夕焼けに誓う幼馴染達 作:椿姫
今回は番外編となります。
そしてこれは雄天とひまりが付き合う前の話となっております。
それを踏まえてご覧ください。
〜雄天side〜
「ゴメンね雄天君、休みの日に買いだし付き合わせちゃって」
「大丈夫だよつぐみ。僕も暇だったしさ」
「どんだけ暇なの…」
「蘭、何か言った?」
「何でもない」
「そっか。ならいいんだけど」
そんな会話をしながら僕はつぐみの買い物袋を持っていると近くから人の声がした。僕と蘭とつぐみは声のする方に行ってみるとそこには、
「星の鼓動、また聴けるかなぁ……?ってえぇ!?申込今日まで!?どうしよう…誰か誘ってこうかなぁ?」
猫耳のような髪をしている女の子、ってかこれって…
「何してんの、香澄?」
「あ、雄天くん!それに蘭ちゃん、つぐ〜!ナイスタイミング!!」
「え?…何の話?」
「香澄ちゃん?話を詳しく…」
香澄の発言に蘭とつぐみは疑問符を浮かべている。当の本人はフフフと笑っている。
「香澄、怪しい」
「確かに今の香澄は怪しいね…」
「じ、つ、は、コレ!」
僕と蘭の話をスルーして見せてきたのは
『天体観測ツアー』
とおおっぴらに描かれていたポスターだ。
「……………」
「……………」
「……………天体観測、ねぇ…」
「行きたくない!?行きたいでしょ!?行きたくなってきたでしょ!?広い星空の下で星の鼓動を感じちゃうの!!絶対ドキドキすること間違いないよ!!ね、行こーよー?今なら参加費も安くなってるよ!!明日の折り込みチラシにはこんなの無いよ!?」
「それなんてジャ●ネット通販!?」
そんなツッコミを香澄にすると蘭は
「星の鼓動って何…?」
とまた疑問符を浮かべている。つぐみは
「天体観測ツアーってそうそう行けるものじゃないもんね…ちょっと、行ってみたくなったかも」
ちょっと興味を持っていた。すかさず香澄がつぐみの手を取り「よし!つぐ、行こう!」と目をキラキラさせながら宣言していた。そして矛先は僕に向く。
「雄天くんは!?行きたいでしょ!?行きたいでしょ!?行きたいでしょ!?ねぇねぇ行きたくなってきたでしょ!?」
「ちょっと香澄、近い!僕はまだ何も言ってないよ!?」
そう言うと香澄は離れて僕の意見を聞こうとする。はぁ…いつもこんなテンションなのかな香澄って。沙綾とかよく疲れないな…
「まぁ、時間はあるから…」
言い終わらない内に香澄はやったーと言った。おいコラ僕は了承してないだろーが!……ってこりゃダメだ。全く聞いてないや…
「ねぇねぇ蘭ちゃんは!?どうする?どうする?」
「……うーん…」
「申込締切が今日までなんだよ!?」
「だったらほかの人誘えば良いんじゃ?」
「それだと時間がないんだよ〜頼むよ〜ここで逃すわけには行かないんだよ〜」
「蘭ちゃん、折角香澄ちゃんが誘ってくれたわけだからさ、行ってみない?新曲のインスピレーションも浮かぶと思うんだ!ね?雄天君」
「あれ?やっぱり僕も行く前提で話進んでたのか?まぁ、それは言えてるかもね?どうする蘭?あ、もしかして山奥とかだから暗いのが…」
そう言うと蘭は顔を赤くして
「はぁっ!?ゆ、雄天何言ってんの?別に怖いなんて言ってない!」
「僕は怖いなんて一言も言ってないけど?」
「うぐっ…もう!わかったよ。行く!言っておくけど新曲の為だから勘違いしないでね!」
蘭がそう言うと香澄とつぐみがやったーと言って抱きつく。蘭がまぁ顔を赤くしていくこと…
「じゃあ週末に駅前集合ね!バイバーイ!」
そう言って香澄は走っていった。見送ってると後ろで蘭が僕の服の裾を引っ張る。振り向くと、頬を膨れさせていた。
「ら、蘭さん?もしかしてだけど怒ってらっしゃる?け、けどさ、あれは蘭が…」
この後商店街に僕の悲鳴が響き渡ったのは言うまでもなかった。
〜天体観測ツアー当日、駅前〜
週末になり駅前に集合して見ると僕と蘭、つぐみと香澄の他に日菜さんとあと1人、金髪の女の子がいた。
「あれ?日菜さんも来るんですか?」
「そーだよー!天文部の活動として、ね?雄天君たちは〜?」
「僕達は香澄に誘われたんです。ってか日菜さん天文部だったんですね?後ろにいるのは部員ですか?」
「違うよ。この娘は花咲川学園の天文部のこころちゃんだよ!」
日菜さんがそう言うと後ろにいたこころという女の子が前に出できて自己紹介を始めた。
「あたしは弦巻こころよ!ハローハッピーワールドのボーカルをしてるわ!よろしくね!」
弦巻こころ……ん?弦巻?確か俺らの通ってる羽丘の理事長って弦巻神威だったよな…まさか、な…そんな分けないy
「そっちの学校であたしの兄様が理事長をやってるのだけど知ってるわよね?神威兄様の事」
うん。分かってた。まぁそんな事はさておき僕達は天体観測ツアーのバスに乗って山の麓にあるバス停まで向かった。そこからは案内人の指示で各コテージに移動した。夜までは自由行動となるが何をしよう。当日前にひまりを誘ってみたんだが今日はテニス部の合宿があってこれないとの事。まぁ仕方ないか、合宿だし。日菜さんは和都も誘って見たと言ってたけど当の本人は
「山!?あの虫がわんさかいるあの無法地帯か!?そんな所で天体観測!?見えないものを見ようとして望遠鏡覗き込む余裕もないわ!絶対行かねーからな!!」
と言っていたらしい。虫嫌いな和都らしい断り方だな…
「ねぇみんな!トランプ持ってきてるんだけどやらない!?負けた人コテージの自販機でジュース全員分奢りねー?」
日菜さんがそう言ってトランプを取り出した。香澄やこころは乗り気だな。蘭は「あたしはパス」と言ってイヤホンで音楽を聴き始めた。僕とつぐみはと言うと強制的に巻き込まれました。まぁ、負けなきゃいい話だ。
〜数分後〜
結果発表ぉ〜!!
香澄が負けました。香澄はなんで負けたんだろうと言いながらジュースを買いに行った。香澄、ゴチになります!ふぅ、大富豪とかスピードとかババ抜きとか色々やったけど全部香澄負けたんだよな…ってか顔に出すぎなんだよな…僕がそう思ってるとまた日菜さんが
「ねぇねぇ雄天君はコレやってる?」
と言ってスマホを持って近づいてくる。見てみると某戦略カードゲームだった。なんで僕の周りにはこれやってる人多いんだろうな?モカとか白金先輩とかあことか和都とかetc…
「やってますけど?」
「ホントっ!?じゃーさ、あたしと対戦しよーよー!」
日菜さんはすごく目が光ってた。まるでオモチャを買って貰える子供の如くキラキラしていた。対戦してみると、あらま日菜さんお強い!なんでそんな強いのか聞いたら「仕事とかバンド練習の合間にやってたらなんか一番すごそうなランクになってたー」との事。日菜さんらしいな…と、こんな話をしてると香澄が戻ってきた。僕達は香澄からジュースを貰って飲む。あ、ありがてぇ!!サイダーがキンッキンに冷えてやがるよぉぉぉ!!
それから僕達は香澄とこころのマシンガントークに付き合わされていつの間にか夜になっていた。外に出てみると夜空には満天の星空が煌めいていた。しかし凄いな…こんなに星があるとつい魅了されてしまいそうだ。
「すごーい!!るるるんっ♪てするー♪」
「凄いわね日菜!こんなにも綺麗なのね!」
日菜さんとこころはスッゴイはしゃいでる。まぁこれ見てはしゃがない方が逆に凄いと言えるかも……そして僕は違和感に気づいた。何故か香澄がいないのだ。
「あ、あれ?蘭、つぐみ、香澄はどこ行ったの?」
「え?あたしは分からないよ?つぐみは?」
「私も見てないかも」
「そっか……ちょっと僕探してくる!」
僕はそう言って近くの森などを探しまくった。森にはいなくてコテージの中に入ってみると
「………むにゃむにゃ…」
とても気持ちよさそうに寝ていました。寝顔を見てたら段々と腹が立ってしまい僕はハチマキを巻いた後、すぅっと息を吸って
『起きろや香澄ーーー!!!!いつまで寝てんだお前はぁぁ!!』
と怒り混じりの声をあげて無理くり起こして外に出しました。ったく、散々探してコテージに寝てるってなんだそりゃ。ハチマキをとったらなんかすごい疲労感。
「蘭達には後で行くって伝えとこ…」
僕は蘭達にLIN●を送ってすこしだけ休むことにした。気が付くと僕はソファで寝てしまっていて蘭達が周りにいた。どうやら僕が寝ている間に終わったとのこと。なんかみんなニヤニヤしてて何かあったのかと聞いたら何でもないってし言ってこなかった。天体観測が終わった後はこころが手配した車で送迎してもらった。金持ちってスゴイなとこの時改めて僕は思った。
つぐみside
〜羽沢家、つぐみの部屋〜
今日来れなかったひまりちゃんから『もしゆうまの寝顔が撮れたら送って♡』って言われてたから寝ている雄天君の写真を撮っちゃったけど…良かったのかな?
「香澄ちゃんも日菜さんも撮ってたから、いいのかな?」
とりあえずひまりちゃんに送っておこう。私は送った写真を見て思った。寝ている雄天君って意外と可愛い寝顔なんだな〜
「またこの寝顔見れたりして…まさかね?」
最後のつぐみのセリフは果たしてフラグなのかそれとも……(おいコラ作者)
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