鉄血の薩摩兵子 <参番組に英才教育>   作:MS-Type-GUNDAM_Frame

28 / 36
ガランモッサさんが勢い余った三日月にヒゲ/おじさまに、なるのか首実検することになるのか、なんとか生きた状態で捕獲されてジュリエッタと再会するのか。
迷いました。
そして…

これが年末最後の更新ですね。次は、なるべく早い更新を心掛けたいと思います。期待しないで!!


荒涼と

長い冬が近付き、冷たい風が荒野を舐めていく。

コートを着込んだ男、仮にガラン・モッサは、ギャラルホルンの旧式モビルスーツ、ゲイレールの肩に立っていた。

戦場に進発する前に、この男は必ずこれをやる。

地上から20メートル弱、吹いている風は地上よりもやや強いが、そんな風が、これから向かう戦場の言葉に出来ない何かを運んでくるような気がするからだ。

 

「鉄華団、ねぇ」

 

もともと、圏外圏には星の数ほどもいる少年兵。それが、世界最大と言って良い勢力の戦闘部隊の主力となっている。

才能がある。人が居る。武器を持っている。

つい10年程も前まで、地球ではギャラルホルンだけが当てはまっていたグループ分けは、今や群雄割拠の様相を呈しており、言ってしまえばギャラルホルンはその世界の治安維持という存在意義を果たしていない。

 

この乱世で、覇を唱える一際大きな将器が二つ。僅かに二年のにらみ合いで地球の芻勢はこの大道に落ち着きつつあり、圏外圏はテイワズの一人勝ちになりつつある。

 

もうすぐ、決着が着くという気がする。明日の戦場を俯瞰するガラン・モッサには、戦後の自分の未来が、まるで見えなかった。

どちらが勝っても、きっと大きな事をやる。では、それで世が再び乱れるのか。

否、否。

ラスタル・エリオンがそのような男でないことは知っているし、これから死合う相手、マクギリス・ファリドもきっとそうだ。

本人たちがどう思おうとも、二人はまるで鏡合わせのように似ていた。

 

部下を食わせる事などは考えていない。自分は只、ラスタル・エリオンの考える世界を作るために名前、家族、産まれ、情ですら捨てたのだから。

今求める事は、勝ち。それだけが、今までにも、これからにも意味を与えるのだから。

 

肩口からコックピットへと、ガランモッサはするりと落ちた。

 

「あー、あー、聞こえるかお前ら。これより、明朝まで警戒体制。0600から作戦行動に入る。復唱」

 

バラバラの声が、一斉にスピーカーを鳴らす。その何処か不揃いな声に、ガランモッサは心中で笑った。

今回も、勝つには半分残れば良い方だろう。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

「昭弘、ちょっと話がある」

 

オルガに呼ばれた昭弘は、MSハンガーでグシオンの前に立っていた。

 

「なんだ、話ってのは」

「頼みがある」

 

いきなり、オルガは頭を下げた。昭弘が片眉を上げる。

 

「お前は、前線に出ないでくれ」

 

一度、口を開いた。閉じて、それから口を訊いた。

 

「何か、理由が有るんだろう?」

 

昭弘の眼には、少しの落胆と、好奇心の色があった。三日月を思い出したオルガは、自然と笑っていた。

 

「ああ。俺はな、トヨを死なせたくないんだよ」

「それで?」

「このグシオンのツインリアクター、嫌がらせに使いたいんだ」

 

隙ができる。それは、達人であればあるほど見逃さない。島津豊久であるのなら、猶更だ。

 

「バルバトスだって、基地の電力を賄えるくらいの力があった…それを、こう使う」

 

落とされた布から出てきたのは、巨大な砲身だった。

 

「砲身が未完成らしくてな、安全取るなら五発まで。弾頭は今回の新兵器を破壊力上げた版で…ま、早い話がこれで外から圧をかけてくれって事さ」

 

この世界には、禁止兵器と呼ばれるものがある。そのうちの一つが、高硬度レアアロイを電磁投射するダインスレイヴだ。これは、照準さえ合わせれば不可避と思える速度で対象を射抜く。

その速度の前にはナノラミネートアーマーですら関係なくなるため、その強大な力をギャラルホルンが統制するために禁止兵器とされている。

だが、禁止兵器故に鉄華団では使うことができない。

だからこその新弾頭。高硬度レアアロイではなく、プラズマで着弾時に二次加速を発生させる新兵器の投入で、数で劣る鉄華団の不利を補おうというわけだ。

 

「エーコさんにおやっさん、なんなら歳星のおっさんも太鼓判を押してたぜ。これからの戦闘では、三日月の斬攪隊に劣らないくらい戦果をあげられるだろうってな」

 

もともと、昭弘には狙撃の才能が有る。グシオンも、射撃に向いた機体だ。

 

「三日月が斬攪隊。豊久が射撃隊。で、お前が新設される狙撃部隊の隊長ってわけだ。どうだ?」

「…ああ、悪くない。悪くないぜ、団長」

 

砲身をなでる手が、強く握られたのを見て、オルガは満足げに昭弘と拳を合わせた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

森林地帯に、迷彩柄の布を被ったモビルワーカーが散らばっていた。

電源を落とす。息を殺す。そして、命令まで決して動かない。伏兵に求められる事だ。

時には、近くまで動物が来ている事すらある。それは上手くいっているという事だと、豊久は笑った。

 

「もう期日んなっど」

 

その言葉に、全員が笑って頷いた。

 

「死にたくなかなら死人に成れい。作成ん開始は7時!寝っど!!」

 

皆思い思いの場所で、床に就いた。この一週間、土に埋もれて木の葉をかぶり、アラスカの大地そのものに成ろうとした。そうして、間違いなく、成れた。皆がそう思っているはずだ。

島のように残った木々の葉は濃く、上を向いても星は見えない。一週間を通して火を焚くことはなく、食って寝て訓練してと繰り返していた。

横になれば、自然と眠くなる。それは参番組の組員だった頃に身に付いた習慣で、今も体から離れず、そして役に立っているものの一つだった。

今はかつてに比べれば夢のような生活をしている。それは団長が反旗を翻し、鉄華団として独立しての事だった。毎日十分に食べられるし、給料も人並みに払われる。仲間も、よく笑うようになった。

妹も、学校へ入れてやれるだろう。

時々、今見ているのは夢で、目が覚めるとまたいつ終わるかもわからない参番組の辛い生活に戻っているのではないかと思う事もあった。夢なら覚めたくない。そんなことを考えている間に、タカキの意識は微睡みの中に落ちた。

 

森の外れでは、豊久が戦場を焦がれるような目で見ている。空気を思い切り吸い込んだ豊久の、誰も拾わないつぶやきが風に飛ばされていく。

 

「―やはり、おやっどの様には皆目わからん。わからんが、俺に出来ることは突っ込む事だけよ」

 

具足を翻して、豊久は森の奥深くに消えた。直ぐに、森の外には微かな鼾の音が響いた。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

朝焼けが照す地平に、土煙が一筋上がっている。

アーブラウの政府軍は、アラスカの基地に強襲をかけるべく海岸近くの平地を行軍しているのだ。

分かりやすく進軍するアーブラウの部隊を、獲物として見る目がひとつ。

 

「取り敢えず、目標は補足した。あれを潰すのは予定調和だが、確実に横槍がある。

周囲の警戒を怠るなよ?」

 

一方に海、一方に敵。突然の事に対応できるほど、アーブラウの部隊は精強ではなかった。

隊長の指示も通らず、部隊は散り散りに成る。

 

妙だ。彼の心算では、確実にファーストコンタクトの時点で妨害が入った。例えば、射程範囲ギリギリからの狙撃であったり、或いは…

 

稜線を超えて、あまり見たことのないMSの小隊が迫ってくる。

 

「ロディフレームか?」

 

一つ、アーブラウの部隊ではない事。二つ、味方ではない事。三つ、戦場で味方でない物は敵である。彼の脳内には、同時に三つの事が浮かび、次の瞬間には叫んでいた。

 

「目標、五時の方向!ハチの巣だ!」

 

散開した兵士たちが、ゲイレールのアサルトライフルでパラパラと射撃を加える。部隊は、反撃を加えるでもなく直ぐに稜線で射線を切り、離れていった。

 

追うか。離れるか。そもそも、あんなモビルスーツがこの近辺にいる以上、あれは鉄華団の部隊ではないのか。

決めかねている所に、追伸が入った。

 

『隊長、所属不明のモビルワーカー部隊発見!六時の方向です!』

 

頗るに、怪しい。自分なら、こうも危ない場所にモビルワーカーなど置くだろうか。立て直す、そう口にしようとしたとき、先ほどとは正反対の方向から、モビルスーツが三機、高速で接近していた。

 

散発的に射撃を行いながら、こちらへ攻め込んでくる。その勇猛な勢いのままに、こちらの射撃はまるで避けようとしていない。一機が盾になって、射撃を受け止めている。

スラスターからのガス噴射で加速した敵機は、此方の一機にバトルアックスでゲイレールと衝突した。ナノラミネートアーマーが少し剥がれたのみで、両機は少し距離が開いただけだった。

突進してきた他の二機が射撃武器で嫌がらせをしている間に何度も近接武器で殴り合う両機だったが、新型のグレイズ故か次第に押しはじめ、遂に僚機が崩れ落ちた。

一機を崩して限界だと判断したのか、先ほど稜線を切って表れた部隊と同じ方向に離脱していく。

 

『野郎、くそ、逃がすか!』

 

刹那を生きている傭兵だけに、という事なのか、それなりの仲間意識がある。いや、特別に仲間意識がある者だったのか。とにかく、部隊の半分近くが先ほど強襲をかけて来た小隊を追い始めた。

思わず、歯噛みをした。

 

「ち、全員転進!!さっきの小隊を追うぞ!」

 

戦力の分散は、下策である。先ほどの小隊のように、連携が出来上がっているならまだしも、寄せ集めに近い集団だ。全員にそれなりの腕はあっても、アリアンロッドのような緻密な連携は望むべくもない。

 

一応、妥当性は有った。結局、大局を見れば鉄華団を弱体化させる方が優先度が高い。

 

全機が、海に背を向け内陸へと転進した。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

一日が経った。散発的に会敵する。しかし、夜はまるで襲ってこない上に、時には碌な戦果も出さずに撤退していく。何れも、森林が点在する地点でのゲリラ戦としては望ましくない。

撤退の速さは、死んだ仲間が情けなくなってくるほどで、一度は武器も捨てて逃げだしたほどだ。

 

それが逆に死んだ兵士の仲間を煽るらしく、一日が経過した今ですら絶対に殺すと気炎を上げていた。

 

アラスカ独立戦線の戦況はあまり動いていないらしい。どうやら、初日に部隊を散らしてしまった事が大きいようだ。

戦争に慣れていない、及び腰の政府ではそんなものだろうと笑う。

 

「休憩する。索敵、10番。他は飯でも食っとけ」

 

休憩を命令した後。彼が思いだしているのは、先日の戦闘だった。

グレイズが、実に有機的な動きをする。あれは間違いなく阿頼耶識システムに依るものだっただろう。それでも、部隊の兵士とさほど変わらない腕に思えた。兵士が阿頼耶識の敵に慣れているという事もあっただろうか。

 

周りで他の兵士を抑えていた二機の技量といい、どうにもちぐはぐだ。

 

何かが、感覚に引っかかる。例えば…

 

『敵です!今度は二小隊!』

 

齧っていたレーションを嚥下し、声を張る。

 

「密集陣形!敵の方を向いて構えろ!」

 

守りが固い、そう思った時にどう反応するだろうか?これは一種の実験でもあった。

果たして、森林の陰から一瞬此方を確認した小隊は、速やかに撤退していった。

 

恐らくは、疲労を狙っている。それが結論だった。敵がいつ現れるかわからない状況、見通しの悪い地形、仲間割れなど、部隊を疲労させる条件としては当てはまるものが多い。

そうだというのなら、逃げるか。それでは、各個撃破に切り替わる可能性がある。

 

「半分、偶数番は一帯を守れ。残り、奇数番は休む。眠るなり食うなり好きにしろ。2時間交代だ」

 

基本的に、傭兵というのはあまり細かい命令を聞きたがらない。そういう縛りを嫌う人種ではあるし、細かい命令が実行する組織としての戦力には嵌らない人種ではあるのだが。

 

兎に角、これであと二日ほどは犠牲を出さず、耐えられるだろうか。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

作戦開始から三日目の、朝。基地のモビルスーツドックには、バルバトスが鎮座していた。

腰には大太刀、背には長大なメイスと滑空砲を備え、今か今かと発進の時を待っている。

 

「何度も言うけどな」

「うん。殺さなきゃ、良いんだよね」

 

殺さなければ。言外に、そういったニュアンスを含めていると感じたオルガは苦笑した。

 

「駄目だ。本当に、今回は脅かすだけで済ませなきゃならない」

「じゃあ、頭だけは触らないで、下っ端を何人かやっちゃえばいいんだね」

「ま、それでいくかな」

 

今回も頼むぜ。応。言葉には出さず、互いの腕をぶつけるだけで、二人は思いを交わした。

 

コックピットに乗り込んだ三日月は、背中を預けた。バルバトスと、繋がる。

 

『やあ。久しぶりだね』

「あんた。えっと…」

 

しばらく聞こえなかった、声が聞こえる。

 

『アキレウスだよ。久しぶりに表層まで浮いてこれたからね。300年もこんなところにいると誰かと話すのが楽しくて堪らなくてね。作戦行動までさ。良いだろう?』

「ふぅん…まあ、良いよ」

 

会話を交わしながら、バルバトスは立ち上がった。

 

「バルバトス、出るよ」

『目標地点はシノ君の部隊が居るところだね』

 

地を蹴ってジャンプする。その瞬間に、スラスターを吹かして大きく前へ飛ぶ。

 

「なんでまた起きたの?」

『さあ。何分、私自身阿頼耶識の事が良く分かっているわけじゃない。自分がなぜ、バルバトスの中に残されているのかもわかっていないしね』

 

良く分からない。結局そう言う事だろう。

 

「今度はおしゃべり以外に何か、するの?」

『さあ。状況に依るんじゃないか?今の君を見ていると、必要とは思えないがなぁ』

 

軽快な笑い声が聞こえた。笑っているのにも、良いのと悪いのが有る。なんとなく、アキレウスの笑い方は好きだった。

 

『目標地点まであと1km。早いねぇ、キマリスみたいだよ』

「そっか、ガリガリのガンダムも、アンタの友達が乗ってたんだ」

『その論法で行くと…なんだろうね、やっぱりガリガリかもしれないな』

「先祖もガリガリっていう名前だったんだ」

 

再び、笑い声が響いた。

 

『そうだね。先祖代々あんな名前なんだよ、あいつのところは。でも、きっと先祖代々良いやつなんだよ。今のガリガリは、どうだい?』

「良いやつ、だと思う」

 

そうだろうと頷いて、アキレウスは三日月に映像を見せる。顔は、あまり似てはいないかな。そう呟いた。

 

『おや。そろそろ時間がないようだ。でも、今度は私が居なくても好きにバルバトスを使えるはずだ』

「…うん。そんな感じだ」

 

では、また。シノの部隊が駐留する基地に到着する前に、声は聞こえなくなっていた。

 

「着いたよ、シノ」

『おー!早かったじゃねぇか!』

 

作戦は、二次展開まで準備が整った。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

匂いが変わった。そうとしか表現できないが、とにかく何かが変わったのだ。しかし、目に見えるもの、口で説明できる何かが起こっているわけではない。

 

「敵、来てねぇか?」

『今日に入ってからは一度も』

 

この三日の傾向を考えれば、既に一度襲撃が有ってもおかしくはない。

その結論を待っていたかのように、索敵班から通信が入った。

 

『正面から来ています!二小隊!しかし、見ないモビルスーツがいます!』

「白い悪魔、か?」

 

誰にも聞こえないように、呟いた。

 

「打って出るぞ!全員兵装を確認!」

『おう…漸くだ…やってやるぜ!』

 

一人声が大きく聞こえる。仲間を殺されて憤激していた男だった。

 

『まずいですよ!新しいやつ、早すぎる!?あぉ』

 

爆音が響いた。

森林から、白く染まった巨体が躍り出す。次の瞬間、最も近くにあったゲイレールが首を貫かれた。そして、動きを止めた僚機の腹部に強烈な蹴りを入れる。仰向けに吹き飛ばされたと思った時には、上空から凄まじい勢いで降下してきたガンダム・バルバトスが、メイスでコックピットを押しつぶしていた。

 

死んだ。外から見ても分かるほどに、オイルが飛び散って、きっと遺骨すら残っていないだろうと思えるほどの破壊の痕跡がそこにはあった。

 

『ひっ!!』

 

なんだこれは。まともに戦うべき相手ではないと、直ぐに全員が理解した。悲鳴を上げる気持ちすら、理解できる。なるほど、これが悪魔かと納得するほどだった。

 

「撤退だ!!反撃なんぞ考えるな!!」

 

恐怖にかられた人間は、逃げ足が速い。我先にと、全機がばらばらの方向へ逃げていく。もう一声。せめて一方に逃げなければ、各個に狩られるだけだ。

 

『なんだよあれは!!ぁ』

『反対側から!?何もないぞ!!』

 

バルバトスから、最も遠い位置で逃走を試みていた一機が、突然崩れ落ちた。見れば、腹部に焼けついたような跡がついている。

 

「狙撃だと…!?エイハブウェーブの反応すらないというのに…」

 

しかし、奇しくも逃げる方向は統一された。おおよそ、海を見て二時、十時の方向から攻撃が来ている。転進して、さらに奥地へ入るしかない。

罠か。しかし、此処に踏ん張ってできることは最早無いだろう。

 

「負け、か」

 

最初に、一機を撃たれたときに逃げるべきだっただろうか。機体を走らせながら、そう思った。声が聞こえる。しかし、何もかもを無視してやらねばならない事があった。

 

「これだけは…」

 

味方の識別信号が、どんどん消えていく。早く。早く。漸く、データの消去画面になった時、機体を軽い衝撃が襲った。そして次の瞬間、画面が全て黒く変わった。

 

「なんだよ、おい。こんな事もできないなんてな」

 

最初から、自分一人が狙いだったのか。今までやってきたことを考えてみる。なるほど、何時かこうなる覚悟はあったかもしれない。しかし、自分が言葉を吐かされる立場になって、全てに耐えて口を閉ざし続ける事ができるか。自信が無い。

機体が、勢いよく横向きに倒された。コックピットハッチが金切り音とともに捩じり取られ、次の瞬間、甘いにおいとともに意識は暗転した。

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

暗い、地下牢のような場所で目を覚ました。

 

「お、目が覚めたか」

 

開いた扉の向こう側に、居る。まるで光の中に立っているように見える。写真でだけ、見たことがある顔だった。

 

「オルガ・イツカ」

「そうだ。あんたの名前は?」

 

知っていて、聞いているのだろう。ならば、答えも決まっている。

 

「捨てた。この世界のどこにも、俺を示すものはない」

「そうかい。じゃあ、また明日。同じ質問をさせてもらうぜ」

 

ドアが閉まる。以外にも、部屋には空調が効き、アラスカをこれから覆う寒さは感じられそうになかった。外の様子も、一切分からない。

外からも、何も聞こえない。ただ、足元を照らす緑の光だけが、部屋の明かりの様だ。

 

「長い戦いになりそうだ…」

 

部下だった連中の事は、忘れた。ただ、親友を裏切らない事を自分に願い、彼は眼を閉じた。




一応、PPHP弾の効果について。

弾体が二つに分かれており、プラズマ発生機構の外部と二次弾体が存在します。
外殻で発生したプラズマは、熱によるナノラミネートアーマーの無効化と、プラズマ圧による二次弾体の加速を行います。
二次弾体は、正直なんでもいいんですが、今回は防熱処理が施された磁性体です。機体内部に侵入し、システム周りに誘導電流で壊滅的な被害を与えます。電磁パルス直接接触版。
接触した後に加速が発生する上に威力はあまり必要ないため、モビルワーカーでも打てる上に一定の威力が出ます。
昭弘が狙撃で扱ったものは、これをさらに威力アップさせた大砲で、ツインリアクター出力直結のレールガン。大砲に近いサイズの弾が外殻になっているので、バルバトスの滑空砲接射みたいな威力になっています。二次弾体も、硬度を重視した徹甲弾となっております。
量産型のコックピットは一撃貫通できる。
そのうち、グシオンが発射速度、二次加速発生時間、威力を阿頼耶識のインターフェースから自在にリアルタイム調整できるガンダムになるといいな。

グシオンは射撃戦モードが有るのでそちらで操縦しているイメージでお願いします。
弱点としては、フレーム部材は抜けない事。二次弾体が高硬度レアアロイより柔らかいからです。また、接触式信管かつ接触後でないと効果が無いため鎖のカーテン一枚で防げてしまう事。これはメタルジェット浸潤式の弾頭と似たような弱点ですね。

昭弘のグシオンにはその射撃能力を生かしてデュナメスのようなガデッザのような射撃機体になってほしい。そう思ってこんな話になったと思います。
ストーリー?そんなのもあったね。

そんなことよりこの世界でのバルバトスルプスレクスをですね、早く書きたくてですね。

次回!!
バルバトス&アキレウス「俺!ガイトラッシュになります!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。