか。隼人はなんだ?」

 

「えーと...なんだこりゃ、青年IT社長のボディーガード...?」

 

なんで警備しに行くのに誰かを警護しなきゃならんのだ。

 

「あー、ボンボンの設定にしたいのか...」

 

キンジが忌々し気に呟く。

 

あ、もしかして...笑いが浮かんでくる。

 

「青年IT社長ってキンジのことかよ!似合わねー!ハハハハハ!!!」

 

「うるせー!俺だってこんなやる気の無さそうな社長は居ないだろとか思ってたよ!」

 

「隼人、着替えよう。サイズが違ったら大変だからな」

 

「クヒヒ、ああ、ヒヒッ...そうしよう」

 

「隼人、お前今度組手するとき覚悟しとけよ」

 

キンジの発言を無視してキンジを一旦部屋から追い出して、俺は風呂場で着替え始める。

 

入っていた服は青いシャツに黒い上下のスーツ、濃い茶色のネクタイにサングラス。靴はスプリングブーツで誤魔化せるな。

 

髪型の指定まである。ワックスでオールバックにしてほしいとあった。

 

――こんな絵に描いたようなボディーガード、今時いないと思う。

 

髪型に関しては今はやらず、普通に服だけ着て風呂場から出る。

 

「ジャンヌ、終わったか?」

 

「ああ、問題ない」

 

聞いてから、部屋の扉を開ける。

 

目の前には金のボタンが留められたチョッキを着ているジャンヌ。下は勿論ズボン。

 

「バニーガールよりはいいな。隼人も随分とスーツが似合ってるじゃないか」

 

ジャンヌが自分の格好を見てクルっと回る。そのあとに俺の服装を褒めてくる。

 

「警備をしに行くのにボディーガード...まぁツーマンセルで動きやすくなるから有り難いけどな」

 

「理子と私に付けられた傷が、いい味を出しているじゃないか。日焼けもして少し黒くなった肌もそれっぽく見えるぞ」

 

「嬉しくねー...」

 

2人とも着替え終わったのでキンジを呼びに行く。

 

キンジはジャンヌの格好を見てホッと息を漏らし俺の格好を見て挑発的な顔をする。

 

「おーおー、ボディーガードっぽいじゃん。じゃあ当日はしっかり頼むぜ?ボディーガードくん?」

 

「めっちゃ腹立つ!」

 

キンジに掴みかかろうとするがキンジはニヤけた面のまま玄関の扉を閉めて退散していった。

 

なんか、不安だなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからかなり時間が飛んで、7月24日。

 

警備当日。

 

台場のカジノにやってきた俺たちは既に着替え終えている。

 

防弾仕様のベンツをスーツを着た武藤に運転させ、俺は武藤の隣に、キンジは後部席に座っている。

 

キンジは落ち着かないのか何度もネクタイを整えたり髪をイジったりとそわそわしている。

 

「落ち着けキンジ、ただの警備だ」

 

「分かってるんだが、予想以上にお前の格好が似合ってて落ち着かないんだよ」

 

今の俺はオールバックに、サングラスを掛けている状態。

 

威圧感がやばいらしい。

 

「頬の傷とかマジで俺を庇って受けたっぽく見えるんじゃないか?」

 

「知らんがな」

 

「着いたぜ2人とも。俺は一旦帰るぞ」

 

「ああ、サンキューな」

 

「アシ代わりに使ってすまんな」

 

「気にすんな!単位獲得、がんばれよ」

 

「ああ」

 

話を終えて顔から表情を消す。

 

そのままドアを開けて降りて、しばらく辺りを見回してから後部席のドアを開ける。

 

狙われそうなポジションに立ってキンジが安全に降りれるように配慮する。

 

降りたのを確認してからドアを閉めてキンジの右隣、1歩後ろに立って後を追う。

 

カジノ『ピラミディオン台場』はその名前の通り巨大なピラミッド型に作られていて、全面がガラス張りになっている。

 

キンジが視線を色々な物に映すのとは対照的に、俺は人や襲撃してきそうなポイントに目線を動かして警戒する。

 

キンジが受付の前に行き、合言葉を伝える。

 

「両替を頼みたい。今日は青いカナリヤが窓から入ってきたんだ。きっとツイてる」

 

そんな合言葉だったのか。知らなかったから、ちょっとびっくりしたが俺の顔の筋肉は一切動かない。

 

受付から離れて中へ入っていくと、ドリンクを配給しているバニーガールたちに会う。

 

キンジがバニーガールの方を見ていると、バニーガールに装ったアリアが近付いてくる。暫く様子を見て、キンジの耳を引っ張ろうとしたので伸ばした腕を掴んで止める。

 

「な、何?」

 

「依頼中だ、アリア。しっかりやってくれ」

 

小声でアリアにそう話すと分かってくれた様であっさりと下がって戻っていった。

 

暫く警戒という体でカジノをぶらつき...星伽がスタッフルームに逃げていくのを目撃した。

 

キンジはそれをみてまた少し見て回って、それからスタッフルームへ移動を開始した。

 

俺もそれを追って一歩後ろを歩きながら入っていく。

 

キンジと星伽がスタッフルームの中でイチャつき始めたので心を無にする。

 

――帰ったらジャンヌとイチャつきたいなぁ...

 

――かえりてー...もう単位とかいいから、かえりてー...!

 

「おい、隼人?大丈夫か?泣いてないな?よし」

 

「何がよしだ」

 

「こういうの見るとお前何時も泣くじゃん」

 

「今の俺は、ボディーガードだ。心を無にしてやることをやるだけだ...グスッ」

 

「ダメだったかー」

 

心の汗は正直だ。

 

「グスン、星伽は?」

 

「気絶したよ」

 

「そうか...」

 

星伽を寝かせたキンジは、2階の特等ルーレット・フロアに向かった。

 

俺もそれに追従する。

 

 

 

 

 

 

 

そのフロアの一角には、大勢の見物客が居る。

 

キンジも興味が沸いたのか様子を窺っている。

 

俺もサングラスの中の視線をそちらへ向けると、ディーラーの格好をしたレキがいた。

 

ジャンヌを探すと、別の席で普通にディーラーをしていた。

 

あれなら問題無さそうだ。

 

レキの方に視線を戻すと青年が大金をスったけどまた賭けるよ、勝ったらレキを貰うよみたいな話をしている。

 

レキは表情1つ変えないので、周囲に怒り心頭だと思われているらしくかなり険悪な雰囲気が広がっていた。

 

それを見兼ねたキンジが自分もゲームに参加すると言って飛び込んでいった。

 

何してんだアイツ。

 

キンジと青年が口論のようになるがキンジは一切相手にしていない。

 

キンジは黒に賭けた青年とは真逆...赤の23に100万のチップを1枚置いた。

 

それを見たレキがゲームをスタートさせる。

 

白球を、機械のような精密動作で...ん!?

 

――アイツ、指先で弾いて...回転を加えた!

 

レキが意図的に回転を加えた白球はルーレットの縁を不規則な回転を起こしながら滑っていき、カツン、カツンと仕切り板の上を跳ねていく。

 

跳ねる度に減速、方向が修正されていき...赤の23に落ちる。

 

――狙いやがったな...

 

顔には出さないが、ニヤリとする。こんな神業、目の前で見せられたら笑ってしまう。

 

青年はボロ負けして、レキを手に入れることは諦めたのか携帯の電話番号かメールアドレスだけでもと食い下がっている。

 

レキはそれを受け流して発言をしている。

 

「お集まりの皆さんも、本日はお帰り下さい」

 

レキが一瞬、俺の方を見て、すぐに視線をフロアの片隅に向ける。

 

それを受けてフロアの片隅を見ると、上半身裸で、腰に茶色の布を巻いた、黒いペンキを塗ったような、少年探偵漫画に出てくる犯人みたいな奴が走ってきていた。

 

だが、最も歪なのはその頭部。

 

頭が、犬...いや、ジャッカル...?みたいになっている。

 

そして――その手には斧を持っている。

 

危険人物?半分以上人間の体だし人物でいいか!

 

懐からXVRを抜き取って、ジャッカル人間に銃口を向けて叫ぶ。

 

Freeze(止まれ)!」

 

銃を見た青年や、一般客が怯えて蜘蛛の子を散らす様に逃げていく。

 

同じフロアにいたジャンヌが警戒して、拳銃を抜く。

 

ジャッカル人間は止まらず、むしろその勢いを増して突っ込んでくる。

 

撃とうかとしたその時、ぐるぅぉん!という大きな唸り声が聞こえ、白いでかい犬がジャッカル人間に突進してスロットマシンまで吹き飛ばした。

 

「白い犬...オメーあの時の!」

 

「ガァウ!」

 

「ハイマキです」

 

「そんなことは良い、全員銃を抜け。殺人未遂、威力業務妨害で奴を逮捕する」

 

キンジがベレッタを抜きながらジャッカル人間を見据える。

 

「キンちゃん!ダメ!その黒い人型の中身に触れると呪われちゃう!触らないで!冴島くんも、レキさんも!」

 

「呪いって...ありゃ超能力で出来た奴か?」

 

「うん、蟲人形っていうの」

 

「ふん、厄介な物を...奴か」

 

星伽がやってきて、簡単に説明をしてくれる。そこに、ジャンヌが合流する。

 

星伽は刀を抜こうとするが、そこに刀はない。

 

刀は実家に没収された後に盗まれたらしい。

 

だが、すぐに札を取り出すと何かを唱え、札が燃え始め炎の塊となってジャッカル人間に命中する追尾弾に変わった。

 

バシバシバシュウウウウッ!!

 

炎がジャッカル人間を包むが、効果は今一つみたいだ。

 

「ダメです。アレはおそらく火に強い」

 

「私の氷も、ダメそうだな」

 

レキがドラグノフをテーブルの下から取り出しながら喋る。

 

ここで『属性』と『相性』の話をしたい所だが、非常に面倒なので割愛する。

 

ゲームだと4~5種類に纏められてるものが、本当なら80種類くらいあるよってだけの話なのであまり気にしなくてもいい。

 

「来なさい傀儡!キンちゃんには指一本触れさせない!」

 

星伽はそう言って突進していく。

 

――あれじゃ銃での援護は出来ねーな...

 

星伽が、丁度いい感じに射線に動くのだ。

 

星伽はジャッカル男の斧を避けて、貫手を二本放つがジャッカル人間はそれを避けて、カウンターを打とうとしている。

 

それを見た俺は加速していき、星伽の首元、襟を掴んで後ろに引く。

 

そのまま投げ飛ばす形で地面に転がして、射線を確保する。

 

ジャッカル人間のカウンター...掌底が飛んでくるが今の俺からしたら止まって見えるレベルのものだ。

 

「...っと」

 

カウンターにはカウンターで蹴ろうとしたが、横に飛ぶ。

 

そのままXVRを3発――腕、肩、つま先に向けて撃つ。

 

そのまま加速を終えると、キンジとレキとジャンヌが援護射撃をしてくれていたのか、複数の銃弾がジャッカル人間に突き刺さる。

 

着弾の衝撃で身を捩りながら倒れたジャッカル人間の喉元にハイマキが噛みつく。

 

それを何度か繰り返すと、ジャッカル人間はサラサラと形を崩していき砂鉄になった。

 

そして、砂の中からコガネムシが出てきた。

 

「隼人さん、キンジさん。あの虫は危険です」

 

レキが緊張感を強めた声で言ってくる。

 

「分かってるよ、ありゃジャンヌの膝に着こうとした奴と一緒だ」

 

「何?あれはスカラベ...なるほど。隼人、ありがとう」

 

「あ?何だよイキナリ」

 

「あれは憑いたものに不幸を運ぶ呪物の類だ。以前私の足に着こうとしていたのも、アレだろう...お前はそれを未然に防いでくれたということだ」

 

「ほーん...じゃ」

 

ジャンヌの話を聞いて加速していき、扉から逃げようとしていた虫を扉とブーツの底でサンドイッチにする。

 

グシャリと潰れた感触が伝わるが、そのまま扉に足を擦りつけて下し、床をグリグリと踏んで虫の痕を消す。

 

そこで加速を終える。

 

「こうすりゃあ...いいワケだな?」

 

「お前という奴は...」

 

ジャンヌが溜息を吐く。

 

レキが着剣する。ジャンヌがエストックに改良したデュランダルを抜き、Cz100を構え直す。星伽も立ち上がって、札を取り出す。俺もサングラスを外してネクタイを捨てる。

 

キンジだけが、呆けている。

 

「おい、キンジやい、ボサっとすんな」

 

「は?何言ってるんだ...?」

 

「まずは白兵戦で数を減らしつつ、場所を移動しましょう。ここは狙撃には向きません」

 

「だな...俺とキンジが前衛をやる。ジャンヌと星伽は中衛、フォローしてくれ。レキは暫く撃たない方がいい」

 

「それで行くか」

 

「待て、何の話だ!敵はもういないじゃないか!」

 

キンジが状況を呑み込めていないのか、ハッピーな事を言ってくれる。

 

「おいキンジ、シャンデリアの方を見ろよ。あれが敵に見えないなら...お前のお友達か?」

 

キンジは俺に言われたように顔を上に向け、ぎょっと目を見開いた。

 

そう、びっしりと天井にジャッカル人間たちが張りついている。

 

数が多すぎて正直キモい。

 

「いや...あんな物騒な友達はいないな」

 

「オメー普通の友達もいないもんな」

 

「はっ倒すぞ」

 

キンジもようやく警戒してくれたようで、ベレッタを構え直す。

 

とりあえず天井に張り付いた奴に向かって、弾を吐き出せるだけ吐き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが...

 

「キリが、ねぇな!」

 

「ああ、全くだ!」

 

このままじゃ弾丸だけを一方的に消耗して終わるだろう。

 

何体か天井に張り付いてたのは落として始末できたが、数が多すぎる。

 

その時、ジャンヌが何か思いついたのか俺に声を掛けてくる。

 

「隼人!アレ、使えるとは思わんか?」

 

ジャンヌがビッと指したのは、最初のジャッカル人間がハイマキにぶち込まれたスロットマシン。

 

そこからジャラジャラと光を反射させるコインが溢れ出て、山のように積み上がっていた。

 

「なるほどね!」

 

加速しながらスロットマシンに駆け寄り、落ちていたコインを両手で掴み宙に放り投げる。

 

そこから更に『エルゼロ』へ突入し...宙に舞ったコインはその場で固まったかのように動かなくなる。

 

「ジャック・ポットってな...持ってきなァ!ツイてる野郎共!」

 

体を捻って、サッカーボールのようにコインを蹴り飛ばす。蹴られた衝撃でコインがグシャリと形を変えていく。

 

勢いがついて、少しだけ進むコインの機動は、ジャッカル人間の頭部に向かっていく。

 

それを確認して、次々にコインを蹴りつける。

 

最後の一発を蹴り終えて、『エルゼロ』を終了する。

 

元の世界に戻った瞬間、コインは銃弾のような速度で飛んでいき――

 

ビシビシビシビシビシビシビシィイ!!!!!!!!

 

と天井に張りついてたジャッカル人間たちに命中する。

 

頭部を破壊されたジャッカル人間たちは地面に向かって落ちていき、途中で体を砂鉄に変えて消滅する。

 

だがまだ数が多い。

 

そこに、アリアが合流した。2丁のガバメントをバスバス撃ちながらやってくる。

 

「アンタたち!ボサっとしない!ハヤトを見習いなさい!」

 

アリアが片手で俺を呼ぶ。そして、すぐにその手をシャンデリアに向ける。

 

「サーカスでもやンのか?」

 

「冗談言ってないで、早くしなさい!」

 

「アイ、アイ、マム!」

 

俺が全速力で掛け寄ってアリアの元まで行く。

 

そのまま足を後ろに引くと、アリアが両足を綺麗に揃えて跳躍した。

 

アリアが跳躍したのを見て引いた足を前に出して、蹴り上げた。

 

その蹴り上げる動作の途中でアリアが俺の足に足を乗せる。

 

「行くぜ!」

 

そのまま、足を振り抜けてシャンデリア目掛けてアリアを押し上げる。

 

アリアは俺の足がギリギリまで伸びたあと俺の足を床代わりにして跳躍し、シャンデリアに飛び乗った。

 

「レキ!」

 

アリアがそのままレキの名前を呼び、レキがドラグノフでシャンデリアの金具を射撃した。

 

ダン! キィン!!!

 

シャンデリアはその勢いでグルグルと回りだす。

 

アリアは回るシャンデリアの上に乗って、天井に張りついたジャッカル人間たちにガバメントの雨を撃ち始めた。

 

薬莢がバラバラと排出されていく。

 

そしてジャッカル人間たちも一緒になって落ちてくる。

 

キンジ、ジャンヌ、レキ、俺で床に落ちた奴の中で立ちあがろうとする奴を仕留める。

 

そして最後の2体も床に落ちてきた。

 

そのままレキが、シャンデリアの金具を撃ち抜いた。

 

支える金具が無くなったシャンデリアが、グアッと落ちてくる。

 

アリアごと落下してくるシャンデリアに一体が押し潰されて、砂鉄に変わる。

 

最後の一体が、遠吠えを上げて窓の方へ走っていく。

 

それを見て加速し始め、窓の前に移動する。

 

「悪ィけど、ここは通行止めだ」

 

そのままXVRでジャッカル男の両膝を撃ち抜く。ジャッカル人間は勢いを殺しきれず、膝でスライディングをしながら俺の前まで滑ってくる。

 

「そぉっら!よっ!」

 

近くに置いてあった観葉植物を掴んで持ち上げ、植木鉢の方を上に向けてフルスイングでジャッカル人間の顔面をぶん殴って吹き飛ばす。

 

殴られたソイツは体をピクピクと震わせて砂鉄に変わった。

 

逃げようとする虫を踏み潰して、周りを見る。

 

「大量の弾痕に、スロットマシンの破損、ドア数枚の破損にシャンデリアの破壊...おまけに観葉植物の破壊と来たもんだ。依頼失敗かもな?」

 

「観葉植物に関してはやらなくても良かっただろ」

 

「ナイスよハヤト。ゴレムが外に漏れるのは防げたわ」

 

だが、これで終わりじゃない。

 

下を見ると、1階に落ちていったジャッカル人間が走ってどこかへ逃げてしまった。

 

「アリア、下にもう一体いたぜ?」

 

「結局逃げられるのね...」

 

アリアがリロードしつつ愚痴を零す。

 

「ゴレム...?ムシヒトガタじゃないのか?」

 

「キンジ、簡単に説明するとありゃラジコンだよ...魔力で動いてるラジコンだ」

 

「成程、分かりやすい」

 

「あらキンジ、やけに落ち着いてるじゃない」

 

「慣れちまったことに悲しんでるのさ」

 

「そう、いいことよ。こういう時に冷静になれるのは、とても良い事よ」

 

アリアがニヤリと笑う。キンジは溜息混じりに笑っている。それを見て、俺も口元がニィと裂けていくのが分かる。

 

「そんじゃ――」

 

アリアが余裕のある表情で俺とキンジを見ながら言う。

 

「一丁」

 

俺が言いながらXVRのリロードを終えてキンジの方を見る。ガチャン、とシリンダーを閉じる。

 

「――やりますか」

 

キンジが苦笑しながらベレッタのリロードをしてスライドをコッキングして、言う。

 

 

これより、追撃戦を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カジノ襲撃のやべーやつを追いかけて1階へと駆け抜けていく。


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