鉄血の薩摩兵子 <参番組に英才教育> 作:MS-Type-GUNDAM_Frame
2月と言っておきながら遅れてしまって申し訳ない!
つっても多分一期までで終わるんですけどね!プロット的に!
それでも全力は出すので完結までよろしくお願いします!
「ええーこれどういう事ぉ!?」
「アンタに分からないんじゃ俺らでも無理だなぁ」
整備室では、エーコとおやっさんたちがバルバトスのログを見て頭を抱えていた。
「大体なんなのこのログ!こんな動きバルバトスでやったら速攻壊れるわよ!?」
「これじゃないですか?エイハブリアクターの重力制御機能が異常値を記録してますし」
「はぁ!?そんな事ある!?」
「でもじゃないと説明つきませんよ」
要点を整理しよう。エーコはそう叫んで大判の紙にまとめ始めた。彼女なりの現実逃避方法だったのかもしれない。
「バルバトスは慣性制御機能をオーバーロードさせて動きをスラスターのみからさらに加速させた可能性が高い、その影響は四肢の運動機能にも及んでおり・・・そんなの再現できないから十中八九ガンダムフレームかなにかのブラックボックス機能で・・・うっわぁ、殆ど怪文書ね」
「でも現実ですし」
一般常識が無い分なのか、ヤマギの受けたダメ―ジはエーコほどではないようだ。
「あれ、バルバトスまだ治ってないの?」
「いや、修理は終わってるんだけどよ、なんかさっき大気圏の上で戦った時のバルバトスがおかしいとかなんとか」
「ああ、あの時」
「何か知ってるの!?」
若干引きながら、三日月が頭を捻り始めた。
「あの時、俺のじゃない記憶があったな」
「それ、どんな感じだった?」
「なんか、300年前のって言ってて・・・モビルワーカーをもっとでかくしたみたいな・・・形はなんか、細かいところはバルバトスと似てたな。それと戦ってた」
「でかいモビルワーカー?バルバトスと似てる?」
この場にマクギリスがいれば、一瞬で厄災戦時代のモビルアーマーとの戦いだろうと結論を出しただろうが、いかんせん終戦直後の厳しい情報統制から、一般人の知るところではなかった。
しかし、ここに一般人でないものが一人、通りかかった。
「そいは、もびるあーまーではなかか」
「トヨさん!」
島津家は、凋落するまでは代々ギャラルホルンの軍事顧問である。
「300年前、そがいな形ばしたもんが人ば殺しまわっとったち、ようじじどんがいうとったど」
「けど、なんでガンダムフレームにそんな記憶が?」
「そいは、確か・・・そうじゃ、もびるあーまーん首ば掻き切るために作られたのががんだむちいうとったの。いま思い出したわ」
少しだけ触れた核心から、雪之丞がうわさ話を思い出した。
「そういや、ガキの頃そんな話を聞いた気がするぜ・・・たしか、人間が四分の三まで減ったんだと」
「四分の三・・・?」
「四人に一人しか生きてなかったってことよ」
三日月は、学校に行っていないため四分の三が分からなかったが、エーコが補足する。三日月は、なるほど、と言ったような得心の言った顔をした。
「何かきっかけがあって昔の情報が三日月に流れたって考えるべきかしら」
「ふーん・・・どうでもいいかな。別に戦えるならそれでいいし」
「そうじゃの。くびばかれるならわしらはくびだけでんよか」
「あんたらねぇ・・・」
一応の原因の解明はなったようだが、トリガーは不明なままだ。とりあえず、原因解明は成ったという事で集まりは自然解消した。
◇◇◇◇◇◇
「ワシが蒔苗じゃ」
「その・・・お初御目にかかります、鉄華団団長のオルガ・イツカです」
自然体の蒔苗とは正反対に、オルガは緊張していた。それもそのはず、目の前の人物は一度失脚しているとはいえ一時は地球四分の一の代表だった男。オルガが今まで相対した中では、マクマード・バリストンが最も近いだろうか。
「まあ、がちがちになっておっても話が始まらんし、手短に切り出させてもらおう」
「はい、お願いします」
俺がしっかりしなくては、と思ったか、ビスケットは比較的しゃんとしていた。もちろん、少し震えてはいるのだが。
「もう聞き及んでおるようじゃが・・・ワシを失脚させたアンリ・フリュウは、ギャラルホルンとの癒着で現在の地位を得ておる。しかし、ワシが議会に戻れば代表の座を取り返すのは容易い・・・奴とて、それは分かっておるはずじゃ」
「じゃあ」
「そう、ワシの依頼は、ギャラルホルンの現ファリド公の私兵からの護衛じゃよ」
なんでも、マクギリス・ファリドも一枚噛んでいるらしい。あの時、目の前にしたマクギリスの目を、オルガは忘れていなかった。まるで鏡に映したように、自分たちと同じ何かが目に映っているのだ。
恵まれた環境にいただろうにとオルガは訝しんだが、深くは考えなかった。
「それで、この話。受けないという選択肢は無いと思うが、一応聞いておこう。どうかな?」
「もちろん、受けますよ。うちの預かってるお嬢様が、あんたがもう一度偉くならねぇと仕事ができないらしからな」
「ほほっ、良い返事じゃ。では、具体的な計画を聞かせてもらおうか」
「ああ、まずはこのモンターク商会ってとこの船を使うんだが」
ビスケットと二人で、思いついた案を次々に提示して煮詰めていく。オルガの姿は、一言ごとに大人に近づいているようだった。
◇◇◇◇◇◇
「それでは!私は追撃の許可を得られないというの!?」
『落ち着けよカルタ司令、いや、落ち着いてください。そこはオセアニア連邦ですので、本部の許可が・・・』
「この私の部下が何人も死んでいるのよ!?それを黙って見逃せというの!?もういいわ、ガエリオ。貴方は折檻を覚悟しておきなさい」
『ちょっ!』
ブツンと、通信が切れた。しかし、威勢よく啖呵を切ったとはいえ先の会戦でカルタには兵力が皆無だった。
そこへ、渡りに船とばかりの提案がかかる。
「カルタ様!」
「誰なの?」
「それが、ファリド公からです!」
「っ!・・・お繋ぎして」
現れたのは、現ファリド家党首、イズナリオ・ファリドだった。
『イシュー公・・・状況は聞き及んでいる。私の兵を使ってくれたまえ』
「しかし、これは私の戦です!」
実際、自身の預かる兵力のみで事態を解決できなかったとなればそれは責任問題である。もちろんカルタにそのような考えは一切なく、単に気が晴れないという事のみを心に置いて話している。
ファリド公も、そこは分かっているらしい。
『しかし、それでは部下の敵を討つまでもなく君は犬死だろう・・・それを、君の部下が望むかな?』
「それは・・・いえ、わかりました。力をお借りします、ファリド公」
『そう言ってくれると信じていたよ。実はもう、その近くまで私の兵は派遣してある。存分に使い果たしてくれ』
満足そうな表情を浮かべたファリド公の顔は消え、続いてファリド公私兵からのコンタクトが届いた。
編隊を描いて接近する私兵部隊の練度を見て取ったカルタは、高笑いを上げる。
「ふふふ・・・待っていなさい、我が部下たちの仇!鉄華団!叩き潰してあげるわ!」
久しぶりですのでやんわり短め・・・
え、待ってた割に短い?
申し訳ない、今の自分にはこれが限界でした。
次回はもう少し長くするのでご了承ください・・・
小ネタ・出会い
「止めろ」
「どうされたのですかファリド公」
イズナリオ・ファリドは、露店の商品を盗み走る少年を見つけた。
ああ、なんて美しい少年か!
「君、あの子供が盗んだ分はこれで足りるかな?」
「こ、こんなに!いえ、十分すぎるほどで・・・」
「実は、私はあの子の親でね・・・別れた妻から、もう手に負えないからと家出したと聞いて引き取りに来たのだよ・・・いつもどこにいるのか、知らないかね?」
早口でそれらしい場所を口にした店主にもう一つかみチップを渡し、運転手へ行き先を伝えた。
これで、あの見目麗しい理想のショタは私のものだ!
言われた通りの場所に、あの少年は居た。私は、これからを想像して思わず舌なめずりする。
それが、全てを失う引き金とも知らず。