転生者のOO 作:物だよ
「そんな……ロックオンまで……」
話し合いが始まった直後だった。あれから何とか脱出できたもののこっちは死んだ奴が一人、重傷者二人、行方不明者三人。それだけでもあいつにとっちゃこたえるのにここでさらに追い打ちときた。
「すまない……なんとか助けたかったんだが……傷が深すぎた……」
「そうか……ちょっと部屋を一つ貸してくれんか?いろいろありすぎてさらにこれだ。ショックで倒れちまう前に寝かせておきたい」
「了解だ。絹江さん、スメラギさんを休憩室に案内してあげてくれ」
傍に控えていた女性があいつを連れ出していく。
「何とか……ならんかったのか?」
「……すまない」
「そうか……」
こいつでも無理だったということは助けるのは不可能だったんだろう。あの後わしらもすぐに脱出することになったからあの状態でロックオンをこちらが収容しても満足な治療を受けさせることができずに死なせてしまっただろう。
「そちらは全員脱出できたのか?」
「いや……一人死んだ」
あの野郎……勝手に逝っちまいやがって……
「そうか……死んでしまったか……ん、一人だと?」
「ああ、といっても脱出できたうち二人は重傷だ。復帰は難しいだろう」
「そうか……良かった……」
「心配してくれるのは嬉しいんだが今後のことについて話そう……と、自己紹介してなかったな。わしはイアン、イアン・ヴァスティだ。よろしくMr.マサ」
「これから長い付き合いになるんだ。マサでいい」
「そうか、ならわしもイアンと呼んでくれ」
そうしてこれからのことを話し始めた。ソレスタルビーイングは身内の裏切りによって実質壊滅状態だ。かといってこのまま終わろうとはわしは思っていない。だがこれからはこれまでよりシビアだ。碌な協力が得られそうにないからな。そのために蛇の足とは協力関係を明確に結ぶことにした。
「これからはわしたちはいつたちあがってもいいように残ったメンバーで準備を行う。そこでお願いがあるんだが……蛇の足が持つMSを、データを見せてくれないか?」
現状で蛇の足が所持するMSは強力なものだ。GNドライブもついていないのにガンダムより上の性能を持っている。新しいガンダムに何か取り入られる技術があるのなら使いたい。
「そういったことなら専門家を呼んだほうがいいな。ちょっと待っててくれ」
そういってマサは電話を取り出した。
「ああ、教授。ちょっとザンスパインの事で話がしたいって……すぐ行くって?わかりました……すぐくるんでちょっと待っててくれ」
あの機体はザンスパインというのか……おっかない名前だ。それにしても教授って多分あのお方だろうな……待つこと数分。
「君の名前を聞かなくなったのでおかしいとは思っていたんじゃが……ソレスタルビーイングに協力していたとはな」
「エイフマン教授、お久しぶりです」
そうして握手する。
「え、二人とも知り合い?」
「ああ、といってもヘリオンが完成したときに会話したぐらいだが」
「懐かしいの……一見リアルドに似せたように見えて中身は完全に別物じゃった。……それで、MSに関してじゃったか?」
「はい、ソレスタルビーイングはもう一度立ち上がります。そのために新型を作るんですがその際に新しく取り込める技術があればと思いまして」
「そうじゃな……」
教授は一瞬悩む素振りを見せたがすぐに解決したのかこちらを向いた
「やめておいたほうがいい。それよりも新型のガンダムの強化に専念したまえ」
まあ、そうだよな。あのアドバンテージは易々と失いたくないだろう。
「別にこちらの優位がなくなることを懸念しているわけではない」
「じゃあ一体何を懸念しているんですか?」
「これを見て欲しい」
教授が差し出してきた紙には数字が書かれていた。
「これは?」
「あの推進器の再現に使った資金じゃ……一機しか作っておらんのじゃぞ?パトロンの支援金を使ってもまだ足りなくなっての……わしの資産もすべて出した。おかげでわしは文無しじゃ……」
そういって教授は遠い目をした。
「さらにじゃ……それだけの資金を使っておきながらいまだにあれを再現出来ておらん……だがいずれは完全に再現して見せよう」
あの教授がこれだけの資金を使っても再現できないものなのか……確かにそれなら新型の性能向上に力を入れたほうがいいな。未知の技術には惹かれるがそれを研究していて解明できずに新型が完成しなかったら大変だ。それに資金的な問題もある。……四機分作るのは今のソレスタルビーイングには不可能だろう。
「……わかりました。ではわしは新型に専念することにします。マサ、これから頼みたいことがあったら連絡する。これからよろしくな」
そうして話は終わり、わしはスメラギを連れて帰った。
「それではわしはまた実験に入る」
そういってエイフマン教授は格納庫(という名の実験場)に向かっていった。俺はというとそのまま医務室に向かった。
まさか死人が一人だとは。誰が死んだのかは聞いていないためわからないが本来四人の所を一人まで減らせたのだ。避難を促したかいがあったというものだ。
医務室に入り、治療ポッドのそばに近づく。
「ごめんな。お前を死んだことにしちゃったよ。けどそれはお前のためでもあるんだ。……まあお前の事だからそれについて怒るんだろうけど……けどそれでもお前には生きてて欲しいんだよ。この世界に来て初めての友達だからさ……だから早く起きろよ、ニール」
~二年後~
「ではこれより試作兵器実験を始める。マサ、起動するんじゃ」
「了解です」
GNドライブを起動させる。そしてさらにミノフスキー・ドライブを起動させる。各噴出孔からミノフスキー粒子が漏れ始める。このまま限界まで起動させ続けるのだ。
「ヨハン、どこかに異常はないかの?」
「現状、各噴出孔に問題ありません。今までで一番いい結果がでています」
「そうか、ではマサ。そのまま限界まで起動し続けてくれ」
「了解です」
起動すること15分。ついに限界がやってきた。それと同時にミノフスキー・ドライブの展開を終える。
「これが限界か……これにて実験を終了する。ヨハンは後で起動中のデータをまとめて出してくれ」
「わかりました」
ふう、やっと終わった。コックピットからいそいそと出るとエイフマン教授が出迎えてくれた。なんだか申し訳なさそうな顔をしている。
「すまんな、マサユキ……完全に再現できるといっておきながら結果はこれじゃ……」
「大丈夫ですよ教授。ザンスパインに負けない十分に強力な機体ですよ」
「ありがとう……だが技術者としては納得できんのじゃよ」
そういって彼は格納庫から出ていった。入れ替わりに絹江さんとニールが入ってくる。
「おかえり、絹江、ニール」
「ただいま、マサユキ」
お互いに近寄って軽く抱きしめあう。
「ヒュー、いつもあついねぇ。お二人さん」
ニールが茶化してくるがそんなものはどうでもいい。好きな人と一緒にいられるのに何で遠慮しなければならないのか。
「それにしても……ようやく完成したのか」
「ああ、やっとだ」
絹江と離れニールと向き合う。
「これからニールにはこの機体に慣れていってもらう」
「可変機をまさか俺が動かすことになるなんてな。アレルヤにどんな感じか教えてもらっといたらよかったぜ」
目の前にある本来なら存在しないはずのMSを眺める。
「名前はもう決まってるのか?」
「ああ、決まっている」
そう、このMSの名前は……
「本来なら存在しない機体……ファントムだ」
これにて一期終わりです。長かった……いろいろ突っ込みたいところはあると思いますが許してください(いつもの)
当初はクリスもリヒティもうまいこと助けて蛇の足の一員にしようと思っていたのですが……その……私の文章構成能力の問題で助けることができなくなってしまって……生き残っているのはその名残です。といっても作中では多分もうでません。怪我がひどすぎるので。あとイアンさんの口調がわからない……一応主人公にはタメで教授には敬語です。教授と知り合いというのは捏造です。あながち面識あっても不思議じゃないと思うんですけどね。
そして宇宙世紀の機体で捏造しようとしていた機体はファントムでした。……例のごとく趣味です。だってかっこいいんですもの。さすがに技術系統が全く違うにも関わらずに教授が完全再現させたらチート過ぎだなって……まあ違うのに二年でそこそこ再現できる時点でチートかもしれないけど。ロックオンははたしてこの機体になれることができるのか。デュナメスと全然違うのに。ロックオンにこの機体は合わないんじゃとお思いの方がいるかもしれませんが堪忍してください。近接でサーシェスと戦えていたなら可変機だって行けると信じてます。(関係なし)一応武装はGNスナイパーライフルIIとフレイムソード×2 を予定しております。あと完全にクロスボーンガンダムのファントムと同じというわけではありません。設定に関しては下に記します。本小説では漫画のようなかっこいい描写を活字で表現するのは難しい。みんな、クロスボーンガンダムゴーストを買ってファントムの勇姿を見よう!
今後は閑話(ロックオン、ヨハンの話)を書いて二期を始めようと思います。閲覧、感想ありがとうございました。
機体解説
ファントム
クロスボーンガンダムゴーストに登場するMS。この世界での変更点は動力、可変形体、武装である。まず動力に関しては熱核融合炉からGNドライブへ。次に可変形体は製作者がエイフマン教授ということもありフラッグ式(あそこまで細くはなく大体原作ファントムと似たような形でフラッグのように、想像力でカバーお願いします)に武装はGNスナイパーライフルIIとフレイムソード×2 。トランザムは秘密。