ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース   作:宇宙刑事ブルーノア

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第88話『一航専です!』

『ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース』

 

第88話『一航専です!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時は敗北さえも疑われたが、みほの作戦と指揮、弘樹の参戦、助っ人と支援要請により………

 

またもや辛くもながら、昨年の優勝チームである『プラウダ&ツァーリ機甲部隊』に勝利した大洗機甲部隊。

 

その試合終了直後に………

 

みほの母親であり、西住流の現師範である『西住 しほ』が、みほを連れ戻そうと現れたが………

 

弘樹達を始めとした大洗歩兵部隊の反発、そして夫であり、みほとまほのの父親である『西住 常夫』の出現により………

 

調子を狂わされたしほは、黒森峰と当たる事となれば叩き潰すと言う捨て台詞を残して去って行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5回戦・試合会場………

 

特設ライブ会場………

 

そこでは、大洗機甲部隊とプラウダ&ツァーリ機甲部隊の面々………

 

そして両校の応援席に居た観客の一部が、サンショウウオさんチームの戦勝ライブを観覧していた。

 

プラウダ&ツァーリ機甲部隊の面々が居るので、粗方の席が埋まっている状態でのライブの為、サンショウウオさんチームのテンションは最高潮。

 

新曲・『それゆけ! 乙女の戦車道!!(サンショウウオさんチームVer)』までもお披露目した。

 

「…………」

 

そんなサンショウウオさんチームの姿に、一際見惚れているのがカチューシャである。

 

キラキラとした目で、ステージのサンショウウオさんチームを見ている。

 

「羨ましいんですか?」

 

と、そんなカチューシャの姿を見て、左隣の席に居たノンナがそう尋ねる。

 

「! べ、べっつにぃ!」

 

途端にカチューシャは頬を膨らませてそっぽを向く。

 

「クスクス………」

 

そんなカチューシャの姿に、ノンナは笑みを零す。

 

「………それにしても、素晴らしい歌ですね」

 

と、ノンナがそう言うと、左手に誰かの手が重ねられる。

 

「…………」

 

ノンナが更に左隣の席を見やると、そこにはステージを見ているままのデミトリの姿が在った。

 

「………お前の歌も十分素晴らしいぞ」

 

その状態のまま、ノンナに向かってそう言うデミトリ。

 

「………ありがとう、私のリュビームィ パリン」

 

ノンナはそう言って、左手の掌を上に向けて、そのままデミトリの手を絡め合わせる様に握ったのだった。

 

 

 

 

 

一方、別の一角では

 

「サンショウウオさんチーム、今回も素敵なライブであります」

 

「ああ、そうだな………」

 

優花里がそう言うと、その前方の席に座っていた白狼がそう返す。

 

「………あの、神狩殿」

 

「ん? 何だ?」

 

「ありがとうございました」

 

「ああ? 何がだよ?」

 

突然お礼を言って来た優花里に、白狼は怪訝な顔をする。

 

「あの時、西住殿を庇ってくれた事です………」

 

「そりゃ舩坂の方だろ。俺はあのババアがムカついたから口を挟んだだけだ」

 

「いえ、神狩殿がああ言ってくれたから、皆さんが動いたんです。舩坂殿だけのお蔭じゃないですよ」

 

「そう言うもんかね………」

 

「そうです。やっぱり神狩殿は私達の仲間であります」

 

「…………」

 

優花里にそう言われて、白狼はボリボリと頭を掻く。

 

「アレ? 何かゆかりんと神狩さん、良い雰囲気?」

 

「お、何や白狼? 何時の間にそんな仲になったんや?」

 

するとそこで、そんな2人の様子を目撃した沙織と豹詑がそう言って来る。

 

「えっ!? あ! いや! その! わ、私は!!………」

 

「馬鹿なこと言ってんじゃねえよ」

 

途端に動揺した様子を見せる優花里と、対照的に辟易としている様子を見せる白狼。

 

「せやけど、女っ気の無いお前さんがそこまで絡むなんて、珍しいやないけ」

 

「だから、馬鹿言うなっての。大体俺は、もっと家庭的な女がタイプなんだよ」

 

「!?」

 

と、白狼がそんな事を口走ると、優花里はショックを受けた様な表情となる。

 

「へえ~、そら意外やなぁ」

 

「何だ何だ? 何の話だ?」

 

「混ぜて貰っても良いですか?」

 

豹詑がそう言うと、海音と飛彗が会話に参加して来る。

 

「………武部殿」

 

すると、そんな白狼達を横目にしながら、優花里は沙織へと声を掛ける。

 

「? 何、ゆかりん?」

 

「今度私に………女子力と言うものを教えていただけないでしょうか?」

 

「えっ? あ、うん、良いよ」

 

「…………」

 

沙織が返事を返すのを聞きながら、前の席で飛彗達と話し込んでいる白狼を見やる優花里。

 

(あ~、コレは本物だね~………)

 

そんな優花里の姿に、沙織は温かい視線を送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステージ上………

 

(お客さん、段々と増えてる………)

 

歌いながら踊っている聖子が、満席とまでは行かないが、かなりの人数が入っている観客席を見て、そう思う。

 

(この調子なら、きっと武道館ライブだって………)

 

とそう思いながら観客席を見回していた時、陰に隠れている1人の人物の姿を目撃する。

 

(! 近藤 里歌さん!?)

 

内心で驚愕する聖子。

 

何故なら、その隠れていた人物とは、近藤 里歌であったからだ。

 

「…………」

 

隠れたまま、ジッとサンショウウオさんチームのステージを見やっている里歌。

 

「…………」

 

と、その顔に一瞬だが、寂しさと悲しさの入り混じった表情が浮かぶ。

 

(!!)

 

聖子がまた内心で驚いていると、里歌は踵を返して会場から出て行った。

 

(近藤さん………何であんな顔を?………)

 

里歌が一瞬見せた、寂しさと悲しさの入り混じった表情が気になる聖子。

 

「「「「「聖子ちゃ~~~んっ!!」」」」」

 

「!!」

 

しかしそこで、客席からコールが入り、我に返る。

 

(そうだ。今はライブに集中しないと………)

 

一抹の気がかりを感じながらも、聖子は今のライブのステージへと集中するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特設ライブ会場の観客席の片隅………

 

「大洗機甲部隊………いや、面白い部隊じゃないか」

 

コッソリと観客の中に混じっていたグロリアーナ&ブリティッシュ機甲部隊のメンバーの中で、ジャスパーがそう言う。

 

「やっぱり貴方もそう思ったわね、ジャスパー」

 

「全くだ。今から試合をするのが楽しみだよ」

 

「本当に楽しそうですね………」

 

ダージリンにジャスパーがそう返すと、オレンジペコがそうツッコミを入れる。

 

「当然。危険がいっぱいで素晴らしい試合になりそうだからね」

 

「危険が好きなんですね………」

 

「当然だ。私には『ジャック・チャーチル』の血が流れているのだからね」

 

そう………

 

『ジャスパー・チャーチル』………

 

彼の祖先は第二次世界大戦中にイギリス軍に在籍していた風変わりな兵士………

 

『ジャック・チャーチル』なのであった。

 

「…………」

 

そんな中で、1人静かにサンショウウオさんチームのライブを観賞しているアールグレイ。

 

 

 

 

 

そして程なくしてライブは終了………

 

サンショウウオさんチームは、プラウダ&ツァーリ機甲部隊から『ハラショー』の称賛を浴びたのだった。

 

こうして、戦車道・歩兵道の第5回戦は幕を閉じた………

 

余談となるが、この試合後に………

 

ラスプーチンが、ニキータと雪化粧狙撃部隊と共に………

 

プラウダ&ツァーリ機甲部隊から、煙の様に姿を消すと言う、不気味な出来事があったのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合の翌日………

 

海原を進む大洗学園艦の横に、別の学園艦が並走している。

 

その学園艦の形は、旧日本海軍初の航空母艦であり、世界でも最初に完成した空母『鳳翔』を模している。

 

学園艦なので、かなりの大きさだが、それでもその全長だけでも70キロメートル近く。

 

最早動く島であり、隣に浮かんでいる大洗学園艦が、まるでおもちゃの様に見える。

 

更に特徴的なのが、その広大な甲板上の都市部分の半分近くが、航空関連施設となっている事だ。

 

ハンガーや管制塔、滑走路に加え、水上機の離着陸の為の物と思われる湖までもが在る。

 

そんな飛行場施設の中心部には、学園艦を学園艦足らしめている校舎が建っている。

 

 

 

 

 

この学園艦の名は、『第一航空専門学校』

 

通称『一航専』と呼ばれている、航空機道専門の学園である。

 

その歴史は、太平洋戦争が終結して間も無くから始まっている。

 

元々旧日本海軍が空母機動部隊を主力としていた事もあり、航空機道は兵器武道の中では軍艦道に続いて普及が進んだ。

 

中でもこの一航専は、その略称の元でもある南雲機動部隊の第一航空戦隊。

 

更には二航戦の友永隊や江草隊。

 

芙蓉部隊に加藤隼戦闘隊などのエースパイロット達が居た、或いは率いた部隊や著しい戦果を挙げた部隊の生き残りが講師として勤務し、その技術を余す事無く伝えたと言われている。

 

正に航空機道の名門中の名門なのである。

 

その為、戦車道・歩兵道しかない学校はおろか、航空機道の部隊が居る学校からも支援の依頼が舞い込む程だ。

 

だが、名門ゆえの誇りからか、金や利益などで動く事は先ず無く、如何に彼等の琴線に触れるか如何かが支援要請を受諾して貰えるかのポイントとなっている。

 

 

 

 

 

そんな名門学園のとあるハンガーに、大洗機甲部隊の姿は在った………

 

「ああ! 零戦です!! アレは二一型ですね! 五二型もあります! おお! アッチには彗星に天山! ああ! 彩雲が有ります!! 瑞雲や零式水上観測機も!!」

 

ハンガー内に並び、整備員達の整備を受けている一航専の航空機道の航空機達を見て、優花里が興奮する。

 

「あちゃ~、またゆかりんがハイテンションだよ………」

 

「ア、アハハ………」

 

そんな優花里の姿を見て、苦笑いを零す沙織とみほ。

 

「一式戦闘機『隼』に九九式襲撃機、四式重爆撃機………陸軍機も有るのか」

 

旧日本海軍の航空機だけでなく、旧日本陸軍の航空機も並んでいるのを見て、俊がそう言う。

 

更に、他と比べると数は多くないが、Ju-87、Ar196、フォッケウルフ Fw190と言った、ドイツ製の航空機も並んでいる。

 

「いやあ、良く来たね」

 

「お待ちしていました」

 

と、そのドイツ製の航空機が並んでいる方から、ハンネスとエグモントが歩いて来る。

 

「やあやあ、2人共」

 

「今日はお招きいただき、感謝しているよ」

 

杏と迫信が、女子学園と男子校を代表して挨拶する。

 

そう………

 

ハンネスとエグモントは、この学園の航空部隊所属だったのである。

 

「最初に聞いた時は驚いたぞ。航空機道を続けているとは思っていたが、まさかこの名門中の名門と言われる一航専に居たとはな」

 

弘樹が、ハンネスとエグモントに向かってそう言う。

 

「フフフ………実はな、弘樹」

 

「この学園にはもう1人………戦友が居るんですよ」

 

するとハンネスが意味深に笑い、エグモントがそう言って来た。

 

「何?………まさか」

 

と、弘樹がそれに思い当たりを感じていると………

 

「うわあ~、凄い………ゲームと全く同じだぁ」

 

零戦を見て感動している様子を見せるねこにゃー。

 

如何やら、戦車だけでなく、航空機のゲームもプレイしている様だ。

 

「!? うわっ!?」

 

そこで、もっと間近で見ようと零戦に近づいた瞬間、足元に落ちていた機材に足を取られ、転んでしまう。

 

その際にメガネが取れ、床に落ちる。

 

「あっ!? メ、メガネ………メガネ………」

 

ねこにゃーは良く見えない状況で、床の上を手探りでメガネを探す。

 

すると………

 

「御探し物はコレかい?」

 

旧日本海軍の飛行服に身を包んだ男が、床に落ちていたねこにゃーのメガネを拾い、目の前に差し出す。

 

「あ、ありがとうございます」

 

ねこにゃーは顔を上げて、良く見えないながらも、その男の方を見てお礼を言う。

 

「!?」

 

だが、飛行服の男は、ねこにゃーの顔を見た途端に固まった様な様子を見せる。

 

「? あ、あの?………」

 

「………美しい」

 

ねこにゃーが戸惑っていると、その男はそう呟いた。

 

「えっ?………」

 

更にねこにゃーが困惑の様子を見せた瞬間、飛行服の男はねこにゃーの両手を掴んだ!

 

「私は君の存在に、心奪われたっ!!」

 

そしてねこにゃーに向かってそう言い放つ!

 

「えっ?………!? えええええええっ!?」

 

「こ、告白っ!?」

 

「なのか、アレは?」

 

「まあ、何と大胆な………」

 

「あわわわわっ!?」

 

突然の珍妙かつドストレートな告白に、ねこにゃーは一瞬で真っ赤になり、沙織、麻子、華、優花里も様々なリアクションをする。

 

「乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じられずには要られない………真剣なる交際を所望する」

 

「い、いや、あ、あの………ま、まだ出会ったばっかりで、そ、そんな事言われても………」

 

「私は我慢弱く、落ち着きの無い男なのだよ」

 

「あ、あううう………」

 

ねこにゃーがどれだけ照れようと、1歩も退く様子を見せない飛行服の男。

 

「あのバカ………相変わらずか………」

 

「? 弘樹くん?」

 

とそこで弘樹がそう言ったのを聞いたみほが、弘樹の方を向くが、弘樹はそのまま、飛行服の男に近づく。

 

「そ、そんな簡単に付き合うとか決めちゃっても………」

 

「恋愛に理屈を持ち込むとは、ナンセンスだな!!」

 

「あううう………」

 

「さあ! 返答は如何に!?………!? ぐはっ!?」

 

「いい加減にしろ」

 

そこで、弘樹が飛行服の男の頭を、鞘に入れたままの英霊で思いっきりブッ叩いた。

 

「大丈夫か? ねこにゃーくん?」

 

「あ、ハ、ハイ………」

 

「くうっ! 相変わらず容赦が無いな! 我が盟友!」

 

と、飛行服の男は頭を擦りながら弘樹にそう言って来る。

 

「お前のそう言う所も変わっていないな………六郎」

 

弘樹は若干ウンザリした様子を見せながら、六郎と呼んだ男にそう言う。

 

「知り合いなの? 弘樹くん?」

 

「コイツも小官のかつての戦友だ」

 

「コレは申し遅れた………我が名は『坂井 六郎』。舩坂 弘樹の盟友にして、当学園の戦闘機隊の隊長を務めている」

 

みほがそう尋ねると、弘樹はそう返し、『坂井 六郎』は先程までの様子が嘘の様に、少々時代が掛かった口調ながら、真面目にそう自己紹介をする。

 

「!? 坂井っ!? では、貴方は!?」

 

するとそこで、坂井と言う六郎の名字を聞いた優花里が反応する。

 

「如何にも………我が祖先の名は『坂井 三郎』だ」

 

そんな優花里に向かって、六郎は不敵に笑ってそう言い放つ。

 

「! 『大空のサムライ』! 『坂井 三郎』!!」

 

それを聞いた優花里は、感激と興奮が入り混じった声を挙げる。

 

 

 

 

 

『坂井 三郎』………

 

大日本帝国海軍の軍人、戦闘機搭乗員でエースパイロットである。

 

その総撃墜数は64機と言われている。

 

各国のエースパイロットのみならず、旧日本軍のエースパイロット達と比べるとやや見劣りする数字に思われるが………

 

議論はあるものの、彼には『1度も僚機を撃墜されなかった』という事と、『乗機を破壊されなかった』と言う逸話が有る。

 

また、硫黄島の防空戦にて、帰還に入ろうとして、誤って敵編隊に合流してしまうと言うミスをやらかしたが………

 

何と15対1と言う絶望的な状況の中で、敵の射撃を全てかわし、帰還に成功したと言う逸話もある。

 

戦後まで生き延びて、後に『大空のサムライ』と言う著書を出版し、世界的にベストセラーとなる。

 

 

 

 

 

「お前もこの学園だったのか………」

 

「如何にも。プラウダ&ツァーリ戦では敵航空機の襲来は無かったので出番を譲ったが、次の戦闘では活躍してみせる。期待していてくれ」

 

弘樹の言葉に六郎はそう返すと、再びねこにゃーの方を見やる。

 

「君にも私と零戦の活躍を見てもらいたいな………」

 

「あ、あうう………」

 

「止めろと言っているだろう」

 

六郎がまたもねこにゃーを口説きに掛かると、弘樹が止めに入る。

 

「色恋沙汰となると兎に角突撃して………日本男児ならば、もう少し落ち着きを見せたら如何だ」

 

「言っただろう………私は我慢弱く、落ち着きの無い男なのだよ。その上、回りくどい事が苦手ときている」

 

そう注意する様に言う弘樹だったが、六郎は悪びれた様子すら見せず、寧ろ当然だと言わんばかりの顔でそう返す。

 

「全く、お前は………」

 

呆れながらも、弘樹が更に注意しようとすると………

 

「あ、あの………さ、坂井さん」

 

そこで、他ならぬねこにゃーが六郎へと声を掛ける。

 

「六郎で結構だ」

 

「あ、じ、じゃあ、六郎さん………あの、その………」

 

しどろもどろな様子を見せるねこにゃー。

 

「や、やっぱり………い、いきなり、こ、交際とかはちょっと………と、『友達』から始めませんか?」

 

「…………」

 

ねこにゃーがそう言うと、六郎はねこにゃーの事をジッと見つめる。

 

「あ、や、やっぱり駄目で………」

 

「その旨を良しとする!」

 

と、不意に敬礼すると、そう言い放つ六郎。

 

「何という僥倖………生き恥を晒した甲斐が、あったというもの!!」

 

「ひゃあっ!?」

 

「止めろ。ねこにゃーくんが驚いているぞ」

 

思わず六郎が歓喜の声を挙げると、弘樹がそう言って押さえる。

 

「クッ! 失礼………欲望が身体の端から滲み出てしまった様だ」

 

「い、いえ………じゃあ、その………今度一緒に、WOPをやりましょうか?」

 

「望むところだと言わせてもらう」

 

そう言ってドヤ顔をする六郎。

 

「………ねこにゃーくん、良いのか? 確かに、コイツは誠実かも知れないが、正直に言わせてもらうと、言動がいちいち奇天烈で、精神的に疲れるぞ」

 

そこで弘樹は、心配そうな表情でねこにゃーに小声でそう言う。

 

「で、でも………好きとか、言われたのって初めてだから………無下にしたくないなって………」

 

ねこにゃーは両手の人差し指を合わせたり離したりしながらそう返す。

 

「………まあ、君が納得しているなら、それで構わないが………」

 

弘樹は諦めた様な表情となり、それ以上は追及しないのだった。

 

「な、何か、凄いモノ見ちゃったね………」

 

「ア、アハハ………」

 

そう言う沙織に、みほは乾いた笑いを返す。

 

「何れにせよ、心強い味方が出来たな」

 

「今度の試合までにはポルシェティーガーの整備も完了するみたいですし、戦力アップは間違いありませんね」

 

そこで、俊と逞巳がそう言い合う。

 

「ポルシェティーガーの随伴分隊には、おおかみさん分隊を移動させるんでしたっけ?」

 

「ああ、歩兵道用のバイクが大量に発注出来たって真田整備部長から報告が有ってな。おおかみさん分隊を完全なオートバイ部隊にする計画を立ててるんだ」

 

清十郎がそう尋ねると、俊がそう返す。

 

「…………」

 

当のおおかみさん分隊の分隊長である白狼は、オートバイ部隊を組織すると聞いて、思う所がある様な表情を見せる。

 

「となれば、新しくアリクイさんチームに着く随伴分隊の人員を集めなければ………」

 

「また補充の募集を掛けますか?」

 

「いや、それには及ばないよ」

 

と、十河と清十郎がそう言い合っていると、迫信が口を挟む。

 

「? 如何言う事ですか? 会長?」

 

「角谷くん、丁度時期じゃないかい?」

 

「ああ、そう言えばそうだねぇ」

 

清十郎が首を傾げると、迫信は杏にそう言う。

 

「? 時期って?………何がですか?」

 

みほがそう尋ねると………

 

「大洗学園艦の………『学園祭』だよ」

 

杏は満面の笑みを浮かべて、そう言い放ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させていただきました。

5回戦試合終了後の光景とハンネス達が所属している学園、『一航専』の紹介をさせていただきました。

そしてまたも英雄の子孫登場。
大空のサムライこと坂井 三郎の子孫です。
キャラのモデルは、見ての通り、あの乙女座のガンデレ武士道仮面です(笑)
彼もまた、大洗機甲部隊の支援部隊として活躍してもらいます。

さて………
次回からは暫く戦車や歩兵から離れて、学園イベントの様子をお送りしたいと思います。
ガルパンは学園物でもありますので、ここらで学園的なイベントもやろうかと思いまして。
一応、新たな歩兵募集の為と関連付けています。

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。

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