そして火は一昼夜燃え続け、村を跡形もなく燃やし尽くした。
「濡れ衣だよサヨ。それともお前も俺が犯罪者の息子だから疑うのか?」
「違う!!!悔しかったタツミの気持ちはよく分かる!あいつらは卑劣よ!許せない!それは私も同じよ!!だからって・・・・・・・・・」
ギロリ
タツミは鋭い視線を私に向ける。
「だからって?何?」
ゾクッ
「!?」
「だからって他人を使って盗みを働いていいわけがないって、言いたいんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
タツミは大きなため息をつく。
「お前とは友達でいたかったけど、やっぱり無理みたいだな。俺とお前はある意味で似たもの同士だ。同じように山の頂上を目指し登り続けて行こうとする人間だ。だが残念ながらお前とは登ろうとする山が違うらしい・・・・・・・・。」
タツミはそのまま私に背を向けて歩き出す。
「タツミ・・・・・・・!」
私はタツミの手を掴み引き止めるが
パシッ
彼は私の手をはじいた。
「俺にはお前も知っているとおり犯罪者の血がながれているんだ。それでも今までみんなに認められたくて、努力してきたけど。無理なんだな。今それを痛いほど実感している。」
「バカなこと言わないで!!!タツミはタツミでしよ!!」
「サヨ。」
「!?」
「お前は正義の味方ズラした偽善者だ・・・・・・・・。」
タツミの目はまるで汚いゴミを見るかのように鋭かった。
「タツミは犯罪者のレッテルを貼られた自分にたえられなかったんだと思う。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あの時、私は心のどこかでタツミが本当にみんなをおどして帝具を盗ませたんじゃないかと思っていたみたい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「今でも思うの、『どうして信じてあげられなかったんだろう』って。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「『信じてもらえない』事ってすごい辛いことなのに・・・・・私はいつも口先だけ・・・・・。友達としてタツミに何もしてあげられなかった。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「そして私の幸せは消え去った。目の前にあった幸せを繋ぎとめることができなかった。当然ね。友達を陥れて、掴んだ幸せだもの。悪いのは全部私。『信じてあげられなかった』自分のせい。『あの時、私に勇気があれば』そう思えば、思うほど、誰かを憎まないと気が狂ってしまいそうだった。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ねえ、クロメ。」
「何?」
「あなたに頼みたいことがあるの?」
「頼み?」
「のび太のことを最後の最後まで信じてあげて。それができるのはあなただけよ、クロメ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「これから何が起こっても。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「誰かが信じてくれていると確信したり、信じられる人がいれば人はそう大きく曲がったり歪んだりすることはないのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
すると眩しい光が二人を照らす。話に夢中になっていつの間にか夜が開けたらしい。
「サヨ。」
「何?」
「さっき『今の私には家族もいなければ、帰るべき居場所もない。』って言ったよね。」
「うん。」
「それは間違いだよ。」
「えっ?」
「サヨには家族もいれば、帰るべき居場所もあるよ。」
そう言うと、クロメは背を向けて歩き出す。
「???」
訳が分からずクロメの後を追うサヨ。
「ただいま。」
玄関のドアを開けて、家に入るサヨたち。すると台所中に美味しそうな臭いが漂っていた。
「おかえりなさい、お姉ちゃん!!」
「おかえり、サヨちゃん!!」
「朝ごはん、もうすぐできるから、座ってて。」
目の前の光景に呆然とするサヨ。するとクロメは笑みを浮かべ
「いーだっ!」
お返しとばかりにサヨに舌を突き出す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
サヨの顔が自然と笑顔になる。それは紛れもなく本物で今までよりも眩しく輝いていた。
のび太の結婚相手は?
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静香
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ジャイ子
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梨華
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なつみ
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