幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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お待たせしました!
多分平成最後の更新です!


第144話 「妖精探検隊(前編)」

あたいと大ちゃん、それに、光の3妖精であるサニー達の5人で遊んでいた。

最近、大ちゃんの元気がないみたいだから沢山遊んだら元気になると思った。

でも、大ちゃんはあたい達と遊んでいてもどこか考え事をしている感じだった。

なので、思い切って大ちゃんに聞いてみた。

 

「大ちゃん、何か考え事?」

 

と思っていたら、サニーに先を越された。

なんだか、敗北感。

 

「うん……何だか、最近のユウキさん。様子がおかしくないかな?」

「ユウキが? うーん、どうだろ?」

 

大ちゃんの様子がおかしいって話が、ユウキの様子がおかしいって話になった。

 

「よく人里や神社で会ってるけど、特に変わった様子なかったわよね、ルナ?」

「そうね。昨日も人里でお団子ご馳走になったけど、変わった感じはしなかったかな。サニーはどう?」

「うーん、そう言われてみれば、違和感があったような、なかったような?」

 

3人もよく分かってないみたい。

だけど、3人共ユウキとよく遊んでお団子までご馳走になってるんだ。

なんだか、面白くない。あ、大ちゃん、目つき……こわい。

 

「それはおいといて。なんだかユウキさんと話してて変な感じがしたから、どうしたのかなって思ったの」

「うーん、何か嫌な事でもあって元気ないのかな?」

「元気がないようには見えなかったよ?」

 

ルナやスターもだけど、あたいもユウキと話しても変わった感じはしなかったかな。

でも、最初に会った時とは違うような……うーん、考えても分からない!

 

「とにかく、元気がないならあたい達で元気付ければいいよ。ユウキには沢山元気くれたし」

 

ユウキはあたいの事笑わなかったし、励ましてくれて新しいスペルカードも考えてくれた。

だから、今度はあたいが恩返しする番!

 

「うん、そうだね。ユウキさんにはお世話になりっぱなしだし」

 

大ちゃんも乗り気。で、サニー達は何か話し込んでる。

 

「いつもご飯やおやつご馳走になってるし。私達も、恩返ししよう! って、2人してその目はなに?」

「いやいやぁ? べっつにー?」

「なんでもないわよー?」

 

ルナとスターがニヤニヤと変な目でサニーを見てる。

何か面白い事でもあったかな?

 

「ふ、2人はいっつもユウキさんの事悪く言ってるんだもんね。いいわよ、私だけで恩返しするから」

「別に悪く言った事はないわよ。彼、面白いし。巫女より優しいし」

「そうねーイタズラは、毎回すぐにバレて怒られるけど、その後お菓子ご馳走になるし。うん、いい人よ」

「むぅー」

 

そういえば、サニー達はよく霊夢にイタズラ仕掛けてユウキに気付かれて怒られてるんだっけ。

物を隠してもすぐにユウキが見付けて、気配を消して隠れてもすぐにユウキや霊夢に見つかっちゃう。

ユウキって霊夢よりも勘が鋭い時あるから、3人の能力なんて簡単に見破っちゃうんだ。

ん、あれ? 大ちゃんがニコニコしながら3人に近づいて行った?

 

「それでー3人共―? 行くのかな? 行かないのかな?」

「「「ハ、ハイ! イキマス!」」」

 

大ちゃん、笑顔がさっきよりも怖い。

氷精のあたいでも思わず身震いするほど、寒気がしちゃった。

 

 

「それで、ユウキを元気付けるって具体的にはどうするの?」

「ふっふーん。そこはあたいにいい考えがある!」

「あ、これ絶対失敗するやつだ」

 

ルナがすごくしつれいな事を言っているけど、気にしない。

あたいは大人だもん。

 

「あたいがほかの妖精から聞いたんだけど、向こうの山の下に隠れた洞窟があって、その奥にとても綺麗な宝物が隠されてるんだって。それをユウキにあげよう!」

「向こうの山って、妖怪の山の隣の所? それなら私も聞いたことあるわ」

「えー? そんな面白そうな所知ってるならもっと早く教えてよ、スター」

「でも、私が聞いた話だと神様がいるからあそこには行ったらダメみたいなのよね。それに妖怪の山が近いから私達だけじゃ危ないし」

「かみさま? あたいが聞いた話にはそんなの出てこなかったよ。それにあんたたちだけだと危険でも、今日はさいきょーのあたいがいるからきっと大丈夫!」

 

そう言うとルナとスターはどこか呆れた目であたいを見てるけど、気にしない気にしない!

 

「じゃあ、さっそく行こう! 氷精探検隊しゅっぱーっつ!」

 

あたいと大ちゃんが行こうとすると、サニー達が前に立ちふさがった。

 

「ちょっと待った。なんで氷精探検隊なの?」

「だって、洞窟の場所を知ってるのあたいだし、それに言い出したあたいがたいちょーだから」

「ならスターだって知ってたじゃない。ここは光の三妖精探検隊しかないわ」

「サニー、何を張り合ってるのよ。それに名前が長いじゃない。この際、妖精探検隊でいいでしょ。私達みんな妖精なんだし」

 

そういえばそうだった。

今日はルーミアやリグル達は、用事でいないんだっけ。

なら、妖精探検隊でいっか。

 

こうしてあたい達は目的地の洞窟へとやってきた。

ここら辺はあたいも大ちゃんも初めて来る場所だけど、木々は普通に生い茂っているのに、なぜか妖精や妖怪、動物も全く近くにいない。

 

「ここに来るまでもこのあたりも全く生き物の気配がしないわ。こんなの珍しい」

 

生き物の気配が分かるスターが驚いているけど、別に珍しい事じゃないと思う。

あたい達だって森をピクニックすると、誰にも会わない事よくあるし。

 

「やっぱり神様がいるから近寄らないのかしら?」

「だったら、これはチャンスじゃない!」

 

誰も来ないならあたい達が宝物を取り放題。これはすぐに行くしかないよね。

 

「待って、みんな。なんだかすごく嫌な感じするよ。行くのやめて、ユウキさんにはほかの贈り物にしない?」

 

でも、そんなあたい達を大ちゃんが止めた。

さっきまではユウキの為にーって張り切ってたのに、どうしたんだろ?

 

「どうしたの、大ちゃん? あ、ここに何か書いてあるよ」

 

あたいは、洞窟の入口に看板を見つけた。

随分文字が擦れていてなんて書いてあるか分からない。

 

「ダメだーこれじゃ読めないよ」

「でも、ここ、注 って書いてるように見えない?」

 

ルナが指差した所は、確かに注って読めなくはないけど、やっぱりよく見えない。

 

「ねぇ、せめて慧音先生や文さんに話を聞いてからにしない?」

「大ちゃんは心配性ね、大丈夫よ。何かいてもあたいが退治しちゃうし。いざとなったらサニー達の能力で逃げちゃうし」

「そうね。私達は逃げるから、チルノ頑張ってねー」

「おう!」

 

サニー達に応援されて、あたいが先頭になって洞窟へと入って行った。

やっぱりたいちょーは先頭にいないとね。

大ちゃんも中に入るのを迷っていたけど、結局あたい達に付いてきた。

大丈夫、何があってもあたいがみんなを守るんだ。

 

「うわぁ、この洞窟所々光ってて綺麗。せっかく灯り持ってきたのに要らなかったわね」

 

洞窟の中に入って行って、外の光が差し込まなくなった辺りで壁や天井の岩が光っているのが見えた。

光は薄い緑色で、ロウソクの灯りよりもボヤっとしてて弱弱しいけど、それでも洞窟内を照らすには十分なほど光っている。

 

「なんで光ってるんだろう? ヒカリゴケ、じゃないわよね。苔すら生えてないし」

「なんだか神秘的ね。これはますますこの奥に宝物がありそう」

「うん。早く行こう!」

 

洞窟内が明るくてよく見えるのが分かると、ちっとも怖くなくなった。

あたい達はドンドン奥へと進んでいく。

よくルーミア達と探検する洞窟は、中が真っ暗で途中道がいくつも別れているけど、この洞窟はどうやら一本道のようね。

これなら迷う心配もないし、何かあってもすぐに逃げられる。

大ちゃんも安心したようで、興味津々に洞窟内を見渡している。

 

「あそこ見て。青白い光が見えるわ」

 

洞窟内は緑色に光っているけど、スターの指差した先には、青白い光が見える。

 

「きっとあれがお宝の光よ!」

 

サニーは光に向かってすぐに飛び出していった。

 

「サニー、抜け駆けするつもりね! そうはいかないから!」

「あ、チルノちゃん、待って!」

 

あたいもすぐに後を追った。

すると、目の前にいきなり大きく開けた空間が現れた。

どうやらここが洞窟の終点のようね。

それにしても、これは……

 

「待ってよ、サニー、チルノ! わっ、なにこれ!」

「こんなところに湖があるわ!」

 

これは、確か地底湖って言うんだっけ。

前にユウキに教わったから覚えてる。

開けた場所全体が湖になっていて、青白い光は湖の底から放たれていた。

 

「水面が光ってる、だけじゃないわね。何だろう、あの光?」

「もしかしてあれがお宝かも! 潜ってみましょう!」

「……誰が?」

 

あたい達はお宝発見で、ワクワクして大盛り上がりだけど、大ちゃんの一言で止まった。

 

「だ、誰って、それはチルノでしょ? 隊長なんだし」

「そうね。ここはチルノが行くべきよね。氷精だから水の中なんてお手の物でしょ」

「危ない気配はしないから大丈夫。だから行ってらっしゃい、チルノ」

 

サニー達に背中を押されて何だかすっきりしないけど、ここはたいちょーのあたいがいくしかないね。

 

「危ないよ、チルノちゃん。いつも泳いでいる川より深そうだよ?」

 

確かに、いつも泳ぐ川よりは深いかもしれないけど、大丈夫。

だってあたいはさいきょーだもん。

 

「っ!? 待って! 湖の底に何かいるわ!」

 

と、スターが急に大声を上げた。

地底湖に響き渡ってすごくうるさい。

 

「くぁ~~、何よスター急に大声上げないでよ。で、何かって何? あなたさっき何の気配もしないって言ったじゃない」

「うん。そうだったんだけど。突然気配を感じたの。それもものすごく大きい気配。普通の妖怪とは違う……来るわ!」

 

スターが言うと同時に湖に巨大な水柱が上がった。

そして、その中からいくつも巨大な目玉があたい達を睨んでいた。

 

 

 

続く

 




さて、今回は妖精組のお話。

三妖精でルナとスターは、能力が効かないユウキの事をいい人と思っていて、嫌いじゃないけど苦手意識があります。
でも、サニーは……(ニヤソ

では、また次回!

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