FGOやっと6章クリア……エウリュアレとマーリンが過労死しそうでした(笑)
誰かに見られている感覚で目が覚めた。
と言ってもまだ意識がはっきりせず、まぶたも重い。
幻想郷に来てからこういう感覚は何度目か分からない。
今回、俺をジッと見ているのは誰だろうか。
フラン、チルノ、大ちゃん、こあ辺りかな。
もしくは霊夢や文、咲夜、アリス、美鈴、レミリア、パチュリー……って候補多すぎだろおい!
と、自分にツッコミを入れた所で全部思い出した。
俺は、竹林で出会ったブレザーうさみみっ娘に何かされて、敵と誤認して殺そうとしたんだった。
で、途中で文と妹紅が来て、てゐやお京と呼ばれたうさぎっ娘も来て、ついでに赤青の人も来て……
「あ、目が覚めた?」
「……んっ?」
自分の状況を思い出していた所で、覗き込んでいた誰かから声をかけられた。
瞼をゆっくりと開けると、そこには黒い長髪で着物姿女の子がニコニコしながら俺を見ていた。
和服は人里で散々見慣れたが、着物となるとあまり見た記憶ないな。
それになんか、ひな人形みたいな着物だ。
好奇心の塊と言ったその笑顔は、どこか涙子を思い出すな。
「良かったわ。あなた、丸1日ずっと寝ていたのよ? あーでも永琳の薬の副作用みたいなものだから。でもおかげで傷は治ってるわよ?」
「色々一気に言われても頭に入らない。そんな事より、ウサミミの女の子はどうなった?」
「ふーん、自分の事よりも鈴仙の事を気にするのね。まぁ、いいわ。あの子なら大丈夫、あなたより軽傷よ」
良かった。俺よりはマシか。
ってそんな俺の状況を改めて確認する。
アリスが作ってくれた服ではなく、病衣だ。
幻想郷にもこんな服があるのか。
で、身体と左腕に包帯が巻かれているけど、どっちも痛みはないしちゃんと動く。
左腕はあのウサミミっ娘にトドメを刺すのを止める時、ナイフで刺したはずなのに違和感すらない。
それに、ウサミミっ娘の攻撃をモロに受けたはずなのに、どこも痛くないのは少しおかしいな。
「もしもーっし、聞いてる?」
「あぁ、聞いてる。で、ここはどこだ?」
「どこって……そこから話さないとダメなのね。ここは 「「ユウキ(さん)!」」 あら、時間切れね」
突然襖が開いて、妹紅と文が血相を変えて飛び込んできた。
「よぉ、文、妹紅!」
「ユウキさーーんっ!」
「ぷぎゅっ!?」
とりあえず元気に挨拶してみた。
すると、文が目に涙を浮かべて飛び込んできた。
あ、今のでさっきの子、吹き飛ばされた。
「良かった、良かったですよぉ~!」
「お、大げさすぎじゃないか?」
「だってだって、最初見た時は血だらけで死んでるって思ったんですよ!?」
「ほら、こうやって生きてるわけだし、とりあえず離れてくれないか?」
「あ、あややや。そうでしたね。怪我人相手でしたね」
なんか毎回こんな事してる気がする。
で、ちらりと横を向くと、吹き飛ばされたさっきの子がこっちを睨んでいる。
俺のせいじゃないっての。
「姫様!」
「げっ、永琳」
次にやってきたのは、息を荒くした赤青の変な服を着た女性。
あ、彼女は確かあの時、お京と一緒にいた人だな。
姫ってのは着物少女の事かな。
「姫様、彼は危険だから会うのはダメだと言ったはずですよ」
「大丈夫よ、永琳。散々言ったでしょ、彼は鈴仙を殺そうと思えば殺せたのにそうしなかった。トドメを刺そうとして自分で自分の手を刺してまで止めたのよ? それに、彼は妹紅のお気に入りだもの。悪人なわけないじゃない」
「それは分かっています。私が言っているのは、鈴仙の力の影響がまだ残っているかもしれないから危険だという事です!」
うーん。イマイチ状況が分からないまま盛り上がってるなぁ。
「ユウキ、気分はどうだ?」
ポカーンとしていると、妹紅が話しかけてきた。
さっきから俺と文を見て、話しかけるタイミングを測っていたっぽいな。
「あぁ、大丈夫だ。痛みもけだるさもない。2人共、心配かけてごめん」
「べ、別にこれくらいいいって。西行妖の時に比べたら軽傷だったの分かってたし」
「またまた~妹紅さん、ここに運びこまれてから、さっきまでずっと付きっきりでオロオロしてたくせにぃ」
「あ、文だって泣きそうな顔してたじゃないか!」
また俺をスル―して2人で盛り上がってる。
いい加減今の状況教えてくれる人いないのかよ。
「じゃあ、私が教えるよ、ゆーちゃん♪」
呼ばれて横を向くといつの間にかてゐとお京がいた。
「怪我、大丈夫そうでよかったです」
「悪い。怖がらせちゃったな」
あの時、途中から誰かの視線は感じたけど、あれ多分お京の視線だったんだな。
覚えているのは、恐怖に震えながらも必死に俺とウサミミブレザーっ娘を守ろうとしたお京の姿だ。
「ううん、私は平気だよ」
「そっか。早速だけど、ここどこで俺はどうなったんだ?」
「まず、私と京ちゃんが竹林で銃声を聞いて急いで駆け付けると、ゆーちゃんと鈴仙ちゃんが見た事もないほどの殺気を出しながら殺し合いをしてるのが見えたの」
さっきからちょくちょく出ている鈴仙ってのは、うさみみブレザーっ娘の名前か。
「で、私達じゃ止めれないのが分かったから、京ちゃんは御師匠様を呼んできてもらって、私はもこちゃんを呼びに行ったの。で、もこちゃんとけいちゃんを連れて戻ったら、あの天狗さんが鈴仙ちゃんを吹き飛ばしてたってわけ」
そこから先は俺が覚えてる通りって事か。
それにしても、もこちゃんにけいちゃんって……
まぁ、あの2人よりも結構年上だしな。
「なるほど。御師匠様って言うのは、あそこにいる彼女か?」
まだ着物少女と言い争っているな。
文と妹紅も何か言い合ってるし。
なんだこれ。
「そうそう、八意永琳様。御師匠様は何でもできる凄い人なんだよ。ゆーちゃんと鈴仙ちゃんを治療したのも御師匠様だし。で、ここはね、迷いの竹林の奥にある永遠亭って言う所なの」
「そっか、竹林の奥に変な感じがしたのは、ここが結界か何かで守られていたからで、てゐと妹紅が竹林に近付くなっての言うのは、迷うだけじゃなくここに近寄るなって事だったのかな?」
俺がそう言うと、シーンとなってしまった。
これは図星か。
「驚いたわ。本当にすごい観察眼と洞察力を持っているのね。あ、ごめんなさい。自己紹介が遅くなったわね。私は八意永琳。鈴仙から色々聞きましたが、今回は弟子の不始末であなたにトンでもない迷惑をかけてしまったわね」
「こちらこそ、俺の不注意で誤解をさせてしまったようで」
鈴仙の能力はあの時、幻想支配で視て全部知った。
狂気を操る能力、本質は人の持つ波長を操るって事だけど、それで他人の認識をずらしたりすることが出来る。
で、俺はその狂気を操る能力をくらって鈴仙を敵と認識して、殺そうとしたんだ。
久々にスイッチしちゃったな。
俺は、殺すべき敵と認識した相手は、手段を選ばずに徹底的に殺すように訓練されている。
普段は抑えているけど、幻想郷に来てからは3度なった。
1度目はフランの狂気にあてられて、2度目は西行妖を倒す時、そして今回。
西行妖の時は自分でスイッチしたけど、フランと今回は能力の影響とはいえ暴走に近い。
みさきちレベルの精神汚染にもある程度抵抗できる訓練はしていたけど、幻想郷の能力は勝手が違うから簡単にかかっちゃったな。
少し修行した方がいいか。
「全く、竹林には近付くなって言ったのに」
「そうそう。ゆーちゃんデートしよーって呼ぶと良いって言ったでしょ」
理由はどうあれ、竹林に入ったのは俺のミスだからな。
前に注意してくれた妹紅とてゐにはホント申し訳ない。
「ちょっと、妹紅さんどう言う事ですか!?」
「まぁまぁ、2人共。今は彼の事が先よ。で、あなたの傷は私が治療したのだけど、どうかしら?」
「さっきも言いましたけど、俺は大丈夫。腕も動きますし」
左腕を上げたり、手を開いたりして全快をアピールした。
すると、永琳は驚いた顔をした。
「驚いたわ。確かに私特製の傷薬は使いましたが、それでももうそこまで回復するなんて」
「俺は元々回復力が高かったですし。ん? 薬? あ、もしかして西行妖の時の薬って……」
永琳の特製傷薬と聞いて、もしやと思い妹紅を見ると、気まずそうに顔をそらした。
「ふふっ、気が付いたのね。西行妖の一件は私達も知っているわ。その時にあなたが死ぬ一歩手前までの大怪我したのもね。で、その時妹紅がやってきたのよ。死にそうな程の重傷人がいて、助けてほしいってね」
「ばっ、ばかぐや! それ以上言うな!」
「おやおや? 何やら気になる情報ですね。ささっ、続けてくださいな」
妹紅は顔を真っ赤にして姫さんを止めようとしたが、記者の顔をした文に逆に止められた。
意地が悪いな文、流石新聞記者。
「でね。その時、妹紅ったら涙を流してこう言ったのよ 『絶対に死なせたく奴なんだ。私に出来る事があれば何でもする。だから彼を助けてくれ!』 って土下座しながらね」
「あっ、あぅ、ぁ……」
「あややや~これは良い事を聞いちゃいましたね♪」
妹紅の顔が今にも噴火しそうなレベルにまで赤くなった。
あまり見られない表情で何か新鮮だ。
「私も見た事がない表情だったから永琳に言って特製の傷薬を渡したって訳」
「そうだったのか。今回の事と言い、ありがとうございます」
「気にしないで、私は医者でもあるの。だから重傷人を放ってはおけないわ。直接診る事が出来ないからせめてと思ってね。それと、今回はあの時とは違う薬を使ったわ。あの時のはどんなに瀕死の状態でも治す事が出来る薬だけど、一生に一度しか効かないの。それは妹紅からも聞いたでしょ?」
そう言えば、妹紅が2度目はないって言ってたな。
「か~ぐ~や~! よくもユウキに話したな。しかも、厄介な文にまで知られちゃったじゃないの!」
「あらあら? 私はあなたのサポートしただけよ? これで彼からのポイントはかーなり上がったんじゃない?」
「余計な御世話だ!」
姫さんは小悪魔的な笑みを浮かべて部屋を出て行き、妹紅は顔どころか全身を真っ赤に燃やして追いかけて行った。
仲良いなあの2人。
「やれやれ。怪我人の前で騒がないで欲しいわね。それで話を続けるわね。あなたはよほどの重傷から治ったと思ってるようだけど、実際は少し違います」
「ん? どういう事ですか?」
「確かに左腕は、しばらく動かす事も出来ない程に重傷でした。ですが、それ以外の傷は見た目よりずっと浅かったのです」
左腕以外が軽傷?
でも、あの時確か胸元は真っ赤になっていたような。
いや、痛みはそれほどなかったけど、それは麻痺していたからだと思った。
あれ? なんでさっきまで楽しそうに妹紅の事をメモっていた文が見るからに不機嫌になっていってるんだ?
「ユウキさんが着ていた服。妹紅から聞きましたが、魔法使いの特製らしいですね?」
「あぁ、アリスっていう人形使いが他の魔法使いと作ってくれたんだよ。それが何か?」
「あの服は、とても強力な魔法で編み込まれていました。あなたを守る鎧と言ってもいいほどに頑強にです。おかげで鈴仙の攻撃も最小限のダメージで済んだのです」
「そっか、アリスの服が俺を守ってくれたのか」
実際には魔理沙とパチュリーも手伝ったみたいだけど、ほとんどアリスが1人で作ったと言っていた。
きっと魔理沙とパチュリーは服にかける防御魔法の事で手伝ったんだな。
パチュリーは西行妖の時、美鈴の手作りマフラーにも似たような魔法をけてくれた事あったし、今回も助けられたのか。
今度アリス達にはお礼しないとな。
「で、なんで文ちゃんは、ゆーちゃんの服の話になると不機嫌になったのかな?」
「文ちゃん!? いやいや、そうじゃなくてですね。別に私は不機嫌にはなっていません」
てゐがウサウサと言いながら悪そうな笑みを浮かべて、文をからかっている。
なんで文が不機嫌なのかは気になるけど、気にしない方が多分いいだろうな。
「あ、そうだ! 文、慧音はここにはいないのか? 霊夢への伝言どうなったか気になるんだけど」
「慧音さんならまた後で来ると言っていました。霊夢さんへの伝言ならあの後すぐにしたみたいですよ。納得はしてないけど、納得はしたみたいです」
霊夢さん勘が鋭いから、と苦笑いを浮かべる文。
文や妹紅よりはうまく言いくるめられるかもと慧音に頼んだけど、誰に頼んでもいずれバレるかもな。
「さて、他にも話す事がありますが、今はここまでにしましょうか。今日一日は安静にしていて下さいね。お腹が空いているのなら料理、運びますけど?」
「ありがとうございます。今はいいですよ。少し眠ります」
後遺症はないけど、少し疲れがまだ残っているみたいで少し眠い。
「そうですか、では鈴仙からは後でちゃんと謝罪させますから」
「いえいえ、あの時も言いましたけど、殺す気でしかけたのは俺が先ですから」
「それでも最初にしかけたのは彼女が先ですよ、ユウキさん!」
文はまだ鈴仙の事怒っているみたいだな。
「あはは、思った通り、ゆーちゃんが鈴仙ちゃんの事憎んでるわけじゃなくて良かったよ」
「向こうが俺を憎む理由はあるけど、俺にはないから大丈夫だよ」
「うん、ありがとう」
「私からも礼を言わせて、ありがとうユウキ君」
2人して頭を下げててゐと永琳は部屋から出て行った。
文は名残惜しそうにしていたが、部屋を後にした。
山へ帰らなくて大丈夫なのかな、文は。
「あ、そう言えばさっきの姫さんの名前、聞いてなかった」
えっと、妹紅は確かばかぐやって言っていたような……
何か引っかかる名前だけど、ま、いっか。
ひとまず寝よう。
続く
はい、シリアス終了!(ぇ
異変直前ですが、今回の異変は内容はともかく今までとかーなり違っています。
どう違うのかお楽しみに。