Fate/プリズマ☆士郎ちゃん   作:ギルディア シン 呪雷

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更新が遅れて申し訳ありません。
前回の続きですが、最後ちょっとわかんなくなってしまいました………。


7話 橋の下の激闘 後編

【イリヤ視点】

 

「お姉ちゃん!!!」

 

「イリヤ、待って!!」

 

倒れたお姉ちゃんのところに飛んで行こうとした私を、美遊が引き止める。

 

「離して!!お姉ちゃんが、お姉ちゃんが!!」

 

「落ちついて!!闇雲に動いてはダメ!!」

 

『そうです!!大丈夫、まだ生体反応はあります!』

 

「だったらなおさら!」

 

「だからこそ!!」

 

美遊の目を見る。そこには、悔しさと怒りの色が浮かんでいた。私も同じ目をしていると思う。

 

「冷静に、確実に、行動すべきなの……!!」

 

「…わかった、ごめん。」

 

「大丈夫、幸いルヴィアさん達がいるから、私達で敵を引きつけて、その隙に救出してもらおう。それでいい?」

 

「わかった!」

 

私と美遊は空へ飛びたった。敵はまだ最初の場所から動いていない。美遊さん曰く、お姉ちゃんを囮にしているそうだ。絶対に許さない!

 

「凛さん!ルヴィアさん!お願い!」

 

「わかってるわよ!」

 

凛さんとルヴィアさんは機会を待って物陰に隠れている。私のやる事は、あの敵をおびき出す事!

 

速射(シュート)!」

 

美遊さんが先に攻撃した。けど、その攻撃は黒い霧の様なものに防がれた。

 

『敵損害なし、攻撃がとどいていません……!』

 

「あれはいったい……。」

 

美遊は一瞬動きを止めたけど、すぐに攻撃を再開した。私も出し惜しみせず、攻撃に参加した。でも、同じ様に相手に攻撃は届かない。

 

「どういう事?もしかして、また反射平面とかいう……」

 

『いえ、魔術を使っている様子はありません。あの黒い霧は、まさか……。」

 

ルビーは何かわかった様子だった。そこに、

 

「イリヤ!!避けて!!」

 

「え?あうっ……!」

 

美遊の言葉のすぐあとに黒い斬撃が飛んできて、私の腕をかすめていった。美遊の呼びかけがなかったら危なかった。

 

「あ……、あっ……、腕が……!」

 

『大丈夫です!軽傷ですのですぐに回復出来ます!』

 

「サファイア…、あの黒い霧は……!?」

 

『間違いありません!あれは、信じがたいほど高密度な、魔力の霧!』

 

サファイアの意見にルビーも同意していた。あの黒い霧が魔力だってわかった。なら、作戦もたてられるはず。でも、そんな時間を与えてくれるほど、相手は優しくなかった。じりじりとこっちに歩いてきていた。

 

「でも好都合。相手が近づいてきたら、その分お姉ちゃんの救出が簡単になる。」

 

そう。もともとこっちにおびき寄せるのが目的だったから、それに関しては成功した。

そう思っていた。

 

「あれ、凛さんとルヴィアさんは……。」

 

もう救出に行けるのに、二人が出てくる様子はなかった。そして見つけたのは、倒れている二人だった。

 

「嘘…、二人まで……。」

 

「っ!!」

 

「イリヤ!?まっ」

 

待ってと言おうとした美遊を無視して、私は敵に飛んでいった。勝てる見込みはない。でも、もうこれ以上我慢出来ない!私は魔力弾を放ちながら飛んでいった。やっぱり黒い霧に阻まれ、攻撃が通らない。なら、

 

「やぁ!!」

 

魔力で出した刃で斬り込んだ。相手はビクともしない。私は後退しながら魔力弾を放ち、もう一度斬り込んだ。でも、何をしても相手に攻撃が届くことはなかった。

 

すると相手はゆっくりと真っ黒の剣を振り上げた。私は相手の懐で止まってしまった。今から回避することはできない。

 

(あっ………。やられる………。)

 

私は目を瞑った。でも、いつまでたっても私に剣が振り下ろされる事はなかった。

 

「ウッ!!」

 

敵の呻き声が聞こえて、私は咄嗟に目を開けた。そこには、私の大好きな人が立っていた。

 

「私の妹に、何をする!!」

 

「お姉、ちゃん……。」

 

私の意識はそこで途切れた。

 

 

【士郎視点】

 

「ごめんね、イリヤ。遅くなって。」

 

私は倒れたイリヤを担いで、美遊のもとへいった。

 

「ごめん、美遊。イリヤをお願い。ルビー、遠坂さんとルヴィアさんのとこへいって。」

 

『この状況ではしかたないですね……。』

 

「お姉ちゃん…、どうして……。」

 

美遊は状況がわからない様だった。私はイリヤを美遊の近くにおろして、敵の方を向いた。

 

「こうなってしまったなら、仕方がない。私の全力で貴女を打ち倒そう。覚悟はいいか、黒の剣士!!」

 

私はそう告げて、両手に干将・莫耶を投影する。剣士は、真っ黒の剣を構えて私の出方を伺っている。それなら、

 

「ふっ!!」

 

私は一気に距離を詰めて相手に斬り込む。相手は私の攻撃を防ぎ、すぐに攻撃に転じる。私も同じ様に相手の攻撃を防いで、また打ち込む。これは、魔力の介入しない純粋な剣の勝負。恐らく相手は〈セイバー〉のカードだろう。私よりも剣の扱いに慣れている感じがした。周りには金属がぶつかり合う音が鳴り響き、火花が舞っている。

 

「せいっ!!」

 

「………ッ!!」

 

「そこだッ!!」

 

「アア!!」

 

隙が生まれた場所を撃つ。当ったが少し浅い。

 

「ッ!!!」

 

「ぐッ!!」

 

敵はすぐに態勢を立て直し、私を蹴り飛ばした。私はもろにくらってしまった。

 

「それならッ!!」

 

私は今持っている干将・莫耶をもう二対投影した。

 

鶴翼三連(かくよくさんれん)!!」

 

互いに引き寄せあう性質を持つ夫婦剣を用い、投擲と斬撃を重ね当てる技は、敵に確実に命中した。

 

「ウッ!!」

 

相手はさすがによろめいて、思い切り私との距離をとった。このチャンスを逃すわけにはいかない!私は弓を投影して、魔力をこめる。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!」

 

私の渾身の一矢は真っ直ぐ飛んでいった。その場に砂埃が舞い、相手の状況が確認できない。これで倒れてくれればいいのだけれど。

 

そう思った瞬間、尋常じゃない魔力反応を感じた。そんな事をするのは、この場にはあの剣士しかいない。

 

「宝具か……。」

 

正直に言うと、後ろにイリヤと美遊がいるこの状況で宝具の真名を開放されるのはまずい。迎え撃っても、絶対負ける。私に残された手は、1つ。

 

投影、開始(トレース・オン)!」

 

私の中にあるもの。私の命を救ってくれたもの。今度は私の大切な人を守る為に、今ここに投影する!

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!」

 

全ては遠き理想郷(アヴァロン)!!」

 

その場は光に包まれ、誰もその瞬間を見ることができなかった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

光の中で、私はその剣士と会った。それが現実なのかどうかはよくわからない。でも、さっきまでと違い、もう敵意はなかった。

 

「貴女の名は?」

 

相手が先に口を開いた。私はすでにこの相手の名を知っていた。

 

「衛宮士郎です、アーサー王。」

 

アーサー王は驚きはしなかった。

 

「ごめんなさい。貴女の鞘は私の中にあります。今貴女にお返ししますね。」

 

「いえ、私の鞘は今は貴女のものだ。しっかりと持っていてください。貴女の進む道に光があらん事を願っています。」

 

「ありがとうございます!」

 

最後はお互いに笑顔を見せた。だんだんと光が強まっていく。

 

「その方がいい。貴女は笑顔がよく似合う。」

 

そう告げられ、光が何もかもを遮った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

光が晴れると、元の場所に戻っていた。宝具の衝突で、あたりは崩壊していたけど。そして、足元には【セイバー】のクラスカードが落ちていた。

 

「これで、……終わったのかな?」

 

私はそう呟き、美遊のいる場所に歩いていった。

 

「お姉ちゃん、大丈夫ですか?」

 

「何とかね……、美遊は怪我とかしてない?」

 

「私は大丈夫ですが、ルヴィアさん達は?」

 

「ルビーがいるから、多分大丈夫。それにイリヤも気を失ってるだけだから。」

 

美遊は安堵の息をつく。そして瓦礫の山から、

 

「し、死ぬかと思った………。」

 

「おのれ…!絶対許しませんわ!!って、あら?敵は?」

 

意外と元気に遠坂さんとルヴィアさんが出てきた。

 

『全く。死にかけの貴女方を助けてあげたこのルビーちゃんにお礼の1つもないんですか〜。」

 

いつもの様に空気を読まないルビーもいた。どうやら、何とかなったみたい。

 

「さてと、それじゃあ帰ろうか。イリヤはこんな状態だから、〈離界(ジャンプ)〉は美遊だけに頼る事になるけど、よろしくね?」

 

「はい、任せてください。サファイア。」

 

『了解しました、美遊様。姉さん達も早くこちらに。』

 

疲れ切っている体を動かし、美遊の周囲に集まる。

 

離界(ジャンプ)。」

 

こうして、長かった夜の闘いが幕を閉じた。

 





アルトリア出したくてこんな感じになってしまいました……。

次回は箸休めの回になります!次回はあの有名な虎も出るかも?

では、次回もよろしくおねがいします!

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