転生者のOO   作:物だよ

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四話

あれから順調……かどうかはわからないがソレスタルビーイングは介入を続けている。原作の知識なんて30年近くたてばさすがに詳しいところまで覚えてはいられない。ただこれだけはわかる。

 

「仕事がつらい……」

 

「何言ってるんですか?早く記事を書いてください」

 

 隣で絹江さんが何か言ってる……いやまあ聞こえてはいるんだけど聞いたことにしたくない。

 

「なんでこんなに仕事あるの!?前はもっとゆっくりできてたじゃない!」

 

 そう、仕事が増えた。ソレスタルビーイングの話題は今皆が追っている事柄なのだ。それを記事にするのは当たり前のこと。

 

「仕方ないですよ。どこにも属さない組織でありながら所持しているMSは三国のMSの性能を上回る。しかも今までしてきている武力介入は全て成功してる。これで追わなかったらその人はどれだけ無関心なんですか」

 

「でもさぁ……休み欲しくない?」

 

 この頃、記事しか作ってない気がする。前は週に2回ほど行けた輸送艦にも近頃行けていない。

 

「私は休みより自分の調べたいことを調べる時間が欲しいですよ。それに確かあなたは来週あたりに有休とってたじゃないですか……あ、そうだ。今日の夜久しぶりにどこかへ食べに行きませんか?ちょっと聞きたいこともありますし」

 

「お、いいね。じゃあ今日の分の仕事なんかさっさと終わらしていきますか!」

 

 外食。普段は出費のことを気にして家で作るか総菜を買っているのであまりしない。最近は仕事が多いからストレスもたまってたところだ。たまにはパーっと行きますか。せっかく絹江さんから誘ってきてくれたんだしね。

 

 

 

「私は思うんですよ。ソレスタルビーイングはただのテロ組織じゃないって」

 

 仕事を終わらし、これから絹江さんとお話でもしてゆっくり食事を楽しもう……そう思っていた時が私にもありました。絹江さんが聞きたいことがあるって言ってた時点でどんなことになるか想像すべきだった。とりあえず今どこまで考え付いているのかだけでも聞きますか……

 

「どうしてそんなことを?」

 

「私がガンダムに助けられたときのこと覚えていますか?」

 

 ああ、軌道エレベータへ出張ってた時だったか。

 

「あの時のことか……心底肝が冷えたよ」

 

「そうです。その時の……え?」

 

「その話を聞いた時ほっとしたよ。無事帰ってきてくれたんだから」

 

 死ぬ時のことが分かっているから死ぬことはないとわかっていても死ぬかもしれなかったと聞いた時には本当にぞっとした。これまで一緒にいた人が、慕ってくれていた人が急にいなくなったら……いけないな、入れ込みすぎかな。ただあの時のことで分かった。俺は絹江さんには死んでもらいたくない。

 

「そ、そうですか、私のことを心配してくれてたんですね。ありがとうございます」

 

「え?もしかして心配しないと思ってた?」

 

「はい。あなたにとって私は手のかかる後輩だったと思うので……」

 

「そんなことはないよ。確かに手のかかる後輩で自分が行くなって言ったところにも平気で取材をしに行くいったり記事にするなっていうことも記事にして後で上に俺が大目玉食らったりしたこともあるよ」

 

「す、すいません……ですが」

 

「だけど、だからこそその本当のことを伝えたいって気持ちは伝わってくる。俺は、今の仕事はどちらかというとお金のためにやってるからね。だから知らされたことを記事にするってことしかしない。そこを深く追求したりはしないよ。けど、仕事にひたむきにしている絹江さんを見るのは眩しいよ。」

 

「買いかぶりすぎですよ。あなただって真面目にやってるじゃないですか。私の心意気は父から貰ったものですが、ジャーナリストの心得は全て、あなたから教えられたものなんですよ。私は良い人に巡りあったと思っていますよ」

 

「絹江さん……」

 

 まさか絹江さんがそこまで思ってくれていたなんて。いけない。ちょっと、いや結構顔がにやける。切り替えねば……

 

「そういって貰えると先輩冥利に尽きるってもんさ。そろそろ本題に戻ろうか。それで?ガンダムに助けられてどう思ったの?」

 

「は、はい。それでですね……」

 

 そうしてソレスタルビーイングについて意見を交換しながら夕食を食べた。もちろん最後にあまり入れ込みすぎないようにと忠告もして。

 

 

 

「到着っと」

 

 深夜、我が家に到着。あれからお酒も入っていたため絹江さんを家まで送り届けた。と言っても沙慈君のところなんだけど。彼に会うのは初めてだったけどなかなか人柄がよさそうな青年だった。絹江さんといたからか、姉さんに恋人!?と驚いていた。まあすぐに絹江さんに叩かれていたが。恋人……ねぇ。絹江さんと知り合ってから結構立つけど端から見るとそんな関係に見えるのかなぁ。時々社内でもからかわれたりするけど。まあ四年も一緒に仕事をしてたらそんな風にみられることもあるか。本当に恋人になれたらあの楽しいんだろうけど。絹江さんは俺のこと先輩として尊敬しているとしか思ってなさそうだしなぁ。

 まあ今は来週のことを考えよう。そのために有休もとったんだ。カレンダーを確認する。自分の記念となる日だ。原作介入の一歩目。

 

 

  タクラマカン砂漠合同軍事演習




絹江さん好きなんで助けようかと。

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