幻想支配の幻想入り   作:カガヤ

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種火はいいけど、素材集めがなかなか進まないです。
やーっと、エウリュアレを2再臨出来たくらい。
イシュタルやケツァルの最終はまだまだ先だなぁ。
それより福袋はどれを狙おうか……

あ、今年最後の投稿です(ォイ


第112話 「人形劇」

アリスと一緒に行った大人形劇は、大盛況のうちに終わった。

俺の人形遣いとしての特訓もあったがそれ以上に劇場や小道具に時間がかかったが、アリス曰く思っていたよりはかからなかったらしい。

大規模にやりたいとアリスは願っていたがそれでも最初は、寺子屋か広場で場所を借りて小さめにやるつもりだった。

で、その話をどこからか聞きつけた萃香が、興味を持ってどうせならでっかくやろうと言ってきた。

にとり達河童の力を借りて、舞台照明や演出効果を迫力のあるものにしたり、文やはたてに新聞で大々的に宣伝したりと、鬼の権威をフル稼働させた。

最も、萃香としてはただお願いしただけだったが、文達にしてみれば命令も同じだっただろう。

それから、俺はどうせならと、プリズムリバー三姉妹やみすちーに音に関しての演出を頼んだ。

劇にはそれに合った迫力のある生演奏があった方がいいと思ったからだ。

ついでに、みすちーの歌もあれば完璧だ。

リリカ達は快諾してくれて、みすちーも最初は恥かしがったが、大ちゃん達が説得してくれて主題歌や挿入歌をうたってくれた。

今度、みすちーの屋台でみんなに雀酒を奢らないとな。

 

次に劇に使う人形作りだ。

アリスがいつも使っている人形達とは全く違うドラゴンや勇者などを、アリスと神綺がずっと作り続けた。

神綺は娘がやる人形劇を観てから帰る。と未だ魔界に帰らず、アリスの家にいる。

たまに博麗神社に来て、俺に絡んできては霊夢達に退治されているが、全く懲りない。

物好きな神様だ。

でも、人形作りの腕はアリス以上だった。

てっきり魔法か何かで作るのかと思ったが、全部手作りでさっささとドラゴンを作った。

アリスは口では色々言っていたが、準備が思っていた以上に捗っていて喜んでいたな。

なんだかんだで母親と一緒に人形作りをしたのが楽しかったようだ。

そんなこんなで、いよいよ人形劇の1回限りの公演が始まった。

客は人妖入り乱れており、俺の見知った顔も知らない顔も沢山いた。

俺が操る巨大ドラゴンの群れと、アリスが操る勇者上海達の戦いは、ただ単に操るだけではなく、口から炎を吐いたり剣からビームが出たりと大迫力で子供だけではなく、大人からも大盛況だった。

 

そんな訳で、今は博麗神社にて打ち上げと言う名の宴会が行われている。

今回はアリスと神綺が料理とお酒を大量に用意したので、人形劇を手伝った萃香や文やにとり達以外にも沢山集まっている。

要は、何でもいいから宴会出来ればいいだけだ。とは霊夢の談。

 

「お疲れ様、ユウキ。ありがとう、おかげで助かったわ。大丈夫? 疲れていない?」

「ううん、これくらいは平気だ。別に弾幕ごっこしたわけじゃないしな」

 

幻想支配でアリスの力使っていたけど思ったよりも上演時間が長く、数体の巨大ドラゴンを操るのは結構疲れると思った。

でも、思っていたよりはずっと疲れなかった。

思えば、アリスだけではなく、誰であれ結構長時間使えるようになった。

幻想支配が幻想郷に慣れてきたのかな?

 

「いやぁ~それにしてもあの龍は迫力あったねぇ」

 

そこへ上機嫌な萃香がやってきた。

右手に酒瓶、左手に酔い潰れたらしい文を持っている。

あ、地面に落されて伸びちゃった。

哀れ、文。

 

「萃香も色々ありがとね。素晴らしい劇場で演じられてよかったわ」

「何の何の。ユウキが人形劇やるなんて面白いと思ったからね。で、思ってた以上に面白いものを見れた……イタッ!?」

 

ニヤリとする萃香に、幻想支配で力を視てからデコピンした俺は悪くない。

普通にデコピンしたら指がイカれる。

それでも結構痛い。

萃香の力をコピーしても、別に身体強化されるわけじゃなく気休め程度にしかならないって事を忘れてた。

 

「ふっ、ふふふっ……ドラゴンで悪役セリフを言うユウキさん。しっかりとカメラに収めましたよ……」

 

文がゾンビのようにフラフラしながら、カメラを掲げて得意げに言ってる、が。

 

「カメラで収めても写真だけで声まで撮れてるわけじゃないから、あんまり意味ないんじゃないの?」

「あ“っ」

「そうだな。実際アレはかなり恥ずかしかったけど、写真に撮られるだけじゃ別にどうってことはないな」

「あ“ぁ”~……」

 

アリスと俺がそうツッコムと、文は再度地面に崩れ落ちた。

萃香はそれを見て大爆笑してる。

さっきから話に出ている面白いものとは、俺が演じたドラゴンの事だ。、

今回やった人形劇は勇者達VS悪のドラゴン。

勇者達は上海や蓬莱達、悪のドラゴンは俺が操った。

で、魔力の糸で操っただけじゃなく、役として声をあてた。

 

『勇者ども! 姫を返して欲しければ、この牙龍の炎を凌いでみせよ!』

 

なーんて、実は結構ノリノリだったりする。

悪役だったからやりやすかったけど、正直言って、勇者側をやってくれと頼まれたら絶対に断っていた。

他者を演じた事は何度もあったが、まさか演劇をする事になるとは少し前の自分じゃ考えられなかったな。

 

「うっふっふーん、2人共名演技だったわよ!」

「わっ、神綺?」「ママ!?」

 

背後からいきなり現れた神綺が俺とアリスを抱きよせた。

さっきまで向こうでパチュリーや魔理沙と話してたんじゃなかったのか?

 

「子供達もたっくさん喜んでいたし。私も手伝った甲斐があったわぁ。ねぇねぇ、魔界でもやってみない?」

「そんな事言ってユウキを連れて帰る口実作っているだけなんじゃないの?」

「あっはっは~口実なんて作らなくても連れて帰る気満々よ?」

「止めてよね!? 本気で止めてよ!? そんな事したら魔界が滅びるわよ!?」

 

俺はこういうのは、もうツッコミはしないし、口も出さない。

出したらどうなるか予想付くし。

 

「悟ってる顔してるけど、それただ諦めてるだけだよね?」

「……そうとも言う」

「しかし、噂でしか聞いてなかったけど、まさか魔界神が親馬鹿だったとは驚いたよ」

 

そう言う萃香は、さして驚いた表情を浮かべていない。

文も興味津々に親子漫才をしているアリスと神綺を観ていた。

 

「ですねぇ。幻想郷が出来る前から何度もこちらに来ていたようで、私も取材しようとしたのですが、毎回巻かれちゃったんですよね」

「あんなのでも魔界神だから、か」

 

今の神綺はアリスと姉妹にしか見えないけどな、どっちが姉に見えるかは黙秘。

 

「紫とも知り合いっぽいしね。で、なんで紫は来ないで藍だけいるのさ?」

 

萃香が背後に声をかけると、誰もいなかった場所にスーッと藍が現れた。

橙はさっきから向こうでチルノ達と遊んでいる。

言われてみれば、魔界神なんて強い存在がやってきてるのだがら紫も顔を出しても良さそうなのに、気配すらなかったな。

 

「流石ですね萃香様。紫様は眠っているので、私が代わりに」

「ええぇ~!? 紫ちゃん来ないの~!? 何か私の事言っていたのかしら?」

 

紫が来ないと聞いて、神綺が飛んできた。

ホント、行動力が凄まじいな。

 

「い、いえ、特に何も、ただ寝るとしか聞いておりませんので」

 

流石の藍も目をパチクリさせて動揺してる。

 

「む~、せっかく来たのに……こうなったら隕石でも落として起しちゃおうかしら」

「「「やめい!」」」

「ふぎゅ」

 

あまりに物騒な事を言いだしたので、アリスと霊夢と一緒になって神綺の頭にチョップをかました。

霊夢もさっきまで咲夜やレミリアと話していたのに、いつの間にかこっち来てる。

どいつもこいつも瞬間移動でも出来るのか?

 

「じょ、冗談よ冗談。や~ね~3人共本気にしちゃって、やるわけないじゃないそんな事」

「出来る出来ないじゃなくて、やるかやらないか、なんだ」

「こんなのでも魔界神よ。紫よりも強いし」

「こ、こんなの!? 母親に対してこんなのはないんじゃないかしら?」

 

また親子漫才始めたよこの2人。

仲がいい事で……何だか、美琴と美鈴さんみたいだな。

 

「ねぇねぇ、さっきの話だけど。ホントに隕石落とせるなら1つでっかいの落としてみてよ。一度でいいから巨大隕石を殴ってみたかったんだよね」

「止めてください! そんな事に興味もたないでください!」

「洒落にならないから止めなさいよ、萃香。もしそんな事したら私が萃香ごと隕石を吹き飛ばすわよ?」

 

文が顔を真っ青にして止めて、霊夢が本気になって怒っている。

普通なら冗談だって思うけど、萃香と神綺なら本当にやりかねない。

 

「む~霊夢ちゃんも文ちゃんも冗談がつうじなーい」

「いや、冗談じゃ済まないでしょうが神綺様!」

「あははは~ところでアリスちゃん? ユウキちゃんへの報酬、ちゃんと考えてるの?」

「へっ? 報酬??」

 

神綺に言われ、アリスはぽかーんとした表情を浮かべた。

言われてみれば、その事すっかり忘れてたな俺も。

 

「そうよ。ユウキちゃんが何でも屋さんだからアリスちゃんは仕事を依頼した。なら、当然報酬は出さないと」

「あ、そうよね。うん、それは当然よね。もちろん、考えていたわよ?」

 

アリスも人形劇の事で頭がいっぱいでその事は考えてなかったな。

 

「ウソでしょ」

「うそですよね?」

「私の前で嘘はよくないなー」

 

霊夢、文、萃香に三者三様な目を向けられ、アリスは小声で。

 

「はい、忘れていました」

 

と答えるしかなかった。

 

「俺は別にいいけどな。報酬目当てで何でも屋やってるわけじゃないし」

「それはダメよユウキさん。労働の対価はキチンともらわないと」

 

なぜか霊夢に怒られてしまった。

別に生活に困るわけじゃないけど、居候の身として何か手に職を持ちたかったのが一番の理由だしな。

 

「霊夢の言う通りよ。それに私は最初にちゃんと報酬を出すって言ったもの。あ、そうだわ。何か私が服を作ってあげるわ」

「それがいいわね。アリスちゃん、裁縫が大得意なのよ。何か作ってもらったらどうかしら?」

 

服、か。

レミリアから沢山もらっているから困ることはないけど、全部お下がりだからな。

自分にあった服を作ってもらうのも、いいか?

 

「それならさ、前着ていたような服を作ってもらったらどうだ?」

 

服の話に興味が湧いたのか、魔理沙までもが話に参加してきた。

 

「魔理沙ちゃん、前着ていた服って?」

「ユウキが外の世界で着ていた服さ。結構かっこよかったんだけど、ちょっと前に直せないほどに破れちゃったんだ」

「あ、こら!」

「馬鹿魔理沙!」

 

霊夢とアリスに睨まれ、魔理沙はハッとした表情を浮かべた。

ん? どうしたんだ?

 

「外の、世界? えっ? ユウキちゃんて外来人だったの?」

「あー、そう言えば神綺には言ってなかったっけ。俺は外来人だよ。と言ってもここの外の世界じゃなくて全くの異世界から来たんだけど」

 

てっきり言ったもんだとばかり思ってたけど、神綺には言ってなかった。

幻想支配の事は、視たものの力が使える程度の能力、と言う分かりやすく言っただけだったし。

 

「……そう、そうなの」

 

あれ? てっきり沈痛な表情とかを浮かべるかと思ったけど、神綺の表情は良く分からない。

何か深く考え込んでいるようだ。

別に同情的な表情をされるよりはマシだけど、一体どうしたんだ?

 

「ママ?」

「えっ? あ、ごめんなさいね。ちょっとユウキちゃんの力が不思議だったから、異世界から来たって事で納得しちゃったのよ」

 

ウソだ。

さっきの反応は明らかに違う事を考えてたな。

萃香もそれに気付いて、半ば睨むような目を神綺に送っているし。

霊夢と文は不審な目で神綺をみている。

まぁ、いいか。

 

「うーん、そうだな。着なれてる服も一着くらいあってもいいか。じゃあ、アリス。俺がここに来た時のような服を頼むよ」

「え、えぇ、あなたがそれでいいなら、一着と言わず何着でも作ってあげるわ」

 

アレ? 今度はアリスの反応が変だな。

何か俺に気遣ってる?

あ、元いた世界の事を触れるのがタブーって勝手に思ってる?

 

「あのな。俺は別に元いた世界の事は気にしてないぞ。忘れてるわけでもないし。たまに思い出す事もあるし」

 

俺がそう言うと、霊夢達は驚いた顔をして、深く溜息を吐いた。

なんで、そういう反応になるかな。

 

「あーそうね、そうよね。あなたはそう言う人だものね」

「気にしない方がかえっていいって事か」

「ユウキさんらしいですけどね」

「手遅れの末期なのは相変わらずかい」

 

みんな、思い思いに好き勝手言ってくれるが何が言いたいのかさっぱり分からない。

 

「ともかく、あの服と同じデザインと他にいくつかデザインするから、明日にでも私の家に来てよ」

「分かった。楽しみにしてるよ」

「さり気なく自分の家に誘うなんて高度なテクニックをいつのまに!? 流石はアリスちゃんね。でも、私もまだいるって事忘れてないかしら?」

「あぁ、もうママは黙ってて!」

 

俺が行くより、アリスに博麗神社に来てもらった方が平和な気がしてきた。

 

 

続く




はい、タイトル詐欺回(笑)
これにて日常編は終わり、来年更新の次回からは永夜抄編です。
これまでと違ってちょっと変則的になると思います。

それでは皆さん良い落としを~♪

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