幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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お待たせしました!
異変もいよいよ佳境です。

FGOにハマりすぎたけど、イベント終わったからしばらくは専念できる・・・といいなぁ(トオイメ


第120話 「博麗と紅魔(後編)」

満月を隠された異変を解決する為、私と紫はまず人里へと向かった。

途中、妖精や雑魚妖怪、陽気に歌うみすちーを瞬殺(殺してないけど)した。

妖精達が騒ぐのは異変ではいつもそうだけど、今回はいつもと少し違うわ。

やっぱり月に異変があると妖怪たちにまで影響が出るのね

 

「で、妖怪たちまでいつもと様子違うけど、あいつら人里に襲いかかったりしないでしょうね?」

「その心配はなさそうよ霊夢」

 

紫が指さした先には、人里の入り口があるはずだったが、里ごと綺麗さっぱりなくなっていた。

破壊されたのではなく消えた。

まるで元からそこになかったかのような消え方ね。

こんな芸当が出来るのは彼女しかいない。

 

「来たか、霊夢」

「やっぱりあんたの仕業なのね、慧音」

 

慧音の能力、歴史を隠す程度の能力を使って人里の歴史を隠したのね。

 

「今回はいつもの異変と違って、妖怪達が人里周囲にまでうろつき始めたからな」

「それが正解ね。妖精達もいつもより動きが活発だったわ。異変は私達が解決するから、それまで人里を隠していてちょうだい」

「言われずとも。それにしても、霊夢が来るのは予想していたが、まさか彼女を相棒にして来るとは思わなかったな」

 

彼女とは、私の後ろで呑気に手を振っている紫の事だろう。

 

「一緒に異変解決に動いてはいるけど、相棒なんかじゃないわよ」

「ふふっ、そうだったな。霊夢の相棒はユウキ君だけだったな」

「なっ、そ、そんな事より! そのユウキさんよ! 彼一体どこにいるの? まさか、この異変に関わっているんじゃないでしょうね?」

 

一番にここに来たのはこれが聞きたかったから。

ユウキさんの事だから異変に関わっている可能性は高い。

しばらく帰ってこれないと言うのもそのせいかもしれない。

私の勘は、半々と言ったところだけど。

慧音は難しい顔をしてしばらく考え込んでいたけど、やっと口を開いた。

 

「うーむ、どう言ったらいいものか。確かに彼はこの異変を起こしたと思われる所にはいる。が、彼がしばらく帰れないと言ったのと、今回の異変には無関係だ」

「えっ? それどういう意味よ?」

 

異変の犯人がいる所にユウキさんもいるけど、帰れない理由と異変には関わっていないってどう言う事?

 

「彼は迷いの竹林の奥にある、永遠亭と言う場所にいる。詳しい場所は、彼女に聞くといい」

 

やっぱり、この一件の犯人を紫は知っていたのね。

慧音に指を差された紫は、私?とキョトンとした顔でしらばっくれている。

 

「紫、あんた異変の犯人知ってるんじゃない!」

「いやだわ霊夢。さっき言ったじゃない。こんな異変起こしそうな犯人の心当たりは沢山いるって。彼女達も候補だったけど、確信はなかったわよ」

 

嘘だ。紫に確信はあった。物は言いようね。

でも、今はそれを追求している暇はないわ。

 

「とっとと行くわよ、紫。犯人の事は、行きながら教えなさい」

「はいはい」

「霊夢、気を付けてな。ユウキ君によろしく」

「えぇ、人里は頼んだわよ、慧音」

 

私達は迷いの竹林を目指して、迷いの森を進んで行った。

その道中、紫は永遠亭の事を教えてくれた。

 

「宇宙人?」

「そう。永遠亭に住んでいるのは昔、月から逃げてきた宇宙人達なの」

 

月から来た宇宙人って言われても、パッと来ないわね。

でも、月から来たのなら月に細工をするのも簡単、だと思う。

 

「宇宙人だからって油断したらダメよ。月のテクノロジーは幻想郷は勿論、外の世界よりも何十倍も優れているのよ」

「外の世界よりも!? ってやけに詳しいじゃない?」

 

そう言うと、紫は一瞬だけ苦虫を潰したような顔をした。

紫がそんな顔をするなんて、珍しいわね。

 

「ともかく、犯人が分かったのなら早く向かいましょう。あそこは結界が張られていて私のスキマでも通り抜けれないわ」

「紫の能力が効かないほどの相手か。それは油断ならないわね」

 

紫が私と一緒に来ると言った理由が分かった。

私1人でも、紫1人でも手に余る相手だったからなのね。

もうすぐ竹林と言う所で、突然空から何かが降ってきた。

 

「そこまでだぜ!」

「えっ?」

 

降ってきたのは箒に乗った魔理沙と、アリスだった。

 

「一体何の用よ、魔理沙」

「とぼけたって無駄だぜ霊夢。この異変を起こしているのがお前達だって分かってるんだぜ!」

「「はい?」」

 

紫と2人でポカーンとした。

魔理沙は何を言っているのだろう?

 

「まだしらばっくれるのか? 夜を明けさせないようにしている異変の犯人は、霊夢、それに紫、お前達だ!」

「何を頓珍漢な事を言って……」

 

魔理沙の言いたい事が分かり紫を見ると、露骨に視線を逸らされた。

彼女は勘違いをしている。勘違いではないけど、勘違いね。

 

「ねぇ、魔理沙。何だか様子がおかしいわ。ホントに霊夢が異変の犯人なの?」

「何言ってんだよ、アリス。お前だって言ってただろ。夜が明けないようにしているのは紫だって。で、その紫と一緒に動いているんだから霊夢も犯人だろ?」

「いや、待って。その理屈はおかしいわよ! なんで、私が紫なんかと組んで異変起こさなきゃいけないわけ!?」

「なんかって、霊夢ひどーい!」

「黙れ元凶! 紫が変な事するから誤解されちゃってるじゃない!」

 

夜を明けさせないようにするのは必要な事だったのかもしれないけど、異変を1つ増やしてどうするのよ!

で、そんな事気付かなかった私の馬鹿!

 

「ともかく、お前らを倒して私達がサクッと解決だぜ!」

「事情は後で聞くわね。ホントは、私ユウキさんを探しに竹林へ行く所だったのに」

 

アリスも竹林にユウキさんがいるって気付いたのね。

でも、それを聞かされちゃ、黙ってるわけにはいかないわ。

 

「ユウキさんの所に行くのは私よ!」

「あら、霊夢。なんだか目的、変わってないかしら?」

「うるさい! とっとと片付ける!」

 

余計な時間を食ってる暇はないってのに!

 

 

 

少し前 迷いの竹林内部にて

 

 

――キンキンっ!

 

妖夢の刀をナイフで防ぎながら、後方へ誘い込むように退避する。

そこにはお嬢様が待機していて、つっこんでくる妖夢へ向けて弾幕をばらまいた

しかしそれは、上空からの幽々子の弾幕で相殺されてしまった。

 

「ダメよ妖夢。もっと周りを良く見なくちゃ」

「幽々子様、ありがとうございます!」

「全く、しつこいわね、あなた達。一体何なのよ」

 

お嬢様がいら立つのも無理はないわ。

私とお嬢様はユウキさんを探しに竹林へとやってきたのだけど、そこへ突然妖夢と幽々子が襲いかかってきた。

妖夢は、「お団子の仇!」 だなんて訳の分からない事言いながら斬りかかってきたし、何のことかしら。

 

「とぼけないでください! あなた達が月を偽物にすり替えて、せっかくの月見団子を盗んだ犯人だと言う事は分かってます!」

「「はぁ~!?」」

 

月を偽物にすり替えたのは、この異変の事を言っているのでしょうけど、月見団子がどうしたって??

 

「全ては幽々子様が推理されました! 吸血鬼であるあなた達は満月の月見を自分達だけで楽しむ為に、月を偽物に変えただけではなく、私のとっておきの団子も持っていったと言う事を!」

「ねぇ、咲夜。どうしましょうか、妖夢が何を言っているのかさっぱり分からないわ」

「奇遇ですね、お嬢様。私も何を言っているのかさっぱり分かりません」

 

何だか頭が痛くなってきたわ。

 

「よ、妖夢~? 私は、ひょっとしたら紅魔館の連中が月見をしようとしたけど、妖夢もお気に入りの団子屋さんが売り切れで、仕方なく私達の団子を持っていった、という可能性もあるかもしれない、かしら~? って言っただけよ?」

 

あ、お嬢様も頭痛がしはじめたようね。

 

「なんなのよそれ! そんなの推理でもなんでもないじゃない! そんな事の為に貴重な時間を無駄にさせるわけ!?」

「お嬢様、気持ちは分かりますが落ちついて下さい」

 

気持ちは分かるわ。

こんなポンコツ主従に構ってる暇などないのに。

 

「もういいわ。咲夜、手早く片付けるわよ!」

「はい、お嬢様!」

「来なさい。今宵の楼観剣は一味違いますよ!」

「もう妖夢ったら、それじゃ私も少し楽しみましょうか♪」

 

それから私達は、私対妖夢、お嬢様対幽々子、で弾幕ごっこを始めたのだけど、決着はすぐに着いた。

 

「これで終わりよ! 【紅符・不夜城レッド】」

「あ~れ~♪」

 

やる気満々の妖夢と違い、なぜか弾幕ごっこにノリ気に見えなかった幽々子を、お嬢様がスペルカードで倒した。

すると、私と戦っていた妖夢の気が逸れた。

 

「幽々子様!?」

「悪いわね、妖夢。私、ユウキさんと違ってナイフは投げる専門なのよ 【幻符・殺人ドール】」

 

そこを私が一気に決めて、これで勝負ありね。

 

「そ、そんなぁ~」

「はいはい、私達の負け。潔く引き下がるわ~」

「待ちなさい、亡霊組」

 

ボロボロになった2人はそのまま白玉楼に帰ろうとした所、お嬢様が呼び止めた。

 

「ねぇ、幽々子。まさかと思うけど、あなたうっかり妖夢の御団子を食べちゃって、それを誤魔化す為にそれらしい理由つけて私達になすりつけようとしなかったかしら?」

「ギクッ!? なんのことでしょうか~?」

 

あぁ、そういう事ね。

 

「なるほど。妖夢が好きなお団子屋ってユウキさんと良く食べにいっている、あのお店ね。私もよく彼と食べに行っているわ」

「はい。以前、一緒に買い物をした時、お師匠様に勧められて以来、あそこの御団子が大好物になったんです」

 

妖夢ったら、いつのまにユウキさんと人里デートだなんて。

ま、私もよくデートしてるからいいのだけど。

 

「そう。フランお嬢様もユウキさんに連れられて一緒に食べて、大好物になったわ」

「えっ、私行った事ないんだけど? たまにフランが寺子屋から幸せそうに帰ってきてるのって、それ!?」

 

お嬢様が衝撃の告白をされたような顔をしている。

そう言えば、お土産に買った事はなかったわね。

ついつい彼と話しながら食べるのが楽しくて、いつも忘れちゃうのよね。

 

「ちなみに、美鈴やパチュリー様もたまにですが、人里で彼と食べてますね」

「何よそれ! ユウキったら、皆を誘っておきながら私も誘いなさ……いえ、私の分もたまには買ってきてもいいでしょ!?」

「お嬢様、誤魔化し切れていませんし、怒るのそこですか」

 

ついうっかりトドメを差しちゃったわね。

 

「コホン。ともかく、そう言うわけで私達もあの団子は大好物だけど、いつもユウキさんと食べてるから、わざわざあなた達の所から盗んだりはしないわ」

「いや、その反論もおかしいわよ! まぁ、確かに盗んではいないけどね! その団子、私食べた事ないもの!」

 

お嬢様が拗ねているのは、団子を食べた事がないせいか、はたまた、ユウキさんと食べた事がないせいか、9割以上後者でしょうね。

私の言葉を聞いて、妖夢はジッと目を閉じ考え込んだ後、幽々子に刀を向けた。

 

「幽々子様、謀りましたね?」

「な、なんのことかしら~?」

「お覚悟を! 食べ物の恨みは怖いのは幽々子様が一番よくご存知ですよね!」

「きゃー!! ごめんなさ~~い!」

 

亡霊コンビは漫才をしながら飛び去って行った。

 

「「……はぁ~~」」

 

残された私とお嬢様は、目を合わせると同時に深く息を吐きだした。

思わぬ邪魔に出鼻をくじかれたけれど、これで竹林へ行くことが出来るわね。

 

 

竹林へ入り、パチュリー様に教えられた反応があった場所まで進んで行き、竹林の奥に屋敷みたいなのが見えたが、ここでも思わぬ妨害が入った。

屋敷に向かって飛んでいるはずが、見当違いの方向にばかり向かって行ってる。

真正面にあったはずの屋敷が、いつの間にか右にあったり、遙か後方にあったり。

 

「これは、ずらされているわね……んっ?」

「お嬢様?」

 

辺りを見渡していたお嬢様は突然険しい表情を浮かべ、チラリと竹林の一角へと一瞬だけ目を向けた。

そこに誰かいると言う事かしら

確かに、誰かの気配がする。

うまく隠していて、僅かにしか感じないけれど、誰かいる。それも2人。

 

「咲夜!」

「はい!」

 

ナイフを数本投げつけると、2つの人影が飛びだしてきた。

 

「ビックリしたわ。こんなにすぐ見つかるなんて思わなかった」

「だから言ったろ。あの2人は手ごわいって」

 

仲がよさそうな2人は、偽の月明かりに照らされた所へ降り立った。

1人は男性で、もう1人はウサミミを生やした女性。

問題は、男の方。

その男は私もお嬢様も良く知っている、彼だった。

 

「よっ、こんばんは2人共。今日はいい月夜だな」

「なんであなたがそこにいるんですか、ユウキさん?」

 

そう、私達を阻むように降り立ったのは、ユウキさんだった。

 

 

続く

 




はい、と言うわけでユウキは、解決側ではなく異変側に付いちゃいました。
まずはユウキにベタ惚れ組からです(笑)

どうしてこうなったかは次回。

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