転生者のOO   作:物だよ

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十話

宛先 マサユキ・イケダ

件名 情報入手

 お久しぶりです。私は今***空港に来ています。……これからリニアトレイン事業の総裁であるラグナ・ハーヴェイ氏と会うためにAEUに向かいます。それはなぜか。私は会社から砂漠での新型ガンダムについての現地での情報収集班に配属されませんでした。もちろん編集長に抗議しに行きましたが許可されることはありませんでした。……理由は薄々わかっています。あなたと出会って多少改善されたといっても私は調べてはいけないところまで踏み込もうとするからだと。だから外されたんでしょう。今回の件はあなたが言っていた通り首を突っ込めばただではすまない内容だと思えます。ごめんなさい。だけど私は真実を知りたい。そしてそれを世間に伝えたいのです。いや、この際真実を知ることだけでも出来たらいいのです。……話が逸れました。そこで私は有休を使い単身で取材を行うことにしました。その結果、新型のガンダムのパイロットがラグナ氏と関りがあることが判明しました。AEUに到着後、何とかアポをとりラグナ氏に直接この件を伺いたいと思います。

P.S 取材が済んで日本に帰り着いたらあなたに話したいことがあるので予定をあけておいてください。

 

 

 私は数日前に送ったメールを見直す。返信は来ていない。当然よね……あんなに深く調べるなって言われてたのに単身でここまでやってるんだもの。でも私は真実を知りたいの。そのために情報も集めた。今回のラグナ氏への取材でさらに真実に近づけるはず……もしかしたら真実を知ることができるかもしれない。……いや、それだけじゃないわ。それもあるけど彼に認めてもらいたいっていうのある。

 

 最初のうちはただ先輩と思うだけだった。彼は仕事に関して丁寧に教えてくれていたし私が悩んでいるときも親身に付き合ってくれた。最初のうちは酷い失敗もたくさんあった。それでも私をただ叱責するだけじゃなくなぜかを教えてくれた上で今後はどうすればいいかまで教えてくれた。いつからかふと彼を目で追うようになった。なぜかは特に考えなかった。数年一緒に仕事をしてきたから目に留まるだけだと思っていた。今思うと無意識に彼に惹かれていたからだろう。ある日私は、彼が取材対象の女性と話し込んでいるところを目にした。私はその風景を見て心がもやもやした。そして同時に思った。なぜ彼がほかの女性と話しているとこんな気持ちになったのかを。その時からだろう。私がはっきり彼に好意を抱いていると確信したのは。それからは私は彼ともっと彼と一緒にいたいと思い仕事後に飲みに誘ったり今まで以上に彼と取材をしに行ったりした。その結果多少は彼も私のことを意識してくれるようになったと思う。同僚には冷やかされたりもして冷静に振舞ってはいたけど内心は嬉しかった。ただ、私と彼の関係は一向に変わらなかった。私はどうしてだろうと悩んだ。もしかしてまだ私は独り立ちできないと思われてるんじゃないか。そう思って今まで以上に働いた。しかしいつまでたっても彼の対応はあまり変わらないものだ。そんな時だった。彼が珍しく真剣に忠告してきたのだ。ソレスタルビーイングの件には関わるなと。いつもだったらしょうがないな、と言って一緒に調べてくれるのに。

 私は真実を知りたい。彼にも認められたい。今回の件はいい機会なのではないか。彼の手を借りずに真実にたどり着く。そうすれば彼も認めてくれるかもしれない。メールの最後に追伸を入れたのは今回の件が終わったら私は彼に告白するつもりだ。

 

「そのためにも、ラグナ氏とお会いしなきゃね」

 

 そして今日ようやく会えるはずだ……といっても会社に直接赴くんだけどね。どうやっても許可取れなかったから。

 

「さ、行くわよ。真実を知るために!」

 

 

 数時間後……

 

「今日一日面会だなんてそんな……せっかくここまで来たのに」

 

 私は会社の前で茫然としていた。勢い込んでいったのに空振りに終わったのだ。早く終わることを祈ってギリギリまで会社にいたのだけどもう終わりだと言って締め出されてしまった。

 

「いったいどうすれば……」

 

 そう途方に暮れていると会社からスーツ姿の背の高い男性が出てきた。彼はいったい誰かしら。さっきまで面会中って言ってたのに……もしかして彼が面会の相手?それとも会社の役員かしら。……この際どっちでもいいわ。少なくともラグナ氏に関係のある人には間違いないんだもの。

 

「あの、すいません」

 

「何かご用かな?」

 

「私、ジャーナリストなんですが2、3お聞きしたい事があるんです。よろしいでしょうか?」

 

 お願い、できれば話を聞かせて!

 

「構いませんよ」

 

「本当ですか?!」

 

 私の願いが通じたのか男は了承してくれた。

 

「しかし私は少し急いでまして。車中でよろしければ」

 

「あっ、いえ、それは……」

 

「やめておきますか?」

 

 どうしようか。さすがに忙しいところに無理やり話を聞くのも悪い……だけどこの機会を逃すと今後は話を聞けないかもしれない。

 

「……ではお言葉に甘えて」

 

 悩んだ末私は彼の車に乗り話を聞くことに決めた。彼は車を回してくると言って駐車所に行った。本当にこれでよかったんだろうか……やっぱりまた明日ここにきて面会を頼んだほうが……けど会ってくれるかもわからないし……

 そう考えていると彼が車を回してきた。ぱっとみて高級車だとわかる車だった。

 

「さあ、どうぞ」

 

「……失礼します」

 

「お構いなく。ああ、シートベルトは締めてくださいね。近頃うるさくてね」

 

「あ、はい。わかりました」

 

 そうして彼は車を発進させようとした。

 

 

 その瞬間だった。

 私の体を衝撃が襲う。いったい何が……運転席を見ると彼も何が起こったのかわからないようであった。しかしすぐに調子を取り戻し、声をかけてきた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「えぇ、なんとか」

 

「それは良かった。とりあえず外にでましょう」

 

 私と彼は車の外にでる。そして何が起こったのかを目の当たりにした。

 

「これは……ずいぶんときれいに当たったものですね」

 

 さっきの衝撃の正体、それは後ろから追突されたからだった。

 

「いやーすいません。少しよそ見をしていたらぶつかってしまいました」

 

 そういってぶつかってきた車の主がやってきた。

 

「えっ?」

 

「うわ、これはひどい。弁償させていただきますんで連絡先を教えていただけますか?」

 

 彼はこちらを見ないで隣の男と話し始める。

 

「いえ、大丈夫ですよ。この車はそろそろ買い替えようかと思っていたので。いい機会になりました」

 

「そうですか……本当に申し訳ないです」

 

「なんで……」

 

 それはこの場所には本来いない、いるはずのない男だった

 

「ん?」

 

「なんであなたがここにいるんですか、マサユキさん……」




原作キャラ視点……しかも女性キャラを書くの難しい……そしてしたこともなく書いたこともない恋愛要素が私を苦しめる。

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