まず、少し更新が遅くなりました。すいません。
テスト終わりで身体がとてつもなくだるいです。
ですが、またコレに専念できます。
【士郎視点】
私達衛宮家は今、重大な問題に直面している。それは、
「本当に申し訳有りません。今日1日どうしても外せない用事がありまして、今日の昼食と夕食は出来そうにありません。」
今日1日、セラが家にいないという事だ。それのどこがまずいのか。それはセラ以外ごはんを作れる人がいないからだ。お父さんは、ファストフードばっかり。私はあまり好きではない。正確にいうなら、栄養が偏ってしまうから、好きではない。またお母さんの料理は、……とても口にできない。実際、お昼は『母親である私の出番ね!』と言って、究極の闇鍋を作り上げた。まぁ、誰も食べれる人はおらず、結局ファストフードとなってしまった。リズは作った事がないと断言した。イリヤは論外。となると、残るは私しかいない。家庭科の調理実習で興味を持って、いろんな料理本をみたけれど、実際にやった事はない。出来るか出来ないかは半々といったところ。でも、私しか出来る人はいない。だから、
「夕食は私が作る!」
と宣言した。皆驚いていたけど、それしか方法はなかったので、有無を言わせなかった。
〜夕食前〜
さて、何を作ろう。お昼はハンバーガーやら何やらだったから、野菜中心でいきたいと思う。冷蔵庫の中を見る。中にはトマトや玉ねぎ、茄子、パプリカ、レタスなど色々揃っていた。私は比較的簡単なものしかできないから、調理方法も限られてくる。けど限られた調理方法でも、何とかなる。
私は調理道具の棚からダッチオーブンを取り出した。ダッチオーブンにオリーブオイルとつぶしたにんにくをいれて中弱火で火にかける。にんにくに色がついてきたら、ざく切りにしておいた玉ねぎ、パプリカを入れ軽く炒める。次に水にさらしておいた茄子を入れ軽くかき混ぜ、最後に皮をむいておいたトマト、ローリエ、塩を入れ、中弱火で25分余熱で10分煮込んでおく。これでラタトゥイユが完成。
次の品に取り掛かる。レタスを一口サイズにちぎって洗いクレソンと一緒に盛り付ける。オリーブオイル、レモン、バルサミコ酢などをベースにした特性ソースをかける。簡易サラダの完成。
最後は白身魚に手をつける。バターなどを上からかけてムニエルにする。この時、皮は剥いでおく。
以上3品。私は料理を初めてまだ1週間ぐらいだから、美味しくできているか心配だけど、精一杯作ったから気に入ってほしい。私はそんな風に思って料理を運んだ。
【切嗣視点】
娘に料理を作ってもらうのがこんなに嬉しい事だとは正直思わなかった。どんな料理でも、美味しく食べてあげようと思う。僕はそう思って食卓に並んだ料理をみた。
「美味しそうじゃないか。」
野菜中心で肉が入っていない。多分昼のハンバーガーの事を気にしているのだろう。
「.それじゃ、いただきます。」
まず一口。士郎が僕達の様子を伺っている。料理の感想は、
「……美味いな。」
それは予想を遥かに超えていた。野菜だけなのにとても満足できる。皆とても美味しそうに食べている。
「士郎、いつの間にこんなに上手に作れるようになったんだい。」
「本で読んで。」
本だけでここまで作れれば上出来だろう。皆でペロッと平らげてしまった。
「ただいま戻りました。」
セラが帰ってきた。
「またファストフードなどを食べてるのですか……おや?誰が作られたのですか?」
セラは不思議そうに尋ねてきた。誰も作れる人がいないと思ったんだろう。
「士郎だよ。とても美味しくできていた。」
えへへ、と笑う士郎。嬉しかったんだろう。とても可愛い笑顔を浮かべている。
セラはとっておいた料理を口にすると「いつの間にこんな腕を」とぶつぶつと呟いていた。まぁ、美味しいならいいと思うんだけどね。
こうして、セラがいない1日は幕を閉じた。
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【士郎視点】
時は流れて私が中学1年生になって半年が経った頃の朝、丁度仕事から帰ってきていたお父さんが、
「士郎、僕の仕事について来てくれないかい。」
といってきた。私は気持ちの整理が付かず、
「ちょっとだけ時間を頂戴。」
と返事をした。私はその状態で学校に向かった。
【一成視点】
学園には『士郎ちゃん親衛隊』なるものがあるそうだ。もはや学園のヒロインとも呼べる存在になりつつある衛宮のための隊だそうだ。そんな親衛隊が本日、生徒会室に殴り込んできた。
「柳洞!貴様ぁぁぁぁ!!」
「な、何事だ!」
俺は急な事に驚きを隠せなかった。どうやら朝から元気のない衛宮をみて、原因が俺にあると思ったそうだ。それにしても、あの衛宮が元気がないのか。
「よし、俺から何か聞いてみよう。」
「頼むぞ、柳洞。我々はあんな士郎ちゃんを見たくない。」
それは俺も一緒だ。衛宮には元気な様子と笑顔が一番似合う。俺はそう思い、生徒会室を後にした。
教室に着くと早速違和感を感じた。活気がない。いつもなら朝はもっと騒がしいはずなのだが。とりあえず俺は自分の席につく。そして、荷物の整理をして、
「衛宮、今日は生徒会室で昼食をとらないか?」
「……あぁ、一成君。おはよう……うん、お昼は生徒会室で……。」
これは思ったより重症である。何としてでもどうにかしなければなるまい。そう思った。
昼休み。俺は、衛宮、美綴、間桐の3人と共に昼食をとった。普段だったら文句を言ってやるところだが、今日は衛宮の事もあるので、自重する。相手も同じだろう。
「んで、何を悩んでんの士郎。」
「え、何急に。」
話を切り出した美綴。それに乗っかることにした。
「何か悩みがあるのだろう。顔を見ればわかる」
「私、そんな顔してた?」
あぁ、と答える。すると衛宮は、そっかぁ…とため息まじりの声を漏らし、語り出した。
「私ね、お父さんに仕事についてこないかって言われてるの。」
瞬間その場の3人は理解した。それはつまり、衛宮との別れが近いという事だ。もっとも別れといってもまた戻ってくるという事で、だいたい3、4年程度だそうだ。しかし、衛宮はどうしようか迷っているらしい。ならば、ここは友として助言すべきだろう。
「衛宮、それはお前自身が決める事だから俺達が言える事はない。だが、どちらを選択しても、後悔はするな。選んだ道が良かったと思えるようにしろ。いいな。」
「一成君………わかった。ありがとう。」
衛宮は何かを決意をした目をしていた。あれならばもう問題もないだろう。俺はそう思った。
その次の日、衛宮士郎は父親の都合により海外に行くと担任から告げられた。急に言われたので、簡単な送別会しかできなかった。その時彼女が言った言葉はよく覚えている。
『皆、私はまた帰ってきます。絶対帰ってきます。だからどうか覚えていてください。』
学園生徒は彼女の言葉を信じ、彼女の帰りを待つ。
【士郎視点】
一成君達のおかげで、決める事が出来た。私は世界を見たほうがいい。お父さん曰く、私の投影魔術のためにもその方がいい、だそうだ。大切な人を守るには、もっと力をつけなくちゃ。私はお父さんについて行くと決めた。
そして、ついに出発の日になった。見送りには、セラ、リズ、イリヤの3人がいた。
「じゃあ、いってくるよ。イリヤをよろしく。」
「はい。いってらっしゃいませ、旦那様、士郎。」
「いってらっしゃい。」
「うん。いってきます。」
私はそういうと車に乗り込もうとした。だがそれをとめる人がいた。
「イリヤ……。」
「お姉ちゃん。本当にいっちゃうの?」
イリヤは泣きそうなのを堪えながらそう尋ねた。
「うん。でもまた帰ってくるから。それまで待ってて。手紙も書くから、ね。」.
イリヤの頭を優しく撫でる。イリヤは溢れてきた涙を拭い
「うん。いってらっしゃい。」
と言った。私も、
「いってきます。」
と笑顔でそう告げた。
実はこの作品以外にあと2作書き溜めしてるんです。士郎ちゃんが落ち着いたらそっちも投稿してみたいと思います。
この回は作品内時間を飛ばす回にしようとしたんですけど、あまりにも中途半端な文字数だったので、急遽付け加えました。そしたら余計ごちゃごちゃしてしまいましたが……。
次回から、本編第1章のスタートです。お楽しみに。
では、次回もよろしくお願いします。