天災兎と人喰いトカゲ 〜Armour Zone〜   作:TearDrop

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お待たせしました。
バイトが忙しく、家に帰るとそのまま死んだように眠る日が続き、挙句に風邪を引いた中、何とか時間を見つけて書き上げました。
短いですが、次回から少し時間が飛びます。タグにもある通り、オリジナルストーリーとなります。

それでは、お楽しみください。
……アマゾンズseason2は僕のメンタルをどんどん削っていく。

※こちらのミスにより、EP.6の足りなかった文章を加筆、修正しました。誠に申し訳ありませんでした。


EP.6 False power

「雨宮……ジン……!」

 

 ハルカーーアマゾンオメガの目の前にいるのは、シグマタイプを駆除した赤いアマゾンーーアマゾンアルファ。そして、〝オメガタイプ〟と〝シグマタイプ〟の発案者である雨宮ジンが、目の前にいた。

 

「聞いてるぜ?お前、篠ノ之束についたらしいな。本来ならお前は俺が殺そうと思ってたんだが……お前はある意味面白い存在だ」

「答えろ……何故貴方がこんな所に……」

「何故って言われてもな……俺の研究所が今もあるかと思って来たんだが、なんだ。お前らも研究所に用があったのか?それならもう遅いぜ?研究所なら此処に来る前に亡国機業が破壊してくれたからな」

「ーーーーー」

 

 絶句。有力な情報を得られると思っていたが、時すでに遅かった。オメガは拳を握りしめ、アルファに叫んだ。

 

「答えろ!どうしてアマゾンなんて恐ろしい物を……それに人間の死体を使って〝シグマタイプ〟を……!」

「……俺さぁ、人間がどうして此処まで進化したのか考えたんだよ。人間は皆、誰かを蹴落として這い上がって来てるんだ。お前だってそうだ。他の試験体を蹴落として〝オメガタイプ〟に至ったんだよ」

「そんなの理由になってーーーー」

「あぁそうだ。理由になってないんだよ。お前言ったよな、どうして人間の死体を使ってシグマを産み出したのかを……あいつら全員、〝誰かに蹴落とされて来た〟連中ばかりだ。だから俺がアイツらをアマゾンにしてやったんだ……まぁ、どれも失敗に終わったがお前やシグマは合格だ。俺の想像を遥かに超えてる」

「だからって、シグマにISを無理矢理ーーー」

「あれに関して俺は無関係だ。あれは俺がやりたかった事じゃない。ISなんかに頼らず、自分自身の力で強くなるのが、アマゾンだからな……」

「……貴方は間違ってる。自分自身の力で強くなる方法なら幾らでもあったはずなのに……!」

「ガキに何が分かる。お前はただのクローン。オリジナルである〝織斑千冬〟の遺伝子を宿してるだけのただのガキだろうが。それはお前の力じゃない。オリジナルの力だろ?」

「ーーーーッ!」

 

 またしても絶句。

 今までの戦いでハルカはシグマタイプのアマゾン、そしてISを纏ったシグマを退けて来た。しかし、その高い身体能力は全て〝織斑千冬〟の遺伝子があってこそ成せる事であり、自分の力ではなかった。

 

「ったく……お前の相手をしてる暇はないんだけどなぁ。〝シグマタイプ〟は勝手に覚醒するし、俺の仕事がどんどん増えるだろうが……」

「勝手に覚醒……どういう意味だ」

「あ?あぁ、知らなかったのか。本来〝シグマタイプ〟は人間を喰わなくて済むように造られた実験体だ。だから覚醒もしないし、人も喰わない。アマゾンは人の肉を喰らうアマゾン細胞を宿してる。それを無くそうと造られたのが〝シグマタイプ〟だ。お前は今後の観察次第だし、〝オメガタイプ〟がどうかは知らないが……お前もいつか、人を喰いたくなる時が来るだろうよ」

「そんな事……!!」

「無いとは言い切れないだろう?俺だってそうだ。俺の手で自らアマゾン細胞を移植した時から、人を喰いたい衝動が無かったとは言えねぇからな。俺もお前もいつか……人を喰う怪物になるんだよ」

「黙れぇえええっ!!!」

 

 オメガはアルファに向かって走り出すと同時に拳を叩き込もうとするが、アルファはそれを軽々と避け、回し蹴りをオメガに叩き込んだ。

 倒れるオメガはすぐさま立ち上がり、アルファに腕の刃で斬りかかろうとするがアルファも腕の刃でそれを防ぎ、鍔迫り合いに持ち込む。

 

「ほぉ……流石はシグマを追い込んだ事はある。だがーーーーまだまだ甘い」

 

 《Violent Slash……!》

 

「ラァアアアアッ!!」

 

 アルファはオメガの腕を振り払うと、腕の刃でオメガを切り裂いた。血が噴き出るオメガは膝をついた瞬間、変身が解除され元の姿へと戻っていく。

 

「今回はこのくらいにしといてやる。今度は俺を楽しませる位に強くなってろよ?」

 

 ジンはそう言うと、その場から去っていった。

 ハルカは拳を地面に叩きつける。ハルカの目からは悔しさからか、涙が流れていた。ジンはハッキリ言って強かった。オリジナルに頼ってる自分では太刀打ち出来ない……。

 そんな思いが、ハルカの中で渦巻いていた。

 

 ◇◇◇◇

 

「それじゃあ、またね。セシリアちゃん」

「はい。ありがとうございます」

 

 ハルカはクロエ達と合流した後、セシリアと別れようとしていた。ジンの研究所が破壊された今、イギリスに残る意味が無くなった二人は、束がいるラボに戻ることにした。

 恐らく、ジンや亡国機業が残りの研究所を破壊している事だろう。

 そうなる前に残りの研究所を見つけ、研究資料を回収しなければならない。

 

「ハルカさん、そろそろ……」

「そうだね。それじゃあ、セシリアちゃん。お母さん達と仲良くね」

「はい。ーーーーまた会えますわよね?」

「……うん。またきっと会えるよ」

 

 ハルカとクロエはヘルメットを被り、エンジンを掛ける。獣のようなエンジン音が響き渡り、ハルカはセシリアに視線を向ける。手を振るセシリアに、ハルカとクロエも同じように手を振ると、その場から走り出したのだった。

 それから一時間もしないうちに、ハルカ達はイギリスを去っていった。残る研究所を見つけ、研究資料を回収しなければならない。

 それが、今のハルカ達の目的だった。シグマの件もあるが、あの戦いでISが損傷している為、修復には時間が掛かるだろう。

 

「雨宮ジンの言う通り、亡国機業は他の研究所を破壊しているみたいだね。そろそろ束さん達も本気を出さないといけないね」

「亡国機業に先を越される前に資料を回収しないとね。それにしても、雨宮ジンが変身したあの赤いアマゾンは一体……研究資料を見ても、あの赤いアマゾンに関しての記載が無いし……それに、あの人は自分でアマゾン細胞を移植したって言っていた。なんでそんな事を……」

「今の所、雨宮ジンに関しての情報が少なすぎる。でも、亡国機業が何かを企んでるのは間違いないね。これは本格的に本気出さないと……それにしても、二人が買ってきたこのお菓子美味しいねぇ」

「なんか有名なシェフが作ってるみたいだよ。名前は忘れたけど、凄く有名なシェフなんだって」

 

 束はハルカ達が買ってきたイギリスのお土産店のお菓子を頬張っていた。束の頰一杯に詰め込まれるお菓子はすぐに胃の中に消えていく。

 

「束、次の目的地は何処?」

「そうだねぇ……他の研究所は各地に点在しているから何処からでもいいよ。でも、亡国機業が破壊した研究所もあるから望みは薄いけど……全部を探すのには結構時間が掛かるよ」

「それでもだよ。僕たちはやらなきゃいけない。一度乗った船だ。最後までやり通さないと……」

「……うん、そうだね。なら、束さんも最後まで付き合うよ。ねぇ、くーちゃん!」

「はい。ハルカさんは私の命の恩人です。最後まで付き合います」

「……ありがとう、二人とも」

 

 ハルカは決意を新たに、亡国機業との戦いに足を踏み込んだ。

 三人の旅は、ここから始まる。そして月日は流れ、二年の歳月が流れた。これからが、本当の戦いの始まりでもあった。

 

 ◇◇◇◇

 

「まったく、お前は加減って言うのを知らないのかよ……もうちょっと加減して欲しかったぜ」

「うるせぇ。お前の指示なんか聞きたくなかったんだ。でもスコールが手伝えって言うから仕方なく……」

「オータム、静かになさい。此処はまだ警官達が彷徨いてるんだから……まぁでも、そこら辺の処理はオータムに任せましょうか」

 

 イギリス。

 ジンとスコール、オータムと呼ばれた長髪の女性はジンの研究所だった場所から少し離れた場所にいた。視線の先には、研究所だった場所の前に警官達が捜査をしていた。

 〝突然の爆発事故〟が原因で、警官達は捜査を開始していた。しかし、それはオータム原因だった。オータムが無闇矢鱈に研究所を破壊したせいで、警官達が来てしまったのだ。

 だが、それは仕方ない事だった。研究所を破壊し、爆破すれば警官達はやって来るのは分かっていた事だった。ジンはため息を吐きながら、その場から去ろうとする。

 

「何処に行くの?」

「先に戻ってる。此処にいちゃあ、警官達に見つかるかもしれないからな」

 

 そう言って、ジンはその場から去っていった。

 

「……スコール、なんであんな奴なんか仲間に入れたんだ?あいつ、何考えてるかわかんねぇし……」

「あら、謎に包まれている男って素敵じゃない。でも、確かにジンは謎が多い部分があるわ。どうして自分自身にアマゾン細胞を投与したのかも分からないけれど……」

 

 スコールの視線の先には、森を歩くジンがいた。

 その背中はまるで、死に場所を探しているかのように見えた。オータムは舌打ちをし、警官達に視線を向けた時だった。

 

「……オータム、お願いがあるのだけれどいいかしら?」

「お、おう。なんだ?」

「例の〝シグマタイプ〟の事なんだけれど、〝彼女〟を連れて例の場所に向かってほしいの」

「よりによって〝アイツ〟かよ……アイツ、ジン以上に何考えてるかわからねぇから苦手なんだよなぁ……まぁスコールの頼みだから仕方ないか」

 

 オータムはその場から離れ、その場にはスコール一人が残った。スコールは笑みを浮かべながら、空を見上げる。この空の何処かに、篠ノ之束達がいる。

 そろそろ篠ノ之束を探し出さなければ……。そう心の中で誓い、その場を去っていった。




如何でしたでしょうか?
短くて申し訳ないです。次回は長く書けるよう頑張ります。
雨宮ジンに関しては、次回の後書きにて紹介します。

中々思い通りに書けないですが、こんな作品でも読んでくれてるんだなぁと思うと頑張れます。感想も気長にお待ちしております。ただ面白かったや、次回も楽しみにしていますだけでも僕の励みになるので是非とも感想をお送りください。

この作品について、何かご意見などがあれば答えますので、是非ともよろしくお願いします。

ご意見・ご感想・評価・お気に入りよろしくお願い致します。

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