今回は出したくてたまらなかったあのキャラ出ます。
今日は、魔法の森にあるアリスの家にやってきた。
以前俺に頼み事をしたいと言っていた件でアリスに呼ばれた。
色々準備があるから待っててと言われていたからな、危うく忘れる所だった。
「アリス、来たぞー」
「いらっしゃい! ささっ、入って入って。魔理沙とパチュリーも来てるわよ」
なんだか上機嫌なアリスに出迎えられた。
魔理沙とパチュリーも呼ばれていたのか。
奥のテーブルに2人が座っていて、こっちに手を振っていた。
「よぉ、来たなユウキ」
「こんにちは、ユウキ。ここで会うのは何だか妙な気分ね」
「おっす2人共。おっと、久しぶりだな上海に蓬莱」
上海と蓬莱が飛んできて俺の胸に飛び付いてきた。
この2人に会うのも久々だな。
「シャンハイハーイ!」
「ホウラララーイ!」
……なんか2人共テンションがおかしい気がする。
「な、なぁ、アリス? 上海達どうしちゃったんだ?」
「あ、ごめんなさい。私ちょっと妙なテンションになってたから、それが移ったのかもしれないわ」
人形遣いのテンションが人形に移るのか……そういうもの、なのか?
「アリスったら6日ほど徹夜してたようなのよ。いくら睡眠が本来いらない魔法使いだからって、習慣として残っている睡眠をいきなり止めたら影響出るわよ」
パチュリーが言った事で思い出したけど、魔法使いって食事と睡眠は本来いらないんだったな。
アリスもパチュリーも普通に寝たり食事してるけど、それは習慣だったっけ。
魔理沙は魔法使いだけど、魔法使いじゃないんだとかそこら辺はよく分からない。
「私だってたまに食事も睡眠もしない時あるぜ?」
「それは魔理沙が研究に没頭していて、ただ食事と睡眠を忘れていただけでしょ。霊夢があの時偶然尋ねてこなかったら死んでたわよ」
「わわっ、なんでアリスがそれを知ってるんだよ!? 霊夢か!? って、そこ笑うなユウキ!」
「悪い悪い。なんだか簡単に想像付く光景だなと思っただけだ」
実は俺もその話は霊夢から聞かされていたんだよな。
霊夢曰く、しばらく見かけなかった魔理沙を心配してきてみたら、真っ青な顔した魔理沙がうすら笑いを浮かべながら一心不乱に研究している姿を見て怖くなって気絶させたとか。
「ったく、で、アリス? 私だけでなくパチュリーにユウキまで呼んでどうしたんだ?」
「あなたはいつも呼ばなくてもご飯食べに来るでしょうが。っと、そうね。実はユウキに前々から頼みたかった事があって、それの事で2人の意見も聞きたいのよ」
そう言ってアリスは一冊の本と大きな紙をテーブルに広げた。
「これは、人形と舞台の図面か?」
「こっちは、台本ね。えっと、勇者とその仲間がドラゴンの群れを相手に大乱戦?」
「アリス、これひょっとして人形劇か? それもすごく大規模なやつ」
「そうよ。良く分かったわねユウキ! これが前々から私がやりたかった事なの!」
興奮気味に話すアリスの説明によると。
今までアリスは寺子屋や祭りなどで人形劇をやっていた。
全部1人でやっていたのでとても小さいものだった。
外の世界で言う映画みたいな大規模な物をやってみたいと思っていたが、複雑な動きを多くの人形達にさせる制御など1人では流石に色々と無理があった。
だが、幻想支配でアリスの魔法を使える俺が来た事で、それが可能になったと言うわけだ。
「でも、大規模にしたって肝心の話は、勇者が攫われた姫を助ける為にドラゴンを倒すって、ありきたりすぎないかしら?」
流石パチュリーは大図書館で様々な本をだけはあって、色々な物語に詳しいな。
それを踏まえて呼んだのだろうけど。
「それは私も思ったけど、下手に話を複雑にすると表現がうまく出来なくなるのよ。だから話は王道でもスケールを大きくしたの!」
「それがこの勇者チーム5人対ドラゴン100体か? 色々無理があるだろ!?」
魔理沙のツッコミ通り、無理がある気がする。
いや、元の世界でもっと過酷な状況にはなったけどさ。
「私がドラゴン100体や敵側を操るから、ユウキには勇者達をやってほしいのよ。あ、上海と蓬莱はお姫様役ね」
「姫が2人って、おぉ、なんかやる気満々だ」
「シャンハーイ」
「ホウラーイ」
いつのまに着替えたのか上海と蓬莱はお姫様っぽい衣装を身に纏って、揃ってお色気っぽいポーズを決めている。
……確か、それ昔流行ったパイレ○ツのギャグポーズじゃなかったか。
「ふむふむ、なるほどね。それなら面白くはなりそうだけど、ユウキは幻想支配で人形を操るのは大丈夫なの?」
「ん、ちょっとやってみるか。アリス、力使うぞ」
「ええ、良いわよ。あそこにある人形使ってみて」
アリスを幻想支配で視て能力を使い、棚に置いてある動物の人形を操る。
魔力の糸を出してそれを使う感覚か。
似たような事は何度かやってるから手慣れた物だ。
「お、ライオンが、カバと空中戦始めたぞ?」
「白鳥が空中で何か踊って、いえこれは武術? なんでそんな動きさせてるのよ」
「ぶっ!? 象が鼻を軸にコマのように!? わ、分かったわユウキ。あなたがうまく操れるの分かったから、や、やめて……ふふっ」
いくつかの動物達を色々操ってみたが、それがアリスの笑いのツボにハマったらしい。
魔理沙は興味津々で、パチュリーは呆れている。
ん、なんだ? 外に気配がする?
「ふー……ともかく、ユウキは大丈夫っと。あとは舞台や演出の方ね、あら?」
――コンコン
アリス達も気がついたようでドアに目を向けると同時に、ノックされた。
「……ものすごく居留守を使いたいけど、絶対にいるってバレてるわよね。はぁ……はーい、いまあけますよー」
――ガチャ
「アリスちゃん!!」
「「「っ!?」」」
なぜか投げやり気味なアリスがドアを開けると同時に、誰かがアリスに抱きついた。
突然来訪した女性は、赤いローブを身に纏い、長い銀色の髪をしていて、ひょこっと飛び出るサイドテールをしている。
彼女を見た魔理沙はアチャーと言った顔をしていて、パチュリーは目を見開いて驚愕の表情を浮かべている。
アリスをちゃんづけで呼ぶ程の親しい仲らしい。
俺は知らないけど、魔理沙は知っているような顔をしてるな。
「アリスちゃん久しぶりー! あぁ、会いたかったわぁ!」
「ちょ、ちょっと待って、離してよ、ママ!」
「「ママ!?」」
あまりに衝撃的な一言に、俺とパチュリーの声がハモった。
「ちょっと、魔理沙あの人一体何者なのよ!?」
「あー……彼女は、アリスの育ての親で、魔界の神様だ」
「「魔界の神様!?」」
またハモった。
「あら、魔理沙ちゃん久しぶり、大きくなったわね」
「あはは、どうも」
さっきから彼女のハイテンションぶりに流石の魔理沙も苦笑いだ。
でも、親子だけあってさっきまでのアリスとどこか似ているな。
「あらら、そちらの魔女ちゃんは初対面ね。ごめんなさいね、いきなり押しかけちゃって」
「ちょっとそれは私に言うべき事でしょ! それより2人共固まってるじゃない。早く自己紹介して帰って」
「帰って!? アリスちゃん、ひどーい! せっかく夢子ちゃんの目をかいくぐってここまで来たのに……」
「し・ん・き・さ・ま?」
「あ、はい。自己紹介させていただきます」
駄々をこね始めた魔界の神様を笑顔1つで黙らせたアリスすげぇ……
「こほん。では、初めまして。私の名前は神綺。アリスちゃんのママで魔界神やってまーっす♪」
「かるっ! 軽すぎ! もっとこう威厳とか出しなさいよ! あぁ……無理よね。神綺様は昔からそういうの苦手だもんね」
「アリスちゃんがさっきからヒドイ……と、ともかく、魔理沙ちゃんの事は良く知ってるけど、そちらの2人の事も教えてほしいな?」
魔界の神様、なのは間違いないだろうな。
本人は全然力を出してないのに、感じるこの強大な力。
こんなに強い力は、幻想郷でも元の世界でも感じたことはない。
多分、西行妖やアックアどころか大天使であるミーシャよりも強い。
あれ、これくらいの力を、前にどこかで感じたような気がする……まぁ、いいか。
パチュリーがさっきから固まっているのは、神綺の力を感じ取っているからだろう。
で、力を裏腹な強烈なキャラクターのギャップに驚いているって所か。
それは俺もだけど。
「え、えっと、私はパチュリー・ノーレッジよ。魔法使いなのはもう分かっているみたいですけど」
「うんうん、アリスちゃんや魔理沙ちゃんに負けず劣らずの才能を感じるわ。あ、敬語とかはいらないからこれからもアリスちゃんと仲良くしてね。で、そっちの気になる彼……」
「??」
神綺は俺の方を向いて一瞬、ほんの一瞬だけど固まった気がした。
まるで何かに驚いている表情を浮かべたようだけど、それもすぐに消えて今度は興味津々とばかりに身を乗り出してきた。
「ねぇ、ねぇねぇ、そこの君。あなた名前は!?」
「ユ、ユウキ……です」
顔が近い顔が近い!
神綺ってアリスのような娘がいると思えないほど、綺麗で若々しい顔をしているな。
それよりも彼女の目がギラギラしてないか?
「ユウキちゃんね! 分かったわ! で、あなたはアリスちゃんの友達? 彼氏? 婚約者? それとも旦那様? あ、この子がまさかの2人の愛の結晶!?」
「シャ、シャンハーイ!?」
突然俺とアリスの子供と言われた上海がワタワタとしていて、可愛いなー……って現実逃避か。
「ちょ、ちょっとママ、じゃなかった神綺様! 彼から離れて、困っているじゃない! それにユウキは友達! 親友! それにこの子は上海で私が作った人形よ! こ、こどもだなんて……まだ、早ゴニョゴニョ」
顔を真っ赤にしたアリスが神綺を引き離して1人でブツブツと何か言っているけど、聞かなかった事にしよう。
そうでないと、目をパチクリさせていたパチュリーがいきなり睨み出して怖いからな。
「あっはっはっはっ、相変わらずの親馬鹿ぶりだなー」
「あはは、そう褒めないでよ魔理沙ちゃん」
「「「いや、褒めてないから!」」」
うん、神綺が来たと分かった途端のアリスの反応の意味が分かった気がする。
「で、一体何しにきたのよ。用件なら聞くから早く戻ってよ」
「むーさっきから辛辣~そんなにユウキちゃんとのおしゃべり邪魔されたのが、ムグググッ!?」
「はい、神綺様~私特製のケーキ♪ 沢山食べてね」
アリスは、何か言いだした母親の口に無理やりケーキを突っ込んだ。
手慣れているのを見ると、昔から苦労してたんだなーアリスは。
「もぐもぐ……うん、おいしっ♪ あ、来た理由ね。アリスちゃんが魔界から出てしばらくたつけど、どうしてるかなーと思って」
「それなら手紙とか電話とかでいいでしょ。昨日だって話したんだし」
「昨日話したばっかかよ。ってか手紙や電話出来るんかい!」
「魔界と幻想郷って実は繋がってて、往来は結構自由なんだぜ。んで、昔私と霊夢が魔界に行ってアリスや神綺と知り合ったわけさ」
日本とアメリカくらいの距離感って事か。
パチュリーが、それくらい近かったのね。とがっくりしている。
どうやらパチュリーは魔界に興味はあったが、行く手段が分からなくて諦めた事があり、ショックを受けていた。
「それよそれ! 昨日の電話もそうだけど、最近のアリスちゃんが妙に変わってるような気がしちゃったのよ」
「へっ? 私が?」
「うんうん、夢子ちゃんもそうだと言っていたし。でね。原因はやっぱり……彼氏が出来たのかと思って見に来ちゃった♪」
そこでチラリと俺に目を向けないでほしい。
って、男は俺しかいないか。
「ブフッ!? は、はあぁ~!? 何よそれ!?」
「ホウラーイ!?」
アリスが噴き出した紅茶が蓬莱に直撃、効果は抜群だ!
って、パチュリー、なぜそこで俺を睨む。
魔理沙は目がキラーンと光ったし、文がたまにそれやるけど嫌な予感しかしない!
「ほほう、気付いちゃったかおっかさん。やっぱりなー私でさえ分かるんだから、母親が気付かないわけないよなー」
「魔理沙ちゃん、そこ詳しく!」
「魔理沙、余計な事言わない! 違うから、違うからね!?」
と、そこへ……
「へぇ、何が違うのかしら?」
いつの間にかアリスの後ろに霊夢がいた。
俺もだが、アリスも魔理沙もパチュリーも誰も気付かなかった。
「あれ? 霊夢、いつからそこに?」
「最初からいたわよ! 神綺が突然やってきてアリスの様子を見に来たって言うから、嫌な予感がして一緒に来たのよ! って誰も気付いてなかったわけ!?」
ごめん。神綺の力が強すぎて霊夢の気配がかき消されてたみたいだ。
「霊夢? 最初からいたなら神綺様止めてよ! 無想封印使ってもいいから!」
「そこまで!?」
「はぁ~……ごめん。最初に見た時に使わなかった事を心底後悔してるわ」
「霊夢ちゃんも!? 2人共ヒドイわ! もういいわよ。ユウキちゃんに慰めてもらうから!」
「わぷっ!?」
と神綺は離れていた俺の場所まで一瞬でやってきて、抱きついてきた。
こんな所で神様の力使うなよ。
ってか、何か柔らかいものに押しつぶされそう。
腕に抱きつくとかならまだしも思いっきり正面から抱きついてきやがった!
「あっ、ママ! 何してるのよ!」
「なんてうらやまっ……ユウキさんから離れなさい!」
「……またか、またなのね、ユウキ」
「くっくっくっ、これは面白くなって来たぜ。写真とっておくかな」
アリス、無理やりでもなんでも引きはがして、息が出来ない。
霊夢、一瞬何を言いかけた?
パチュリー、そこで俺をせめるのは理不尽だ!
魔理沙、後で覚えてろよ。
「む~いいもんいいもん。このままユウキちゃん持って帰っちゃうんだから。霊夢ちゃんとアリスちゃんとパチュリーちゃんが夢中になってる彼、私も夢中になっちゃうもん!」
「「「……ほう」」」
「あ、やばっ」
神綺の胸に潰されてて、よく見えないけどこれ絶対ヤバいスイッチ入った!
このままじゃ俺もぶっ飛ばされる!
こうなったら幻想支配で神綺を視て……こんな別次元の力、視れる気がしねぇ!
力づくでどけようとしたら手がマシュマロっぽい物に当たった。
うん、何に当たったか分かった刹那に手を離した。
なんかつい最近同じような事があったような。
流石は親子だな♪
幸い今回は誰も気づいてなくてよかった。
「あらっ……続きは魔界でね♪」
ムリデシター
「無想封印!」
「アーティフルサクリファイス!」
「賢者の石!」
「ついでに、マスタースパーク!」
あ、これ、詰んだな俺。
魔理沙、死んだら真っ先に化けてでてやるー!
続く
旧作はやった事ないけど、好きなキャラなので出しました。
まだ出番もあります。