ロクでなし天才少女と禁忌教典   作:“人”

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初めて原作を買ったのは第3巻が発売した頃だった。正直、絵に釣られて買った。
一巻を読んでなんか面白くて笑ったのでその後もどんどん買った。


じゃあなぜ今頃二次創作を書くのかって?……だって自分1人だけ書くのはなんか勇気出ないし、みんなが書くならいいかなって……。


駄文注意!


自称天才のわたしが学士生になったワケ

アルザーノ帝国魔術学院。

400年の歴史を持ち、帝国内で最高峰の魔術を学べると言われるこの学院に入学する生徒は、皆意識の高い者が多い。そしてそれはその父兄も同様。少なくとも、普通の教育機関とは違って、入学式の日にはしゃぎまくって大騒ぎをする親などいない、はずであった。

 

 

(いいぞいいぞ、さすがは私の愛娘!こんなに立派になっちゃって、おかーさん嬉しい!)

 

その厳粛な空気を全く読まず、パシャパシャと撮影する1人の妙齢の女性。真紅のドレスに身を包み、金色の髪と赤い瞳を持つその美女の顔は、まさしく親バカのそれであった。

入学式が始まる前だからまだいいものの、明らかにマナー違反である。明らかにその場で浮いており、周囲から嫌な注目を集めていた。その視線が語るのは、まさしく『はよ落ち着いて座れ』である。

 

そして、その母親のせいで同じく注目を集めるのは1人の女子生徒。艶のある長い黒髪と海のような蒼い瞳が特徴の美しい少女である。しかし母親の暴挙によるものか、その美貌は羞恥で赤く染まっていた。

 

(…なんでこんな公衆の面前でそんな恥ずかしい真似ができるのかしらこのバカ親は!)

 

そのバカ親は注目を集めていることにも気づかないのか、どんどん射影機を回す。結局その金髪の女性は、入学式まで撮影をやめなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———時は一年前に遡る。

 

「……なあ、リーナ。魔術学院に行ってみないか?」

 

「どうしたの、藪から棒に」

 

金髪の女性、セリカ=アルフォネアの突然の提案に、黒髪蒼眼の少女、リーナ=レーダスは怪訝そうに答えた。

 

「お前、ずっと家に引きこもってばっかりでほとんど外に出ないだろう。退屈じゃないか?」

 

「…まあ、確かに暇だけど。『働け』というのならそうするわ。兄様を見習って、ね」

 

「こんないい子に育ってくれて、お母さん嬉しい!でもダメだぞー。お前ほどの才能を活かす職に就くには、少なくとも魔術学院くらいは出てないとな!」

 

「わたしが学校に行く意味、あるのかしら…?」

 

リーナ=レーダスはセリカも認める天才である。史上最年少で第六階梯に至り、あらゆる魔術を使いこなす。とある事情からセリカによって匿われているため知名度こそないものの、魔術師としての実力ならば大陸有数、もしかするとセリカを除けばトップかもしれない逸材だ。

そんな彼女にとって、魔術学院は行く意味を見出せない場所だった。幼少の頃からセリカや義兄(グレン)に魔術を教わり、第六階梯にまで登りつめた彼女に、もはや魔術学院で学ぶものなどあるとは思えない。

 

しかし、そんな呟きを聞いてもセリカは機嫌が良くなるばかり。

 

「ところが、あるんだなーそれが!」

 

「例えば?」

 

「他の生徒と協力して行う授業や魔術の模擬戦では協調性を育むだけじゃなくて魔術師同士の連携を学ぶ場にもなるし、なにより私と会える!そう、学院でな!それにどうせ退屈なら、その時間を学院で過ごすのも悪くないだろう?」

 

リーナは考える。もしかしてこれは、なかなか悪くない誘いなのではないかと。

普段のリーナの生活は、セリカがいない間家事をしたり勉強をしたりする、恵まれている代わりに大して面白くもないものだ。『いくら家族とはいえタダでご飯食べているのも良心が咎めるし、そろそろ働きにでも出ようかしら?』と考えたのも一度や二度ではない。

そこでセリカの提案である。正直セリカの収入だけでお金には困っていないし、正直働く意義は薄い。ならば言われたように、学院に通うのも悪くないとリーナは考えた。

 

「…それもそうね。むしろ意固地になって行かない理由なんてないし、行ってみようかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

———そんなわけで。

 

セリカに拾われた少女、リーナ=レーダスの学院生活が始まったのだ。

さて、セリカに言われるまま入学してしまった彼女だが、実は内心とても楽しみにしていた。なにせ生まれて初めての学生生活である。兄のグレンも通っていたというから、きっとそれなりには面白いところなのだろう。…そう、思っていた。

 

 

成績優秀でありながら授業態度の悪い生徒として講師陣に目をつけられるのは、それから数ヶ月後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私、システィーナ=フィーベルは今年アルザーノ帝国魔術学院に入学した新入生である。家族のルミアと一緒のクラスになって大喜びしたのも束の間、まさか同じクラスにこんな問題児がいるとは思いもしなかった。

 

 

隣の席で、手が霞むほどのスピードで羊皮紙(ノート)に書き込む少女。こっそり盗み見ると、なにやら難解な魔術式や図形がびっしりと書き込まれている。どう見ても学生レベルの術式ではない。どうやら授業の予習や復習ではなく、独学のようだ。

これが休み時間ならばまだ許されただろう。だが生憎と今は授業中。本来ならばしっかりと授業を受けなければならない時間だ。

 

 

 

 

 

 

————最初こそ、先生は注意をした。

 

「リーナ=レーダス。貴様、授業も聞かずに何をしている?」

 

一見して熱心にノートを取っているように見えるその姿に、しかし魔術講師ハーレイ=アストレイは騙されなかった。その授業で扱うのは魔術理論の基礎中の基礎で、そんな大量にノートを取る必要もなければ、黒板に書かれた板書も大したことはなかったからだ。

彼女はなんでもないかのように言った。

 

「何って、固有魔術の開発ですが?」

 

固有魔術(オリジナル)。それは術者の魔術特性などに合わせて個人で生み出す、その名の通り固有の魔術。だがそれは何かしらの一点において世に出回っている汎用魔術を上回らなければならない、とてつもなく生み出すのが面倒な代物だ。正直学生風情にまともなものを作れるとは思えないし、授業中にすることではない。

 

「今は授業中だ。そんな徒労に労力を使うより、授業に集中しろ、リーナ=レーダス」

 

 

 

 

 

 

—————そこでリーナは引き下がるべきだった。

 

この場における正当性において、どう考えてもハーレイの言うことの方が正しい。

しかしながら、リーナは社会不適合者である。つい最近までセリカやグレン以外の人間とほとんど接点のなかった彼女は、残念ながら集団行動ができなかった。極め付けに、魔術講師の怒りに火をつけてしまう。

 

 

「そのどう考えても眠くなる授業を受ける意味があると?それに、こんな基礎的で簡単なことをわざわざ分かりにくく説明する講義を受けるより、自分の勉強をした方が有意義だわ」

 

「……ほう?基礎的で簡単か。ならばこの私が開発した黒魔術の解説をしてもらおうか?なに、そう難しいことではない。少なくとも私の授業の内容を『簡単』と言えるほどの知識があれば、解明するのは容易いだろうな。その代わり、できなければこれからはきちんと私の授業を受けてもらおう、リーナ=レーダス」

 

売り言葉に買い言葉。

『絶対に無茶だ』、とその場にいたクラスメイトは思った。入学したばかりの生徒にやらせるのはいくらなんでも無茶だと。

 

そして、それがハーレイ=アストレイの狙い。彼は最初から、無理難題でリーナのプライドをへし折り、授業を受けさせることしか考えていなかった。

 

 

 

—————しかし。

 

「その言葉、忘れるんじゃないわよ?」

 

席を立ち、スタスタと黒板の方へ歩み寄る。

 

「……それで、その肝心の黒魔術は?」

 

「これだ。まあ、精々頑張るといい。……ククッ」

 

『どうやらこの先生、だいぶプライドが高くて大人気ないみたいね』、などとシスティーナは思った。

 

そして、渡されたノートを見つめること数秒。

リーナは唐突に白墨(チョーク)を持ち、黒板に書き込みを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…このように、この黒魔術は魔術関数を9つも使用しているせいで、詠唱に時間がかかり過ぎて実戦じゃまともに使用できない粗悪品であると判明しました〜」

 

「……くっ」

 

「確かにこの記述から分かるように、威力はかなりのものですが、そもそもこんな魔術を使うより既存の軍用魔術を使った方が早いですし、何よりこんな魔術よりもA級軍用魔術の方が威力・射程ともに優れています」

 

「ぐ………」

 

「正直無駄だらけの術式なので、ハー……ハーリー先生の遊び心溢れる作品と言えるでしょう」

 

 

煽る煽る。

ハーレイの魔術式を数秒で把握し、生徒の前で解説してみせたリーナ=レーダス。それだけならともかく、わざわざ魔術式の問題点を指摘してハーレイをおちょくり始めた。

 

尚、その場にいた生徒達は呆然としていた。未だに習っていない部分を解説してみせた事に対する驚きが半分と、短時間で複雑な術式を解析してみせたことに対する驚きが半分。そしてシスティーナやギイブルなどの優秀な生徒達は半ば自信を失っていた。

 

 

 

一応ハーレイの名誉のために補足しておくと、そもそもこの術式、本気で書き上げた訳ではない。酒を飲み過ぎて酔っ払い、ついつい「個人で詠唱する最高火力の魔術でも作ってみるか!」というようなノリで作り上げた代物である。リーナに腹が立って「解説してみろ」などと言ってしまったが、本来ならそっと机の奥底にでもしまっておくつもりだった黒歴史である。つまり、「どうせ入学したばかりの新入生なんぞに理解できる訳なかろう」などと侮ったのが運の尽きだった訳だ。

 

(おのれ、リーナ=レーダス……っ!)

 

 

 

「……さて、解説終わり。これで満足かしら、ええと、………ハーネス先生?」

 

「呼び名が違う!馬鹿にしているのか、リーナ=レーダスぅ!」

 

 

この一件以降、ハーレイを始めとする講師は、リーナの授業態度を半ば黙認するようになった。




魔術関数とか、戻り値がどうのとかっていう術式に関する設定がよく分からないので、とりあえずプログラミング言語みたいなもんかな、と思って書いてる。



設定の矛盾とかあったら教えて下さい。大きく書き直さなければならないもの以外は直しますので。





さーてこれ、需要あるかな?多分ないな!

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