幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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東方紅輝心、結構面白いです……けど、PCスペックが満足に追いついていない(汗)


第39話 「宴会Ⅰ」

日が暮れる前に俺はレミリア達と博麗神社にやってきた。

博麗神社に来るのも1週間とちょっとぶりなのに、かなり久々な気がする。

主催者側なので色々準備があるから早く来たけど、まだ誰も集まってはいないうだ。

霊夢が1人で皿などの準備をしていたが、こっちに気付いて顔を向けた。

 

「久しぶり、霊夢」

「いらっしゃい……まだ生きてたの。分かっていたけど、結構な大所帯ね」

 

何だか霊夢、機嫌悪いな。こっちをチラ見しただけだ。

 

「まだみんな来てないけど、準備は手伝ってよ」

「勿論よ。台所借りるわね」

「勝手に使って、こっちよ」

 

霊夢はそれだけ言って、咲夜を連れて奥へと引っ込んでしまった。

 

「ねぇ、美鈴。霊夢何だか機嫌悪いね」

「そうですね。何となく心当たりありますけど」

 

美鈴は苦笑してフランに答えたが、何の事か俺には分からない。

レミリアとパチュリーも分かっているようで、2人して溜息をついてる。

 

「言わぬが華、よ」

「霊夢も素直じゃないわねーまるで誰かさんみたい、ねぇレミィ?」

「さーて、私にはなんの事だか分からないわね」

「2人共何の話してるんだ?」

「「乙女の秘密よ」」

 

本当に分からない。でも、考えても仕方ない。俺も何か手伝いするか。

 

 

 

「博麗の巫女もまだまだ子供、だったのね」

 

台所で咲夜と2人で料理していると、咲夜が急に笑いだした。

 

「それどういう意味よ」

「言葉通りよ」

 

本当におかしそうに笑う咲夜。

会うのは1週間ぶりだけど、こうまで愛想が良いメイドだったかしら?

あの時はメイド長と呼ぶにふさわしい厳格で、厳しい表情ばかりだったのに。

考えたくはないけど、原因は彼なのかしら。

 

「この一週間とても充実していたようね」

「あら、分かるかしら? とても楽しかったわよ。それは私だけじゃなくて紅魔館のみんながでしょうけど」

 

皮肉のつもりなのに、あっさりと返された。何だか悔しい。

 

「散々心配してたのに、当の本人は女の子を沢山引き連れて楽しそうだったのが癪に障った、ようするに嫉妬した。でいいわよね?」

「そんなわけないでしょ。何でそんな事言うのよ」

 

イライラするわね。私が名前しか知らない相手にそこまでするわけないでしょ。

でも咲夜は面白そうに笑ったままだ。

 

「別に。異変の時は散々お世話になったから、ちょっとしたお返しよ」

 

異変の時、私は咲夜と戦った。面倒な能力だったけど、返り討ちにしたのを今思い出したわ。

 

「なんて、これは冗談だけど。あまり無愛想すぎると、彼出ていっちゃうわよ? まぁその場合、紅魔館で引き取りますけど。お嬢様達も みんな 喜ぶわ」

 

さっきもそうだけど、咲夜はわざと『みんな』と言う部分を強調して言っている。

 

「言っておくけど、ルーミアと大妖精とチルノにもかなり慕われてるわよ? 懐かれてると言った方がいいかしら?」

 

咲夜の意味深な笑みにイライラが頂点になりそう。

本当に何が言いたいのよ。

 

「あら、そのイライラは私に対してかしら? それとも彼に対してかしら?」

「本当にあんた性格悪いわね!」

「そんな事あなたに思われても、彼は私をそうは思ってないから何ともないわ」

 

……おーけー、ここまで我慢したんだから挑発に乗ってもいいわよね?

 

「……お前ら一体何してるんだよ」

 

と、そこへいつから居たのか、藤原妹紅が呆れたように声をかけてきた。彼女の手にはタケノコや山菜がびっしり乗った籠があった。

冬用に蓄えていたのを持ってきてくれたのかしら?

 

「あなたはこの前の。それは手土産ね? ありがとう、助かるわ。そこの辺に置いといてくれれば、私が調理するわ」

「ん、この前は料理御馳走様。じゃあ、あとはお願いね、紅魔のメイドさん。もう少ししたら慧音も来る筈よ」

「そう言えば自己紹介してなかったわね。私は十六夜咲夜、咲夜でいいわ」

「咲夜、か。私はこの前言ったけど、藤原妹紅。妹紅でいい。咲夜、何だか雰囲気が変わったな」

「そう見えるかしら? そう見えるなら、多分妹紅もこれから変わるんじゃないかしら?」

「あの外来人か……」

 

妹紅は何だか複雑そうな顔をして、神社の方にいるであろう彼の方へ目を向けた。

……って、ちょっと待ちさない。ここ私の家の台所で、私が家主なのよね。なんで咲夜が対応するのよ。

何でいきなり2人共仲良くなってるわけ?

 

「あんた達、家主の私を置いて勝手に話進めるな! まぁ、一応御馳走様」

「霊夢はさっきから何をカリカリしてるんだ?」

「さぁ? 難しい年頃なんでしょ」

「あんたもあまり変わらないじゃない!」

 

あぁ、もうイライラする!

 

「ところで、今日からここに住むユウキさんを部屋に案内しなくていいの? それとも忘れてた? 薄情ね」

「そんなわけないでしょ! これから案内するわよ。あんたがちょっかい出してきたんでしょ!」

「お前ら、紅魔館でもだけど、ホント何してるんだよ……」

 

妹紅が心底呆れかえっているけど、それはこっちのセリフよ。

 

 

 

「なんだか台所騒がしいな。俺も手伝った方がいいかな?」

「止めておきなさい。もっと騒がしい事になるわよ? それにあなたは主賓なんだから、ここにいないとダメじゃない」

 

レミリアに言われて、座りなおしたけど……主賓って何だ?

 

「言ってなかったかしら? 今回の宴会はあなたの歓迎会でもあるのよ?」

 

はっ!? 何だそりゃ!?

 

「君は幻想郷の新しい住民になったんだ。当然だろう?」

 

どこかで聞いた声にふり返ると、そこには慧音が立っていた。

 

「あっ、慧音……悪い、心配かけたな」

 

正直、慧音には罪悪感と言うか、後ろめたい気持ちが強い。

 

「ふふっ、そうだな。心配したさ、ふんっ!」

 

――ゴンッ

 

「~~っ!?」

 

慧音が笑顔で近づいてきたかと思えば、突然頭突きされた。

結構効いたな。石頭は性格だけじゃなかったか。

 

「大丈夫お兄ちゃん!? ちょっと、あなた。お兄ちゃんに何するの!」

 

フランが慧音に飛びかかろうとするのを、手で制した。

 

「い、いやいいんだ、フラン。これは俺が悪かったんだから」

 

慧音はわざわざ妹紅に様子を見に来させる程、俺を心配してくれた。

オルソラ並に世話の焼きたがりだな。

 

「本当に、心配したんだぞ。でも、無事で良かった」

 

実際には大怪我したんだが……言わない方がいいな。

 

「博麗神社に住む事にしたと聞いたが、寺子屋の手伝いもして欲しいんだが……」

「妹紅から伝言で聞いた。俺で良ければ、手伝わせてくれ。神社の手伝いもするから、空いた時にだけど」

「そうしてくれ。梨奈も君に会いたがっていたぞ?」

 

要するに早く来いって事か。

 

「……はぁ、早めに顔を出すようにするよ」

「そうしてあげてくれ。それで、この子があの時君を呼んだ子か? はじめまして、私は上白沢慧音。よろしく」

 

慧音はフランに微笑みかけるが、まだフランは睨んだままだ。そこまで警戒してるのか?

レミリアがそれを見て、クスクス笑いながら慧音に話しかけた。

 

「ふふっ、そう警戒しなくて大丈夫よ、フラン。慧音、私の名はレミリア・スカーレット、この子はフランドール・スカーレット、私の妹よ」

「私は上白沢 慧音だ。君達の事は、霊夢や妹紅から話は聞いているよ。先に言っておくが、先の異変についてどうこう言うつもりはない。それは博麗の巫女である霊夢の仕事だからな。もちろん、フランドールの事もだ」

「それは助かるわ」

 

あの異変は人里にも影響が出たが、霊夢がレミリアを倒した事で、あの夜のうちに霧が消えていつもの生活に戻ったのは聞いている。

幻想郷に住む人間として、そういうのには慣れているから問題はない。とあの時妹紅も言っていたけど、フランの能力の事もあるから、レミリアなりに少しは気にしていたのだろう。

慧音にそう言われ、少しレミリアの力が抜けた気がする。

 

「フランドールの能力にもどうこう言うつもりはない……が、彼女を寺子屋に通わせる気はないか?」

「? どういうつもり?」

 

慧音に突然言われ、レミリアも少し眉をひそめ、パチュリーや美鈴も驚いている。

 

「いや、フランドールの事は妹紅に聞いたが、ルーミア達からも聞いているのでな。新しい友達が出来たと喜んでいたよ」

 

そう言えばルーミアも寺子屋に通ってたっけな。本人の気が向いた時にだけど。

フランの方に目を向けると、少しばかり興味がわいたような目をしていた。

それを見たレミリアも少し考え込んだ。

なぜか俺とフランを交互に見ている。何となくだが、何を考えているか予想つくな。

 

「それでフランも寺子屋に? そうね、ユウキがいるなら大丈夫でしょうし悪くはない話だけど、今すぐには答えは出せないわよ?」

「分かっている。気が向いたときで構わないさ。里の子達にも強制はしてはいない」

 

と、そこへ霊夢がやってきた。さっきよりもイライラしてるぞ?

 

「ユウキさん、部屋に案内するからこっちへ来て」

 

それだけ言うと神社の奥へと歩いて行ってしまった。

 

「ほら、巫女様のご指名よ」

「そう言えば、俺今日からここで住むんだよな、あまり実感なかった」

 

宴会に参加しに来ただけ、じゃない。

今日から世話になる家にやってきたんだ。

……やっぱり何か実感沸かないな。

 

「君は本当に変わったな。そんな顔をするようになるとはね」

 

慧音が少し驚いているが、そんな顔ってどんな顔だ?

 

「……フランや美鈴達のおかげだ」

 

そこは私の名を出しなさいよ。と言う声が聞こえたが、構わず霊夢の後を追った。

 

 

霊夢に案内されたのは、神社から渡り廊下を歩いた先にある一角だ。

中は意外と広く、畳が敷き詰められた和室になっている。

 

「元は物置代わりに使ってたけど、あまり物置いてなかったからここを使って。一応掃除もしたし、紫も手を入れたから大丈夫なはずよ」

 

旅人や外来人などを泊める客間はあるらしいが、俺はここに住む事になるのでちゃんと部屋を用意したらしい。

 

「これで物置代わり? 軽く掃除した程度? 質素だけど、かなり手入されてるように見えるな。まぁ、和室なんてあまり見た事ないから分からないけど、これで十分すぎる。、ありがとう、霊夢」

 

礼を言ったら、なぜか霊夢が額に手を当てた。なんかのおまじないか?

 

「……食事とか掃除の事とか、色々話す事はあるけど、それは明日にしましょ。もう、みんな来ちゃったみたいだし」

 

確かに、人……いや、妖怪達が増えたようだ。宴会場の方が騒がしくなってきた。僅かに魔理沙やチルノの声も聞こえてきた。

 

「ほら、行きましょ。主役が遅れたらダメじゃない」

「主役、ねぇ……」

 

歓迎会、ただでさえ宴会とか集会の経験全くないのに、紅魔館で大人数で騒ぐのには少しは慣れたけど。

 

「歓迎会と言っても、それは名目上と言うだけよ、ただ飲んで騒ぎたいバカばっかりだから、そう固くなる事ないわよ」

「そっちの方が俺としては、気が楽だ」

 

苦笑いを浮かべると、霊夢は何がおかしかったのかクスクスと笑いだした。

 

「何笑ってるんだ?」

「何でもないわ。さ、行きましょ」

 

荷物を置いて、宴会場へと戻った。

この感じだと結構な数いそうだけど……さて、どうなるやら。

ともかく、霊夢の機嫌が直ったようでそれは良かった、か。

 

 

つづく

 




はい、宴会のスタートです!
幻想郷メンバーで誰が出て、誰が出てこないか
そして、ユウキがこの先何人を落とすかお楽しみにー(笑)

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