Fate/プリズマ☆士郎ちゃん   作:ギルディア シン 呪雷

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ギリギリ10月中にもう一回更新できました。




9話 嵐の前の・・ イリヤ編

【イリヤ視点】

 

38・2度の熱で今日は学校を休むことになった。体は全然怠くないのになぁ。

 

「は〜〜、重病でもないのに学校休むのって、ちょっぴり罪悪感があるよね〜〜。」

 

『まー、昨晩は激闘でしたからねぇ。今日くらい休んでもバチはあたりませんよ。』

 

「そうかなぁ〜。」

 

ルビーとそんな話をしていると、コンコンと窓を叩く音が聞こえた。私は上体を起こし、窓を開けた。

 

「イリヤ、おはよう。」

 

「お姉ちゃん!?」

 

何とそこにはお姉ちゃんがいた。

 

「しーーっ!!見つかっちゃうから!」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「うん。その様子だと元気そうだね。よかった。」

 

お姉ちゃんは安心した表情を浮かべていた。

 

「じゃあ、私は学校行くから、イリヤは安静にしてるんだよ。」

 

「はーい………って、え?」

 

あれ?お姉ちゃん学校行くの?どう考えても、お姉ちゃんの方が重症だったのに。お姉ちゃんに色々聞こうとしたけど、窓の外にはもう姿はなかった。

 

「あれ?お姉ちゃんは?」

 

『あそこですよ。』

 

ルビーが示した方向には、家々の屋根を軽やかに飛び、誰も見ていないところで道路に着地したお姉ちゃんがいた。

 

「お姉ちゃんって……、すごいなぁ……。」

 

『あれはもはや半分英霊ですね。』

 

そう呟いて、私は何事もなかったかのようにベッドに入った。

 

「ん〜〜、最近夜更かしが多かったから、朝起きるのつらかったんだよね〜〜。

あー……、平日のこんな時間からゴロゴロするのって幸せかも……。」

 

『…休息も結構ですが、そのまま登校拒否児(スクールエスケイパー)にならないでくださいね?』

 

ルビーが何か言っていたのはわかったけど、何を言っていたのかはわからなかった。

 

『………寝ましたか。』

 

「……大きくなったら、ニートになりたい……。」

 

『何て寝言でしょう!!』

 

 

お昼前にお姉ちゃんがリズに背負われて帰ってきた。それから数時間が経って、時刻は午後三時を回っていた。私はと言うと、

 

「ひ………、暇だッ!!!!」

 

あまりにやる事がなく暇を持て余していた。

 

「あーもー暇だわー!何にもする事なくて寝てるだけって意外とキツイ!!」

 

『元気な病人ですねー。熱はもういいんですか?」

 

「もう何ともないよ…、もともと風邪でもないんだから。」

 

あぁ…、暇って人間をダメにするのね……。勉強とか仕事とかに縛られる事で、ようやく人は人らしく生きられるんだわ……。

 

『その歳で老成した人生観をもつのも如何なものかと思いますがー。』

 

「だからナチュラルに私の思考を読まないでよ!!」

 

そう叫んだ私だけど、ふと机の上に置かれたカードが目にはいった。

 

「まだ0だなぁ……。」

 

『?何がですか?』

 

「私達が回収したカードの枚数。なんだかんだいって、お姉ちゃんがいなかったらカードを回収できてないなぁって。」

 

この前のキャスター戦でもそう。お姉ちゃんがいなかったら、美遊は相手の攻撃でやられてたし、その後のセイバー戦も、皆危なかった。

 

「美遊も、お姉ちゃんに頼りすぎだって思ってるのかな……。……美遊、今何してるのかなぁ……。」

 

『では直接聞いてみましょう!!』

 

そういうとルビーの頭からアンテナみたいなのが生えてきた。

 

「ってうわ!?なにその形態!?」

 

『24の秘密機能(シークレットデバイス)の1つ、テレフォンモードです。あ〜、もしもしサファイアちゃん?起きてますか〜?』

 

『どうしたの姉さん?」

 

『今の声、…何、サファイア?』

 

ルビーからサファイアと美遊の声が聞こえてきた。

 

「あ、もしもし美遊?ごめんね、今大丈夫?」

 

『うん、今日は私学校休んでたから。』

 

そうなんだ〜、と相槌をうった。でも急に言葉が続かなくなってしまった。ど、どうやって話題を振ろう……。

 

『ああ、もう!焦れったいですね!こうなったら顔を合わせてお話ししてください!サファイアちゃん、テレビ電話に切り替えてください!』

 

『わかりました。よろしいですね、美遊様?』

 

テ、テレビ電話!?ちょっと私今パジャマなんですけど!あ、でも美遊もパジャマなのかな?ちょっと見てみたい気もする。

 

『ちょっ、まっ!?』

 

いつもは聞かないような美遊の焦ったような声が聞こえたと思ったら、ルビーが壁に映像を投射した。

 

そこには、メイド服を着た(・・・・・・・)美遊がいた。

 

「メ、メイド服!?」

 

『あらあらまあまあ……!なんとも良いご趣味をお持ちのようで!』

『こ、これはそのっ…、私の趣味じゃなくて…!ルヴィアさんに無理矢理着させられてっ……!』

 

頬を赤らめ、目尻に涙を溜めて言い訳をする美遊がとても可愛くて、その姿を見て、私の中の変なスイッチが入った気がした。

 

「美遊……今すぐあなたに会いたいわ……。」

 

『へ?何を……。』

 

「うんすごく会いたい、なんて言うか生で見たい、来て、今すぐ来て!そのまんまの格好で!!家は向かいでしょ!早く、駆け足ーッ!!!」

 

『は、はいぃっ!!?』

 

早く見たいなぁ、と考えていたらすぐにうちのチャイムが鳴った。そして私の部屋の扉が開かれた。

 

「お、お邪魔します……。」

 

「いらっしゃーーい!!」

 

美遊がちいさく「あうっ。」と声をあげて飛びついた私を支える。

 

「わー!本当にメイド服だー!いい生地使ってるし、縫製もしっかりしてる!本物だよね?本物の小学生メイドだよね?ちょっと『ご主人様』って言ってみて!」

 

「え?普通は『お嬢様』じゃ……。」

 

「いいから!!」

 

「ごっ、ご主人様!?」

 

私に言われるがままにやってくれた美遊に満足して、ちょっと落ち着いてきた。

 

「ご、ごめんね?なんか変なスイッチ入っちゃって…。」

 

「い、いえ別に……。」

 

美遊の意外な一面にテンションが上がってしまい、本来の目的を忘れていた。

 

「そうそう、今日は美遊と話したいことがあったの。」

 

「なに?」

 

私は少しだけ気持ちを引き締めた。けど、そんな固い話をするつもりもないから、適度に引き締めただけ。

 

「私たち、ちょっとお姉ちゃんに頼りすぎなのかなって。」

 

「………私も同じことを考えてた。お姉ちゃんはステッキを持っていないのに、私たちよりカード回収に貢献してる。」

 

やっぱりこのままじゃダメだよね、と私たちは話し合っていた。すると、ルビー達がいない事に気がついた。

 

「あれ?ルビーは?」

 

「サファイアもいない。どこに行ったんだろ?」

 

『お二人さん!ベッドから退いてください!』

 

「「えっ?」」

急にルビーの声が聞こえたと思ったら、ベッドに何か落ちてきた。私たちはそのままベッドに寝転ぶ形になった。

 

「な、なに?ってお姉ちゃん!?」

 

「え?なんでお姉ちゃんが?」

 

『お二人の悩みを解消するために士郎さんをお連れしようと思ったのです。しかし、お休み中でしたのでそのままにしようと思ったのですが。』

 

『私が転移させちゃいました☆』

 

何やってんだ、このステッキ。とルビーを怒ろうと思ったけれど、偶然にもお姉ちゃんと一緒に寝れるチャンスがやってきた。

 

「まぁいいや。なんか眠くなっちゃった。美遊も一緒にお昼寝しよ?」

 

「…うん。」

 

美遊もやっぱりお姉ちゃんと一緒に寝たいらしい。私たちは隣で規則正しく呼吸するお姉ちゃんに寄り添いながら目を閉じた。

 

『結果オーライですね!サファイアちゃん!』

 

『ですが、勝手な行動をした姉さんにはお仕置きが必要ですね?』

 

『え?ちょっ、待ってくださいよ!?べつに悪いことしたわけじゃ、ピギャァーー!!』

 

遠くでヘンテコな悲鳴が聞こえたけど、今は気にならない。

 

 

【士郎視点】

 

「えっと……、これはどういう状況なのかな?」

 

私はいつから寝ていたのかよくわからない。だけど、確実に今の状況にはならないと思う。

 

目覚めた時には、パジャマ姿のイリヤと何故かメイド服の美遊に抱きつかれていた。当の本人たちはぐっすりと眠っている。

 

「なんで私イリヤの部屋にいるんだろ?」

 

まぁいいかな?あまり深く考えないでおこう。私はイリヤ達に目をやる。

 

「ふふ。可愛い顔して寝てる。」

 

私は2人の額にそっと口づけをする。

 

「どんな時でも、必ず私が守るからね。」

 

私は2人が起きないように2人の腕を退けて、静かに部屋を出ていった。

 

 

 

 

その部屋で、イリヤと美遊は恥ずかしさと嬉しさが入り混じり悶絶していることを、士郎は知る由もない。

 

 





11月は更新できるかわからないです。

もう、テストなんてやりたく無いなぁ・・・。

なるべく更新したいと思います。

では、次回もよろしくお願いします。

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