スリーは真夜中に、猛烈にお腹が空いて飛び起きた。
辺りは薄暗かったので、魔法を唱えて蛍の妖精を呼んだ。
「ホホホタルコイヒカリヲ」
以前出した蛍よりも大きかったのでスリーはビックリした。
ナイトキラーがこちらを見ている。
「お腹が空いたわ」
「え、さっき食べたばかりだよ」
「赤ちゃんは、数時間おきに食べるものなのよ」
「それって、僕は眠れないってこと?」
「だから、学園に行かなくてもいいんでしょう」
「え〜〜〜〜、本当に!!
でもここには食べものがないよ。
どうしようか?」
「その小さなベルを鳴らせば大丈夫」
「あのさ、ナイトキラー。
体は赤ちゃんドラゴンなのに、言っていることはお母さんみたいだね」
「千年以上も知識を蓄えたからね。
それよりも早く食べ物を頂戴。
身体の新陳代謝が早くて、飢え死にしそう」
「しんちんたいしゃの意味が分からないけれど、ベルを鳴らすよ。
スリーはベルを鳴らした。
すると、待っていたかのように、すぐにドアの向こうで声がした。
「失礼します」
そう言うとさっきの、しつじと言っていた女の人が入ってきた。
手には鳥肉が沢山盛られた皿を持っていた。
「スルルです。
これが入り用ではないでしょうか?」
「よく分かったね。
しつじは凄いや。
「先程、ナオミ時期女王のマザードラゴンの食べ物をお持ちしましたので、多分こちらもと思っていました」
「ありがとう。
助かったよ。
あ〜〜〜。ウンコしてる〜〜〜」
ナイトキラーが食べながら言った。
「あら、ごめんなさい。
まだ赤ちゃんだから、体のコントロールがまだできなくて」
「あのね、千年生きていて、ウンコを僕のベッドにしないでよね」
「生まれたの昨日よ。
忘れたの?」
「あ〜〜〜、もしかして。ウンコも数時間おきにするの?」
「勿論よ。
新陳代謝が早いって言ったでしょう」
スルルが、スリーとナイトキラーの会話は聞けなかったけれど、多分ウンコの事だと思い、あらかじめ用意していた掃除の道具をスリナリルに手渡した。
「ありがとう、スルル。
何でも分かっているんだね。
あのースルル質問なんだけど、しんちんたいしゃて何か知っている?」
「新陳代謝でしたら、必要な物質を取り入れて、不必要になった物質を出す事だと思いますが」
「あ、そうなんだ。
赤ちゃんドラゴンは新陳代謝が早いので、ご飯とウンコを数時間おきにするんだね。
でも、それって大変だ。僕、ねれないよ!!」
「大丈夫ですよ。
徐々に間隔が長くなってきいきますから。
一ヶ月もすれば、一晩中寝ていますので」
「え〜〜〜〜、一ヶ月もかかるの!!」
ナイトキラーがスリーに食べながら言った。
「スリーのお母さんも同じように、スリーが生まれた時に数時間おきにオッパイを飲ませてあげていたのよ。
知っていた?」
「それって本当なの?」
「ドラゴンは嘘は言えません。生物としての性質上嘘がつけない。
ダーク魔法でドラゴンの意思をコントロールして言わせる事はできるけどね。
とにかく、お母さんに感謝することね。
それに、お母さんは2人の世話をしていたのよ」
「そうだね。
お母さん大変だったろうな、ニンフルと僕の2人で」
「私の世話で、お母さんの苦労を体験できるわ」
「あのね。それが世話をされる赤ちゃんの言うセリフ?」
「それがドラゴンの赤ちゃんよ。
私は、この体にまだ慣れてないので、スリーに当分はお世話になるわね」
「うん、任せてよ。
でも、眠いや」
「私も眠い。
また寝るね」
ナイトキラーは言った途端に寝てしまった。
「スルル。赤ちゃん寝たけど、また数時間後には、お腹を空かせてウンコして目がさめるみたい」
「はい、よく存じています。
私のドラゴンも同じよう世話をしましたから」
「そうなんだ。
眠くなってきたから寝るね」
「はい、おやすみなさい」
スリーは眠れたと思ったら、お腹が空いてまた飛び起きた。
魔法で精霊の蛍を呼ぶと、さっきと同じようにナイトキラーがこちらを見ていた。
「眠いや。さっき寝たと思ったのに」
ふと、横のテーブルを見ると、既に鳥肉がお皿に盛ってあった。
「しつじって、本当にすごいな」
「感心していないで、早くて頂戴。おな」
スリーはナイトキラーが言い終わらない内に、続きの言葉を言った。
「お腹が空きすぎて、死にそうなんだよね」
ナイトキラーの顔が少しだけ笑った顔になった。
スリーはそれを見てとても愛《いと》おしいと思った。
こうしてスリーは夜中に何度も起こされて、ナイトキラーの世話をした。
ウンウン、生まれたての赤ちゃんて、世話が大変なんだよね。
頑張れよ、みんな。
歯磨けよ。お休み〜〜〜!!