Armour IS Zone Re2   作:アマゾンズ

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獣は恐る、飢えを。

だが、野生は己が仕留めた獲物を喰らうのみ。Die Set Down


第八話 Catastrophic

「クアアアアア・・・・!」

 

目の前に現れたは新たな仮面ライダーアマゾンズ、仮面ライダーアマゾンネオ。ニューオメガよりも機械的な装甲が目立ち、青い線が暗色で複眼が黄色く、まさに機械人形とも言える姿だ。

 

「フウウウウウ・・・!行くぞ!」

 

ニューオメガの姿のままである鏡夜はアマゾンネオへと変身したラウラへと向かってゆく為に走り出し、飛び上がるとそのまま落下速度を利用したキックを繰り出す。

 

それを後退して避けるが、予想していたのか左からのストレートパンチを続けざまに放つが、ネオはそれを受け流す為、手で弾き反撃のハイキックを繰り出す。

 

「グオオオ!?」

 

曲がりになりにも、ラウラはドイツの軍隊で軍事訓練を積んできた者であり、更には遺伝子段階で投与されたArmour細胞によって肉体を強化されている。

 

更にはネオアマゾンズドライバーによる活性化で運動能力、反応速度も早くなっている。人として成長した状態、つまりは後天的にArmour細胞を投与され、抑制細胞を打ち込んだ鏡夜と遺伝子段階、先天的に近い状態でArmour細胞を投与されたラウラとでは細胞の同調性に差が出てくる。

 

「クアアアア!!!ワタシハ・・・人間・・ダ!」

 

アマゾンネオはアマゾンズインジェクターの内部にある薬物を再び注入し、手首が覆われている装甲が展開する。

 

『Blade loading…』

 

「!」

 

それを見たニューオメガもアマゾンズインジェクターを押し込み、ネオとは違った薬物を注入する。だが、生成される武器は変わらない。

 

『Blade loading…』

 

「ガアアア!!」

 

「グオオオオ!!」

 

刃を生成した二匹の(アマゾン)は金属音を激しく鳴らしながらも、攻撃を止めようとはしない。刃を拮抗させる事で奇襲に備えているようにも見える。

 

拮抗がすぐに崩され、ネオは刃を振り下ろすが野生の勘を持ったかのように、ニューオメガは刃を素手の装甲で弾く。武器での戦いは意味がないとお互いに悟り、素手の戦闘に戻ってしまう。

 

装甲で覆われているアマゾン同士の戦い。恐ろしいはずが、その戦いに誰もが目を離せない。人間が生きる上で失った原始の野生、それを目の当たりにしていて男だから、女なのだからなどは関係なかった。

 

「ガアアア!」

 

今度はニューオメガが奇襲を仕掛け、その隙を狙っていたネオが再びアマゾンズインジェクターを押し込む。

 

『Blade loading…』

 

「カアアア!!」

 

「グオオオオオオ!?」

 

「キョウヤ!!」

 

ネオのブレードはニューオメガの腹部を完全に捉え、貫かれている。貫かれて拍子に溢れ出る鮮血がその傷の深さを物語っていた。

 

「余所見をしている場合か!」

 

箒の刀の唐竹割りをクジャクアマゾンと化している鈴は両手に持っている羽根で受け止めた。ニューオメガとなっている鏡夜の援護へと向かいたいが、この試合はタッグマッチ、一体一の状況になることがあるのだ。

 

「グウウウ!!」

 

「コレデ、オマエモ!」

 

『Blade loading…』

 

腹部を貫かれたはずのニューオメガは腹部の筋肉の収縮を利用して刃を止め、アマゾンズインジェクターを押し込み刃を腕の装甲から出現させ、首元近くに刃を振り下ろした。

 

「グギャアアアアアアアアーーー!?」

 

「ウオオオオ!!」

 

そのまま、鋸の刃を引くかのように刃で首元を切ると、ネオの首筋からも鮮血が流れ出る。あまりの生々しさに観客の生徒達は吐き気を覚え、中にはその場で嘔吐してしまう生徒も出てきている。

 

斬られた事で怯んだネオの胸元に足をかけ、蹴り飛ばしてネオの刃を引き抜くニューオメガだが、重傷に変わりはなく、手で腹部を押さえてはいるが止血になどなっておらず、鮮血の雫がまるで氷柱から落ちる雫のように地へと落ちている。

 

『操縦者、アマゾン化の傾向・・・89%。危険域と判断、これより排除プログラムを起動』

 

ラウラに解除されていたシュヴァルツェア・レーゲンの内部にある特殊プログラムが起動し、機体自身の意思が封じ込められていく。そのプログラムは操縦者諸共にVTSによって殲滅せよといものであった。

 

本来、待機状態では起動は不可能なはず。だが、いくら天才が設計し開発したものであろうとも、所詮は人間の作ったものである、自動で起動させる方法などいくらでもあったのだ。

 

『VTSシステム起動、全アマゾンを排除します。トレース開始』

 

シュヴァルツェア・レーゲン自身が融解に近い状態となり、とあるものをトレースする。

 

それは獣の姿、獣を狩る(アマゾン)を模した狩人の姿であった。だが、一方でとある女性の姿を模しているようにも見える。

 

「!」

 

「グウウ!?」

 

『対象・・・実験プロトアマゾン、実験体No009、アマゾンシグマ研究タイプを排除します』

 

ガトリングガンを三体のアマゾンへ向かって発泡する機械の獣。その姿は鏡夜が内に秘める野生の(アルファ)の姿と似ている。

 

「ガアアア!?」

 

「グオオオオ!?」

 

「クアアアア!?」

 

三体の(アマゾン)へ対して攻撃を仕掛けてくるVTSシステム。弾など制限が無いガトリングの嵐、人間である箒は狙われず、Armour細胞を持つ三人だけが狙われていた。

 

「な、なんだあれは!?」

 

箒は突然、乱入してきた存在に驚きを隠せない。学園内のイベントとはいえこれは試合だ、乱入者など本来はありえない。

 

しかも自分は全く狙われず、アマゾンとなっている三人だけが集中して狙われている。怒りを覚える前に何故という状態だ。鏡夜と鈴が狙われるのは分かる、だが、所有者であるラウラまでもが狙われているのは何故なのかと。

 

「グアアアアア!!」

 

『Needle Loading…』

 

三人の中で先手を担ったのはネオに変身しているラウラだ。アマゾンズインジェクターを押し込み、腕の装甲から針の弾丸をVTSへ向けて放つが、VTSはそれをガトリングガンの下にあるチェーンソーで致命的になる部分以外を弾き、ネオへと向かっていく。

 

『標的を排除します』

 

チェーンソーが唸り声を上げ、ニューオメガが傷つけた場所と同じ首鈴へとチェーンソーを振り下ろし、そのまま喰い込ませていく。

 

「グアアアアアーーーッ!!う・・・ぐ」

 

そのまま振り抜くと同時にネオを蹴り飛ばし、ネオはアリーナの入り口付近まで転がっていき元のラウラの姿に戻ってしまう。身体は傷だらけで斬られた部分からは鮮血が滴り落ちている。

 

人間であれば確実に致命傷で命を失っているだろう。それでも生きているのは、一重にArmour細胞のおかげと言えるのは皮肉だ。

 

「フウウウ・・!ガアアアア!!」

 

『AMAZON Strike…』

 

ニューオメガはアマゾンズインジェクターを押し込むと同時に走り出し、高く飛び上がり縦に一回転すると、その落下速度を利用したキックを繰り出した。

 

「対空迎撃、開始します」

 

「グアアアアア!?」

 

だが、その一撃もガトリングガンの前では全くの無意味であった、ニューオメガは空中で蜂の巣にされ、落下すると同時にラウラと同様、元の鏡夜の姿に戻ってしまった。

 

「ぐ・・・く・・・コイ・・・ツ」

 

「!カアアアアア!!」

 

二人がやられたのを見て、今度はクジャクアマゾンである鈴が接近戦を仕掛ける。羽根をダガーとした接近戦で、回し蹴りや短刀術を駆使しするが、VTSはそれを知っているかのように捌き、回避する。

 

「アマゾンシグマ研究タイプ、排除開始」

 

チェーンソーを再び起動させ、今度はクジャクアマゾンの腹部を切り裂かんとするが、そう簡単には捉えさせない。

 

クジャクアマゾンの最大の武器は羽根でもアマゾンとしての強さでもない、鈴自身の冷静な判断力とスピードだ。

 

だが、代表候補生としてのデータが登録されているVTSには鈴の癖を完璧に見抜いており、チェーンソーの刃がクジャクアマゾンの腹部を捉えてしまった。

 

「ギャアアアアア!!?が・・はっ・・・!」

 

チェーンソーの唸り声が上がるたびにクジャクアマゾンから鮮血と黒い体液が噴水のように吹き出していく。それを避難途中で見ていた生徒達の大半は嘔吐を繰り返し続け、気の弱い生徒は気を失ってしまった。

 

チェーンソーを振り切られたと同時にクジャクアマゾンも鈴の姿に戻ってしまい、その場で倒れこんでしまう。

 

「排除率・・・75%」

 

VTSは止めを刺そうと三人へ近づいていく、誰一人として動くことができないArmour細胞を埋め込まれた三人、そんな中でVTSの前に立ち塞がったのは箒であった。

 

「こんな決着の付け方など・・・認めん!貴様は邪魔だ!!」

 

「標的外」

 

箒の足は震えている。それは目の前の相手に恐怖している事に他ならない。それでもという気持ちが彼女を後押ししているのだ。

 

「ぐ・・・・肉・・・卵でも・・・・いい・・・喰わせ・・・ろ」

 

「か・・・・あ」

 

「食べ・・・た・・い」

 

鏡夜は弱々しくタンパク質を求めていた。他の二人も同様で求めてはいるが目の前にいる人間、つまり箒を食おうとするのを抑え込んでいるのが、鈴とラウラだ。

 

鏡夜とは違って二人は食人衝動を抑える抑制細胞を打たれてはおらず、鈴はアマゾンレジスターによって抑制されており、ラウラ自身も同様だ。

 

「三人共!これを!!」

 

アリーナの入口から何かが投げ入れられた、それは紙袋に入ったハンバーガーでそれを投げ入れたのはシャルロットとセシリアの二人であった。

 

「急いでくださいませ!」

 

セシリアの叫びに三人のアマゾンは紙袋を一つずつ手にし、中に入っていた大きめのハンバーガーを手にしていた。

 

 

 

 

「背に腹はかえられないか・・・・」

 

「贅沢は言ってられないわね・・・」

 

「仕方・・・あるまい」

 

ハンバーガーを貪り食らいつくし、三人は己の中の獣を目覚めさせる装置に手をかける。鏡夜とラウラはネオアマゾンズドライバーを、鈴はネオアマゾンズレジスターに手をかけ作動させる。

 

ラウラと鏡夜はほぼ同時にアマゾンズインジェクターを装填し、注射器のような押し込み部分を押し込んで、内部の成分を注入する。

 

「アマゾン・・・!」

 

「アマゾンッ!!」

 

「アマゾン・・・・!!」

 

『NEW OMEGA』

 

『NEO』

 

獣を呼び覚ます掛け声と共に衝撃波と炎が上がり、装甲に覆われた二匹の(アマゾン)と孔雀の羽根を模した物を靡かせる(アマゾン)が再び現れ、VTSが戦闘態勢に入る。

 

これが、この戦いの第二幕であり、ラウラ自身とISであるレーゲンの意味を知る事になるとは思わなかった。




何ヶ月以上書いてないんだよ・・・アマゾンズ本編完結しちゃってるのに。

本当に申し訳ありません!

アマゾンズの見直し、イベントやリアル事情などもあって更新できませんでした。

少しずつ再開していきます。

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