夕焼けに誓う幼馴染達   作:椿姫

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学園祭編はかなり時間をかけたいと個人的には思ってたりもします

ではどうぞ〜



第34話「羽丘学園 学園祭」 1日目〜屋台もお客もカオスです

 

「んん……」

 

 

目が覚めて僕はスマホに目をやる。今は朝の5時半か……早く起きすぎたかな。でも仕込みとか色々あるからこんぐらいでいいかな?そう思ってると廊下を走る音がした。布団から出て準備室の扉を開けるとそこには資料を持ってるつぐみがいた。

 

「あれ?つぐみ?」

「雄天くん!おはよう。学校に泊まったんだ?」

「まぁね、模擬店担当だし、それに…ね?」

 

そう言いながら寝ているひまりの方を見る。

 

「お疲れ様。私の方も生徒会で泊まり込みで作業してたんだ、中々資料まとめるのに手こずっちゃってさ…あはは」

「しっかりしなきゃね?ま、お互い頑張ろうよ?もし時間空いたら模擬店来てね?クレープ1食分なら僕が奢るからさ?」

「ホント?ありがと雄天くん!じゃあ後でね!」

 

つぐみはそう言って荷物を持って走っていった。さて、ちょっと早いけどひまりを起こすかな…。僕は寝ているひまりのところに戻って起こそうとする。

 

「……髪下ろしてるひまりって久々に見るな…」

 

普段は両サイドをちょっと結んでいて可愛いが髪を下ろすとまた違った可愛さが見られる。

 

「むにゃむにゃ……ゆうまぁ、もう食べられないよぉ……」

 

夢の中でも僕が出てくるんだな…。ちょっとイタズラしたくなっちゃうな。僕は人差し指でひまりの頬をつつくとふふふと笑いながらゴロンと横を向く。そしてひまりのさらさらな髪を撫でると気持ちよさそうにしてくれる。

 

「んんっ………ゆうまぁ、おはよ〜」

 

あ、起きちゃったか。それでも僕はひまりを撫でながら、おはようと言う。

 

「ゆうまぁ、おはようのちゅー……して」

 

寝惚けてるなこれは。まぁするんだけどね。僕はひまりを起こしてそのままキスをする。

 

「…目が覚めた?」

「うん…えへへ/////……ありがと♪」

「だったら良かった、今からクレープ試作するから良かったら……」

「食べる!!」

 

僕とひまりは模擬店屋台のある外に向かおうとしたが途中寒いから長袖パーカーを取りに戻って再び外にいった。自分達の所に向かうと他の屋台の人も準備をしてた。

 

「さて、ひまり」

「?」

「試作するから何か注文してよ」

 

僕がそう言うとひまりは目を輝かせながら「チョコバナナ!」と言ってきた。

 

「じゃあモカちゃんはマロンカスタード〜」

「りょーかい………ってモカっ!?いつからいたの!?」

「ん〜?マー君がひーちゃんにおはようのキスをしてた頃からかな〜?」

「ちょっ/////、さっきからいたってこと!?その潜伏スキルは蛇の人もビックリだからねそれ!?」

「まーまー、気になさんな〜それよりクレープ試作するんでしょ〜?」

 

話を強引に持ってったよこの人……取り敢えず僕は2人分のクレープを作って食べさせる。

 

「おいし〜よ」

「美味しい!!ゆうま、ありがと♪」

「学園祭始まったらちゃんとお金で買ってね?幼馴染だから安くしますよ〜みたいな事はしないからね?」

「はーい♪」

「……しゅーん」

「モカのそのリアクションを見るとゆうまにバレた!みたいな感じだね?」

 

ひまりが珍しくツッコミする。それを見て僕とモカは笑い合う。

 

「なんでわらうのぉ〜?」

 

ひまりがぽかぽかと叩いてくる。

 

「ゴメンゴメン、だってひまりってどう考えても僕の中じゃボケって感じするもんだからさ…あはは」

「モカちゃんもいっぱい笑ったぁ〜」

「もぉ〜、あんまりからかわないでよぉ〜!」

「おっ、ここは滝くん達の模擬店ですか!」

 

声のした方を向くと後ろの髪を止めて相変わらずのラフな格好をしてる麻弥さんと目の下のクマが目立つ和都がいた。

 

「麻弥さんも泊まり込みで作業してたんですか?ってかスゴい煤だらけですよ?和都も」

「そうなんですよ!機材の調子が悪くて華宮くんに手伝って貰ってたんですよ!その後ジブン、機材の話で盛り上がっちゃって気がついたら」

「朝になっちゃった、ってことですか?」

「フヘヘ…その通りです…」

「麻弥さんらしいですね〜」

 

笑い飛ばしてると今にも倒れそうな和都が俺もいるぞと言わんばりに模擬店のとこにくる。

 

「わ、和都……大丈夫……じゃない、よね…?」

「お、お〜雄天……寝ないで機材メンテはキツかったぜぇ、え、演劇部の発表もあるってのによォ…と、取り敢えず、俺は疲れたから部室で寝てくるわ…後でクレープお前の奢りでくれ…」

「ジブンもちょっとクタクタなので部室で休ませてもらうっす。休んだら滝くん達のクレープ食べに来るっす!」

 

最後の和都のセリフは聞かなかったことにしよう。和都はふらふらしながら校舎に入っていき、それに続き麻弥さんも入っていった。

 

「さて、学園祭まで後もう少しだ、ひまり、モカ、手伝いと最終調整よろしくね?」

「わかりましたであります!ゆうま隊長!」

「りょ〜かい〜、マー君大佐」

「なんかモカ違くない?」

 

この後巴も来て模擬店準備は出来た。そして学園祭か始まる五分前となった。僕は前回モカが用意した服に着替えひまりは僕の作ったネコパーカーを来て準備も万端だ。その時、放送が流れた。

 

『あーあー、マイクテスト、マイクテスト』

 

流れてるから大丈夫だと思うが…

 

『マイクテスト、マイクテスト…マイクパース!!』

 

ん?今なんて?パス?

 

『ぶるあああっ!マイクパァーーーース!!』

 

ガン!と硬い音が鳴り僕も含みずっこけそうになる。

 

『ホントにパスすんな!!』

『そこはキャッチしてくださいよー』

『テメーは俺を、怒らせた』

『んだとゴラァ!?』

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』

『無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄ァ!!』

『お前らス●ンド対決してないでさっさとやれ』

 

バチィンと、頬をひっぱたく音がした。

 

『コホン…気を取り直して、皆さん!!今日から3日間は羽丘学園、学園祭になります!徹夜明けの人もそうでない人もまずは、お仕事お疲れ様です!これからもっと忙しくなりますけど大丈夫ですかー?あ、それと先輩、さっきのビンタ気持ちよかったんでもっかいしてくれませんか?』

『そういう事は聞かなくていーだろ!早く始めようぜ!?みんなきっとムラムラ…間違えた!ムズムズしてるはずだからさ!』

『始めるのはいいとしてさ…一緒に『学園祭、目一杯楽しみましょう!!』って言おうぜ?俺一人でいうのって恥ずかしいんだよなぁ…』

『しゃあねーなぁ』

『よし、行くぞ?せーの、学園祭、目一杯楽しみましょう!!……って、お前言えや!!』

『だからテメーらさっさと始めろ!島流しにするぞ!?』

『『す、スイマセン!!』』

『もういい!俺が言う!……ったく、皆さん長らく茶番に突き合わせたことはすいません。色々ありましたが学園祭、目一杯楽しみまびょっ……楽しみましょう!!』

 

「じゃあ頑張ろっか!」

「よーし、がんばっちゃうぞぉー!」

「お〜」

「だな!」

 

結局代わりの人も舌を噛んではいたが、まぁ学園祭が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

始まってからはそれはもう人が多いったらありゃしない。どんどん客が押し寄せてくるもんだからびっくりしたよ。今は少しすいてるかな?そんな事を考えながらクレープ生地を追加してると、

 

「すいませーん」

 

お客さんの声だ。返事をして振り向くと、バイト仲間の花園たえがいた。

 

「あれ?たえも学園祭来てたの?」

「うん、オッちゃんと一緒に来たんだ。ねぇゆう君、ニンジン無い?」

「いや流石にないからね?ってかオッちゃんってウサギかな?」

「じゃあどこかにニンジン売ってる屋台ないの?」

「あるわけないでしょ!?」

「そっか〜、じゃあティラミス1つちょーだい?」

「さらっと注文しないでっ!?」

 

僕はティラミスのクレープを作ってたえに渡した。

たえはどうも〜と言って去っていった。

 

「はぁ…たえにはいっつも疲れさせられるよ…」

「ゆうま、どんまい♪」

「マー君、ガンバ〜♪」

「他人事だと思って……」

「やっほー雄天」

 

次に来たのは沙綾だった。後ろには香澄とあと2人がいた。

 

「あっ!雄天くん!久しぶりー!天体観測ツアー以来だよねー?」

「相変わらずだね香澄は……と、いうかさ後ろのふたりは?」

「そうだった!雄天くんとは初めてだよね?2人とも、自己紹介しちゃって!」

 

そう言って香澄に背中を押されて出てくる。

 

「え、ええと……牛込りみです。poppin partyのベースやってます。よ、よろしくお願いします…め、めっちゃかっこいい……」

「市ヶ谷有咲です。キーボードやってます。よろしくお願いします」

 

市ヶ谷はおとなしそうな人だな。この時の僕の第一印象だった。

 

「2人とも香澄に振り回されて大変じゃない?」

「そ、そんなことないよ?香澄ちゃんは…えっと…その…いい人だよ」

「りみりんっ!?フォローになってないような気がするよ!?有咲はフォローしてくれるよね?」

 

そう言いながら市ヶ谷の肩を掴んで揺らす香澄。うわー、市ヶ谷めっちゃ嫌そうな顔してるー。そんな中我慢出来なくなったのか市ヶ谷は声を荒らげた。

 

「ああもうっ!うっせーよ香澄!!聞こえてるってーの!!フォローはめんどいからしねぇよ!!」

「えー!?酷いよ有咲!!」

「酷くねぇよ!!」

「ねぇ沙綾、なんか市ヶ谷の喋り方変わってない?」

 

僕が沙綾に聞くと、

 

「そう言えば雄天は知らなかったよね有咲の事、初対面だから仕方ないかな?あれがいつもの有咲だよ」

 

と笑いながら答えた。いっぽう香澄はと言うと、

 

「ねぇねぇりみりん有咲、クレープ買ってこうよ!雄天くん!あたしはイチゴ生クリームで!ふたりはどうする?」

「わ、私は…チョコバナナ生クリームで」

「あたしは何でもいいぜ?取り敢えずオススメちょうだい?」

 

僕は3人分のクレープを作って渡す。

 

「あ、ねぇ雄天くん!」

「どうしたの?お金ならさっきちゃんと払ったよね?」

「そうじゃなくて!スマイルください!これやって見たかったんだよねー!!」

「おい香澄、ここはマッ●じゃねーんだぞ!?」

「私にもゆうまのスマイルください!」

「ひまり、●ックじゃないってさっき市ヶ谷言ったばかりだよね!?」

 

はぁ…やるしかないか…

 

「お持ち帰りですか?」

『っ!?』

 

僕の言葉にみんな顔を赤くする。あ、牛込さんめっちゃ顔赤くしてる。

 

「い、イケメンさんをて、テイクアウト出来るのっ!?はうぅっ」

「言っておきながらなんだけど普通に考えて無理だから?」

「りみりん、今なら送料無料だよっ!?」

「香澄、それなんてジャ●ネット!?あれ?すごいデジャヴ!!」

「ゆうまを、おおお、お、お持ち帰りできるの?」

「出来ないからねひまり!?」

「ポイントカードでお支払いしまーす」

「取り敢えずモカ、ポイントカード払いで済ませようとしないで?しまってね?」

「……しゅーん」

 

そんなこんなで香澄達はたえを探しに行くと言って校舎内に行った。入れ違いにつぐみが僕達の様子を見に来たのか屋台に来た。

 

「お疲れ様みんな!どう?調子の方は?」

「つぐ〜!調子はイイよ〜!」

「アタシらの方は問題ないぜ?寧ろいい方だ!」

「モカちゃん達は絶好調なのだ〜」

「そう言えばつぐみ、蘭のクラスって行ったの?」

 

僕がそう聞くとうん!と答えた。確か蘭たちたちのクラスってメイド喫茶だったな…明日はオフだから行こうかな?

 

「どうだった?」

「すごい可愛かったよ蘭ちゃん!!」

「ほほー、つぐがそう言ってるってことは楽しみですな〜?」

「そうだね、つぐみ今休憩中?」

「そうなの、だから雄天くんの作るクレープ買いに来たんだ!ブルーベリーと生クリームのクレープちょうだい!!」

 

僕は作って渡す。つぐみはそれをパクっと食べる。

 

「うん!美味しい!ありがと雄天くん!」

「それは何よりだよ。ありがとつぐみ、それと…」

 

僕はつぐみの頬に付いてるクリームを取って口に含む。

 

「頬に付いてたよ?生クリーム」

「あ、あり、ありがと…」

 

つぐみは顔を赤くする。後ろでひまりとモカから変な視線を感じたのは言うまでもなかった。

 

この後千聖さんや花音さん、日菜さんと紗夜さんに、麻弥さんや和都も買いに来たりしてそれはもう大繁盛だった。ひまりのネコパーカーに友希那さんが夢中になったりと色々あったが。売れ行きが良かったのかクレープの整理券が必要になってしまうほどだった。こうして1日目は無事に終了したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んあぁ、疲れたぁ〜」

 

僕がそう言うと着替えたひまりが後ろから抱きついてくる。

 

「私も疲れたからゆうま成分補充する〜」

「摂りすぎにはご注意を、ね?」

「やだぁ、もう過剰摂取してるからいいのー」

「おいおい…」

 

それを見ていたモカ達は暖かい目でこちらを見ていた。

 

「おーい、みんなー!」

 

つぐみが手を振りながら屋台に来た。後ろには蘭もいる。

 

「蘭もつぐもおっつ〜」

「お疲れ、蘭」

「うん。雄天達もね。あ、後さ…」

「?」

 

蘭が顔を赤くしてる。

 

「く、クレープ、ち、ちょうだい…」

「いいよ、どれにする?」

「ま、抹茶ティラミスで……」

「りょーかい♪」

 

僕はそういうとひとつ作って蘭にあげる。

 

「ありがと…いただきます」

 

はむっ、と蘭はクレープを食べる。

 

「美味しい……」

「だったら良かった」

「ゆうまの作るクレープが美味しいくないわけないよ!ねぇモカ!?」

「マー君の作るクレープは最高なのだぁ〜、明日はモカちゃんとトモちんが作るけどね〜?」

「あっ!それなんだけどさモカちゃん」

「どったのつぐ〜?」

「明日生徒会の仕事が午後からオフなんだ。それで模擬店の方手伝えることになったから手伝うね!」

「お〜、つぐってるね〜」

「う、うんっ!つぐってるよ?」

 

つぐみが疑問符を浮かべながらモカと会話している。

 

「まっ、取り敢えず今日は疲れたから解散するか!明日もあるし、それに……」

 

そう言って巴は僕とひまりのことを見てニヤニヤしてる。

 

「な、なに?」

「いや、明日ユウとひまりは学園祭デートだから、な?邪魔しちゃいけないだろ?」

『なっ!?』

 

その言葉に僕とひまりは揃って声を上げて同時に赤くなる。

 

「ひゅーひゅー、おふたりさんおあついね〜」

「モカ、いつも通り、でしょ?」

「からかわないでよ〜!」

 

僕とひまりは家に帰るまで煽てられながら帰ることとなった。家に着いてから軽く夕食を作って風呂に入ってベッドにダイブした。

 

「明日が楽しみだなぁ……」

「何が楽しみ何だ?兄ちゃんにも教えてくれよ?」

「に、兄さんっ!?何でいるのっ!?」

「いや自分家だからな…」

 

声をかけてきたのは僕の兄さんであり俳優の滝河越天だ。

 

「明日仕事午前だけ休みだからここで寝ようかなって思っただけだがな…」

「兄さんも大変だね」

「そーいうわけだよ…ってか明日何が楽しみ何だ?」

 

僕は兄さんに説明すると兄さんはニヤニヤしながら「頑張れー」と言って部屋に言った。それと同時にひまりからLIN●がきた。

 

ひまり『ゆうま、明日は学園祭デートだよ!楽しみだね!?薫さんたちの演劇に、お化け屋敷、メイド喫茶…ああんもう楽しみー!』

 

雄天『そうだね。明日は目一杯楽しもっか?』

 

ひまり『うん!ちゃんと私の事エスコートしてよね?(*˘ ³˘)♡おやすみゆうま♡』

 

雄天『おやすみひまり』

 

僕は携帯を置いて眠りについた。疲れたからかぐっすり眠ることが出来た。

 

 




今回、何気に有咲が初登場初台詞でした。今まで出てなくて自分でもビックリしました。

次回は雄天とひまり、イチャイチャ学園祭デートです!編集頑張るぞい!


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