夕焼けに誓う幼馴染達 作:椿姫
※第5章は学園祭編を予定してます。
今更ながら滝河雄天イメージ画像になります。↓
【挿絵表示】
鮫島先輩があのデカブツを引き受けてくれたおかげで何とか俺達は蘭の家に入れた。
「蘭ーーー!!どこだー!」
「どこですかランさーん!!」
巴と若宮が蘭の名を叫ぶ。しかし返事はおろか、物音も依然として無い。
「どっかに監禁されてるとしか思えないな…」
歩きながらも蘭の安否を確認するために何度も呼びかけたが反応はない。そう思ってると、
「ううぅ…」
誰かの呻き声だ。それはリビングの方からだった。
「ユウマさん!今呻き声が!」
「俺も聞こえたぞ!巴は?」
「アタシも聞こえた!こっちだ!」
声のしたリビングに行ってみるとそこにはガムテープで口を封じられ柱に縄で縛られていた仙寿さんと蘭のお母さんがいた。俺達は縄を解いてガムテープを取った。
「あ、ありがとう雄天君っ…ゲホゲホッ…」
「ありがとうございます…」
「なぁ仙寿さん。何があったんだ?」
「あぁ、話すと長くなるから簡潔に説明するよ…」
仙寿さんが言うには急に三人組が押し寄せてきてスタンガンで気絶されられ気がつくと柱に縛られていた。そして蘭は腕を縄で縛られた状態でリーダー格のヤツに連れてかれたとのこと。
「どこに連れてかれたとか思いつく場所は無いですか?」
「……思いつくとしたら道場の奥の扉の先の書物庫くらいしか無いな…そこには道場の運営資金や先祖の資産、華道の道具があるからな…」
「それだけ聞ければ充分です。俺達は今からそこに行きます。もしかしたら蘭がいるかもしれないので。仙寿さん達は裏口から出てもらっていいですか?ひまりやモカたちが待機してるかもしれないので」
「分かった…雄天君…不躾だと思うが…娘を…蘭を助けてくれ!大切な…大切なたった1人の娘なんだ!」
仙寿さんは泣きながら頼み込んできた。その答えなんてひとつに決まってる。
「当然です。蘭は助け出します」
俺はそう言ってスマホを取りひまり達に電話をする。
『もしもしゆうま!?大丈夫!?』
「大丈夫だよひまり。今から仙寿さん達を裏口に向かわせる。裏口からでてきて合流できたなら罠を仕掛けてほしい。それと庭では鮫島先輩が犯人の一人を押さえてる。犯人の1人にしっかり狙いを定めてくれよ?」
『りょーかいであります!』
「じゃあ切るぞ」
俺は電話を切って今の話を仙寿さんたちに伝えると「分かった」と言って2人で向かった。鮫島先輩…無事だといいが…何はともあれ道場に行かないと!
(蘭…待ってろよ!すぐに助けるからな!)
鮫島side
「が、学生風情がいい気になっちゃダメなんよ!俺を拘束するなんて甘い考えは捨てるんよ!」
ワシは犯人グループの1人を止めるのに必死じゃった。もうそろそろ限界かもしれん…雄天…すまんのう…もうフラフラで意識が朦朧としとるんじゃ…
「さぁ、1発で楽にしてやるんよ…」
そういい相手が拳を振り下ろす。けれどもワシは残ってる力を振り絞って動きを止めるために回り込んで腕を締め上げた。
「な、なにするんよっ!?」
「今じゃぁぁぁぁぁぁ!!」
声をあげて合図を送る。すると裏口から青葉、上原、羽沢が軍手に角材を持ってワシが拘束した男に向かって向かっていきそのまま脇腹にぶつける。
「ぐがぁっ!?」
そしてその勢いでワシは隠してあったロープを使って相手を拘束した。
「何とか上手くいったのう…三人ともありがとさん…」
「いえ、大丈夫ですよ鮫島先輩。それよりも…」
「あぁ、雄天達は大丈夫かのぅ…」
雄天side
仙寿さんの話を元に俺達は道場に向かった。そして道場前の障子扉を開けるとそこには犯人グループと思わしき人物が1人目を閉じて座禅している。そして足元には木刀が二本置かれていた。
「…あれ?部屋間違えたか?」
「巴。多分ここだと思うぞ?」
「………」
俺と巴がそんな話をしてると向こうから話しかけてきた。
「…………お主らか。ドッタンバッタン大騒ぎしていたのは?」
立ち上がった男は木刀をこちらに向けている。俺は怯まずに声を荒らげながら聞いた。
「蘭はどこいいるんだ!?お前がリーダー格じゃないことくらい分かってるぞ!!」
「そうカッカするな。アイツと仙寿の娘はこの先の書物庫にいる。そして…アイツからの伝言だ」
アイツとは十中八九リーダーのことだろう。言い終わると木刀の先をこちらに向けてきたかと思うとものすごい速さで間合いを詰めて来た。竹刀の先は俺の目と鼻の先で止められてる。
『っ!?』
「……死なない程度に痛めつけて私の所に持ってこいとの事だ」
そう言い終わると男はもう一本の木刀をこちらに投げてきた。俺は意味が分からず問いかける。
「何の真似だ!?」
「このまま貴様たちを叩きのめすのは我の武士道に反する。だから貴様たちも我の木刀を使い戦え。無論1体1の真剣勝負、茶々を入れるのは無論厳禁だ。さぁ誰が出る?」
男の言葉に俺はすかさず木刀を取ろうとする。
「ワタシがやります!」
声を上げて木刀を取ったのは若宮イヴだった。突然の事で反応が遅れてしまった。巴と俺は困惑している。
「おいイヴ!女手ひとりじゃどう考えても勝ち目なんてないんだぞ!?本気か?」
「若宮落ち着け。お前がどうにかなるあいてじゃないだろ?」
「…確かにワタシがどうにかなる相手じゃないかもしれません。でも、『ブシドー』は、悪や犯罪に手を染めるためにあるものではありません!!人を傷つけるものでもありません!ブシドーは、『弱きを助け強きをくじく』ため、大切な人を守るためにあるんです!」
若宮はそう言って男の前に立つ。
「…ユウマさん、トモエさん。ここはワタシが時間を稼ぎます!なのでその隙に奥にいってランさんを助けてください!」
ここまで覚悟を見せてくれた若宮に思わず頭を下げそうになる。こうなったら頼むしかないかもな。
「分かった…無茶だけはするなよ!!巴!ダッシュだ!!」
「へ!?お、おう!!」
俺は巴とそのまま奥の扉を開けて行った。
(若宮…………お前は強いな…俺も負けるもんか!!絶対蘭を助けて帰るからな!!そっちも負けんなよ!)
イヴside
ワタシがユウマさんとトモエさんを見送ると男が話しかけてきました。
「良かったのかお嬢さん?一人だけ残って」
「構いません」
ワタシはそう言って木刀を向ける。
「お覚悟を」
そう言うと男は高笑いをした。
「ハッハッハ。面白いなお嬢さん、武士道にここまで入れ込んでいるものを見るのは久々だ。良かろう。手合せ願う」
男の人も木刀を向けて言い放ちました。
「…見せてもらおうか。お嬢さんの掲げる武士道を」
「見せてあげます…そして本当のブシドーは何なのかをアナタに教えます!いざ!!」
そして互いに己のブシドーのために戦いが始まりました……なんかこういうのってサムライっぽくて素敵です!!…なんて言ってられませんね。
雄天side
俺と巴は遂に蘭の捕えられてる書物庫に着いた。そしていざ開けようとしたが全く開かない。
「ユウ!!ダメだ全くビクともしねーぞ!?」
「こうなったら……巴!避けて!」
「ユウ!?どーするんだよ!?」
俺は助走をつけてドアを蹴った。そしたらしっかりとドアが開いた。
「ええぇ!?蹴って開けていーのかよ!?」
「ん?よく言うだろ『押してダメなら1発蹴ろうぜ』って?」
「それはユウ限定だろ!?」
巴にツッコミを入れられながらも書物庫に入ることが出来た。初めて入ったなここには…というか広くね?
「な、なぁ巴…巴ってここ入ったことあるか?」
「いや、アタシも入ったことはないぜ?」
この広い書物庫のどこかに蘭がいるのか…
「取り敢えず蘭を探そうぜユウ?」
「そうだな…」
そう言いながら探そうとすると奥の方からドサドサと本が落ちていく音がした。
蘭side
リーダー格の男に連れられ書物庫にきたあたしは本棚にぶつかって本を落としてしまう。
「おい、ちゃんと歩けや!!」
縄で縛られてるのにちゃんと歩けるわけ…
「蘭!!」
知っている声。もしかしてと思い振り向くと巴と雄天がいた。助けに来てくれたことが嬉しくて泣きそうになる。その時リーダ格の奴が声を荒らげた。
「ぃやはりテメーがここまで来たかぁ!!滝河雄天ぁ!!」
雄天side
「何故俺の名前を知ってるんだ!?アンタ何もんだ!?」
俺がフードの男に向かってそう言うと男はニヤニヤし始めた。
「忘れたとは言わせねぇぞぉ〜?……お前が私にした事は今でも鮮明に覚えてるぞ!?」
そう言って男はフードをとって俺達に素顔を見せた。その男は俺や蘭、巴達を驚愕させる人物だった。
「………え?」
「なんでアンタが……」
「………どういう事だよ!なんでアンタがこんなことしてんだよ!?」
突然ですが問題です!美竹家襲撃のリーダーは一体誰でしょう?
ヒント:今までの話の中にあります。
気軽に参加してくれて構いません。「これだ!」と思った人を書いて感想欄にでも書いていただけると嬉しいです。正解者にはメールを送信します!豪華賞品などは用意出来なくてすいませんm(_ _)m
追記
位置を直しました