エルフの惑星カーン   作:坂本ヒツジ

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ドラゴンの赤ちゃん

 赤ちゃんドラゴンが孵化して、それぞれの候補生と感応し、感動を与えていっている。

 

 ニンフルのドラゴンも孵化して、今は完全に卵の殻から出ていた。

 ニンフルは、どのドラゴンが私と感応したのだろうかと孵化した赤ちゃんドラゴンを見回していると、頭の中で声が聞こえてきた。

 

「ニンフル、私はここにいるよ」

「え、どこに?」

「左の端にいる。

 今、あなたを見ている」

 

 ニンフルは左の端を見ると、赤胴色の赤ちゃんドラゴンがこちらを見ていたので急いでそこまで走っていった。

 

「初めまして、ニンフル」

「あ、はい。初めまして。

 言葉が頭の中で響いていて、チョットだけ驚いています」

「私の名前をつけて下さい。

 まだありませんから」

「あ、はい。

 あらかじめ決めていた名前がいくつかあるんですが、どれがいいですか?

 えーと、」

「私達は既に感応しているので、心に秘めていることも分かります。

 その中では、ニフティーナが気に入りました」

「凄いです。

 感応するって、だいたいの話は聞いていたけれど、これ程とは思わなかった。

 ニフティーナ、いい名前です。

 あなたにぴったりですね」

「ありがとう。

 長い年月を卵の殻の中で過ごしてきたので、お腹が空いています。

 何か食べ物はありませんか?」

「あ、はい。

 持ってくるね」

 

 ニンフルはお腹を空かした赤ちゃんドラゴンの為に、食べ物を取りに行った。

 大きなテーブルの上には、鳥肉を山のように盛り付けられていたお皿が沢山並べられていた。

 一皿持ってニフティーナの所に持ってくると、手で直接食べさせてあげて世話をした。

 

 自力で食べ物を取れるまでの一ヶ月間、ドラゴンと一緒に過ごして世話をしなければならない。

 既に殻の中で、マザードラゴンから色々な知識を吸収しており、口よる会話ができなくても、感応した人とはテレパシーで会話ができた。

 ニンフルのドラゴンは既に、数十年間殻の中にいたので、相当量の知識を蓄えていた。

 

 スースラムも同じよう赤胴色のドラゴンで、今は忙しそうに世話をしている。

 スースラムと似て、少しだけ太っているドラゴンの赤ちゃんだった。

 

 ナオミは女王の助言で、手には赤ちゃんドラゴンに与える鳥肉を持っていた。

 目の前では、まさに卵の殻を破った赤ちゃんドラゴンが出てきた。

 それは素晴らしい黄金色で、光り輝くようだった。

 ドラゴンはすぐにナオミとテレパシーで会話をした。

 

「初めましてナオミ。

 お会いできて光栄です」

「初めまして。

 私もお会いできて光栄です。

 よろしくお願いします」

「こちらこそお願いしますね。

 名前をお願いしたいのですが、ナオミが考えているその中ではナミーシャーが気に入りました」

「少し、驚いています。

 頭の中で、少し考えただけで分かるんですね。

 ナミーシャー、いい名前です」

 

 ナオミが名前を付けたら突然、周りの大人のドラゴン達が騒ぎ始めた。

 ナオミは、そのドラゴン達の言葉が突然理解できるようになった。

 ドラゴン達は、ナオミとナミーシャーに祝福のメッセージをテレパシーで送ってきた。

 ナオミは素直に心からお礼を言った。

 

「ドラゴンの皆さん。初めまして。

 ナミーシャーとこれから頑張りますので、よろしくお願いします」

 

 ナオミは、さすがに王家の血を引くだけあって、初めてでも堂々としていて、威厳も少しだけにじみ出ていた。

 そして、マザードラゴンと感応した者は、全てのドラゴンと会話ができるのだった。

 

 スリーは周りの騒ぎは全く気にならずに、最後に残っている卵の前にいた。

 手には鳥肉を持っている。

 やっと出てきた赤ちゃんドラゴンは、卵の殻と同じ色で、他のドラゴンと比べると小さかった。

 でも、スリーはそんなことは全く気にならず、目の前にいるドラゴンに目を奪われていた。

 

「スリーね。よろしく」

「うん、こちらこそ」

「名前はそうね、ナイトキラーが気に入ったわ」

「えーと。それでいいのかい?

 あれ、僕の頭の中が読めるんだね」

「あなたと感応したからよ。

 あなたも私の考えが徐々に分かるわよ」

「えーと、お腹が空いているみたいだね。

 これ持ってきているんだ」

「少しは私の心が読めるみたいね。

 あなたのこと気に入ったわ。

 卵の中に千年もいると、お腹が空いて死にそうだったのよ。

 んー、美味しいわ、これ」

「卵の中に千年も居たの?

 僕なんか生まれてたった13年だよ」

「ウフフ。

 でも、今からあなたと私は一心同体ですからね」

「えーと。ナイトキラーは女の子なんだね。

 でも、女の子なのにナイトキラーで本当にいいのかい?」

「精霊が言っていたように、スリーは感が鋭いわね。

 本当に気に入っている訳ではではないけれど、私達がこれからの世界で生き残るためには必要な名前なのよ。

 ともかく、平和な世界では私は孵化出来なかったからね」

「それってどう言うことなの?」

「それはまたの機会にさせて、まだお腹が空いているから。

 お代わりの皿をお願いね」

 

 スリーは、お腹の空いている赤ちゃんドラゴンにお代わりを持って行って、世話をした。

 

 こうして無事に感応式が終わり、それぞれに家に赤ちゃんドラゴンを連れて、父兄のドラゴンで帰って行った。

 

 でも、ナオミ一家だけは残って、女王から直接話をする事になった。

 

 え、何で、何で??

 それは次の話のお楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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