ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第93話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート3)』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第93話『スクールカーニバル・ウォーです!(女子学園サイド・パート3)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に開催された大洗学園艦の学園祭………

 

大洗女子学園側が主催となる1日目にて………

 

大洗機甲部隊の面々は、接客に精を出し、或いは他の出し物の場所を回り、思い思いに楽しんでいた。

 

そんな中………

 

みほと行動を共にしていた弘樹の元に、迫信から連絡が入る………

 

曰く、女子学園側の学園祭にゲストとして招いた346プロダクションのアイドルユニット『ニュージェネレーションズ』が、不慣れな学園艦の道で迷ってしまったと。

 

現在手の空いている者が居らず、弘樹にお鉢が回って来たのである。

 

不満1つ言わずに了承した弘樹は、みほと共に『ニュージェネレーションズ』の迎えに出るのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗学園艦・甲板都市の某所………

 

「ハイ………ハイ………分かりました。この場所で待機させて頂きます………いえ、こちらこそ、申し訳ありません………ハイ………では、よろしくお願いします」

 

「如何だった、プロデューサー?」

 

「ハイ………学園側の方から迎えが来て頂ける事になりました」

 

「ホントですか!?」

 

「良かった~………道に迷って仕事駄目にした何て事になったら大変だったよ~」

 

「全くだよ………」

 

プロデューサーと呼ばれた男性を取り囲む様にした3人の美少女が、安堵した様な様子を見せる。

 

彼女達こそが、346プロダクションのアイドルユニット『ニュージェネレーションズ』である。

 

「それにしても………ホントに大きいんですね、学園艦って」

 

甲板都市の街並みを見回しながら、そう言うサイドテールをしている少女………『島村 卯月』

 

「ホント………此処が船の上だなんて信じられないよ」

 

黒いストレートのロングヘアの少女………『渋谷 凛』もそう同意する。

 

「私達、陸の学校組からしたら、有り得ないよね~」

 

そう言うのは、茶髪のショートヘアの少女………『本田 未央』

 

皆、アイドルをやっているだけあって、普通にしていてもオーラの様な物が有り、何よりその端麗な容姿は人目を引く。

 

しかし………

 

「では、迎えが来るまで、待機でお願いします」

 

そんな彼女達以上に人目を引きそうなのが、彼女達がプロデューサーと呼んだ男………346プロのプロデューサーである。

 

身長は2メートル近く有り、まるで鍛え抜かれたかの様な大きなガタイ………

 

刃物を思わせる三白眼に目元にはシワ………

 

そして耳に残る低い声………

 

一見するとアイドルのプロデューサーとは思えない。

 

キッチリとスーツを着込んでいる姿が、却って『その筋の人』感を醸し出している。

 

「くれぐれも目立った事はしない様にお願いします。アイドルだと言う事が分かってしまったら騒ぎになってしまう可能性が有りますので………」

 

「分かってるよ………」

 

「プロデューサーこそ、また警察に連れてかれたりしないでよ」

 

「う………」

 

未央にそう言われて、困った様な顔をして、首の後ろに手を当てるプロデューサー。

 

如何やら、実際に警察の御世話になってしまった事がある様だ………

 

「だ、大丈夫ですよ! 私達も一緒なんだから!!」

 

と、卯月がプロデューサーをフォローする様にそう言っていたところ………

 

「ヘイヘーイ! お嬢ちゃん達ぃっ!!」

 

「! ふえっ!?」

 

「? 何?」

 

突然そんな声が聞こえて、卯月が驚きの声を挙げ、凛が戸惑いながら声のした方向を見やると、そこには………

 

「ヘヘヘ、可愛いね、君達ぃ」

 

「良かったら、俺達と遊ばな~い?」

 

「色々と奢ってあげるよ~」

 

あからさまにチンピラと思わしき数人の男達が、下衆な笑みを浮かべて、卯月達にそう言って来ていた。

 

「うわぁ、今時こんな事する人居るんだ………」

 

昔の漫画やアニメにでも出て来そうなチンピラの姿と行動を見て、未央が思わずそう呟く。

 

「み、未央ちゃん、失礼だよ………」

 

「? 未央?………! あーっ!? アンタ、ニュージェネレーションズの本田 未央ちゃん!?」

 

「おおっ! 良く見たら、そっちの子は島村 卯月ちゃんじゃん!」

 

「こっちは渋谷 凛ちゃんだぜ!」

 

そんな未央を注意する卯月だったが、それにより、チンピラに正体が知られてしまう。

 

「! 卯月!」

 

「!? あわわっ!? わ、私、つい………」

 

凛が声を挙げ、卯月が慌てるが、時既に遅し。

 

「うひょー! コイツはラッキーだぜ! まさかアイドルをナンパ出来るなんてなぁ!」

 

「んじゃ、早速行こうかぁ」

 

テンションが上がった様子のチンピラ達は、卯月達の返事も聞かずに、半ば強引に連れ出そうと近づいて来る。

 

「! ちょっと!」

 

「え!? ちょっ!?」

 

「こ、来ないで下さいっ!!」

 

チンピラ達の強引な様子に、凛、未央、卯月は怯えて固まる。

 

と………

 

「………失礼」

 

そこでプロデューサーが、卯月達を守る様に、チンピラ達の前に立ちはだかった。

 

「!? なっ、何だテメェ………」

 

「お引き取り下さいますか?」

 

「ひいっ!?」

 

狼狽するチンピラに向かってそう言い放つプロデューサー。

 

彼にしてみれば普通に言った積りなのだろうが、その容姿のせいで凄みが効いており、半ば脅しの様な効果を発揮している。

 

「うわっ、メッチャビビってる………」

 

「流石プロデューサー………」

 

「ア、アハハ………」

 

チンピラ達もビビる迫力を持つ自分達のプロデューサーに、卯月達は乾いた笑いを漏らす。

 

「ビ、ビビってんじゃねえっ! コイツは只のプロデューサーだ! ちょいと図体がデカくて厳つい顔してるだけだ!!」

 

「いや、でも、何か只者じゃない雰囲気が有りますよ!?」

 

「気のせいだ!」

 

すっかり怯えた様子のチンピラ達の間で、そんな会話が繰り広げられる。

 

「………厳つい」

 

一方のプロデューサーは、厳つい顔だと言われた事に少しショックを受けている様子を見せていた。

 

彼なりに気にしている様である。

 

「こ、この野郎っ!!」

 

と、その時!!

 

チンピラの1人がそう叫んで、ポケットから折り畳み式のナイフを取り出した!!

 

「!?」

 

「ナ、ナイフッ!?」

 

「嘘っ!?」

 

「プ、プロデューサーさん! 危ないっ!!」

 

凶器を出された事で、プロデューサーも卯月達も慌てる。

 

「ヘヘヘ、如何だ? コイツが有れば………」

 

優位に立ったと思ったチンピラがそう言いかけた瞬間………

 

ダダダダダダッ!!と言う連続の発砲音が鳴り響き、チンピラ達の足元に次々と銃弾が着弾して火花を散らした!!

 

「!? うわあっ!?」

 

「な、何だっ!?」

 

チンピラ達が慌てながら銃声がした方向を見やると、そこには………

 

「…………」

 

耐圧服姿で、銃口から硝煙の立ち上っている九九式軽機関銃を構えている弘樹の姿が在った(ヘルメットは外している)。

 

「うええっ!?」

 

「今度は一体何?」

 

「あわわ………」

 

「…………」

 

突然現れ発砲した弘樹に、未央、凛、卯月は混乱し、プロデューサーも困惑した様子で首の後ろに手を当てる。

 

「お、お前はまさか!? 舩坂 弘樹っ!?」

 

と、弘樹の事を知っていたチンピラの1人がそう声を挙げる。

 

「!? 舩坂 弘樹だと!?」

 

「あのバケモノ歩兵かよっ!?」

 

途端に、他のチンピラ達にも動揺が走る。

 

「………その方達は大切なゲストだ。3秒待ってやる、消えろ。1………2………」

 

「「「「「「「「「「すいませんでしたーっ!!」」」」」」」」」」

 

弘樹が睨みを利かせてそう言い放つと、チンピラ達は一目散に逃げ出した。

 

「…………」

 

それを確認すると、弘樹は九九式軽機関銃を下ろし、安全装置を掛けると、ベルトで肩に担いだ。

 

「………346プロダクションの方々ですね」

 

「あ、ハイ………」

 

そして、卯月達の方を見ながらそう尋ねると、代表する様にプロデューサーが答える。

 

「大洗機甲部隊あんこうチーム随伴歩兵分隊とらさん分隊の分隊長、舩坂 弘樹です。神大会長閣下の命により、御迎えに参りました」

 

それを聞いた弘樹は姿勢を正し、ヤマト式敬礼をする。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「こ、コチラこそどうも!」

 

その弘樹の姿を見た卯月と未央が、思わず陸軍式敬礼と海軍式敬礼を返す。

 

「2人共、落ち着いて………」

 

只1人、凛だけが冷静にそう言う。

 

と………

 

「弘樹く~ん!」

 

そこで、キュアロゼッタの恰好のままのみほが、弘樹を呼びながら姿を見せた。

 

「今度はプリキュア!?」

 

そのみほの姿を見て、卯月が驚きの声を挙げる。

 

「急に飛び出して行ったから、ビックリしたよ」

 

「すまない。嫌な予感を感じたものでな………」

 

「! あ~っ! 西住 みほ総隊長!」

 

と、みほと弘樹がそう言い合っていると、未央がみほを指差しながらそう声を挙げる。

 

「ふえっ!?」

 

「えっ?………ああ! 大洗機甲部隊の総隊長!!」

 

「本物?………」

 

みほが戸惑いを見せると、卯月と凛も驚きを示す。

 

「わ、私の事、知ってるんですか?」

 

「そりゃあ~、有名人だからねぇ~」

 

「私達も戦車道の試合を見てて、それでいつも話題にされてたから」

 

「まあ、私達もそれなりに有名人なんだけどね………」

 

未央と卯月がそう言い合い、凛がそうツッコミを入れる様に言う。

 

「…………」

 

そんな中、プロデューサーはみほの事をジッと見つめている。

 

「? プロデューサー?………」

 

そのプロデューサーの姿に気付いた凛が声を掛けた瞬間………

 

「あの………すみません」

 

プロデューサーはみほへと声を掛ける。

 

「えっ?」

 

「私、こう言う者ですが………アイドルに興味は有りませんか?」

 

そして、みほに向かって名刺を差し出しながらそう尋ねた。

 

「!? プロデューサーさん!?」

 

「おおっ! 久々のスカウト活動だね!!」

 

「………大丈夫かな?」

 

卯月が驚き、未央がそう声を挙げる中、不安そうな様子を見せる凛。

 

何せ前述した通り、プロデューサーは警察の世話になるほどの強面………

 

一見すると気が弱そうに見えるみほが怯えないかと心配していた。

 

しかし………

 

「アイドル………ですか? 私が?」

 

「ハイ………」

 

「あの………お気持ちは嬉しいんですけど、私は今、戦車道で手一杯なんで、とてもアイドルだなんてやってる暇はないんです………」

 

「そう………ですか………」

 

やんわりとながら断られ、若干落ち込んだ様子を見せるプロデューサー。

 

「すみません」

 

「いえ………こちらこそ、突然申し訳ありませんでした」

 

お互いに頭を下げて謝り合うみほとプロデューサー。

 

「プロデューサーに迫られても動じてない?………」

 

「凄~い! 流石、大洗の軍神!」

 

「し、失礼だよ、未央ちゃん! 凛ちゃんも!」

 

その光景を見て、思わずそう口に出す凛と未央に、卯月が注意する。

 

「では、車を回して来ますので、少々お待ち下さい」

 

とそこで弘樹がそう言い、その場を離れて行った。

 

そして程なくして………

 

九四式六輪自動貨車を運転して帰って来た。

 

その際に、兵員輸送車で送迎される事となった卯月達は、唖然とした表情を浮かべたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大洗学園艦・甲板都市………

 

大洗女子学園へと向かう道………

 

弘樹の運転で、大洗女子学園を目指して進んでいる九四式六輪自動貨車。

 

「それにしても、総隊長さん。やっぱり凄いね~」

 

その兵員輸送用に改造されている荷台に乗って居たニュージェネレーションズとみほの中で、未央がみほにそう言う。

 

「えっ? な、何がです?」

 

「あ、敬語は良いって、歳もそんなに変わらないんだし。アタシの事も未央って呼んでくれて良いから」

 

戸惑うみほに、未央は持ち前のフレンドリーな性格でそう言う。

 

「あ、私も卯月で良いです」

 

「私も、凛で良いよ………」

 

すると卯月と凛も、未央に賛同する様にそう言って来る。

 

「ハ、ハイ………じゃあ、えっと………未央さん、凄いって何が?」

 

みほは一瞬躊躇した後、未央に向かって改めてそう尋ねる。

 

「いやあ、ホラ………ウチのプロデューサー、ちょっと怖い顔してるでしょ? 迫られた時に怖がるんじゃないかと思ってたんだけど、全然そんな事なかったからさあ」

 

「み、未央ちゃん!………」

 

明け透けにそう言う未央に、卯月が慌てる。

 

「あ、うん。それは何となく、悪い人じゃないって思ったから………」

 

「如何して?」

 

そう言うみほに、今度は凛が尋ねる。

 

「多分………弘樹くんと似てるからかな?」

 

「あ、私もそう思いました」

 

「確かに………顔とか、雰囲気とかがソックリだね」

 

みほがそう言うと、卯月と凛もそう同意する。

 

「成程~………で、その2人はって言うと………」

 

そこで未央は、荷台から運転席が見える窓を見る。

 

「「…………」」

 

そこには無言でハンドルを握って運転をしている弘樹と、同じく無言で助手席に姿勢を正して座っているプロデューサーの姿が在った。

 

「「…………」」

 

2人は終始無言であり、雰囲気も相まって只ならぬ様子に見える。

 

「く、空気重っ………」

 

「あの2人に揃って黙って居られると何かコッチまで重くなってくる気がする………」

 

そんな弘樹とプロデューサーの姿を見て、未央と凛が冷や汗を流しながらそう言う。

 

「プ、プロデューサーさん! な、何かお話しませんかっ!?」

 

「弘樹くんも如何かな?」

 

卯月がそんな空気を変えようとそう言い、慣れているみほも弘樹にそう呼び掛ける。

 

「「…………」」

 

そこで九四式六輪自動貨車は信号待ちで停車。

 

「「…………」」

 

弘樹とプロデューサーは、お互いの姿を見やる。

 

「「…………」」

 

まるで観察するかの様にお互いをジッと見やる弘樹とプロデューサー。

 

「「…………」」

 

無言の時が経過する………

 

「「…………」」

 

「いや! だから何か喋ろうよっ!!」

 

とそこで、耐えかねた様に未央がそう声を挙げた。

 

「………良い体格をしていますね。何か武道を?」

 

するとそこで、プロデューサーのその仕事内容に似あわない体格の良さが気になったのか、弘樹がそう尋ねる。

 

「あ、ハイ………実は昔………歩兵道を少し………」

 

「えっ? プロデューサー、歩兵道やってたの?」

 

プロデューサーがそう答えると、凛が軽く驚きの声を挙げる。

 

「ええ、学生時代にですが………」

 

「へえ~、そうなんだ。それでそんなに大きな身体してたワケかぁ」

 

未央がマジマジとプロデューサーの身体を見ながらそう言う。

 

「意外………だったでしょうか?」

 

「意外と言うより、プロデューサーさんって、あまり自分の事を語ったりしないから、ちょっと驚いた感じです」

 

プロデューサーが少し困惑した様子を見せると、卯月がそう言って来る。

 

「…………」

 

そう言われてプロデューサーは、首の後ろに手を当てる。

 

「歩兵道者でしたか………後学の為に、後でお話を聞かせてもらっても良いですか?」

 

「え、ええ、構いません」

 

「………確かに、似てるかもね」

 

と、弘樹とプロデューサーが会話している様子を見て、凛がそう呟く。

 

「でしょ?」

 

「現役バリバリの歩兵道者とアイドルのプロデューサーって違いはあるけどね」

 

みほが同意する様に笑うと、未央が苦笑いしながらそう言う。

 

そうこう言っている内に、信号は青になり、九四式六輪自動貨車は発進する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロデューサーが元歩兵道者………

 

この事が後に、大きく役立つ事になろうとは………

 

この時、誰も予想だにしていなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

遂に登場、武内P!
………じゃなくてニュージェネレーションズ。
飽く迄ゲストですので、それほど目立たないかも知れませんが、注目して於いて下さい。

そして独自設定として、武内Pは元歩兵道者と言う設定を付加しました。
やっぱりあの体格は何かスポーツか武道やってたと思うんですよね。
そうでなかったら、元軍人とでも言われなきゃ納得出来ないですよ(爆)
この設定が後でのフラグになりますので、お楽しみに。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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