転生者のOO 作:物だよ
「マサユキさん、それでいつになったら私達は元の生活に戻れるの?」
「そうだなぁ……」
あれから数日、絹江さんがそんなことを聞いてきた。あ、恋人になった際に敬語はやめてもらいました。せっかく恋人になったんだしどうせならと思ってさ。あれから俺たちはずっと一緒にいるようになった。今までお互いに溜まっていたものを吐き出すかのようにずっとイチャイチャしているのだ。まあ、それは今は置いといてと。
「あと数年は難しいかな」
「それってやっぱりこの前話してくれたアロウズっていう治安維持部隊のせい?」
「まあそう思ってていいよ。正確には前に話したイノベイドを倒さなきゃならないんだけど……俺達の仕事の性質上いつ冤罪かけられて逮捕されるかわからないからね」
「そうなることがないようにマサユキさんはソレスタルビーイングに協力してのよね?」
「初めはそうだったかな」
「初めは?」
「そう初めは。この世界に来たときは。けどこの世界で暮らしていくうちに俺はこの世界の様々な人と知り合いになった。そうした人たちがもしかしたらアロウズに捕まってしまうかもしれない。そうなることが嫌だなって思ったから俺はソレスタルビーイングに協力することにしたんだ。そしてさっさと世界を変える。これが今後の目標かな」
それとあとはニールを助けることかな。あいつはこの世界でできた初めての友達だ。むざむざ死なせはしない。ELSに関しては俺も協力できることがあればするけどたぶん俺の出番はないだろうな。ザンスパインはあんな大量の相手ができるような機体じゃないし。
「そう……」
「ん?なにか納得いってないような感じだね」
「それはそうでしょ?誰が好き好んで死ぬかもしれないことを恋人にやらせたいと思うの?」
「……ごめん。でも」
「でもあなたはそれをやりたいんでしょ?だったら私はあなたのやりたいことを私のやれることでサポートするだけよ。あなたが私にしてくれたみたいにね」
「絹江さん……!」
「きゃ!ちょ、ちょっとマサユキさん?!」
俺は絹江さんの発言に嬉しくなって絹江さんを抱きしめていた。
「ありがとう、俺のしたいことを尊重してくれて……」
「当然のことじゃない。だからあなたは絶対帰ってきてね?」
「うん、絶対帰ってくるよ。約束だ」
そうして俺達は見つめ合う。
「マサユキさん……」
「絹江さん……」
目を閉じる。このまま俺達はキスをするんだ。だんだんと近づく二人の顔……
「おっほん!」
その声が聞こえた瞬間俺達は即座に離れた。
「その、なんだ。いいところを邪魔してすまんがマサユキ、お主に連絡が入っておる」
「れ、連絡ですか?」
せっかくいいところだったのに……
「ここに連絡してくるとなると……ハレヴィ家ですか?」
「いや違う」
ということは……
「ソレスタルビーイングじゃ」
「お久しぶりね、蛇の足のリーダー。」
「ああ、本当に久しぶりだな。あと俺の事は適当にマサとでも呼んでくれ。そっちのほうが呼びやすいだろう?」
「ではそうさせてもらうわ。Mr.マサ、そちらの状況はどうなっていますか?」
「状況といってもこちらは何もないよ。エイフマン教授を返して今から各国に投降しても無駄かなって思う今日この頃かな」
「ではそちらに新MSの部隊の襲撃はされてないようですね」
「とするとそちらはされたってことか。被害は?」
「何とか撃退はしたけど今後は難しいでしょうね」
「だろうね。下のガンダム達も苦戦をしているようだ。それで?まさかそれを報告するためだけに連絡してきたわけじゃないだろ?」
救援要請かな。ニールを助けるために宇宙には絶対上がれるように昔から用意はしていたけど。
「ええ、そのとおり。地上に残っているガンダムと国連軍との間に武力介入を行います。あなたにはその武力介入の手助けをしてほしいの」
なるほど。刹那のバックアップをしてほしいのか。まあいいだろう。下の二人はともかくヨハンは今後組織に入れようと思ってたからちょうどいい。スメラギさんにいわれるまでもなくそろそろ助けに行こうと思っていたところだ。だけどその前に聞いておくことがある。
「一つだけお聞きしたい」
「何でしょう?」
「介入した後あの三機のガンダムはどうするつもりなんだ?」
「私達は武力介入を行うだけよ。そのあとのことは当人たちで解決してもらうしかないわ。こっちも正直手が一杯だからね」
それならこっちの好きなように動けるな。よし。
「ならいいですよ。そちらの手助けをします」
「ありがとう。では彼らの現在位置を送るからその場所に向かってこちらのガンダムと共闘してください」
そうして通信は終わった。
「じゃ行ってくるよ」
「気を付けるんじゃぞ。今や相手が全員太陽炉搭載機じゃ。フラッグなどとは比べ物にならん」
「わかってますよ。今は恋人もいます。絶対生きて帰ってきます」
「ほう、いいよるな」
そうして俺はザンスパインのコックピットに乗り込もうとする。
「マサユキさん!」
乗り込む前に絹江さんが駆け寄ってくる。
「絹江さん……」
「行ってらっしゃい。……これはお守りよ」
そういって絹江さんは俺の唇に自分の唇を重ねてきた。
「絶対帰ってくるように。ここで待ってるわ」
そうして俺に恥ずかしがった笑顔を向けてくる。
「うん、絶対帰ってくる!それじゃ行ってくるよ!」
「さてと、座標によるとここら辺のはずだけど……ん?よく見ると戦闘始まってるじゃないか!」
遠くではツヴァイとアインが戦闘を行っていた。ドライはいないようだ。
「まずい!」
急にアインの動きが雑になりその隙をついてツヴァイの攻撃をもろに受けてしまう。そのまま動作が停止しているアインに向かってライフルを向ける。
「させるかぁ!」
その間に急いで入りビームシールドを起動させライフルを防ぐ。動作停止したアインはライフルの直撃を受けて爆散することはなく地表に落ちていった。
「てめぇは確か……こいつらと反発してたやろうじゃねぇか。いったいどういう風の吹き回しだぁ?」
「何、別に君の雇い主がこいつらを切り捨てようというなら俺がこいつを雇おうかなと思ってね」
「へ!捨てる神あれば拾う神ありってか?まあいい。あいつじゃ物足りなかったんでな。こいつの性能実験に付き合ってもらうぜぇ!」
そういって奴は俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。俺は片方のドライブを取り外しビームファンとして使えるようにし応戦する。これほんとに俺が一度戦ったのと同じ機体なのか?というぐらいミハエルが乗っていたころと動きが違った。やはりパイロットの差は大きい。某赤い彗星さんも言ってたしなぁ。MSの性能の差が云々って。時には切りあい、時には射撃を行う。一見対等に戦えているようだがそれは全く違う。上手く攻めることができずこちらは相手の攻撃を避けることしかできていない。
「避けんのは上手いが攻めるのはいまいちのようだなぁ!」
「暴力は嫌いでね!そういうわけでここはおとなしく引かせてもらえないかな?」
出来ればここでサーシェスを倒したい。そうすればニールを殺す存在はいなくなりあいつは生き残ることができるはず……だが俺一人では無理だ。俺もシミュレーションをやってそこそこ強くなったつもりだがやはりまだまだ力が足りない。せめてピットが使えさえすればまだ違うはずなんだが……ファングと違ってこっちは大気圏内では使用できない。
「じゃあその機体置いてけよ!ガンダムでもいいがそいつでも戦争のしがいがありそうだぁ!」
GNバスターソードとビームファンがかち合い閃光が走る。
「お前になんか誰が渡すか!これは俺の機体だ!」
くそ!このままじゃ時間の無駄だ。ヨハンを連れてさっさと撤退するか……いや目の前の奴が簡単に撤退させてくれるとは思えない。
そんな時だった。俺たちの戦闘に割って入る奴がいた。ツヴァイめがけてビームが走る。
「ちっ!」
サーシェスはすぐさま俺から離れそれを回避した。
「すまない、遅れた」
エクシア……そうだ。俺はこいつのサポートするはずだったな……もっと早く来て欲しかった……
クリスマスは一人寂しく小説を書くものだと私は信じています。
酒に酔った勢いで書いたので誤字あるかもしれません……はあ……一人は寂しいよ……