夕焼けに誓う幼馴染達   作:椿姫

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今年初の話は正月回になります。もう過ぎてるのにいいのか?など思うかもしれませんが見ていってもらえると嬉しいです。
これからも頑張って書いていくので何卒よろしくお願いします!


第41話 「新年のお祝いパーティー」

 

1月1日 滝河家

 

「………よし!完成した!」

 

僕は重箱に最後に作った栗きんとんを入れる。これでやっとおせちが完成した。匂いにつられたのか兄さんが頭爆発した状態で起きてくる。

 

「……なんかいい匂いしたんだが…おお!おせちじゃねぇか!雄天が作ったのか!?美味そうだ!一口もーらi」

「あ?」

 

そう言って兄さんは作ったおせちに手を出そうとしたので思いっきり掴んでそれを阻止する。

 

「いいい痛い痛い!?雄天痛いから!」

「じゃあ……その手は何を掴もうとしたか答えろ?」

「……かまぼこです」

「正直でよろしい」

 

僕はそう言って兄さんの手を離す。

 

「雄天は加減を知らねぇのか!?」

「あれ?まだ痛みを欲しがってるのかな?」

「誠にすいませんでした弟よ」

 

兄さんは目にもとまらぬ速さで土下座する。そんな茶番をしていると家のチャイムが鳴る。出るとそこにはひまり達が振袖姿で玄関にいた。

 

『ゆうま(マー君)(雄天くん)(雄天)(ユウ)あけましておめでとう!』

「あけましておめでと、今年もよろしくね?」

 

僕がそう言うとひまりが我こそはと言わんばかりに前に出る。

 

「よろしくー!ねぇねぇゆうま!どうっ!?新しい振袖!」

 

ひまりはその場で1回転して、「どうかな?」と僕に聞いてくる。

 

「うん、すごく似合ってる。ひまりらしさが出てるし可愛いよ」

 

そう言いながら頭を優しく撫でるとひまりはえへへ〜といいながらその場でニヤける。

 

「新年そうそうマー君とひーちゃんはラブラブですな〜、ねぇ蘭?」

「なんであたしに話ふるのさ…雄天とひまりは『いつも通り』なんだからさ」

「おっ!蘭の新年1発目の『いつも通り』だな!」

「と、巴まで……」

「あはは…取り敢えず家に上がりなよ」

 

僕はそう言ってみんなを家にあげる。リビングに案内すると5人とも目を光らせていた。

 

「こ、これ全部雄天くんが作ったの……?スゴいね……」

「マー君つぐってる〜そんじょそこらのママよりママしてるね〜ジュルリ」

「モカ、それは褒め言葉なの?」

 

モカが褒めてくれたのかどうかはさておき……ってモカの口からヨダレ出そうになってない?あ、拭いた。

 

「ユウが料理できるのは知ってるけどここまでいくとマジですげぇとしか言いようねーぞ?」

「エッヘン!すごいでしょー!」

「なんでひまりがドヤ顔してるのかな?作ったのは僕だよ?」

「冗談だよ〜」

「まったく……」

 

そう言いながらみんなは座って僕が作った正月料理を食べ始めた。モカはよっぽど楽しみにしていたのか食べては僕におかわり要求するしそのせいで炊飯器の米が無くなりかけたし兄さんはキンキンのビール要求してくるし……まぁ新年早々怒りたくもないからあまり言わないけど…そんなことを思いながら楽しんでいると家のチャイムが再び鳴る。

 

「はーい、今行きまーす」

 

出ると蘭のお父さんの仙寿さんが杵と臼を持ってきていた。後ろには積んできたと思われるトラックもある。

 

「あけましておめでとう雄天くん」

「こちらこそおめでとうございます。杵と臼持ってきてくれたんですね?すいませんこんなことしてもらって」

「いや、気にしなくてもいいよ。こういう事ならお安い御用だ」

「父さん?」

 

声を聞きつけたのか蘭が玄関に来る。

 

「なんで雄天の家に?」

「杵と臼を頼まれたんだ。雄天くんが、餅をつくからどうしても貸して欲しいとの事なんだ」

 

仙寿さんがそう言うと蘭は目を丸くして僕の方を見る。

 

「……蘭?何その意外なものを見る目は」

「いや、雄天がやるんだなーって思っただけ」

「どうせだったらつきたてを食べたいなって思ったらこうなった」

「…雄天らしい考えだね」

「じゃあ私は準備をするとしよう。雄天くん、準備出来たらみんなを呼んできてくれ」

 

そう言って仙寿さんは杵と臼をに庭に運んでいく。リビングに戻れば料理は空っぽになっていてみんな大満足しながらテレビを観ていた。僕はそれを尻目にみんなの使った食器やらなんやらを片付けて洗おうとするとひまりが来て「私も手伝う!」と言ってきてくれた。

 

「ごめんねひまり、手伝ってもらっちゃって」

「だいじょーぶだよ〜」

 

腕まくりして僕とひまりは着々と洗い物を片付けていく。

 

「ふぅ…これでラストかな?」

「ねぇねぇゆうま」

 

ひまりが小声で僕に話しかける。思わず僕も小声で反応する。

 

「(どうしたの?)」

「(今みんなテレビに夢中じゃん?だからぁ…)」

 

僕はひまりが何を言いたいのかいまいち分かってない。

 

「…えいっ♪」

 

考えてるとひまりが目を盗んで僕に抱きつく。

 

「(ちょっとひまり!?みんないるのに何してんのさ!?)」

「(ん〜?ゆうまに抱きついてるの〜♪)」

「(そうじゃなくって!誰か振り向いたらどうするのさ!?)」

「(んふふ〜♪)」

 

ひまりは離れそうにもない。

 

「(ねぇ……誰も見てないから、ちゅーして?)」

「(はぁ!?ま、待ってよ流石にそれは…)」

「(むぅぅ、ゆうまのけちんぼー)」

「(あとでどこか連れてってあげるから!ね?今は我慢して!)」

 

納得してくれたのか耳元で「約束だよ」と言ってみんなの元に戻った…はぁ…新年早々ドキドキさせてくれるねひまりは。

 

「雄天くん!準備出来たから来てくれないか!?」

「わかりました!今行きます!」

 

庭から仙寿さんの声がしたので手を拭いて庭に向かおうとする。

 

「マー君どこ行くのぉ〜?」

「これから庭で餅をつくんだよ」

「ほほぉ〜マー君がつくんだ〜?見た〜い」

「別に構わないよ?」

「だってさみんな〜」

 

モカがそう言うと ひまり達は興味を持ったのか見たいって言ってきたからしょうがないなぁと一言だけ言ってみんなで庭に行くことにした。兄さんは酒を飲むととんでもない早さで寝ますので放置しました。そんなわけで庭に来ました。さーて、餅をつくのはテレビでしか観たことないけどやってみますか。

 

「ねぇねぇゆうま!」

「どうしたの?」

「私ね、1回でいいからお餅ぺったんしてみたい!駄目かな?」

「いいのかひまり?杵ってそこそこ重いんだぞ?」

 

僕が言う前に巴がひまりを心配そうな目で見る。

 

「だ、大丈夫だよ巴!私だって杵もてるもん!」

「でもよ…万が一ってのも…」

「だいじょーぶですー!」

 

しばし考えたのか巴は親指をグッと立てる。

 

「ひまり…いって来い!!」

「うん!ありがと巴!私…頑張るね!」

 

こうしてひまりが餅をつき、僕がこねることになりました。

 

 

モカside

 

「………」

「モカちゃん、どうしたの?」

 

マー君とひーちゃんのお餅つきを見てると横からつぐが声を掛けてくる。

 

「いやー、ひーちゃんとマー君が2人でお餅ついてるのをみると『2人の愛の共同作業』的な〜?」

 

そう呟くとマー君とひーちゃんが手を止めてあたしのこと見てきた。わ〜怒られたくな〜い。

 

「あはは、モカちゃんったら…でも確かにそう言えるかもね?雄天くんと一番付き合い長いのがひまりちゃんだし恋人同士ってのもあるよね?……この場合ってケーキ入刀って言うよりはモチ入打って事かな?」

「ぷぷっ……つ、つぐみ…モチ入打って…」

「お、おい蘭…笑うなって……ふふ…」

 

蘭とトモちんは必死に笑うのを堪えてる…

 

「2人とも〜笑っちゃダメだよ〜……んふ」

「モカちゃんまで…なんで笑うの〜?」

 

みんなで笑いながら2人をみるとモカちゃんはあることに気づいてしまったのだ〜。トモちんも蘭も気づいたのか一点を凝視してしまう。幸いマー君とひーちゃんは気づいてない…はず。

 

「も、モカちゃん?」

「ねぇつぐ〜」

「?」

「…大きいよね〜」

「え?あ、お餅の事?そうだよn」

「…つぐみ、そうだけどそうじゃないよ…」

「え?…蘭ちゃんまでどうし…あ」

 

そう。つぐも気づいてしまった。杵を振り下ろすたびにひーちゃんのお胸が揺れていることに……ぷるんぷるんとまるでそう、お餅のように。マー君はこねる作業に集中してるから見えてないけど。それしにしても…

 

(『『『『ホントに大きいなぁ……』』』』)

 

 

ひまりside

 

 

なんだかみんなの視線を感じるような……気のせいかな?

 

「どうしたのひまり?」

「ううん。何でもないよ…そろそろいい感じかな?」

 

お餅をみると丁度いい感じになっていた。おしるこ、きな粉餅、胡桃餅、磯辺焼き……何でこうも食欲をそそるんだろうなぁ…

 

「じゅるるっ……」

「ひまり、よだれを止めようか?」

「……お腹空いた」

「さっき食べたばっかりでしょ?このままだとふt」

「ゆうま!分かってるから言わないでぇ〜」

「ひーちゃん、食べ過ぎるとふ」

「だーかーらぁ!言わないでよぉ〜!?」

 

まぁ結局美味しかったのでみんなで食べました。ちゃんと後で走って消化しないと……食べ終わってからは蘭のお父さんが杵と臼を持って帰るのを見送って私達はリビングに戻ると越天さんはまだ寝てた。その後はみんなで羽根つきやカルタ、花札等をした。蘭がカルタ強かったり巴が羽子板を2つ持ってドラムみたいにしてたしゆうまは花札めっちゃくちゃ強すぎたし……でも楽しかったからいいや♪

 

 

雄天side

 

 

みんなと正月遊びをした後はひまり以外はみんな家に帰り、今リビングには爆睡してる兄さんと僕とひまりがいた。取り敢えず兄さんを起こしに行く。

 

「兄さん起きて、もうみんな帰ったよ?」

「……ふぇ?雄天?」

「はぁ……寝るなら自分の部屋で寝て?片付けるから」

「……じゃーねぇなぁ〜」

 

兄さんは頭を掻きながら上着を持って部屋に行った。僕が腰を下ろすとひまりも隣にきて腰を下ろして肩が触れ合う。

 

「ふふっ、ゆうま〜♪」

「……ひまりは甘えんぼだね?」

 

そう言いながら僕はひまりの頭を撫でると気持ちよさそうに目を細めて「もっと撫でて〜」と言ってくる。

 

「んふふ♪……ゆうまの手冷たいね?」

 

僕の頬にひまりが手をぺたっと当ててくる。僕はその手を優しく握り返す。

 

「ひまりだって冷たいよ?」

「でも…こうしてるとすごくあったかいね」

「うん。そうだね…」

 

恋人繋ぎで手を握る。冷たかった手は今ではとてもあたたかく、愛おしい。僕はもう片方の手でひまりの頬に手添える。

 

「ひゃっ!こっちも冷たい」

「でも…ひまりに触れてるから大丈夫」

「えへへ♪」

「ねぇ、目閉じて?」

 

ひまりは僕が何をするのか分かったのか目をそっと閉じる。右手はずっと手を握ったまま左手でひまりの顔を近づけそっと、

 

「ん」

 

優しく、新年初めてのキスをした。ひまりはキスが終わると顔を赤らめて僕を見つめる。僕も見つめ返すと恥ずかしくなってしまい途中で目を逸らしてしまう。

 

「…新年初めてのキスはゆうまに取られちゃった/////…でも、嬉しい♡」

 

そう言ってひまりは僕の事を抱きしめて耳元で囁く。

 

「大好きだよ、ゆうま。これからも一緒にいようね?」

「…うん、僕もひまりが大好き。ひまりと、みんなと一緒にいたい」

「ありがと♡」

 

ひまりが言い終わると期待に応えるように僕もひまりのことを抱きしめた。

 





投稿が遅くなりました。正月がすぎたのに正月回とはこれいかに…
今回も読んでいただきありがとうございます!

※新しくラブライブ小説を書き始めました。もしよろしかったらそちらも見て言ってもらえると嬉しいです。

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