ドラえもん のび太のアカメが斬る!   作:雛月 加代

251 / 257
第十六章:お迎えを斬る

「ありがとうございましたー」

 

もう何人目か分からない客に声をかけ、そろそろ閉店の準備を始めるチェルシー。

 

「ホントにこんな時間まで客いるんだな・・・・・・・」

 

時刻は既に8時半を回り、チェルシー以外のスタッフ達も店内の片付け作業に入っている。

 

「・・・・・・・僕、こんなところで何してんだろう。」

 

夕方、のび太が店に足を運ぶのは迷惑じゃないと言ってきたチェルシー。バイトに行く直前も少し寂しそうな顔をしていたので、どうも今日一日それがのび太の頭から離れない。

 

「それじゃ、お疲れ様でしたー。お先に失礼しまーす。」

 

「ん?」

 

仕事が終わったのか、チェルシーより先に一人の店員が店から出てくる。そんな彼女を待っていたのか、少し離れたところから手を振っている彼氏らしき人物が一名登場。

 

「偉いなあいつ、こんな時間にまで彼女の送り迎えか。」

 

疲れた表情も吹き飛ぶ勢いで、待っていた彼氏に飛びつく彼女。そのまま笑顔で手を繋ぎ、中むつまじく駅前の方へ並んで歩いて行く。

 

「仲良いな・・・・・・・」

 

そんな二人の後ろ姿を、少しだけ羨ましそうな目で見ているチェルシーがいた。そんなチェルシーの表情を見て、昼間言っていた寂しそうなチェルシーの言葉を思い出す。

 

『最近バイト前になると、少しだけ寂しくなるの・・・・・・』

 

『またクレープが食べたくなったら気軽に顔出して?』

 

「そっか・・・・・・・そうだよな・・・・・」

 

今となって、チェルシーの考えていることになんとなく気がついた。なんでこんな簡単なこと、チェルシーが寂しい思いをする前にちゃんと気づいてやれなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェルシー!」

 

「っ!え・・・・・?」

 

突然声をかけられ、チェルシーは振り向く。

 

「と、突然どうしたの?のび太がこんな時間にここに来るなんて・・・・・・」

 

「チェルシーを迎えに来た。」

 

「え・・・・・?」

 

いつもバイトが終わるとこの暗い時間に一人で帰るチェルシー。バイト仲間の彼氏は迎えに来て、自分の彼氏は迎えに来ないなんてチェルシーに取ってみれば普通に羨ましく見えるのは当然だ。

 

「もうバイト終わるんでしょう?早く着替えて用意してきて?」

 

「あ、うん・・・・・ごめんちょっと待ってて。」

 

店の奥に入って行くチェルシー。片付けもほとんど済んだのか、店長に頭を下げてすぐに着替える。

 

「ご、ごめん!お待たせ、はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 

「き、着替えるの早いね。」

 

「だって、一緒に帰りたかったから・・・・・」

 

少しむくれて赤くなるチェルシー。照れながらもさっそくのび太の手を握ってくるチェルシー。のび太はその手をあえて一度離し、チェルシーの肩を軽く抱いて自分の方へと引き寄せる。

 

「あっ・・・・・・」

 

「手を繋ぐより、こっちのが良いでしょう?」

 

「う、うん・・・・・・・」

 

目と鼻の先にはお互いの顔。チェルシーものび太も、そのまま自然な動作でお互いの唇を重ね合う。

のび太の結婚相手は?

  • アカメ
  • クロメ
  • チェルシー
  • シェーレ
  • レオーネ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。