プロローグ
「やっぱ、自分の家が落ち着くなぁ。」
そう言ってカップに口をつけ、おもむろにテレビのスイッチをつける。昼間のせいか、それほど面白い番組もやっておらず、適当なチャンネルをただなんとなく流すだけになった。
「のび太、思い出さないか?」
「え、何を・・・・・?」
隣に座っていたアカメが声を掛けてきた。
「私達が初めて再会したのも、この頃だ。」
「そういえば、そうだっけ。もうすぐ、2年だっけ?まさかアカメたちが家で暮らすようになるなんておもいもしなかったよ。」
「フフフ、そうだな。」
「・・・・・?なに笑ってるの?」
「いや、のび太がいてくれたから、今の私がいるんだと思ってな。もし、あの時のび太がそばにいなかったら・・・・・・と思うと。」
「別に、僕じゃなくても、他の人がなんとかしてくれてたと思うけどな。ナジェンダさんとか、レオーネとかシェーレとか。」
「そ、そうかな・・・・。私はやっぱりのび太だったからこそ、あのことを乗り越えられたんだと思う。たとえ、そうでなかったとしても、私はそう思っていたい。」
誰かの心に触れることが、人と通じ合うことが怖いと思っていた自分を闇から救ってくれたのはのび太の存在があってこそだと。本当の心は見えなくても、わかろうとすることで相手を思いやる心が大切なのだと教えてくれたのはのび太だった。そんなのび太だからこそ、クロメは心を開いたのだろう。もし、のび太がいなかったとして、他の誰かが自分にそのことを教えてくれただろうか。
「いや、アカメの周りには、アカメのことを大切にしてくれる人達がたくさんいるって意味だよ。」
レオーネやチェルシーにシェーレ・・・・・・。自分のことを気遣ってくれて、ちょくちょく困ったことはないか辛いことはないかと聞いてくる。昔から、自分の味方でいてくれる。いつも自分の話を聞いてくれて、自分と一緒にいる時間を楽しんでくれる。のび太だけじゃない。今の自分は、やはり彼女たちの存在があるからだ。のび太がいなくても、彼女たちはきっと違った形で自分を救ってくれていたと思う。けれど、それはそれ、これはこれなのだ。自分はのび太に出会い、のび太が自分を救ってくれたことに感謝したいのだ。
「そういえば、今年のクリスマスパーティ、のび太は何かするのか?」
「こ、今年のクリスマスパーティ!?」
明らかに狼狽えた声で、お茶を吹き出しそうになるのび太。
「何をそんなに慌てている?今までいろいろやっていたと思うが。」
「ぼ、僕はそういうのはもう卒業したから・・・・・・」
「ドラえもんに聞いたが、私たちと出会うまでは散々色んな企画を立ててたそうだな。」
「色んな企画って・・・・・僕はパーティを盛り上げようと思ってやったことばかりで・・・・」
のび太が微妙にアカメから視線を逸らしながら、ゲフンゲフンとわざとらしい咳払いをする。
「ま、まぁ、多少のお茶目があってことは認めるけど、スネ夫ほど突飛なことはしなかったかな。」
「ホントに今年は何もしないのか?」
「し、しないよ・・・・・・」
「本当に?」
「やらないやらない。」
「そうかぁ。もしかしたら、面白いことが起きるかもって期待していたんだが。」
「そういうくだらないことは考えないの!クリスマスは厳かに祝うものです。」
のび太はそう言って、もう一度ゴホンと咳払いをしてみせた。何か企んでるにしろ、そうでないにしろ、これ以上言うと怒られそうな雰囲気だ。企んでいるならそれはそれで楽しみに待つことにしよう。
のび太の結婚相手は?
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アカメ
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クロメ
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チェルシー
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シェーレ
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レオーネ