転生者のOO   作:物だよ

13 / 17
一三話

「それでこれはいったいどういう状況なんだ?見たところトリニティの仲間割れに巻き込まれたように見えるが」

 

「あー……違うんだよ。もうあのツヴァイに乗ってるのトリニティじゃないんだよ」

 

「何?それはどういう」

 

「邪魔すんなよ!クルジスの小僧が!!」

 

「アリー・アル・サーシェス!?何故貴様がガンダムに!!」

 

 さてどうしたものか……このまま刹那と一緒に戦っても勝てるかどうか微妙なところだろう……まだこのころの刹那はサーシェスを倒せるような実力をもっていなかったはず。イオリアの爺さんが殺されてトランザムが発動するまでの時間もわからない……なら、よし、決めた。

 

「エクシアのパイロット、聞こえるか?……っておい!待て!」

 

 返事もせずにエクシアはツヴァイに向かっていく。

 

「なんだぁ!?先にやられてぇのか、クルジスの小僧!」

 

「貴様のような男が、ガンダムに乗るなど!」

 

 そのままエクシアとツヴァイは俺をそっちのけで戦闘を開始する。……えい。

 俺はツヴァイの隙を狙ってビームライフルを撃つ。が、あっさり躱されてしまった。なんであいつこっちをろくに見てないのに避けれるんだよ……ここはヨハンを連れて撤退させてもらおう。どうやらサーシェス一人だけのようだし少なくとも刹那がここで死ぬことはないだろう。俺がいてもいなくても特に問題はあるまい。

 

「エクシアのパイロット、こちらはスローネを連れて撤退させてもらう。あとは頼んだ」

 

撤退している間にもサーシェスは撃ってきたけどさすがに刹那がしつこく絡んでたから無事撤退できた。

 

 

 

「ほれ、ヨハン。降りるぞ」

 

「私達は……私は……」

 

「あー、これはかなりきてるな……」

 

 母艦に戻った俺は、コックピットからヨハンを連れ出した。彼はサーシェスに知らされたガンダムマイスターではなくただの黒幕の駒だったという事実にかなりショックを受けているようだ。

 

「おかえり、マサユキさん」

 

「ただいま絹江さん」

 

「その人は……ってガンダムのパイロットよね?思ったより若い……もっと年がいってると思ったわ」

 

「まあ、こいつもいろいろあるんだよ。今はちょっとショックを受けてるから寝かせといてやってくれ」

 

「わかったわ。またすぐ出るんでしょ?今度も無事帰ってきてね」

 

 そういって絹江さんはヨハンを船室に連れて行ってくれた。それと入れ替わってエイフマン教授がやってきた。

 

「まさかガンダムを連れて帰ってくるとは思わなかったぞ」

 

「これからのことを考えると戦力は欲しいですからね。それに教授の願い事もありましたから」

 

「まだ本体の完成に時間がかかるからそこまで急ぎはしなかったのじゃが……せっかくの機会じゃ。ソレスタルビーイングのガンダムがどんなものか調べさせてもらおうかの」

 

「ご自由にどうぞ。では俺はすぐにここを出て軌道エレベーターに向かい宇宙に上がります」

 

 俺はハレヴィ家に頼んで宇宙に上がるために軌道エレベーターでの工作を頼んでいたのだ。これで刹那より早く宇宙へ上がりロックオンの援護に向かうことができる。途中でサーシェスが出てきても二人で倒せるだろう。

 

「ああ、それなんじゃがな。ダメになった」

 

 出ていこうとすると教授が何食わぬ顔をしてそんなことを言ってきた。

 

「はっ?」

 

 ふざけんな!その思いが俺の中でいっぱいだった。

 宇宙での国連軍の作戦が終了するまで軌道エレベーターの運航を停止することになったらしい。そんな予定は本来なかったのだが……原因はエクシア。あれが地球に降りたからだ。国連軍はエクシアを宇宙へ上がらせないために軌道エレベーターの運航停止、それに加えてMSを積むことができ宇宙へ打ち上げることができる施設の完全封鎖を起こったのだ。まずは宇宙のソレスタルビーイングを排除してその後単騎になったエクシアを撃破する計画をたてたらしい。

 

 そんな情報を知らさせれて絶望していた時にさらに嫌なことがおこった。原因であるエクシアから通信が入ったのだ。なんでもツヴァイを撃退したらしい。そして30時間後には宇宙へ上がると。

 

 このままではまずい。いやまずいなんてものじゃない。つかふざけんなよ。今通信入ったってことはあの後トランザム発動してすぐ戦闘が終了したということだろ。それならそのまま俺もいて一緒にサーシェス倒せたのでは?そうすればロックオン死ぬ原因消えて生き残るのが確定したんじゃ……くそ!……まあ仕方がない。済んだことを考えるのは無駄だ。それにもしサーシェスがいなくてももしかしたらあいつは別の要因で死んでしまうかもしれない。俺が直接出向いて行って無理やり死ぬ場所である宇宙から連れ出さなければ……

 

 ツヴァイは最寄りの軌道エレベーターに向かって国連特権でさっさと宇宙へ上がるだろう。そして宇宙ではソレスタルビーイングを排除する作戦が始まる。間に合わない。エクシアと一緒に宇宙へ上がることも考えたがそれではロックオンの助けることなんてできやしないしなによりエクシアを乗せる強襲用コンテナはMS一機しか載せられない。

 

 このまま俺は何もできないのか……いや……いや!何かあるはずだ。考えろ……実現可能な大気圏離脱方法を。

 

 ……仕方ない。

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「はい何とか!」

 

 現在、大気圏離脱を試みている。かなりきついがギリギリ耐えれるレベルだ。……結局俺は悩んだ末に当初考えていた方法を使うことにした。

 

「機体は?」

 

「えっと……大丈夫です!」

 

 そう、ザンスパイン単体での大気圏離脱だ。ミノフスキードライブは理論上なら亜光速まで加速が可能だ。なら大気圏離脱も可能じゃないか。漫画では確かミサイルを使いビームシールドを展開して宇宙に行くシーンがあった。……可能なら安全に軌道エレベータを使って行きたかった。漫画ではすげえって思うけど実際に自分がそれをやるってなるとやっぱり怖い……けどもうこれしかロックオンを助けるためには方法は無かった。

 

 掛かる重力に必死に耐えていた。そうしていると急にのしかかっていた物が急に消え去った。

 

「まさか本当にMSで大気圏を離脱するとは……」

 

 教授の声から無事離脱できたことがわかる。

 

「これが……宇宙」

 

 前世でも今世でも宇宙に来たことはなかった。重力から解放される感覚は俺にとってなんとも言えない解放感をもたらした。……だけどそれに浸っている場合じゃない。すぐさまスメラギさんに連絡を取る。

 

「こちらマサ、現在宇宙にいる。援軍にきた。ソレスタルビーイング、そちらの状況と座標を教えてくれ」

 

「Mrマサ!?援軍って……それにどうやって宇宙に……いえ、今はそんなことを言っている場合ではないわね。現在こちらは国連軍との戦闘中よ」

 

「もう始まっていたか!すぐにそちらに向かう!」

 

「待って!こちらは何とか持っているから大丈夫よ!それより今から送る座標にすぐに向かって!そこにいる機体の援護をお願いするわ。あなたが一度見たことがある機体だからすぐにわかるわ」

 

 一度見たことがある機体!発進していたか……!

 

 

 

「どこだ……どこにいるんだ?!」

 

 全力で座標に向かう。急がなければニールが死んでしまう。……!ビームが飛んでくるだと!

 

 とっさに回避する。

 

「交戦してる暇なんかないのに!こんなところで!」

 

 すぐさま撃ってきた方向を見る。

 

「ほう、こいつはおもしれえ……あの時はクルジスの小僧の相手をしてやってたから逃がしてやったが今度はにがさねぇぞ!えぇ!」

 

 そこには銃口をこちらにむけたツヴァイがいた。




 本来考えていた話の流れからずれてきている……ミノフスキードライブ搭載機に大気圏離脱能力があるかどうかは調べても出てこなかったのでオリジナルです。クロスボーンの漫画を見るとできそうだとは思うのですがどうなんですかね?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。