夕焼けに誓う幼馴染達   作:椿姫

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骨折してはや2週間、療養生活にもそろそろ飽きてます(マジレス)
治るまで運転ダメと言われてるので出かけることも出来ないんですよね。唯一でかけれるのは病院帰りに飲み物買うくらい…(´・ω・`)


第49話 「風邪とババンボ様」

 

もうすぐ4月を迎える今日この頃、学校内では進級試験のことや新入生の話で話題が持ちきりになっていた。そんな中いつもの様にみんなで集まり屋上で昼ご飯を食べているとひまりが意気揚々と目を光らせていた。

 

「ねぇねぇゆうま!もうすぐ私たち2年生になるんだよ!先輩だよ!」

「あはは、そうだね…」

 

苦笑いになりながらも僕はひまりへ返答する。

 

「あれ?元気ないの?」

「いや…ひまりが進級出来るかなーって思ってただけだよ。この前の英語の小テストでだいぶやらかしてたじゃん?」

「むーっ!?私は進級できますー!」

「確かにひまりは危ういんじゃねーのかー?」

 

巴が冗談交じりにひまりにそう言うと、ひまりは有無を言わさず反論する。つぐみが大丈夫だよと言いながらひまりを宥めてると、大きなホットドッグを咥えたモカが屋上の扉を開けて僕達の方に向かって来る。

 

「もぐもぐ…おまたせ〜…ってあれ〜?蘭が居ないぞ〜?」

 

口をもごもごさせたままモカは辺りを見渡し蘭を探す。と言うのも蘭が学校に来ていなくて僕もひまりも、ましてや巴やつぐみも今来たモカでさえなんの連絡も受けていないから心配していた。蘭のクラスの担任に聞いたら行けるかわかんない、としか連絡がきてないらしい。

 

「どうしたんだろう蘭ちゃん?休憩時間に〇INEしたんだけど全然反応しないし…」

「家の都合とかかな?」

「それだったらアタシ達にすぐ連絡来るはずだろ?」

「風邪引いてて寝込んでるからつぐみがLIN〇しても気づいてないとか?学校終わったらみんなで蘭の家行ってみる?」

「蘭の事だから行ったら追い返されそうだな〜。でも行くけど〜、マー君達ももちろん行くでしょ〜?」

 

モカは購買で買ってきた大量のパンを平らげて更にコンビニで買ってきたお菓子にも手を出す。

 

「追い出されない程度に様子を見るくらいなら…酷かったら看病はしてあげたいけど」

「私も行く!」

 

 

僕とひまりに続き巴とつぐみも、放課後蘭の家に行くことになった。

 

授業を終えて放課後になると、僕達は蘭の家へ足早に向かった。家の前でインターホンを鳴らしたのはいいが誰も反応が無く、心配はますます募るばかりだ。

 

「おかしいなぁ…蘭いるはずなんだけど?」

「蘭ちゃん本当に大丈夫かな?」

「つぐ…」

 

つぐみだけでなくひまり達の顔にも焦りや心配が隠しきれていない。巴がもう1回押してみようぜと言って押そうとしたその時、誰かのスマホに着信が来た。

 

「およよー?みんなー、蘭からLI〇E来たよ〜?」

 

モカが取り出した携帯に全員が注目する。

 

「なんて届いたの?モカ」

「えっとね〜、『正面の門閉まってるからもしあたしに用あるなら裏口から入って』だってさ〜」

「裏口って…前蘭の家で泥棒の人達と争った時に入ったとこだよね?」

「嫌な思い出だけど…ね」

 

そんなわけで蘭の許可が入ったわけだから裏口から蘭の家に入り、全員で蘭の部屋にむかう。巴が部屋を開けるとそこには部屋着で布団を被りゲホゲホと咳き込んでいる蘭がいた。

 

「ヴェッホ!ゴホッ!ゴホッ!ゔゔ…」

「蘭!大丈夫かっ!?」

 

蘭の容態を見るやいなや巴が蘭の寝ているベッドに向かう。

 

「巴?ゴホッゴホッ!!えうぅ…」

「蘭、お前声が…」

「だ、大丈夫…LIVEまでには治ずがらっ…」

「とにかく今は寝てて蘭。僕冷たいもの買ってくるから、アイスとかミネラルウォーターでもいい?」

「う、うん…ありがと雄天」

 

僕はアイスやら買いに行くべく部屋を出て行き裏口から出てはコンビニに向かって走って行った。

 

 

ひまりside

 

 

「うぅ…ゔぇっほ!!ごほごほ…」

「蘭すごく辛そう…」

「ユウが戻ってくるまでアタシらなにをすれば…」

 

私たちが熱と風邪で苦しそうにしている蘭を見ているとつぐが思い出したかのように話し出す。

 

「そう言えばうちのお客さんの常連さんがしょうが紅茶がいいって言ってたよ?」

「そうなのか?風邪と言ったらお粥だろー?」

「お父さん、風邪をひいた時にはとにかく汗をかけって言ってたよ?」

「ひまりー、汗かいたら逆に悪くなるんじゃないのかー?」

「えー?そうかな〜?」

 

みんなが風邪の対応について口々に話し出す。話し合うこと数分、結局意見が纏まらなくて最終的に全部試そう。という形で結論が出た。

 

「私、台所借りてしょうが紅茶作ってくる!」

「私も手伝うよつぐ!」

「モカ!アタシらは毛布借りに行くぞ!」

「お〜!」

 

〜数分後〜

 

 

「これでよし!」

「う、うぅ……」

 

毛布を蘭に被せて汗をかく為にヒーターを設置した頃、私とつぐはお粥としょうが紅茶を持って蘭の部屋に戻る。

 

「蘭ちゃん、しょうが紅茶持ってきたよ!飲める?」

 

つぐが出来たてのしょうが紅茶が入ったマグカップを寝ている蘭の近くまで持ってくる。

 

「あちゅっ…あつあっ…つぐみ、一旦冷ましt」

「つぐ!アタシに任せろー!」

 

巴はつぐからマグカップを受け取り蘭を起こしてしょうが紅茶を飲ませる。

 

「ほら蘭!元気になるぞ!」

「っ!?んん…」

 

急かせかしながら今度は私が持ってきたお粥の入った土鍋茶碗を蘭の前に差し出す。もちろんミトンをつけてね、だって火傷しちゃうから。

 

「お粥もあるぞーっ!!」

「んーんーんーんー!!んーんー!!あーう…」

「蘭!?」

 

蘭は顔を赤くし、目をうずまきにしてそのまま倒れる。

 

「くそぅ!他に熱を下げる方法はないのかっ!?」

 

巴は悔しそうに握拳にぐっと力を込めて悔しそうにしている。そんな時モカが思い出したかのように話す。

 

「風邪ひいてる時は首にネギ巻けばいいんじゃなかった〜?ね、ひーちゃん?」

「え?そこで私に振る!?に、ニンニクとかじゃなかった?」

「いやいや、ニンニクはないと思うよ〜?」

「おいモカひまり!選んでる場合じゃねぇ!!どっちも効果があるならどっちも首に巻くんだよ!」

 

いつの間にか用意していた巴がネギとニンニクを蘭の首に巻く。

 

「う、うぅ…ど、ど"も"え"ぇ"…」

「こうなったら風邪に効くモンを片っ端からやってくぞ!」

「お〜!」

 

みんな一斉にスマホや本で風邪対策、治す方法などを調べていく。

 

「耳に玉ねぎを詰めるといいんだって!」

『それだぁ!』

「みんなこれみて!」

 

健康大百科を開いたつぐが駆けつける。

 

「どうしたつぐ!」

「ユーカリのアロマが良いらしいよ!」

『成程ぉ!』

「モカ!なんかあったか!?」

「えっとね〜…ウンガロホガンガ族は風の悪魔の仕業だと言って、精霊ババンボに祈りを捧げて治すらしいよ〜!!」

「う、ウンガロホガンガ族?な、なにそれ?」

「おっしゃ実行するぞー!ソイヤァ!」

「ええ!?ちょっとまってよてょもえ〜っ!?」

 

 

雄天side

 

 

「はぁはぁ…急がなきゃっ」

 

アイスとミネラルウォーターが入っているコンビニ袋を自転車のカゴから取って蘭の家の裏口から家の中に入る。そしてそのまま一直線で、蘭の部屋の扉を開ける。

 

「蘭、ごめんね遅くなっちゃって。コンビニから蘭の家まで遠くてs…ってええぇぇぇーーっ!?」

「ゔゔ…ゆ"ゔ"ま"ぁ…」

 

扉を開けると寝てるはずだった蘭が布団でぐるぐるにされているだけでなくよくわからない仮面を被され首にネギとにんにくを巻き、ユーカリのアロマが蔓延してる中、耳に玉ねぎを詰められ供え物をされている異様すぎる光景だった。カオスと呼ぶにふさわしくどこからツッコミすればいいか僕には分からない。

 

「いや、ちょっ…えぇ!?どういう事!?みんな何してんのさっ!?」

「ゆうまがアイスとか買ってくるまで私達で看病してたんだけど…」

「これ看病じゃないよねどう見ても蛮族の儀式かなにかの類だよねぇ!!つぐみ、止めなかったの!?」

「途中からおかしいなっては思ってたんだけど言い出せなくて…」

「分かってたなら止めようよ…蘭が心配なのは分かるけどさぁ…」

「ねぇねぇマー君、クヌュルプンポッポミターナペロンチョ持ってなーい?」

「クヌュ…は?え?なにそれ?」

 

モカの発したよくわからない言葉に困惑する。

 

「いやぁね…ババンボ様への祈りを捧げなきゃいけないんだけどクヌュルプンポッポミターナペロンチョだけなくてさぁ…」

「ババンボ?は?いやもう訳わかんない…とりあえずみんな1回部屋出ようか?」

「え?で、でもゆうま…」

 

僕はひまりの方を手を置き、軽く圧をかける。

 

「…同じことは2度言わないよ?部屋を出ようね?」

「えっとゆうまさん?顔笑ってるのにすごく怖いなぁ…」

「ん?なんか言った?」

「……何も言ってません」

 

ひまり達を部屋から1度出して僕は蘭の拘束を解いて、もう一度布団に寝かせる。

 

「はぁ…はぁ…た、だずがっだ…ありがとゆうま」

「蘭大丈夫?とりあえずはいこれミネラルウォーター。飲める?」

「う、うん…」

 

蘭は寝巻きをパタパタさせながら貰った水をぐびぐびと喉音を立てて一気に飲み干す。

 

「はぁ…生き返った…」

「僕がコンビニ行ってる間に何あったのさ…」

「え、えっと…みんながあたしの事を看病してくれてたはずなんだけど途中から変な儀式始まった」

「…後でひまり達にはお説教かな?」

「みんなに悪気は無いはずだからあんまり叱らないでね?」

「それくらい分かるよ、幼馴染なんだから」

 

それからはひまり達も踏まえちゃんとした看病をして蘭をゆっくり寝かせた。2日後には蘭はすっかり調子も良くなり学校にも来れるようになった。それはそれでいいんだけど今度は…

 

「あれ雄天?ひまりは?巴もモカもつぐみもいないんだけど…」

 

屋上に弁当を持ってきた蘭が辺りを見渡す。

 

「実は………」

 

僕は蘭に耳打ちする。蘭はそれを聞くと驚き目を丸くしていた。

 

「は?皆風邪ひいた?」

「う、うん…」

「…雄天、あたしお見舞いと看病手伝おっか?」

「…お願いします」

 

この後めちゃくちゃ苦労したのは言うまでもなかった。





字数少なめですが最後まで読んでいただきありがとうございます。ひまり小説は残すところあと1話、次回で完結となります。
次回は僕がネット小説を書き始めてから2年経つその日、「夕焼けに誓う幼馴染達」を投稿した日に合わせます。

こんなていたらくですが2ヶ月後の最終話まで皆さん何卒お付き合いよろしくお願いします。

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