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1話 再会
【イリヤ視点】
私、イリヤスフィール。皆長いからイリヤって呼んでる。私にはお姉ちゃんがいるけど4年前にパパに連れられてどっかに行っちゃった。でも、もうすぐお姉ちゃんが帰ってくる。私の大好きなお姉ちゃん。はやく会いたいな。
「イリヤさ〜ん、学校に遅れてしまいますよ〜。」
「は〜い、今降りるから待って〜。」
私は制服のリボンを結んで、1階に降りた。そして、学校指定の靴を履いて、
「行ってきまーす。」
「はい、お気をつけて。」
私は家の扉を開ける。するとそこには知らない女の人が立っていた。身長は低めだけどスタイルはよく、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいて、さらに腰のあたりまで伸びた赤髪で、整っているのに童顔。そんな女性が立っていた。その人は、私の方を見て、笑顔を向けている。ん?あの笑顔、どこかで……。
「イリヤ。イリヤだよね。」
女性は私の名前を呼んでいる。なんで私の名前を知ってるんだろう?
「私よ、イリヤ。士郎だよ。」
士郎。え、もしかして、
「お、お姉ちゃん!?」
「うん!ただいま、イリヤ!」
これは、夢?私は思い切り頬をつねる。痛い。と、いう事は、
「本当に、帰ってきた、私の、お姉ちゃんが。う、うぅぅ……、お姉ちゃん!!」
「イリヤ!!」
私はお姉ちゃんに飛びついた。顔が火照るのを感じる。目の下が熱い。四年間の思いをすべてはきだす。涙が溢れて止まらない。
ようやく落ち着いて、2人で話そうとしたけど、自分が今から学校に行かなきゃいけない事を思い出した。今日は休みたいなぁ、と呟いたら、
「だめよ、イリヤ。学校はズルで休んじゃいけないの。」
とお姉ちゃんがいってきた。お姉ちゃんのこういうところは変わらないな、と思い渋々学校に向かった。
でも、これからはまた一緒に暮らせる。そう思うと顔が緩まずにはいられなかった。
【士郎視点】
イリヤとの再会の後、私は家の中に入った。
「イリヤさんですか?何か忘れ物でも」
「ただいま、セラ。」
「え、し、士郎ですか。」
セラは信じられないといった表情を浮かべていた。
「うん、士郎だよ。ただいま、セラ。」
瞬間、セラは私に抱きついてきた。
「おかえり……なさい、士郎。」
セラは懐かしむように私に抱きついていた。そこにリズがきた。
「お、士郎だ。いつ帰ってきたの?」
「今帰ってきたばっかだよ。」
「そっか、おかえり。」
「2人とも、ただいま!」
私は2人に笑顔を返した。
【イリヤ視点】
私はお姉ちゃんと早く話したくて、学校でずっとそわそわしていた。そんな私を不思議そうに見てくる友達がいた。友達名前はは美々、辰子、雀花、那奈亀の4人。
「どうしたの、イリヤちゃん。今日ずっとそわそわしてるよ。」
「美々の言う通りだぞイリヤ。どうした、何かあったか。」
やっぱりわかっちゃうか。
「ん〜、ふふふ。あのね、お姉ちゃんが帰ってきたんだ。」
「お姉ちゃんって、あの衛宮士郎さんか!」
瞬間、教室は静まりかえった。あれ、私何かまずい事いっちゃった?
「衛宮士郎さんといえば、転校初日で男女問わず皆魅了したとか。」
何その話!?初めて聞いたんだけど!?
「よし、放課後見にいってみようぜ〜!」
「「「おー!」」」
「何勝手に決めてるの!?」
お姉ちゃんは今日帰ってきたばっかりだから、ゆっくりさせてあげたいのに…。でも、私のこの思いはとどくことはなかった。
〜放課後〜
「ただいま。」
「「「「お邪魔しまーす。」」」」
「イリヤさん、おかえりなさい。皆さんもようこそいらっしゃいました。ゆっくりしていってください。」
セラが丁寧に挨拶をした。私は4人を私の部屋に案内してから、お姉ちゃんの部屋にいった。
「お姉ちゃん、いる?」
「うん、いるよ。」
お姉ちゃんは自室にこもっていた。
「私の友達に紹介したいんだけど。」
「うん、わかった。」
お姉ちゃんの部屋の扉があいた。中から、…作業服をきたお姉ちゃんがでできた。
「……お姉ちゃん、なんで作業服着てるの?」
「この服が落ち着くの。」
いや、そうじゃなくて。女子高生が私服として作業服を着るのはどうかと思う。
「お姉ちゃん。……今すぐ着替えなさい!」
私はお姉ちゃんの服に手を伸ばし、脱がせ始めた。
「え!?ちょっ、ここで!?ちょっと待って。せめて部屋の中で、いや、きゃぁぁぁぁぁぁ!」
お姉ちゃんが慌てふためき、悲鳴をあげてしまった。私の部屋にいた4人とセラ、リズがお姉ちゃんの部屋に駆けつけた。…その後は、セラにひどく怒られて、お姉ちゃんはちょっと泣いちゃって、そんなお姉ちゃんをリズと4人が慰めていた。帰り際、「イリヤのお姉さん、可愛いね。」と皆が揃えて言って帰っていった。
セラのお説教が終わった後、私はお姉ちゃんのところへいった。
「お姉ちゃん、いる?」
「!?う、うん、いるよ。」
明らかに動揺している。こんな事にしたくはなかったのに。私はお姉ちゃんの部屋に入る。
「さっきはごめんなさい。私も、あんな事する気はなかったの。」
不意に頬をつたう一粒の雫を感じる。肩が震える。すると、それは包み込まれ、顔を胸に押し込まれた。
「大丈夫、イリヤが優しい子なのは知ってる。私は気にしてないよ。だから大丈夫。」
……お姉ちゃんには敵わないなぁ。私はそんな風に思った。お姉ちゃんはやっぱり私の大好きなお姉ちゃんだった。
【士郎視点】
イリヤの一件があった後、私はセラと一緒に夕飯を作って、それを皆で食べた。セラは「…数年見ない間にこんなにも腕をあげているとは……。」と呟いていた。だってお父さんと2人で暮らしてたんだもん。毎日作ってたら腕もあがるよ。
夕食後、後片づけを終えて部屋に戻る途中、外で魔力反応があった。
「……秘匿はどうしたのよ。こんなにも堂々と魔術を使って。」
私は呆れたように呟いた。
「士郎。」
セラが階段にいる私に声をかけてきた。要件はセラの顔を見ればすぐにわかった。
「うん。任せて。」
私はイリヤのいるお風呂場に向かった。
「イリヤ〜、一緒に入ろ♪」
「お姉ちゃん!?」
いきなりはいってきた私にイリヤは驚いていた。そんなイリヤの返事も聞かず、私は身体を洗い湯船に入った。
「こうやって2人でお風呂に入るのも久しぶりだね。」
「……そ、そうだね。」
「もしかして緊張してる?」
この時イリヤは、大好きな姉と一緒にお風呂に入れた喜びと、成長した姉の胸が当たる恥ずかしさが入り混じって、士郎の話も殆ど聞こえていない状態であったが、士郎がそれを知る由もない。
ふと私は、後方から飛んでくる魔力を感知した。この状況で迎撃するには…。そう考え私は桶を手に取った。
(
私は小さな声で呟き、桶を強化する。標的までの距離、およそ200m、今からスイングすればいける。
「イリヤ!伏せて!」
「ふぇ?」
私はイリヤに当たらない様に強化した桶を振る。そして1番威力が強くなるタイミングでジャストミートした。
「ふぎゃあ!?」
変な声をあげて、標的は元来た場所へ戻っていった。
「お、お姉ちゃん?」
イリヤは私が何をしているのか不思議そうに見上げて来た。
「いや〜、石みたいのが飛んで来たのかと思って桶で防ごうとしたんだけど、ダメだったみたい。」
私は鼻をおさえながらいった。これで桶を振った事と変な声の言い訳がつくだろう。
「そ、そうなの!?大丈夫?」
信じてくれた。でも、それはそれでちょっと心配……。変な人に騙されなきゃいいけど……。
「うん、大丈夫。心配しないで。」
私はそう言って、イリヤと湯船に浸かりながらいろんな話をした。楽しげな話し声が家に響いた。…こんな時間がずっと続きますように。
今回から、原作のストーリーに近づけて、物語を進めていきます。
バトルシーンとか、どうもいい表現が出てこなくて意味がわからないところが出てきてしまうかもしれません。もちろんそんな事はない様にしますが、その辺りご了承ください。
では、次回もよろしくお願いします。